小出裕章のレビュー一覧
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福島原発は今後どうなるのか。日本はこれからどうなるのか。40年間一貫して原発の廃絶を主張してきた筆者がその経験をもとに数々の立証するものです。助教の立場に甘んじながら筆者の不屈の精神に感服します。
今やメディアでその名前を見ない日はないといえる小出先生ですが、小出先生も仙台で原子力を専門にし始めていた当初はまだ、原子力に対しても未来を抱いていた人間の一人だと述懐していらっしゃったのがとても印象に残っております。それが、『そんなに原発が安全だっていうなら、なぜ仙台に建てない!?』という声を原子力発電所の反対運動に際して聞いたことがきっかけとして、原子力産業について、疑問を持ちはじめた小出先生 -
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ネタバレ3.11震災による福島原発の破局的状況を抱える現在において、本書がベストセラーとなるのは当然すぎることだろう。とにかく解りやすい、一気呵成に読める。原発破局の実態が、客観的事実に裏づけられつつ簡潔明瞭に解き明かされいくコンパクトな全7章182頁。
終盤の6章で取り上げられる、浜岡原発や上関原発、六カ所村の再処理施設、高速増殖炉もんじゅ等の問題点などにいたっては、その終末的実態にただもう暗澹とするほかない。
初版三刷、いま話題の本ではあるが、さらに広く読まれることを期す。
負の遺産//原発 -2011.07.20記
<放射能とはどういうものか>
◇放射能の怖さは、DNAを破壊し遺伝子異常を -
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原発用燃料の再処理施設に関する著作です。福一事故により明らかにされた原発自体の危険性は周知されたように思いますが、再処理工場についても危険であることが示されています。放射性物質を取り扱うこと、その施設の地勢的な危険、国も含めた管理の脆弱性について指摘されています。電力会社という民間企業が設置してきているので、ある程度経済的に合理的な手法で判断され設置されてきたと思っていましたが、色々な利権の中で設置され技術的、学術的見解も捻じ曲げられてしまうことに驚いてしまいます。また事故を起こしてしまえばその結果を享受するのは、子供たちであることを思えば、今すぐやめていくことに躊躇いを感じませんでした。
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京都大学原子炉実験所の助教である著者が、原子力の専門家の立場から原発の危険性を訴えた本。
東北大震災後、テレビのワイドショーなどで福島第一原発についてコメントを発信する姿をよく見ていた。。
偉い大学の先生が、こんなにあからさまに「反原発」を発言して良いのだろうか?と思っていたけれど、ワイドショーなどの細切れの発言よりも、しっかりと解説してくれていて、納得。
ロシアのチュルノブイリの原発事故や、東海村のJOC臨界事故の例を挙げて、それでもなお原発を推進してきた国や電力会社の、認識の甘さや癒着ぶり、無策を糾弾している。
そして、福島の原発事故以後も原発を動かし続けようとする国や電力会社に警笛を鳴 -
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脱原発のカリスマ小出氏と、放射線治療の専門家である西尾氏の対談形式による本。西尾氏による、内部被ばくに関する説明は理を得ていると感じた。
西尾氏は、内部被ばくも含めた全ての被ばくを全身で均質的に被ばくする前提で議論する事に対して、実際の放射線治療で放射線源が局所的に露出される患部だけに作用されることを例に出して反論する。すなわち、原発事故由来の放射性物質が実際に体内に摂取される場合には、その物質が直接的に接する箇所が局所的に被ばくするのであって全身均一的にモデル化するのは間違いだ、としている。
放射性廃棄物の処理方法方法については、両著者は未解決との主張をとる。また、西尾氏は全国150ヶ所 -
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目を背けては生きていけない
原発事故に対する世間の関心が薄れていく今日、現実の問題として向かい合っていく必要があると思った。
本書が出版されてから二年が経ち政権も民主から自民に移り、さらに原発再稼働に拍車がかかっているように見える昨今、有権者の大部分も再稼働容認に傾斜してきているように見える。
子供達の世代にバトンを渡す前に我々の世代がなすべきことは何か真剣に考え行動に移すべきだと思った。 -
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やっぱり、即ゼロか? 「原発はいらない」小出裕章
フクシマ原発事故から3年。政府産業界は再稼働の流れである。
新聞、TV、ネットの情報から考えて原発即刻ゼロがベストであるが、即刻ゼロは日本の経済力国力を弱体化させ国の国防安全保障も脅かして国が滅ぶ可能性もあるので理想論である。それが私の考えであったが、マスコミ情報以外にも少しは勉強しようと本著と「原発ホワイトアウト・若杉冽」を読んで「即刻ゼロ」へと考えが変わりつつある。
著者は原子力原発に夢を抱いて研究者になったがその危険性に気づき40年も前から原発廃絶を訴えてきた。しかし、フクシマ原発事故が起こってしまい自責と慚愧の念でこの本を書いたとい