古川綾子のレビュー一覧
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9歳の時に初めてヒリョンの祖母の家に行ったジヨン。初めて出会った祖母が自分を受け入れてくれていると感じたジヨンはすぐになつく。そして再びヒリョンに向かったのは夫の浮気で離婚を決めソウルを離れた31歳の時だった。ヒリョンに引っ越して2か月経った時に、母が訪ねてきた。母は祖母と疎遠だった。母親の人生を見ていて納得できなかったジヨンは「キム君(元夫)はやさしい」という母の助言にも素直に頷けない。
白丁という身分だった曾祖母ジョンソンと良家の夫パク・ヒスは、駆け落ち同然に家を飛び出した事から近所の人に噂される。娘ヨンオクはその事を母親に話さず、ある日結婚相手を連れてくる。ジョンソンは「あの男はお -
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終生誓願をして修道士になる直前の男性の打ち明け話として語られる『告白』。男性ジョンウンは、一時期つきあっていたミジュに「神は殺人者も自殺者も等しく許すのか」と聞かれたことを思い出す。ミジュにはかつて三羽烏のように仲良くしていた友人ジニが自死した過去があった。ミジュの話の中にある殺人者とは自分、自殺者とはジニのことだ。ジニがある事を打ち明けた時に、もう一人の友人ジュニは率直な感想を口にし、ミジュは何も言わなかった。しかし「表情が全てを物語っていた」と後でジュニに言われたことで、彼女は直接手を下したわけではないが、自分がジニを追い詰めたことを悟る。
ジョンウンは誓願をする前に「被造物(人間)に -
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ネタバレ過去と現在、希望と絶望、生と死など、相反するけれど切っても切れないものを描いている。
人々のさまざまな苦悩は、容易には想像できないものもあった。自分が経験していないからといって社会に問題が無いことにはできない。自分には無い視点であったり、どういう意味だろう、どういう感覚だろうと探りながら読むのは刺激的な時間だった。
現実的でありながら幻想的でもあって、何が起きるのか先が読めないところも良かった。共通して魂の話をしているのも興味深く、うわべではない心を浮かび上がらせている。そこにはあたたかくきらめく核となるものが眠っている……そんなイメージを持った。
特に「海馬と扁桃体」は忘れられない作品になり -
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ネタバレ日本の統治下にあった時代、そして朝鮮戦争を生きて命を繋いできた女四代の物語。
弱い立場に置かれた女性たちの苦しみが直に伝わってくるようで、私も苦しかった。何度も憤り、悲しみ、時には目を潤ませながらの読書となった。
被差別民や男尊女卑のさまざまなエピソードを読むと、日本のそれととても似ていると思った。差別や偏見をなくすように努力し続けていくことが大事であり、こうやって小説の中で語られることには大きな意味がある。
怒りの矛先を間違い、虐げられている人同士でぶつかり合うことはよくあることなのかもしれない。自分のことを諦めたつもりでも、溜め続けた負の感情は死ぬまで重い荷物となって離れないのだろう。いつ -
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自分と瓜二つの曽祖母。
9歳から会っていなかった祖母に
曽祖母の話を聞くと
それは、今では考えられない過酷な人生だった。
女性が虐げられてきた時代に
曽祖母や祖母たちがどのようにして生きてきたのか。
そして、その時代を生きてきた上で呪いのように蓋をしてしまった心を私は覗く事ができた。
こんな扱いがあって良いのか。
女性というだけで、差別民というだけで、同じ人であるのにも関わらず、物理的にそして精神的に傷つける人たちがいる。
『この世には心からの謝罪をしてもらえなかった者たちの国があるはずだ』
私はその国を知っている気がする。
きっとその国を知っている人たちはたくさんいるはず。
久しぶ -
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各作品がいちいち胸に刺さるし、なんちゅうフレーズやねんていうパンチラインが頻繁する。
ほとんどの登場人物が寂しさ、孤独をまとい、同じような苦しみを持った人々と交わるのに、それは一瞬はポジティブな関係を築けても、やがて小さく砕けていく。
はっきり言って自分は恵まれてたのかなって思う。
これほどまで社会に苦しめられた感覚はなかったなって思う。
それでも彼らに共感してしまうのは、これまでの人生の中のいくつもの後悔やもう連絡もとらなくなったたくさんの人々の顔が浮かび、懐かしく思うからなんだと思う。
大きい何かが起こる話ではなくて、心の動きや関係性を正直に言葉にしてしまう今作のような作品は、やっぱ -
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ネタバレそれぞれの短編で語り手の立場は異なるものの、似たようなバックグラウンドが度々描かれている。みな何らかの暗い過去を背負っていて、心の傷に敏感な人たちだ。どちらかといえば傷付けられた痛みよりも、自分が誰かを傷付けた(または救えなかった)という罪の意識や、無力感をよく知っている人物の視点で話が語られる。
語り手が過去を回想し、自らの間違いを見つめる時、読者も同じように自身の過去を振り返ってしまう。誰にも話せない秘密や後悔を嫌でも思い出すことになる。まるで自分を罰するかのように、語り手が過去を見つめる視線には誤魔化しがない。
あとがきに書かれた著者の言葉を借りるまでもなく、どの作品にも著者の過去や記