あらすじ
「元々は、地質学者になりたかったのです――」。鉱石採集が大好きだった少年は、「核の平和利用」のキャンペーンに呑み込まれ、原子力開発の夢を追うようになった。だが、いち早くその詐術と危険性に気づき、その後、原発をなくすための研究と運動に半生を捧げてきた工学者・小出裕章は、3・11から3年が経過しようとしている今、何を思うのか。そして、過去からの膨大な負債に苦しむであろう100年後の人々に「こんな事故を起こした時代に、お前はどう生きたのか」と問われる場面を想像しながら述べた言葉とは?【目次】はじめに 「いま・ここ」を生きる人々へ/第一章 事故後の三年間を考える/第二章 人間の時間、放射能の時間/第三章 科学は役に立たなくてもいい/第四章 優しさは、沈黙の領域へのまなざしに宿る/おわりに ほかの誰でもない命/参考資料
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Posted by ブクログ
一貫して反原発を訴え続ける気骨の学者、小出裕章氏の熱い信念をささえるものは何か。それは原子力を研究してきた者の責任感であり、贖罪意識である。他の多くの研究者はどう思っているのだろうか…。「いつかは科学が原子力をコントロールできるようになる」という希望にすがって原発を推進してはや70年。その歩みはほとんど止まっているように見えるのにも関わらず、未だその夢を見続けているのだとしたら、あまりに哀れで、情けないことだと思う。
Posted by ブクログ
小出さんの原発反対の思いが詰まりまくった本。帯の「生まれ変わったら、生涯を廃炉技術に捧げたい」にやられた。
読んでみて、こんな本気で生きているひとやとはじめて知った。自分の子どもから「あき」と呼ばせてるとか、かなりの変なひと。
でもこのひとの、だれかの犠牲のうえにいまの生活が成り立っている、という感覚って、めちゃくちゃ大事やと思う。そういう意味では、まっとうな人間なんちゃうかなと思う。読んでよかった。