古川綾子のレビュー一覧

  • わたしに無害なひと

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    あの時、あの言葉を言わなければ…
    あの時、あの一言を言っていたら…
    あの時、あの一瞬、
    言葉にできない想いをたくさん抱えていた若い時。言葉にする力も勇気もなくて、どれ程後悔しただろう。
    永遠だと思っていた友人や恋人との関係も、生活や環境の変化から変わってしまった。この本は、若い頃のあのヒリヒリとした感覚を思い起こさせる。

    七篇の中短編はどれも過ぎ去った時間を痛みと共に振り返る。繊細に描かれる主人公たちの気持ちの中に自分の姿を見つけては、鋭い痛みが走る。

    子どもの痛みには、胸がかきむしられる。
    「子どもはある年齢まで無条件に親を許すから。許さなければという義務感もなく、ごく自然に。」
    大人の

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    2020年07月25日
  • わたしに無害なひと

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    国や文化が違っても、感情は同じだよ、と教えてくれた一冊。
    傷付いたり、好きになったり、生きていくことに絶望したり、誤魔化したり。
    ちゃんと思いは届きましたよ。
    素敵な物語を、ありがとう。

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    2020年07月11日
  • ほんのかすかな光でも

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    わたしが知りたかった知見を広げることができた気がする。女性であることで覚える怒りや悲しみを、涼やかな言葉で冷静に感じることができた。あとがきが1番好きで、私たちはお互いについて何も知らないし、生きることに理由はいらないと教えてくれた。

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    2026年01月31日
  • ほんのかすかな光でも

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    大人の女性を主人公に彼女たちの悲しみ、辛さ、苦悩、ひとときの幸せなどの感情を非常に繊細かつリアルに描いた短編集です。

    すべての物語で涼しげ、または寒々しい空気感が流れていて彼女たちの心情や韓国といった国そのものが抱えている問題を表しているかのようです。

    あえてあからさまなハッピーエンドにしないところも印象的で心に染み入る素敵な作品でした。

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    2026年01月27日
  • 無理して頑張らなくても

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    『無理して頑張らなくても』
    中学校3年生の時に、母親が新興宗教にはまってしまう。両親は離婚。合格した高校に行けなくなり、ソウルの高校に転校した。友達ができるか不安だったが、人気者らしいユナが話しかけてくれてほっとする。彼女になら自分の秘密を打ち明けてもいいと決心するが。

     信じた相手に裏切られた事を後で知るパターン。読者も、どこかで体験したことがあったのでは。その時どう自分の中で腑に落ちるようにできるのか。

     「当時の私たちは愛と憎悪、羨望と劣等感、瞬間と永遠を、星の数ほど取り違えていたから。心臓を差し出してもいいと思った相手を傷つけたくなることが、矛盾だとは感じていなかったから。(p26

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    2026年01月24日
  • ほんのかすかな光でも

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    “時間を埋めるため、あるいは最低限の社会的な関係のため、自分を守るために発した言葉が、大人になってから交わした会話のすべてたったから。何も聞こえない静かな自室で完全な一人になりたい、そして誰の声も聞きたくないという気持ちの中にも、人と話したい思いがあったのだと、彼女はようやく気づいたのだった。”(p.87)

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    2026年01月02日
  • ほんのかすかな光でも

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    韓国人の女性作家の短編集って、どれも良くて大好きです。チェ・ウニョンさんも大好きな作家さん。
    女性たちの生きる苦しみや悲しみが描かれていて、胸が締め付けられました。
    あんまり日本人作家はここまでやり切れないような悲しみを書く人は少ない気がします。どこかに希望を残したり、ほっこりするような結末が多いような。韓国人作家さんはそこを厳しくも温かく見つめて描いてくれる。どちらが良いという訳ではないですし、どちらも好きですが。

    どこにも持っていきようのない気持ちをすくい上げて悲しみに寄り添ってくれるような小説でした。本書を読んで救われた気持ちになりました。自分の苦しみを知っていてくれる人が世の中にいる

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    2025年12月26日
  • 無理して頑張らなくても

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    どの短編も余韻を感じる終わり方でした。
    時と場所は違っても、似た思いを感じたことがあるかもと思うものもありました。そして訳者のあとがきに書かれていた「寛大になれない大人たちの生きる国」という社会をこの小説で垣間見ることができたように思いました。それと共にチェ・ウニョンさんも心の機微の表現が優れているなと思いました。

    友人関係が全てのように思える
    学生時代の心の揺れ

    旅先で出会った友人への思い

    フィンランドで知り合った友達に
    伝えたかった思い

    友達から気づかされた自分の気持ち

    善意が伝わらなかったもどかしさ

    大人の秩序に翻弄された頃の自分を
    思う気持ち

    など、自分が無理をし

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    2025年12月13日
  • ほんのかすかな光でも

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    ネタバレ

    とてつもなく繊細な心の機微を描いている。私の気持ちを言葉にしてくれたと感じられる場面も、そういう世界の捉え方があるのかと学んだ場面も多くある。
    弱い人たちが生きていくにはあまりにも痛みを感じさせてしまう世界。平凡な人々が、どれだけ傷ついても、自分にしかない人生を必死に生きている。

    「人生とは仕方なく受ける罰のようなものだと捉えることが多かった」「欠乏感を抱きしめ、それを必要以上に憎んだり、哀れんだりすることもなく、ただ一日一日を生きていく」
    なんでこんなにも、人生を言葉として表現できるのだろう。作家の言葉が体中に沁みわたり、涙を堪えながら読んだ。

    「日本の読者の皆さんへ」を読むだけでも、

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    2025年11月19日
  • 親密な異邦人

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    ネタバレ

    原作「親密な異邦人」ドラマ「アンナ」(アマプラ、ディレクターズカット版)面白くてどちらも一気見。8話しかないので無駄なく没入感MAXでした。
    "些細な嘘から始まり全く別の人生を歩み始める女性のストーリー"

    ✏︎✏︎✏︎原作あらすじ

    まず登場するのは書けなくなった女性作家。

    ある日彼女は新聞を見て驚く。若い頃近所の印刷所に頼んで二十部だけ刷ってもらった自費出版『難破船』。その一部が載っており、「これを書いた人を探しています」という広告があった。

    会いに行ってみると、相手は二十代前半か半ばの女性で、「これは半年前に失踪した夫が書いたと言っていたものです」と本を差し出す。

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    2025年10月17日
  • ヘルプ・ミー・シスター

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    スギョンは30代、わけあって失業中。そして家にはなんと六人家族のうち、稼いでくる大人が一人もいないという。スギョンの父のヤン・チョンシク氏と母のヨスクさん。夫のウジェ、ウジェの兄(行方不明)の子のジュヌとジフ。スギョンは定職についていた時にセクハラをされてそのショックで会社を辞めた。ウジェは友達に進められて個人投資家になって先物取引をやっているがいつも赤字だ。ヤン・チョンシク氏はうまいこと言われて詐欺にあい家を取られてスギョン夫婦の家に間借りしている。なんとかしなければと仕事を探すがうまくいかず、今はやりのギグワーク、プラットフォーム労働をやりだす。スマホにアプリを入れて、アプリの指示に従って

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    2025年08月04日
  • 明るい夜

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    歴史の流れを感じさせる壮大な話だった。韓国にも身分制度があったとは、どこの国でも人は同じようなことを考えるのだな。朝鮮戦争の当時のことをもっと知りたいと思った。男尊女卑の文化は、かなり根深そう。また母と娘は難しいことも描かれていた。これも万国共通

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    2025年07月28日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    科学とフィクションと文学の匙加減がちょうどいい。
    向き合う問題も、たどり着く結末も、期待通りの”平凡”さでそれもいい。

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    2025年07月09日
  • エディ、あるいはアシュリー

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    国籍不明な感じ。良い意味で「韓国文学っぽさ」がない。
    短編集だが、作品によってかなり色が違った。どれも新鮮で面白く読めたし、読後の余韻もあり、良質な読書体験だった。
    邦訳は今のところこの一冊?他の著書も読みたい!

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    2025年05月29日
  • わたしに無害なひと

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    高校生の時に購入したが途中で離脱してしまったものを数年ぶりに読み返した。今だから理解できるシーン、共感できる心情が多くあったように感じる。

    友人、恋人など人との関わりの中で、「愛ほど不公平な感情はない」という。どんなに愛し合っていたとしても、相手よりたくさん愛している人と、相手の方がたくさん愛している人が存在してしまう。愛とはそういうものなのだ。しかし、私も含め多くの人はら自分がこんなに尽くしたのに相手から同じ対価が返ってこないと、知らないうちに不満を感じ始めてしまう。こうした、日常に起こり得る気づきが散りばめられた作品だったと思う。

    自分は絶対に人を傷つけるわけがない、と思っている人にぜ

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    2025年05月24日
  • わたしに無害なひと

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    今はもう会えない人や帰らない時間を思いつつ今を生きていく人たちの短編集。

    著者の「この本を読むことで、私たちのあいだに存在する普遍的な何かに触れると同時に、私たちの違いについても具体的に経験してくれればと思っている」という願いがまさに当てはまった本だった。
    名前の覚えづらさや、過去と現在を行き来する構成などもあって、何度も「んん?」となりつつも最後まで読みたくなる、そんな話が多かった。
    身近な人に素直に優しくできなかったり、酷いことを言ってしまったり、そういう後悔ってきっと誰にでもあるんだろうな、と感じる。
    読み終わってこっちの世界に戻ったときに、外からは分からなくても、誰だっていろいろ乗り

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    2025年05月21日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    翻訳だからか、元々こういう文章なのかわからないけど、なんとなく絵本の文章みたいで新鮮な感じ。登場人物の気持ちや行動の説明が淡々としていて、押しつけがましくなくて良かった。結果として謎の超能力で人を救った三姉弟、能力が微妙で誰にも話さず、ひっそり終わるのが良かった。正義の味方は目立っちゃダメだよね。

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    2025年05月04日
  • 親密な異邦人

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    “ワンピース、靴、バッグ、コスメ、そんなものが人生を変えてくれると本気で思っていたなんて、本当に愚かですよね。私は夫も子どもも信じていませんから。信用できるのはワンルームマンション、これだけです。”(p.58)


    “私は嘘をつく時の気分を知っている。自らを真実から排除し、嘘つきの烙印を押し、暗くじめじめした自己嫌悪の沼に閉じ込めた時に感じる、小さな快感も知っている。”(p.190)


    “私が母に対してそうだったように、あの子もすぐに私のことを忘れるだろう。”(p.201)

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    2025年04月11日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    奇想天外とまではいかないかど、なかなかシュールな超能力で面白くてほんわかした。
    三姉弟それぞれが経験したことは、それなりに大ごとなんだけど、微妙に地味で、そこがまた妙にリアルで良かった。
    ジェウクが助けた2人のその後があったのが、とても良かった。

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    2025年04月08日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    ネタバレ

    その力が誰かを救ってる。

    長女ジェインは研究職で奮闘、2番目のジェウクは砂漠に派遣が決まり、末っ子のジェフンはジョージア州に留学。3きょうだいは突然自分に不思議な現象が起こることに気付き、またそれぞれ「Save 1.」「Save 2.」「Save 3.」というメッセージを受け取る。

    優しさとと希望のある物語。超能力があっても、最終的に人を助けるのは勇気を出すかどうかだったり、その力をうまく使う知恵だったり、助ける人を見出す観察力だったりする。それなら超能力がない者にも、誰かを助けられるかもしれない。なにより自分は1人じゃない。隣の人の力を借りれば、誰かを助けられる。そして、誰かを助けたとい

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    2025年03月02日