チャールズ・ディケンズのレビュー一覧
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寒くても暖をけちる程の守銭奴、他人の不幸に一切の関心や同情もなく、笑顔さえも顔に全く浮かばず、お金を貯めることのみに執着して毎日を過ごす主人公スクルージ。
クリスマスイブの日に亡くなった同僚のマーレイが現れ、自分の様な運命を逃れるチャンスと希望があり、これから3人の幽霊が来ると告げる。
過去のクリスマスの幽霊がスクルージの幼い時の無垢な姿や温情溢れる前の雇い主、段々とお金に執着するようになったスクルージから離れていく恋人の姿をスクルージに見せて行く。次の現在のクリスマスの幽霊はスクルージにクリスマスイブを心から楽しむ家族達の姿を見せ、最後の未来のクリスマスの幽霊はスクルージが一人寂しく死んだ姿を見せる。
スクルージはやっと心の幸せが何なのかを悟り、改心するというお話し。
無垢な精神、他人を思いやり他人と幸せを分かち合う心、金銭でなく心のあり様で人生を楽しむ気持ちが幸せを呼び込むはずなのにスクルージではないが、日常の生活でそれに反する心模様が浮かぶ自分も含めた世俗の人達はどうなのかと思いました。
キリスト教を信仰しているかどうかは別にして寓話的な素朴な物語りとしてこの物語りもありかなと思います。 -
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ネタバレディケンズの皮肉とユーモアがすごい。とてつもなく悲惨な状況をブラックユーモアに包んで描くので、くすっと笑えます。ですがその分、後でじわじわとそのつらい状況が身に迫ってくるような感覚がありました。
間接的に描くことで、より考えさせられるという感じでしょうか。スイカに塩をふると、より甘さを感じるのと同じようなものかと。
オリバー自身は特に機転を利かせたり、成長したり、そういう活躍の場面はありません。ですが、オリバーはかわいすぎる。孫を見るような感じで彼が運命に翻弄されるのを見守ってしまいます。
モンクスの正体が明かされた場面は、かなり拍子抜け。正体は絶対にハリーの方がよかったでしょう。いや、おそらくディケンズ自身も最初はそういう想定でいたと思います。だってローズはハリーに相談しなかったじゃないですか。
なんか最後の方がグダグダになって、後付け感が半端ないです。いや、本当にナンシーがああなるまではとても面白かったです。そこまではわくわく感がたまらなかったです。ですがそれ以降のご都合主義・予定調和な感じが鼻につきます。
面白かったのは面白かったですが、風呂敷のたたみ方に失敗したような感じは受けました。ただ二都物語でも感じましたが、ディケンズの描写力のすごさは、間違いないです。 -
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作家 小川洋子さんが出演されていたFMの番組で取り上げられたのを機に、いまさらながら読んでみようかと購入したのが数年前。熟成期間をへて、ようやく読み終えた。
文学史上ではもちろんよく知られている作者チャールズ・ディケンズであるが、私はこの『オリヴァー・ツイスト』が初めて。この作者、作品初め、著名な古典とも言える作品はあまり読んでいない。お恥ずかしい。
孤児として生まれたオリヴァーの数奇な運命の物語には読み進めるうちに引き込まれ、久々に小説を読む楽しみを味わえた。
それとともに、現在のパレスチナの悲惨な状況をもたらしている遠因でもある、イギリス(おそらく当時のヨーロッパ)におけるユダヤ人への差別意識がはっきりと描かれていて、知ることができたのは大きな収穫であった。 -
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イギリス文学を代表する作家ディケンズの『大いなる遺産』でっか
先日読んだカルロス・ルイス・サフォンの『天使のゲーム』で主人公ダビッドの人生を変えたともいえるこの名作
本当にそこまで魂を揺さぶるようなお話なの?ってことで確かめてみることにしました
出来れば光文社古典新訳文庫で読みたかったんですが、ラインナップにないものはしょうがない(『クリスマスキャロル』『二都物語』『オリバー・ツイスト』はある)
と思っていたら新潮社がわいの大好きな加賀山卓郎さん訳で新訳版を出してるじゃないですか
やるな新潮社
まぁ今回ばかりはいい仕事したなと認めてやろう
さて中身の方はと言えば加賀山さんらしからぬちょっと古めかしい訳、新潮社に飲まれたか?いや元のディケンズの文章がかなり腫れぼったいんだな
いや「腫れぼったい」ってどういう文章よ?って思われるかもしれないが、自分としてはかなり的を射た表現なので説明しない
そして何より主人公のピップがぜんぜん好きになれない
莫大な遺産を相続することになった幸運をさも当たり前のように享受し、浪費して、これまでどんなときでも味方になってくれ、愛情深く育ててくれた義兄で田舎の鍛冶屋ジョーを恥ずかしいと感じて粗末に扱う
かなり最低な奴
子どものころは心やさしいいい子だったのにすっかり変わってしまってがっかりりな上巻
ふふふふふ
でも分かってますよ
分かってますとも、これってあれでしょ?ディケンズが仕掛けた巧妙な罠なんでしょ?読者を一回嫌な気持ちにさせといてからのーなんでしょ?
間違いないでしょー!
さて下巻や如何に?!
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ネタバレタイトル通りヴィクトリア朝期英国、それもクリスマス限定でなくちょうどこの時季を舞台にした幽霊譚13編。内12編が本邦初訳だそうだが、全体を通しての味わいは期待通りだった。
好みの作品いくつかについて。
・クリスマスの日の情景を描いたエッセー的なC.ディケンズ「クリスマス・ツリー」。ツリーや種々の飾りに纏わる思い出話は次第に昏い色を帯びていき……。ツリーが造り出すクリスマス、そして冬の夜の光と影。
・「海岸屋敷のクリスマス・イブ」E.L.リントン
イングランドの西端コーンウォールの家を購入し移り住んだ若い夫婦。妻は家の管理人ベンリースという男に言い知れぬ嫌悪感を抱く。その後悪夢を繰り返し見るようになり精気を失って行く妻。心配した夫は妻の母親を呼び寄せるが……。
荒涼とした冬のコーンウォールの雰囲気も相俟って何とも陰惨な話。ただし10年以上土中に埋められていた(ネタバレ回避)の描写には少しツッコミたくなるのだが、これもコーンウォールという土地の為せること?
・「メルローズ・スクエア二番地」T.ギフト
翻訳業を営む主人公が借りた一軒家で体験した怪異が綴られるが、風評被害を受けたと家主から訴えられたことに対する弁明―という体で書かれ、明確な解決もないまま新たな情報を求めている……というラストは何となく今流行りのモキュメンタリー仕立てに通じるものがあるようにも感じられる。尊大で何か秘密を知っていそうな不穏な雰囲気をまとう家政婦のキャラクターは「海岸屋敷の~」のベンリースと似たところもあるが、謎が多い分より印象に残る。
・「幽霊廃船のクリスマス・イブ」F.クーパー
沼沢地での鴨猟の最中、廃船で一夜を明かす羽目になった男の体験。
漆黒の闇の中、何か異様なことが起きている物音だけがするという不可解な怖さと、朽ちた船内で酷く不安定な足下と寒さという物理的危機。この二重の恐怖は―明記されていないにせよ―心霊怪談であると同時に“監禁テーマ”恐怖譚の巧みな変奏とも読めるような。
・「本物と偽物」L.ボールドウィン
クリスマス休暇に大学の学友2人を実家に招いた青年マスグレイブ。修道院の跡地に建てられたこの邸宅に幽霊が出るらしいという言い伝えの話が出たことから、幽霊の有無について論争になる3人。否定派のローリーは2人を驚かすある悪戯を企むが。
幽霊の存在について肯定、懐疑、否定の三派に分かれるがそれぞれの主張が面白い。彼らは近所に住む若い姉妹とも親しくなって、どこか青春もののような雰囲気も帯びるだけに、一気に暗転するようなラストが一層効いている。
・「青い部屋」L.ガルブレイス
四代続いて或る名家に仕える家政婦が語る、屋敷内で封じられていた部屋の逸話。
発表されたのがドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズ初期と時代が重なることもあってか、部屋の怪異を解き明かす人物のキャラクターは、ヘッセリウス博士とジョン・サイレンスの間を埋めるゴーストハンターキャラの魁とも読める。それだけに著者の経歴が不詳で作品も少ないというのが何とも残念(著名な作家の別名義ってことは……ないよなぁ)。聞き手(という体の作者)の補足によって怪異の正体が明かされるラストが鮮やかで、その真相もガジェット自体は古典的であるのにどこかモダンホラーに通じている印象。
冒頭の「クリスマス・ツリー」が発表されたのが1850年で掉尾を飾る「青い部屋」は1897年。半世紀の間に発表された作品を年代順に読み進めることで、描写されるヴィクトリア朝の英国人や社会通念、その推移みたいなものを、怪談そのものの変化と共に垣間見れる―ようにも感じられた。
定番として常に店頭で手に取れるようにしておいて欲しい1冊。 -
Posted by ブクログ
先日読んだ「20の古典で読み解く世界史」で紹介されていたうちの1作品
主人公ピップは幼い頃両親が亡くなり、20以上年上の意地悪な姉とその婿である鍛冶屋のジョー(こちらは良い人)に育てられた
ジョー以外ほとんどの大人がピップをサンドバッグかのように当たり散らし、意地悪を言い、傷つける
結構読んでいくのがしんどくなる
ここまでみんなで意地悪をする場面を描く必要はあるのか?と素朴な疑問が浮かんでしまう
どうやらディケンズの両親が金銭的にだらしなく一家が破産し、ディケンズは靴墨工場で働いていたようなのだが、そこでの仕打ちはひどく、かなり精神的ダメージだったようだ
そんなことも影響しているのかもしれない…
それでもジョーだけが強い味方で何度も助けられ支えられ、それなりになんとかやっていく
退屈であまり愉快とはいえない日常に変化が…
クリスマスイブに脱獄囚と出会う
脅されながらも食糧を渡し、誰にも話さないことを約束
これを皮切りにピップの身に次々と変化が…
その中でも一番の出来事はお金持ちハヴィシャムの屋敷に招かれ、美しく誇り高いエステラと出会ったことだ
しかしエステラはピップを軽蔑し、ひどいことをたくさん言い、ピップは辱めを受ける
自分が下等で情けない暮らしをしていることを嫌と言うほど思い知るのだ
そしてハヴィシャムはエステラに言う
「男の心をずたずたにしておやり」
(そうハヴィシャムは過去に婚約者に裏切られひどい目にあっているのだ)
今までジョーを誇りに思い、ジョーの徒弟になるのを幸せなことと思っていたのに…
ピップの中で何かが変わっていく…
心の葛藤が生まれる
ジョーとの単調で貧しいながら、人としての誇りを持つ暮らし
一方、新しい都会での生活に憧れ立派な紳士を夢見るピップの気持ちは痛いほどよくわかる
(若い頃はそういうものだと言ってしまえばそれまでなのだが…)
どちらも気持ちも正直なピップの心だ
揺れ動きつつももう後ろを見たくない前のめりな若さの勢いが加速する
一見シンデレラストーリー(少年版)かに見えるがそんな一筋縄ではいかなさそうな意味深なことがあちこちに潜んでいる(ワクワク)
誰にも内緒に食糧を渡した脱獄囚、彼とはまた再会の予感を示唆している…
一体姉は誰に襲われてしまったのか 再起するのであろうか?
ハヴィジャムはピップに何を仕掛けているのか
(ピップ及び一部の人間は彼女から遺産を引き継いだと思っているが、密かに違うと思っている…
では一体誰が…)
エステラは人間らしい感情が芽生えるのか ピップに対する気持ちに変化は起こるのか
はたまたピップはエステラを愛し続けるのか
ヒディに対する気持ちはどうなるのか?
そして、ピップは与えられたこの環境でどう成長していくのか
そうそう新たに出会う友人となるハーバートはとても粋で心暖かい青年
彼との友情シーンはポッと明かりが灯りホッコリする!(数少ない癒し場面)
イジメられたり、ひどい扱いを受けてばかりいるピップ
それでもストーリーが暗くならないのはウィット感に溢れる文章のせい
ジョークにイギリスらしさが溢れており、テンポの良さがジメジメさせない
そしてあまりに個性あふれる登場人物たち
しかしアクが強過ぎ…みなさん
この時代の英国って???
下巻で張り巡らされた伏線がどう回収されるのか楽しみである