鈴木亘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1970年生まれの著書の本。
作者を年代で分けるのは、ある意味では先入観かもしれないが、難しい話をわかりやすく語る世代が次々と生まれてきていることを実感した良書だった。
財政危機や社会保障については、それぞれの専門家がいろいろな歴史、他国との比較で述べることはあるが、全体を俯瞰して、その問題性を指摘している点は非常によいと思った。何か魔法のような処方箋があるわけではなく、メリット・デメリットを比較して、国民がどのような方向に進むべきなのかが問われていると思うが、そのための議論が決定的に欠けている。
政治家が選挙のために、耳に痛い言葉を封印して、その場その場で政策を決めてきたツケが今、すべ -
Posted by ブクログ
本書の主張 医療崩壊の犯人は、小規模病院の多さ、フル稼働できない病院、病院間の不連携と非協力体制、政府のガバナンス不足である。
基本的に同意。しかし、政府のガバナンス不足は医療に限ったことではなく、そういう政府をつくるような政治を選ぶ国民こそが主犯であると考える。著者も中小病院の成り立ちについてふれる中で政治と医師会の関係について述べられているが、地方議員には医師会、医師は大きな影響力を持っていて、その見えざる力こそがコロナのような大局観を要する対応もねじ曲げてしまっている。残念ながら、著者のような方には、そういうホントのことは伝わらない。 -
Posted by ブクログ
「改革の中身より、どう実行するかがはるかに重要である」、冒頭に挙げられたこのテーマが見事に実践されていく様を、本書を読むと体験する事が出来る。
多少自画自賛が鼻につくこともあるが、地域の人、お役人、いわゆる活動家そして政治家やマスコミの間を縦横無尽に駆け回り、事案を動かしていく様は圧巻である。こうすれば、世の中動いていくのかという良いお手本である。もっとも、鈴木先生が当時の橋下市長と昵懇の間柄であったという、大きなアドバンテージは有ったが。
「社会保障亡国論」にも感心したが、鈴木先生はまだ若いし、学者で終わるのはもったいない気もする。もう少し、大きいところで、世の中の問題解決に大ナタをふる -
Posted by ブクログ
日本の社会保障制度は、①公費漬け、補助金漬けの「高コスト体質」、②参入規制、価格規制に守られた悪平等の「護送船団方式、③多額の公費投入による見せ掛けの「低料金」、④天下りや利権を介した業界団体と官僚、政治家の強固な「既得権益の結びつき」といった特徴を持つ「高度成長モデル」のままであって、このままでは財政的に維持不可能であり、社会保障費抑制に軸足を置いた改革が必要であると主張している。当時の菅内閣が標榜していた「強い社会保障」ではなく、「身の丈に合った社会保障」が求められるとしている。
著者の日本の財政や社会保障制度に対する認識、今後の処方箋については、おおむね正論だと感じた。
ただ、医療、介護 -
Posted by ブクログ
それにしても鈴木先生は、社会保障関連の専門家だと思ったら、こんなことまでやっていたとは驚きです。彼の年金問題の解決法等も非常に現実的でいい案だと思っていましたが、自分の理論を自分で証明してしまおうというバイタリティーとそれを本当に具現化してしまう実行力は、そのまま政治家になってもいいのではと思うほどのリーダーシップです。本の内容的には、日本の最貧困エリアである、あいりん地区の街づくりを経済学者としての視点から、実際に具現化するためのアプローチをドキュメントした本。そして街の住民含む利害関係者をしっかり巻き込んで、その道筋を作るところまでが描かれています。それもこれも橋下元大阪市長の元だからでき