▼あらすじ
ごく普通の大学生・鷹上理玖は、幼馴染である雛木馨の重大な秘密を知っている。
それと同時に、自分が持っている危険な秘密も隠していた。
目的のため、小学生時代から親友を装い、警戒心と勘の鋭い馨をうまく騙せている、はずだった…。
しかし、ある些細なことが原因で、10年以上隠してきた理玖の秘密が
...続きを読む、すべて馨にバレてしまう。
姿を消す理玖と、それを追う馨…。
生まれ持った運命に逆らうことを決意した、ふたりが出した答えとは――。
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あれだけ蒼真が好きだった馨が一体誰とくっ付くのかとあれこれ想像し、ワクワクしながら発売日を心待ちにしていたので手に取った時は感激しました!
今回も他シリーズ同様しっかりと中身の詰まった内容で、最後まで楽しく読む事が出来たので大満足です。
まずこの作品を通して一番良いなと感じたのが馨の人間らしい面や成長の場面が沢山見られたところです。
今までは不老不死で絶対的な力を持つ最強の魔王という肩書きに相応しく傲慢で俺様な部分が目立っていてイマイチ好感の持てなかった馨ですが、この作品で普通の人間と同じように葛藤したり、そして自分を見つめ直す事で驕り高ぶっていた事に気付いて反省したりと好感の持てるポイントが沢山あり、この作品を読み終わる頃には良い意味で若くて子供っぽいところもより魅力的に感じられるほど馨の事が前よりもずっと好きになっていました。
なので今までの馨はあまり好きじゃない、という方もこれを機に馨の事が好きになるんじゃないかと思います。
また、お互いの気持ちや心の機微などが馨視点、理玖視点、どちらもきちんと描かれている為、一つの行動にしてみても他の小説にありがちな"どうしてこうなったのか"という説明不足による違和感をほぼ感じる事なく非常に納得して読み進める事が出来ました。
やはり文章力のある作家さんならではだと思います。
そして仮にも王と呼ばれる馨の相手が幼馴染みだったりお互いをちゃん付けで呼び合ったりしている設定も良かったし、理玖が紲と似たタイプの性格だったのも好印象。
後は個人的にあまりユーリが好きでは無かったのですが、理玖を励ますシーンでは深くにもジーンと来てしまいました。
一方、ユーリの番である蒼真の出番はあまり無く、蒼真好きとしては少々残念に思うのと同時に馨の事に関しては誰よりも冷めていると取れるような描写があり、「もうちょっと馨に感心を持ってくれても…」と、蒼真に対してちょっぴり不満があったのですが、そんな中特典のSSカードを読んだところ、バッチリ補完されました!
蒼真が内心ではちゃんと寂しがっている事が分かり満足です(笑)
次はラブコレでユーリと蒼真のお話の続編があるそうなのでそちらの方を楽しみにしたいと思います!