小出裕章のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
低線量であっても被曝がいかによくないか、大人は責任をもって子どもを守るべし、という話。原発事故から半年後に出た本です。
はからずも放射線リテラシーが(正しいかどうか別として)高まった今となると、決して詳しい、目新しいものではありません。
本当に責任のある大人はキッチリ責任を取るべきだし、そうでない大人も、「騙された責任」があると。でもその責任のとり方として、汚染食品を食べろとか、むしろ、怒りをメインにした感情の吐露。子どもを守るという大前提には大いに賛同できますが、行動誘発とは違う煽りのような印象が強い。過渡期の本ゆえなのか、こういうスタイルなのか。 -
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Posted by ブクログ
『まえがき』
・本書は1992年に刊行された。
『序 生命の尊厳と反原発運動』
・1979年のスリーマイル島原子力発電所で大きな事故が起こった。圧力容器の蓋があけられ、水底深く沈んでいる破壊された燃料の取出しが始まった。そこには単細胞の微生物から、バクテリア、菌類、そしてワカメのような藻類までが、炉心の中に増殖し反映していたのです。どんなに強い放射能汚染があっても、新しく生命を育む生きものたちが存在していたのです。
『第1章 チェルノブイリの死の灰はどこに行ったのか』
・4月26日に日本から8000キロメートル離れた場所で起こった事故の放射能が、5月4日の朝に日本で観測されている。
・千葉 -
Posted by ブクログ
チェルノブイリ原発事故のときに書かれた本の復刻です。最悪な事にこのときの教訓が生かされずに日本で原発事故が起こってしまいました。チェルノブイリ事故の際も、日本の食物が汚染されたという事実があったにもかかわらず、事故は風化されてしまいました。
この本の主張は反原発ではありますが、反原発運動にも疑問を投げかけています。汚染から日本だけを守ることは不公平で、原発を生み出した先進諸国こそが汚染を受け入れる責任があるという主張です。原発が生み出した電気を使っている全員が加害者ということです。原発に関係のない第3世界の人々や原発に賛成した責任のない子どもたちからこそ放射能の汚染から守る必要があると言ってい -
Posted by ブクログ
チェルノブイリ原発事故後、著者が様々な場面で発表した論文や講演をまとめた本。
著者は、人間が放射性物質を処理する能力をもたぬままに利用しようとして、将来の世代に汚染を残す選択をしてきたことを強く批判している。放射性物質がその能力をもっともよく発揮できるのは爆弾に使われたときであり、平和利用と称してエネルギー政策に利用することは、事故に対する安全性からみても、環境汚染の観点からしても、コスト面からみても、いずれも合理的でないと指摘する。
また、世界規模の放射性物質による汚染は戦後に何百回と繰り返された核実験によるものがほとんどであり、チェルノブイリ事故のインパクトはそれに比べて非常に小さいこ