古川綾子のレビュー一覧

  • ヘルプ・ミー・シスター

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    ネタバレ

    スギョンと似た理由でひきこもりなので、一歩踏み出したいけど怖い気持ち、フラッシュバックする苦しさが手に取るように分かって苦しかった。終わり方に希望が見えてどんな形でも前に進めて良かった。いくつになってもチャレンジし続ける人でありたいな。

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    2025年02月14日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    タイトル通り三人の姉弟が超能力に目覚める。一番上の姉は爪が固く伸びる。真ん中の兄は危険を視覚で察知。一番下の弟はエレベーターを思い通りに操る。

    なるほど、こういう地味な能力でもって力を合わせて大きな事件を・・・と思ったけどそういうわけでもなく。それぞれがそれぞれに事件に巻き込まれそのちょっとした力で解決。危険察知は割とちゃんとした能力じゃないかとも思いますが。
    どきどきはらはらでものすごく楽しめました!というほどではないにせよ、ほのぼのと楽しんだ感じ。ボリュームも中編くらいのあっさりしたものだったのもちょうどよかったかも。

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    2025年02月05日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    チョン・セランさんの作品続きということで、印象的なタイトルのこちらを。「J」というのは三姉弟の名前の頭文字で、日本的感覚だと微妙な、しかし韓国の家庭事情の典型的パターンの一つと思われる状況で、三姉弟と母親、時々父親との関係性を横糸に、姉と弟たちそれぞれになぜか備わってしまった微妙な超能力を縦糸にして物語が転がり始める。世界観は日常的ファンタジーともいうべき、作者のお得意の世界観で、厳しい現実にほのかな暖かさが灯るのは読んでいて辛くもあり、心地良くもあり、感情の様々を味わえるのが良い具合だ。

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    2025年01月20日
  • ソヨンドン物語

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    チョ・ナムジュさんといえば、著書「82年生まれ、キム・ジヨン」がベストセラーとなり、多くの国で翻訳、映画化にもなったのでご存じの方も多いと思います。

    私も韓国ドラマから韓国の文化に興味を持ち始め、音楽とともに文学作品として読んだのも彼女のこの作品が初でした。

    今回は不動産ブーム、過熱化した教育熱、所得格差を、連作短編集という形で書かれています。

    登場人物もソヨン洞のマンションを介してつながっており、意外な場面で意外な人物が再登場する。
    「訳者あとがき」抜粋

    このつながりと登場場面により、登場人物の人物像が変化するあたりも秀逸です。

    そしてこの作品以降、彼女の作品の翻訳本が出るたび、読

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    2025年01月01日
  • ソヨンドン物語

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    “答えられなかった。言ったところで、あなたに理解できるだろうか。大学を卒業もしないうちから、ソウルの超高層複合型マンションの一室を所有することになったあなたに、叔父さんのレストランから伯父さんの会社に転職したあなたに、家族のグループトークに親が載せる海外旅行の写真に、何も考えずスタンプを押せるあなたに、そのすべてがごく当たり前で自然なことだと思っているあなたに理解できるだろうか。”(p.64)


    「理解できるだろうか」は絶対に理解されないことを深く思い知っている人の反語表現だ。だから親近感をおぼえた。あなたの孤独や諦念に似たものをわたしも知ってるよ、と。読んでいて悲しくなったがこの部分がいち

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    2024年12月21日
  • 親密な異邦人

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    ずっと嘘をついているのは相当しんどいだろうなと思っていたら「ずっと変わらぬ切実な願いはただ一つ、本物の自分は誰なのかを忘れることだった。変装と嘘のほうが実物だと言じ込む錯乱状態に陥ること。」(この言葉ももう信じられないけど)とあって、思っているよりはるかに重症だった。あの時のあの嘘からここまで嘘で固められた人生になるとは…。

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    2024年12月03日
  • ソヨンドン物語

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    ソヨンドン(架空の街)にあるマンションに関わる人たちの物語。韓国の不動産の高騰の時に、欲に駆られた人たちが出てくるが、いつもは普通の善良な人たちだ。自分たちの小さな幸せを願っていただけなのに…。読むのが少し辛くなる。特に「不思議の国のエリー」に出てくるアヨンの境遇などは…。

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    2024年09月22日
  • わたしに無害なひと

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    いろんな、若者が出てきた。

    それぞれが、その状況を生きていて、

    人間の醜さ、弱さ、頼りなさ、幼さ、やるせなさ、、、

    大人になる中で、大人になっても自分は不完全のままだと気づく経験と重なったり。

    付き合う人との関係、兄弟姉妹関係、親子関係、

    後になって勝手に感じる相手の心の痛みとか、

    繊細な心の動きを感じながら、自分の心も動かされる。

    タイトルの無害な人、ってなんなんだろう。

    傷つかない、と思っていても傷ついていたり、

    傷つけない、と思っていても傷つけていたり、

    それは本当に自分勝手でもあり、意識ではコントロールできないこともあるからこそ癒えるのにとても時間がかかったり、

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    2024年09月01日
  • 明るい夜

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    夫の不倫で結婚生活を終わりにした私は、祖母の住んでいるセリョンに引っ越しをした。祖母とは長いこと交信をしていなかったが…。セリョンの天文台が職員を募集しているのを見つけて応募した。採用されると、住まいを探し、小さな車に荷物を積んで引っ越しをした。これからセリョンで生活が始まる。そして祖母のことや、曾祖母のことなどを聞く。曾祖母、祖母、母、そして私の四世代の話。女性にとって厳しかった時代を過ぎてきた祖母の話…。祖母の視点か、祖母を見ている人の視点か、誰の話をしているのか、時々戸惑ってしまうことがあった。

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    2023年10月25日
  • トロナお別れ事務所

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    お仕事小説。人々の「別れ」を代行する会社に入ったカウル(가을)の体験記。そんなんでビジネスになるのかな?と思いながら読んだ。自分で「別れ」を切り出さずに、他人に頼めたら、と考える人もいるのだろうな。この仕事はなかなかしんどそうだな。

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    2023年10月17日
  • 明るい夜

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    離婚をし、心に深い傷を負った私は、9歳の頃に祖母の家で十日ほど過ごした思い出の地ヒリョンに住む。
    祖母と思いがけない再会をした私は、祖母と曾祖母の生きてきた時代を知ることになる。

    日本の統治下を生きた曾祖母は、被差別民の白丁出身であり、その娘に生まれた祖母は朝鮮戦争時の避難民だった。
    母は、曾祖母と祖母の歴史の被害者となった挙句、今も婚家から軽んじられている。
    身分の違いや女に生まれたという理由だけで、ありとあらゆる差別と侮蔑を受けていた時代。
    曾祖母や祖母、母、私へと繋がる百年の物語。



    我慢すれば事は治ると母は言っていたことを思い出した。
    今はそんな時代ではないけれど、それでも婚家と

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    2023年10月04日
  • 最善の人生

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    韓国の現代文学らしい、若者の社会の中での荒んだ感覚、痛み、はリアルに感じられた。けど、それだけ、という感じもする。この作家特有のものは何なのか?と問われると…うーん。若い作家が自分のことを書いた、という感じ。
    映像が浮かぶ分かりやすい文章で、映画化には向いてそう。

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    2023年07月29日
  • わたしに無害なひと

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    人は人との関係で影響を受けたり
    影響を与えたりする。
    他人との関わりの中で良いことも悪いことも
    無害でいることなんてできないんだなぁ。

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    2023年04月07日
  • 明るい夜

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    日帝時代から朝鮮戦争、軍政下を経て現代まで、声をあげられなかった女性4世代の物語。

    耐え忍び我慢することが、次の世代によりよく生きてもらうための最良の道と信じるのが親であれば、その姿に我慢できないのが子供なのかもしれない。

    いつか夜が明るく照らされますように。

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    2023年02月20日
  • わたしに無害なひと

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    相手のことを思っているはずなのに自分のことを優先に考えていることが、自分にも相手にも分かってしまう。他人の話に思えるが、自分にも当てはまることがあるかもしれない。

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    2021年11月01日
  • わたしに無害なひと

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    ここ最近立て続けに読んでいる韓国文学。こちらは短編集。過ぎ去った過去に置いてきたものを、あらためて目の前に置かれるような感覚。あの夏は、誰にもあったんじゃないのかなぁ。

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    2021年10月28日
  • 小さな心の同好会

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    “そう、お母さんもわかんない。わかんないことは、そのままわかんないって言えばいいのよ。たぶんそれって、私たちがいいとか悪いとか言えるようなことじゃないの、わかった?”(p.50)

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    2021年07月24日
  • わたしに無害なひと

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    『あの夏』想い合っててもどうしょうもなく育ってきた家や生きてる環境が違うことが浮き彫りにされる感じつらい気持ちになる レズビアンバーでの夜のいたたまれなさ…
    『六〇一、六〇ニ』始終むかむかするし暗い気持ちになる終わり方だったな… こういう話見る度に新鮮に憤りを覚えるけど、一方でこういう家庭はありふれてたんだろうなと思う(なぜなら同じような話を映画でも小説でも何度も見かけるから…) タイトルはマンションの部屋番号かな
    『告白』ジニにカミングアウトされるくだりのミジュの反応や後悔の内容が自分が書いたんか?ってくらいそのまま自分の経験だったので胸が苦しくなった………

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    2021年07月06日
  • 小さな心の同好会

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    初めて読む作家さん。
    短編集でなかなか入り込むのに時間がかかりました。
    最後まで気持ちが浮上しないので、修行に近いものがありました。

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    2021年05月22日