古川綾子のレビュー一覧
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あの時、あの言葉を言わなければ…
あの時、あの一言を言っていたら…
あの時、あの一瞬、
言葉にできない想いをたくさん抱えていた若い時。言葉にする力も勇気もなくて、どれ程後悔しただろう。
永遠だと思っていた友人や恋人との関係も、生活や環境の変化から変わってしまった。この本は、若い頃のあのヒリヒリとした感覚を思い起こさせる。
七篇の中短編はどれも過ぎ去った時間を痛みと共に振り返る。繊細に描かれる主人公たちの気持ちの中に自分の姿を見つけては、鋭い痛みが走る。
子どもの痛みには、胸がかきむしられる。
「子どもはある年齢まで無条件に親を許すから。許さなければという義務感もなく、ごく自然に。」
大人の -
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『無理して頑張らなくても』
中学校3年生の時に、母親が新興宗教にはまってしまう。両親は離婚。合格した高校に行けなくなり、ソウルの高校に転校した。友達ができるか不安だったが、人気者らしいユナが話しかけてくれてほっとする。彼女になら自分の秘密を打ち明けてもいいと決心するが。
信じた相手に裏切られた事を後で知るパターン。読者も、どこかで体験したことがあったのでは。その時どう自分の中で腑に落ちるようにできるのか。
「当時の私たちは愛と憎悪、羨望と劣等感、瞬間と永遠を、星の数ほど取り違えていたから。心臓を差し出してもいいと思った相手を傷つけたくなることが、矛盾だとは感じていなかったから。(p26 -
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韓国人の女性作家の短編集って、どれも良くて大好きです。チェ・ウニョンさんも大好きな作家さん。
女性たちの生きる苦しみや悲しみが描かれていて、胸が締め付けられました。
あんまり日本人作家はここまでやり切れないような悲しみを書く人は少ない気がします。どこかに希望を残したり、ほっこりするような結末が多いような。韓国人作家さんはそこを厳しくも温かく見つめて描いてくれる。どちらが良いという訳ではないですし、どちらも好きですが。
どこにも持っていきようのない気持ちをすくい上げて悲しみに寄り添ってくれるような小説でした。本書を読んで救われた気持ちになりました。自分の苦しみを知っていてくれる人が世の中にいる -
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どの短編も余韻を感じる終わり方でした。
時と場所は違っても、似た思いを感じたことがあるかもと思うものもありました。そして訳者のあとがきに書かれていた「寛大になれない大人たちの生きる国」という社会をこの小説で垣間見ることができたように思いました。それと共にチェ・ウニョンさんも心の機微の表現が優れているなと思いました。
友人関係が全てのように思える
学生時代の心の揺れ
旅先で出会った友人への思い
フィンランドで知り合った友達に
伝えたかった思い
友達から気づかされた自分の気持ち
善意が伝わらなかったもどかしさ
大人の秩序に翻弄された頃の自分を
思う気持ち
など、自分が無理をし -
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ネタバレとてつもなく繊細な心の機微を描いている。私の気持ちを言葉にしてくれたと感じられる場面も、そういう世界の捉え方があるのかと学んだ場面も多くある。
弱い人たちが生きていくにはあまりにも痛みを感じさせてしまう世界。平凡な人々が、どれだけ傷ついても、自分にしかない人生を必死に生きている。
「人生とは仕方なく受ける罰のようなものだと捉えることが多かった」「欠乏感を抱きしめ、それを必要以上に憎んだり、哀れんだりすることもなく、ただ一日一日を生きていく」
なんでこんなにも、人生を言葉として表現できるのだろう。作家の言葉が体中に沁みわたり、涙を堪えながら読んだ。
「日本の読者の皆さんへ」を読むだけでも、 -
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ネタバレ原作「親密な異邦人」ドラマ「アンナ」(アマプラ、ディレクターズカット版)面白くてどちらも一気見。8話しかないので無駄なく没入感MAXでした。
"些細な嘘から始まり全く別の人生を歩み始める女性のストーリー"
✏︎✏︎✏︎原作あらすじ
まず登場するのは書けなくなった女性作家。
ある日彼女は新聞を見て驚く。若い頃近所の印刷所に頼んで二十部だけ刷ってもらった自費出版『難破船』。その一部が載っており、「これを書いた人を探しています」という広告があった。
会いに行ってみると、相手は二十代前半か半ばの女性で、「これは半年前に失踪した夫が書いたと言っていたものです」と本を差し出す。 -
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スギョンは30代、わけあって失業中。そして家にはなんと六人家族のうち、稼いでくる大人が一人もいないという。スギョンの父のヤン・チョンシク氏と母のヨスクさん。夫のウジェ、ウジェの兄(行方不明)の子のジュヌとジフ。スギョンは定職についていた時にセクハラをされてそのショックで会社を辞めた。ウジェは友達に進められて個人投資家になって先物取引をやっているがいつも赤字だ。ヤン・チョンシク氏はうまいこと言われて詐欺にあい家を取られてスギョン夫婦の家に間借りしている。なんとかしなければと仕事を探すがうまくいかず、今はやりのギグワーク、プラットフォーム労働をやりだす。スマホにアプリを入れて、アプリの指示に従って
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高校生の時に購入したが途中で離脱してしまったものを数年ぶりに読み返した。今だから理解できるシーン、共感できる心情が多くあったように感じる。
友人、恋人など人との関わりの中で、「愛ほど不公平な感情はない」という。どんなに愛し合っていたとしても、相手よりたくさん愛している人と、相手の方がたくさん愛している人が存在してしまう。愛とはそういうものなのだ。しかし、私も含め多くの人はら自分がこんなに尽くしたのに相手から同じ対価が返ってこないと、知らないうちに不満を感じ始めてしまう。こうした、日常に起こり得る気づきが散りばめられた作品だったと思う。
自分は絶対に人を傷つけるわけがない、と思っている人にぜ -
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今はもう会えない人や帰らない時間を思いつつ今を生きていく人たちの短編集。
著者の「この本を読むことで、私たちのあいだに存在する普遍的な何かに触れると同時に、私たちの違いについても具体的に経験してくれればと思っている」という願いがまさに当てはまった本だった。
名前の覚えづらさや、過去と現在を行き来する構成などもあって、何度も「んん?」となりつつも最後まで読みたくなる、そんな話が多かった。
身近な人に素直に優しくできなかったり、酷いことを言ってしまったり、そういう後悔ってきっと誰にでもあるんだろうな、と感じる。
読み終わってこっちの世界に戻ったときに、外からは分からなくても、誰だっていろいろ乗り -
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ネタバレその力が誰かを救ってる。
長女ジェインは研究職で奮闘、2番目のジェウクは砂漠に派遣が決まり、末っ子のジェフンはジョージア州に留学。3きょうだいは突然自分に不思議な現象が起こることに気付き、またそれぞれ「Save 1.」「Save 2.」「Save 3.」というメッセージを受け取る。
優しさとと希望のある物語。超能力があっても、最終的に人を助けるのは勇気を出すかどうかだったり、その力をうまく使う知恵だったり、助ける人を見出す観察力だったりする。それなら超能力がない者にも、誰かを助けられるかもしれない。なにより自分は1人じゃない。隣の人の力を借りれば、誰かを助けられる。そして、誰かを助けたとい