香月日輪のレビュー一覧
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ネタバレ高校を卒業したら、公務員にでもなって堅実な社会人になるのが夢だった(というか、亡くなった両親に対する親孝行だと思っていた)夕士が、人生をもっと楽しんでもいいのではないか、自分の可能性を小さくすることはないのではないかと思い、大学進学を決め、高校最後のお正月。
親友長谷と一緒に妖怪アパートでにぎやかかつ厳かにお正月を迎えたとき、長谷のお祖父さんがなくなり、お姉さんが奇病倒れる。
お姉さんの病に不審なものを感じた夕士は、フールに調べさせる。
すると、お姉さんはお祖父さんの強い念に取りつかれていることがわかる。
霊と違って念は簡単に祓うことができない。
親友長谷のため、長谷の家族のため、夕士は全力 -
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ネタバレうっかり油断すると、夕士は妖怪アパートなんてところ(家賃格安)に住んで、規格外だけど実のある人や妖怪たちと交流して、学校にはゆかいな仲間たちがいて、なんて恵まれた人生をおくっているのだろうと思ってしまう。
いや、夕士は中学生の時に両親を亡くして親戚に引き取られ、自立するためにバイトしながらアパート暮らしで、将来の夢は公務員というささやかなもの。
ここだけを見たら、青木先生ではないけれど「なんてかわいそうなのかしら」ってなる。
他人の事情なんて、外から窺い知れるものだけではないのだ。
それを、自分がちょっと上手くいかないからって「あんたはいいよなあ」とひがんで恨んで絡んでいくのは、傲慢だと私 -
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ネタバレ両親亡きあと、早く自立して早く大人になることだけが目標だった夕士が、もう少し子どもでいて、もう少し心を豊かにするものに関わりたいと思うようになった。
そう思うようになったことが、既に夕士の成長の証だろう。
自分しか見えてなかった夕士が、世の中が見えるようになった時に、人として豊かになりたいと思うようになった背景には、もちろん妖怪アパートの皆さんのおかげがあるのだけど。
でも、やっぱりそれは、夕士が自ら舵を切った結果なのだ。
いくら周りがアドバイスしても、夕士に聞く耳がなければ変わることはできないのだから。
それが如実にわかる今作のできごとだった。
”「自分の悲運や不幸を嘆くばっかりの者の -
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ネタバレ夕士、高2の冬。
今回のメインイベントは修学旅行という名のスキー旅行。
しかしそのホテルは、立て続けに女子高生が自殺した、いわくつきのホテルだった。
他人とコミュニケーションをとるのが苦手な人って、最初のうちは他人を拒絶しているわけではない。
ちゃんとコミュニケーションを取りたいのに、どうやってみんなと同じようにふるまえるのかわからない。
どうしてはみ出してしまうのかわからない。
孤独が淋しかった時に、そこにつけこまれることは…あるんだろうなあ。
生徒たちに絶大な人気を誇る千晶先生は、幽霊たちに狙われる。
彼女たちの言い分を聞いた千晶先生は「淋しかったんだな……。かわいそうに……」
口先だ -
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ネタバレ夕士高校2年の夏休み終わり~二学期まで。
霊力アップの修行はまだ続き、アパート地下にある温泉には修行のための滝まで作られた。
二学期が始まり、病気で休職中の先生たちに変わり、二人の新しい先生が着任した。
一人は夕士の担任で、フランクな見た目の生活指導担当・千晶直巳(ちあきなおみ)。
もう一人は清潔感あふれる美人英語教師・青木春香。
そして英会話クラブに2学期から転入してきた1年生が入部する。
一年生なのに、クラブの活動に参加することもなく、自分は頭がいいアピールを続ける山本小夏。
それは出来る姉に対するコンプレックスを、学校でマウントをとることによって晴らそうとしているのだ、ということまで -
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ネタバレしばらく間が空いたので、このテンションの高い世界に戻るのに時間がかかった。
今回は大きな流れが3つ。
1.魔道士としてのレベルを上げるため、修行もレベルアップされた話
2.バイト先の新人たちがコミュニケーション不全な話
3.自殺未遂の小学生を説得した話
このうち2と3については、自分の知っている狭い世界の外に出て行けない若者(小学生も含む)に、上辺の言葉のやり取りではなく、生の言葉を、身体に伝わるような言葉をかける夕士。
夕士はそれを、妖怪アパートに住む大人たちや、バイト先のおっさんたちに教わった。
「親しい人以外と話すのは苦手」でも、苦手だからってコミュニケーションをとらないわけにいかない