チャールズ・ディケンズのレビュー一覧

  • 大いなる遺産 下

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    すごい展開の数々。ご都合主義のような側面もあるけれども、どんなあり得ない展開(実際、読んでいてどのような分岐もとりうると思った。)が来ても納得させられるような説得力をディケンズは持っている。ディケンズの丁寧で正確な描写だからこそ成せるわざなのだと思った。ミステリーの部分では、その点と点が勢いよく線で繋がっていく様は、競馬で例えるなら、さながら大外から一気に抜き去る追い込みのようだった。ミステリーあり、サスペンスあり、ユーモアありと、色々なものが詰まっていて、ほんと剛腕といった感じだ。プロットが非常に複雑で、よくもまあこんな代物を週刊連載で書き上げたものだと感心した。人生の期待や諦観、愛、悔恨が

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    2021年02月27日
  • 大いなる遺産 上

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    田舎の孤児ピップ少年が大富豪に見い出される物語。

    話の大筋がしっかりしているうえに、サイドストーリーも丁寧に書かれていた。出来事のつなぎ方が自然で、巧妙で、しかも次々と起きるので読者を飽きさせない。さすが文豪というか、上品な文章だった。『高慢と偏見』を読んだときも上品な文章だと思ったが、古典の名作って別に凝った文体でもないのに、人物・風景・感情描写(要するに全部。笑)がしっかりしていて、その3つのバランスがいいからそう感じるのかもしれない。

    大いなる遺産の前巻は子供時代の話が多めだった。なぜかわからないが、僕は子供時代というのが妙に好きで、色々な小説を読んでいても子供時代のパートを一番好き

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    2021年02月22日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

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    これに満点以外を付ける人の気持ちがわからない。
    それくらいには衝撃を受けた作品だった。
    上巻の200ページくらいまではひたすらイングランドの田舎での貧乏な暮らしの細かな描写が続き、正直退屈していたが主人公がある人物の家に招かれてから興味を惹かれ出した。
    そのまま導かれるように下巻を読み進めるとディケンズの魔力に取り憑かれることとなった。
    上巻で描かれていた(私が退屈だと感じた箇所含め)ことが、見事な伏線となり丁寧に少しずつ回収されていく。こんなことされてはページを捲る手が止まらない。
    本作は大きくミステリーとジャンル分けされているようだが、文学で表現出来る様々な要素が入り組んでおり、読み手によ

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    2021年02月02日
  • クリスマス・キャロル

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    「人はみな、隣人、同胞と進んで深くかかわって、心を通わせなくてはいけない。そのためには、遠路をいとわずどこへでも出かけるようでなくてはだめだ。」

    こんなに感情が溢れ、匂いがする物語だったとは。前回読んだ岩波文庫の訳は、感情移入できず、短いお話ながら何度も挫折しかけた。それに比べるとさすが新訳だけあって、人々の交わす表情が伝わってくる。単純明快な話だけど、クリスマスはキリスト教のお祭りであることを再認識させられる。日本にいると「誰と過ごすか」「何をあげるか」しか話題にならないけれど、貧しい人に寄付をし、キリストの誕生を家族みんなでお祝いしようという温かい心が根底にあることを改めて思いだすきっか

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    2015年07月17日
  • クリスマス・キャロル

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    ネタバレ

    クリスマスが近くなったから読んだわけではありません。
    たまたま、この本をすでに抽出済み。

    一人の欲の塊で誰からも好かれぬ男が
    彼とともに仕事をしていた男の霊の警告により
    だんだんと人としての心を
    取り戻していく物語。

    無論、強烈なのは
    最後の精霊の出てくる物語でしょう。
    現実にこれは実生活で体験あります。
    亡くなったのは身内ではないですが、
    「さっさといなくなってよかったわ」
    と思われるような人間でした。

    本当、こう思われたらおしまいです。
    男の以前のようになるまえに、
    どこかで気づかないと…

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    2014年12月11日
  • クリスマス・ブックス

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    ディケンズのクリスマス小説「クリスマス・キャロル」と「鐘の音」の2篇を収めた本。

    吝嗇家の金持ちであるスクルージを主人公にした「クリスマス・キャロル」、貧しい配達人であるトビー・ヴェックを主人公にした「鐘の音」、主人公はそれぞれ対照的ながら、富裕層に対する批判的な叙述は似通ったところがあります。特に「鐘の音」の方は風刺がきいており、「貧乏人の味方」を標榜する金持ちが貧しい人たちに労働の尊さを訴えるあたり、苦笑いがこみあげてきます。

    この本を読む以前から「クリスマス・キャロル」の大筋は実は知っていました。というのも、ビル・マーレイ主演の「三人のゴースト」という映画を見ていたからです。この映画

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    2013年10月24日
  • 大いなる遺産 下

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    面白かった。遺産をもらえる相手がわかってから一気に面白くなる。

    3日たったけどまだ余韻に浸ってる感じ。

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    2013年08月30日
  • 荒涼館(4)

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    ネタバレ

    タルキングホーン弁護士の殺害事件の捜査にあたるバケット警部。捜査の過程でタルキングホーンの掴んだデットロック婦人の秘密を知り殺害の動機として考える。デットロック卿に知られた秘密。デットロック夫人の失踪。倒れたデットロック卿からの嘆願。帰宅したジョージ軍曹。ウッドコート弁護士とエスタの関係。ジャーンディス氏の示した優しさ。裁判の行方。リチャードとエイダの運命。

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    2012年11月18日
  • 荒涼館(3)

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    ネタバレ

    デットロック婦人の秘密を握る軍曹を追い詰めるタルキングホーン氏。病で容貌が変貌したエスタ。病気の回復後に対面したエスタとデットロック婦人。親子として会うのは今回で最後であるがいつまでも愛していると別れるデットロック婦人。かつてエスタに求婚した弁護士ガッピーの拒絶。ジャースディン氏からエスタに送られた手紙。ジャースディン氏からの求婚を受け入れるエスタ。デットロック婦人を脅迫するタルキングホーン氏。その夜に殺害されたタルキングホーン氏。

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    2012年11月10日
  • 荒涼館(2)

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    ネタバレ

    デッドロック家を調査するタルキングホーン弁護士。ジョーをめぐる秘密。デッドロック婦人とエスタの容姿の類似に気がついたガッピー弁護士。キャンディーの結婚。チャーリーと彼女の家を訪れたエスタに感染した天然痘。クルックの自然発火にによる死。

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    2012年11月04日
  • 荒涼館(1)

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    ネタバレ

    「ジャースディン対ジャースディン事件」の裁判。終わりの見えない裁判。孤児のエスタを育てた伯母。突然荒涼館に招かれたエスタ。エイダ、リチャードとの出会い。2人の被後見人のジョン・ジャースティン。荒涼館での生活。レスタ卿の婦人の秘密を探るタルキングホーン弁護士。デッドロック家に関わる秘密。クルックの下宿屋で死んだ謎の人物。タルキングホーンが追う浮浪児のジョー。ジョーが知ってしまった秘密。

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    2012年11月03日
  • 大いなる遺産 下

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    読み終わると、胸がいっぱいになった。

    生きる活力、人生の寂しさ、人が人に与える幸福。
    ディケンズが描く人々は、どれもはちきれんばかりにぎっしりと重たく、それでいて軽妙で、ぐいぐいと読者を引っ張ってくれる。

    どのエピソードも素晴らしく、いちいち言っていてはキリがないが、私はやはり、主人公・ピップが寄せるエステラへの思いにもっとも打たれた。
    望みのない、ひたすらにみじめな恋。相手は自分をないがしろにし、自分は相手をどこまでも敬う。こう言うとまるで「マゾ?」と思われるかもしれないが、それは違う。この二人の抱えるもの、それは意思の不通なのである。大切なものの違い、自分の生き方に対する価値観の違い、

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    2012年05月31日
  • ピクウィック・クラブ(下)

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    『ピクウィック氏は波乱にみちた遍歴を終わり、今は落ち着いた毎日である。体は少し弱っていても精神は若々しく人々の敬意を集めている…。すべてのいざこざも収まり、おだやかな雰囲気のうちに、このイギリス文学を代表する小説は幕となる』静かな感動をもたらすラストがいい。

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    2012年04月07日
  • ピクウィック・クラブ(中)

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    『ピクウィック氏は、そのもちまえの善意から、裁判をはじめ、ごたごたした事件にまきこまれる。もつれにもつれた糸は、はたしてどうとけてゆくのか……。〈ピカレスク小説〉のおもむきゆたかに、イギリスの一時代の姿を、戯画化しながら生き生きと伝える』シベリア流刑時のドストエフスキーも読んでいたという。

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    2012年04月07日
  • ピクウィック・クラブ(上)

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    『実業界を引退したゆたかな紳士ピクウィック氏は、素朴な人柄で、人間愛に満ちた人である。彼は行く先々で人を助け、悪をこらしめようと力をつくす。しかし、人がよすぎて、かえって失敗ばかり……。明るく楽しい笑いの底に人間回復の願いを託す、ディケンズ最初の長篇小説』展開の妙。描写も的確。伏線もしっかり効いており、これによってディケンズは二十代半ばにして圧倒的人気を獲得することになる。

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    2012年04月07日
  • 大いなる遺産 下

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    ディケンズ晩年の代表作。
    新訳は、とても訳がこなれていて読みやすい。
    ちょうど150年前に書かれた小説なのに、読んでいて今日的な印象を受ける。訳のせいもあるのだろうが、描写がヴィヴィッドで、登場人物のキャラクターも生き生きとしている。19世紀の小説にありがちな、古色蒼然としたところがない。
    おそらく、産業革命で貧富の差が大きく拡大した当時のイギリスと、よく似た時代の変り目に我々が生きているからだろう。

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    2011年10月20日
  • 荒涼館(3)

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    ネタバレ

    荒涼館に引き取られた、出自不明の少女エスタ。彼女をめぐる物語、そしていつまでも決着がつかないジャーンディス対ジャーンディス訴訟事件の結末は・・・?

    さ、3巻凄すぎ・・・!!
    まさに山場につぐ山場(笑)。面白かった。エスタもなんとか==ネタバレのため割愛==だったし。**との再会も、**との再会もあって、まさに盛りだくさんのオールスター総出演。長編でしか出来ないエピソードがたっぷりだった。
    しかしそれと対照的なのがリチャードだ。彼の転落っぷりは、かなり大げさに書かれているが、とても共感できる。最初からリチャードの陽気すぎる性格はどこか危ういところがあると思っていたが、まさかここまでなるとは・・

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    2011年07月23日
  • 荒涼館(2)

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    ネタバレ

    荒涼館に引き取られた、出自不明の少女エスタ。彼女をめぐる物語、そしていつまでも決着がつかないジャーンディス対ジャーンディス訴訟事件の結末は・・・?

    おお、2巻面白い!!
    1巻で山ほど出てきた登場人物たちの関係性がそれぞれ明るみに出てきたり、また新しく絡んできたり・・・。この上で更にか、と言いたくなるくらいまた新たな登場人物が出てくるのだが(笑)、それでも物語の面白さは損なわれず、むしろぐんぐん勢いを増していくようだ。
    キャラクターや話の展開が大げさだなと感じるところは多いけれど、それが物語をくっきりとした大胆なものに見せていて、むしろ好印象。たまには力でねじ伏せられ、引っ張られるのもいいもの

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    2011年07月23日
  • オリヴァー・トゥイスト(上)

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    オリヴァが2つの世界を渡り歩きます。
    上巻はどこにいっても自分の居場所を探せないオリヴァの描写が中心となっています。上巻を読んでつまらないと思った人、とりあえず下巻までがまんして進みましょう。

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    2009年10月04日
  • オリヴァー・トゥイスト(下)

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    この小説の後半はオリヴァがどうこうするというより、また違う展開になって、オリヴァの周りの人々の記述がメインになっています。オリヴァの出生の秘密、つまりオリヴァとは何者か、という謎が解かれてこの小説は幕を閉じます。
    この作品を読んだらNortonの批評も是非読んでいただきたいです。批評が面白いものばかりです。

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    2009年10月04日