古川綾子のレビュー一覧

  • わたしに無害なひと

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    国や文化が違っても、感情は同じだよ、と教えてくれた一冊。
    傷付いたり、好きになったり、生きていくことに絶望したり、誤魔化したり。
    ちゃんと思いは届きましたよ。
    素敵な物語を、ありがとう。

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    2020年07月11日
  • ほんのかすかな光でも

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    ネタバレ

    とてつもなく繊細な心の機微を描いている。私の気持ちを言葉にしてくれたと感じられる場面も、そういう世界の捉え方があるのかと学んだ場面も多くある。
    弱い人たちが生きていくにはあまりにも痛みを感じさせてしまう世界。平凡な人々が、どれだけ傷ついても、自分にしかない人生を必死に生きている。

    「人生とは仕方なく受ける罰のようなものだと捉えることが多かった」「欠乏感を抱きしめ、それを必要以上に憎んだり、哀れんだりすることもなく、ただ一日一日を生きていく」
    なんでこんなにも、人生を言葉として表現できるのだろう。作家の言葉が体中に沁みわたり、涙を堪えながら読んだ。

    「日本の読者の皆さんへ」を読むだけでも、

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    2025年11月19日
  • 親密な異邦人

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    ネタバレ

    原作「親密な異邦人」ドラマ「アンナ」(アマプラ、ディレクターズカット版)面白くてどちらも一気見。8話しかないので無駄なく没入感MAXでした。
    "些細な嘘から始まり全く別の人生を歩み始める女性のストーリー"

    ✏︎✏︎✏︎原作あらすじ

    まず登場するのは書けなくなった女性作家。

    ある日彼女は新聞を見て驚く。若い頃近所の印刷所に頼んで二十部だけ刷ってもらった自費出版『難破船』。その一部が載っており、「これを書いた人を探しています」という広告があった。

    会いに行ってみると、相手は二十代前半か半ばの女性で、「これは半年前に失踪した夫が書いたと言っていたものです」と本を差し出す。

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    2025年10月17日
  • ヘルプ・ミー・シスター

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    スギョンは30代、わけあって失業中。そして家にはなんと六人家族のうち、稼いでくる大人が一人もいないという。スギョンの父のヤン・チョンシク氏と母のヨスクさん。夫のウジェ、ウジェの兄(行方不明)の子のジュヌとジフ。スギョンは定職についていた時にセクハラをされてそのショックで会社を辞めた。ウジェは友達に進められて個人投資家になって先物取引をやっているがいつも赤字だ。ヤン・チョンシク氏はうまいこと言われて詐欺にあい家を取られてスギョン夫婦の家に間借りしている。なんとかしなければと仕事を探すがうまくいかず、今はやりのギグワーク、プラットフォーム労働をやりだす。スマホにアプリを入れて、アプリの指示に従って

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    2025年08月04日
  • 明るい夜

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    歴史の流れを感じさせる壮大な話だった。韓国にも身分制度があったとは、どこの国でも人は同じようなことを考えるのだな。朝鮮戦争の当時のことをもっと知りたいと思った。男尊女卑の文化は、かなり根深そう。また母と娘は難しいことも描かれていた。これも万国共通

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    2025年07月28日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    科学とフィクションと文学の匙加減がちょうどいい。
    向き合う問題も、たどり着く結末も、期待通りの”平凡”さでそれもいい。

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    2025年07月09日
  • エディ、あるいはアシュリー

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    国籍不明な感じ。良い意味で「韓国文学っぽさ」がない。
    短編集だが、作品によってかなり色が違った。どれも新鮮で面白く読めたし、読後の余韻もあり、良質な読書体験だった。
    邦訳は今のところこの一冊?他の著書も読みたい!

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    2025年05月29日
  • わたしに無害なひと

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    高校生の時に購入したが途中で離脱してしまったものを数年ぶりに読み返した。今だから理解できるシーン、共感できる心情が多くあったように感じる。

    友人、恋人など人との関わりの中で、「愛ほど不公平な感情はない」という。どんなに愛し合っていたとしても、相手よりたくさん愛している人と、相手の方がたくさん愛している人が存在してしまう。愛とはそういうものなのだ。しかし、私も含め多くの人はら自分がこんなに尽くしたのに相手から同じ対価が返ってこないと、知らないうちに不満を感じ始めてしまう。こうした、日常に起こり得る気づきが散りばめられた作品だったと思う。

    自分は絶対に人を傷つけるわけがない、と思っている人にぜ

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    2025年05月24日
  • わたしに無害なひと

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    今はもう会えない人や帰らない時間を思いつつ今を生きていく人たちの短編集。

    著者の「この本を読むことで、私たちのあいだに存在する普遍的な何かに触れると同時に、私たちの違いについても具体的に経験してくれればと思っている」という願いがまさに当てはまった本だった。
    名前の覚えづらさや、過去と現在を行き来する構成などもあって、何度も「んん?」となりつつも最後まで読みたくなる、そんな話が多かった。
    身近な人に素直に優しくできなかったり、酷いことを言ってしまったり、そういう後悔ってきっと誰にでもあるんだろうな、と感じる。
    読み終わってこっちの世界に戻ったときに、外からは分からなくても、誰だっていろいろ乗り

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    2025年05月21日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    翻訳だからか、元々こういう文章なのかわからないけど、なんとなく絵本の文章みたいで新鮮な感じ。登場人物の気持ちや行動の説明が淡々としていて、押しつけがましくなくて良かった。結果として謎の超能力で人を救った三姉弟、能力が微妙で誰にも話さず、ひっそり終わるのが良かった。正義の味方は目立っちゃダメだよね。

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    2025年05月04日
  • 親密な異邦人

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    “ワンピース、靴、バッグ、コスメ、そんなものが人生を変えてくれると本気で思っていたなんて、本当に愚かですよね。私は夫も子どもも信じていませんから。信用できるのはワンルームマンション、これだけです。”(p.58)


    “私は嘘をつく時の気分を知っている。自らを真実から排除し、嘘つきの烙印を押し、暗くじめじめした自己嫌悪の沼に閉じ込めた時に感じる、小さな快感も知っている。”(p.190)


    “私が母に対してそうだったように、あの子もすぐに私のことを忘れるだろう。”(p.201)

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    2025年04月11日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    奇想天外とまではいかないかど、なかなかシュールな超能力で面白くてほんわかした。
    三姉弟それぞれが経験したことは、それなりに大ごとなんだけど、微妙に地味で、そこがまた妙にリアルで良かった。
    ジェウクが助けた2人のその後があったのが、とても良かった。

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    2025年04月08日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    ネタバレ

    その力が誰かを救ってる。

    長女ジェインは研究職で奮闘、2番目のジェウクは砂漠に派遣が決まり、末っ子のジェフンはジョージア州に留学。3きょうだいは突然自分に不思議な現象が起こることに気付き、またそれぞれ「Save 1.」「Save 2.」「Save 3.」というメッセージを受け取る。

    優しさとと希望のある物語。超能力があっても、最終的に人を助けるのは勇気を出すかどうかだったり、その力をうまく使う知恵だったり、助ける人を見出す観察力だったりする。それなら超能力がない者にも、誰かを助けられるかもしれない。なにより自分は1人じゃない。隣の人の力を借りれば、誰かを助けられる。そして、誰かを助けたとい

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    2025年03月02日
  • ソヨンドン物語

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    金を前にすると人は変わる、ということを実感した。
    ソウルにある架空の街ソヨンドンが舞台の作品。
    それぞれのストーリーによって同じ人でも描かれ方が随分と異なっていた。
    様々な視点から見ないと人は理解できないんだな、と学習。
    「街」という舞台を利用した面白い作品。

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    2025年02月16日
  • ソヨンドン物語

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    ソヨン洞のマンションを舞台にした連作短編集。
    書評家の三宅香帆さんがこの作品を韓国版タワマン文学だ!と言っていて、興味が出て読みました。

    もっと下世話な話なのかと勝手に想像していたのですが、実際読んでみるとソヨン洞という架空の都市を舞台にして人の感情の機微を繊細に描いた作品でした。とても面白かったです。
    作者のチョ・ナムジュさんは日本の読者への後書きの中で「私が伝えたかったのは、個人ではどうすることもできない時代と社会の不幸を前に、我々はどんな選択をできるのか、どんな態度をとるべきかという悩み、さらには人間らしさを失わずに生きる方法に対する問いかけでした」と述べています。
    作中でテーマになっ

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    2025年02月12日
  • ソヨンドン物語

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    韓国ソウルの架空の街を舞台にした不動産連作短編集。所得格差、価値観、マウンティング、教育、介護…暮らしを構成する光と影が炙り出されていて、不動産業をかじった身として苦しくなる部分もあった。再開発のひずみは東京でも同じこと。

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    2025年02月09日
  • J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力

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    ユニークでゆるくて、ちょっとだけ泣けて、少しだけ気分を明るくさせてくれる。そんな軽やかな読み心地の、大人の寓話のような物語でした。

    役に立たないようなマニアックな超能力が、めぐりめぐって人を救う。それは結果的に自分自身や大切な人たちをも救うことにもつながっていく。その温かな人情の連鎖が心地よく描かれていて、好きだなあと思えました。

    軽やかな筆致で、さりげなくユーモアも忍ばせていて、心がほころぶような表現も多くて作者の感性そのものが素敵だなと感じました。好きなお話です。

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    2025年01月30日
  • ヘルプ・ミー・シスター

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    R7/1/26〜2月中旬。韓国人作家。現代韓国における市井の人々の生活が描かれている。金銭面で苦労しながらも家族,友人など助け合い生活している。経済的に恵まれなくとも楽しく逞しい。良書。

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    2025年03月11日
  • ヘルプ・ミー・シスター

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    チョンシクおじいちゃんの年老いて世の中についていけない苦しさが切ない。

    無差別性犯罪や貧困に日雇い(プラットフォーム)労働。そこから抜け出せない虚しさもありつつ、家族が程よい距離感で共同体を作っている。時代についていけずに虚しさを抱えて生きる主人公親子(中年、高年)に対して、世の中の仕組みを見抜いてあっさり攻略している子世代のギャップ

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    2024年12月30日
  • ソヨンドン物語

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    捉えている問題の鋭さも、関係性によって見え方の変わる登場人物たちの書き分けも見事なのだが、読むのが苦しい物語たちだった。

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    2024年12月03日