あらすじ
わたしたち、「サイバープロレタリア」なの!?
韓国で反響を巻き起こした「ハイパーリアリズム小説」、待望の邦訳
スギョンは30代、わけあって失業中。同居の家族は「個人投資家」の夫と、スギョンの父と母、さらに甥っ子が2人(高校生と小学生)。6人家族で、金を稼いでくる大人が1人もいないなんて。
プラットフォーム労働、ギグワーク……。仕事用のアプリをインストールした携帯電話が一日中手放せない。ソウルの古くて狭い2DKのマンションに六人で暮らす家族の「お仕事」をテーマにした群像劇。思わず出てしまうため息と「サイバープロレタリア」としての問題提起を、リアルに、ユーモラスに描ききった話題作。韓国では「ハイパーリアリズム小説の傑作!」と賞賛されました。お隣の国で起きていることは、世界中で起きていること。共感必至の一冊です。
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Posted by ブクログ
スギョンは30代、わけあって失業中。そして家にはなんと六人家族のうち、稼いでくる大人が一人もいないという。スギョンの父のヤン・チョンシク氏と母のヨスクさん。夫のウジェ、ウジェの兄(行方不明)の子のジュヌとジフ。スギョンは定職についていた時にセクハラをされてそのショックで会社を辞めた。ウジェは友達に進められて個人投資家になって先物取引をやっているがいつも赤字だ。ヤン・チョンシク氏はうまいこと言われて詐欺にあい家を取られてスギョン夫婦の家に間借りしている。なんとかしなければと仕事を探すがうまくいかず、今はやりのギグワーク、プラットフォーム労働をやりだす。スマホにアプリを入れて、アプリの指示に従って一回一回の仕事をするのだ。Uberなどでお馴染みだ。本文中でウジェの親友のファン・ボソクが言う、「事業主ではなく労働者、仲介者ではなく雇用者だと知るべきだ。労災保険もないし、費用も全額自己負担。そんなのありか?現代版の奴隷制度じゃないか。産業革命時代に逆戻りしたも同然だよ。」そんなプラットフォーム労働者の悲哀が描かれている。また、ジュヌのガールフレンドのウンジの話では、スマフォを使ったチャットルーム・アプリでお金儲けをしていたはずが、相手から身元を知られて写真を送らされようとする女の子が登場する。「サイバー・プロレタリア」と呼ばれるプラットフォームに振り回されてスマホを一時も手放されなく働く人々の姿をユーモアも交えて描く。
Posted by ブクログ
R7/1/26〜2月中旬。韓国人作家。現代韓国における市井の人々の生活が描かれている。金銭面で苦労しながらも家族,友人など助け合い生活している。経済的に恵まれなくとも楽しく逞しい。良書。
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チョンシクおじいちゃんの年老いて世の中についていけない苦しさが切ない。
無差別性犯罪や貧困に日雇い(プラットフォーム)労働。そこから抜け出せない虚しさもありつつ、家族が程よい距離感で共同体を作っている。時代についていけずに虚しさを抱えて生きる主人公親子(中年、高年)に対して、世の中の仕組みを見抜いてあっさり攻略している子世代のギャップ