【感想・ネタバレ】医療崩壊 真犯人は誰だのレビュー

あらすじ

「世界に冠たる日本の医療」などと、医療提供体制の充実ぶりを誇っていた我が国が、なぜ、世界的には「さざ波」程度の感染者数増加で、このように簡単に医療崩壊を起こしたのか、その謎に迫る。
7人の容疑者(原因の仮説)を挙げて、一つ一つ謎解き仕立てで話を進める。現在、国民の間では、なぜ、こんなに簡単に医療崩壊が起きたのか、一部の医療機関が頑張る中で、まったく何もしていない医療機関があるのはなぜなのか、医師会や専門家会議はなぜ、緊急事態宣言で経済をストップすることばかり提言するのかなど、医療提供体制への不信感が渦巻いている。まずはそれらへの疑問に答えるのが本書の目的である。
また、今後もしばらくウィズコロナの時代が続くので、パンデミック時の医療崩壊を防ぐためにどんな手立てがあるのか、アフターコロナ時代の平常時の医療をどのように改革すべきかという点も議論、政策提言を行う。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本書を読んで
「世界一の病床大国」
「医療崩壊と無縁」
と思われていた日本でいとも簡単に医療崩壊危機に陥った謎を解き明かしています。
既得権益を守る法制度を続けることが人の命を守るという意味でとても危険なことなんやなとわかります。
コロナが一息ついた今やからこそこれまでの医療提供体制の仕組みや政策の部分をもう一度しっかり見つめ直す必要があるんやなと思います。

「医療機関の連携・協力関係が決定的に不足している」
大規模な感染症では患者の集約がいかに大切かがわかります。
中小の病院に均等に割り振っても感染の拡大を考えるとフロアで区切るなど隔離が必要になります。
隔離できないと1床も受け入れられなことになります。
それなら病床数の多い病院で専門的に受け入れて診ていた他の患者を中小の病院に割り振ってコロナとそれ以外を分ける連携・協力関係が必須になると思います。
「規模の利益」を考えずに集約化を怠ると同じことが起きるなと思います。
本書を読んでるとこの連携・協力関係が決定的に欠けてるなとわかりました。

「なんちゃって急性期」
高齢者施設化した急性期病床は詳しく医療機関のことを知らない僕でも知ってました。
ただ既得権益にまでなっていたとは知らなかったです。
全くガバナンスができてないんやなと感じます。
いっときから「急性期〜」が雨後の筍のように増えたのはこういう事情があったんやなと思いました。

「政府のガバナンス不足」
「主犯級中の主犯」とされています
事前に立派な「政府行動計画」があったのに十分に活かせなかった。
結局準備不足なんですよね。
非常事態に対する想像が欠けてるなと。
これは自戒を込めて次の手を考えてないととんでもないことになる良い教訓になったと思います。

「人的支援が近道」
1 顔を合わせて話し合える「会議体」
2 コロナ禍前からの「人的つながり」
3 決断できる「行政のリーダー」
4 疑心暗鬼を生まない「見える化」
5 最後の責任を取る「行政の覚悟」
非常時の医療提供体制は結局のところ地道な対応の積み重ねになるんやなと思います。
特にお互いの手札を隠しながら話し合っていると疑心暗鬼になって話が進まないことはよくあります。
最後は腹を割って話し合える土台としての「見える化」が重要なんやなと思います。

「自衛隊病院の廃止・縮小」
現時点でどうなってるかはわからないのですが本書ではいかに民間病院での受け入れが難しいかがよくわかります。
そうなると非常時の体制として自衛隊病院や医官の増強は喫緊の課題なのかなと思います。
少なくとも世界的に見るといつも何処かで医療供給体制が必要なので日頃の訓練や未知の病気への対応を日々行っていただく組織の増強が必要なのかなと思います。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

コロナ禍以前からから指摘されている医療の問題がコロナ禍の医療をさらに難しくした。予測された感染状況を軽視して対策を怠り、自らの怠惰を国民の善意に委ねた行政の体質は追求するべき大問題。国民も政治も反省必須。最も根っこはあれだけど。

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2024年06月16日

Posted by ブクログ

本書の主張 医療崩壊の犯人は、小規模病院の多さ、フル稼働できない病院、病院間の不連携と非協力体制、政府のガバナンス不足である。
基本的に同意。しかし、政府のガバナンス不足は医療に限ったことではなく、そういう政府をつくるような政治を選ぶ国民こそが主犯であると考える。著者も中小病院の成り立ちについてふれる中で政治と医師会の関係について述べられているが、地方議員には医師会、医師は大きな影響力を持っていて、その見えざる力こそがコロナのような大局観を要する対応もねじ曲げてしまっている。残念ながら、著者のような方には、そういうホントのことは伝わらない。

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2022年08月19日

Posted by ブクログ

新型コロナによる医療崩壊の原因を探る。結局厚生労働省と医師会の問題のように思えるがそこまで強くは主張できないのだろう。

1.少ない医療スタッフ
2.多過ぎる民間病院
3.小規模の病院
4.フル稼働できない大病院
5.病院間の連携・非協力体制
6.「地域医療体制」の呪縛
7.政府のガバナンス不足

それぞれを解説する。
この機会に医療体制改革なくして日本の未来はないだろう。
もっと本書のような内容の積極的な議論が対処療法とは別に必要だろう。
医師会の存在がある限り実現しないだろうが。日弁連と共に日本の癌。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

コロナ禍で、医療崩壊の危機に陥った日本。何が「世界有数の医療大国」を追い込んだのか?我が国の医療体制を分析し、“真犯人”―原因を突き止める書籍。

2020年4月の第1波の際、全国のコロナ新規感染者数が257人という状況で、首都圏では早くも病床が逼迫した。緊急事態宣言解除後の第2波では大きな感染拡大はなかったが、秋の第3波では感染爆発が起き、医療は再び逼迫状況に陥った。

2021年春の第4波、夏の第5波では、感染力が強い変異株によって感染者数が激増した。深刻な医療逼迫が起き、療養先が見つからない「医療難民」、自宅療養者が大量に生じた。
しかし、そんな状況でも確保病床数はあまり増えなかった。

日本は、諸外国に比べ感染者数が少なく、医療提供体制も充実している。にもかかわらず医療崩壊の危機に瀕したのは、コロナ病床として利用できる病床が少なかったためである。

医療崩壊の危機を招いた原因は、例えば次のようなものだ。
・多過ぎる民間病院:
日本の医療提供体制は民間病院中心で、その多くは政府の要請に従わない。また、民間病院に行政命令を出す権限が、政府や都道府県にない。
・小規模の病院が多い:
医療機器やコロナ専用フロアーの整備などを行えるのは大病院に限られるが、日本の病院の圧倒的多数は中小病院が占めている。
・病院間の不連携・非協力体制:
患者がどこの医療機関に行ってもよい「フリーアクセス」制度のため、医療機関は互いが商売敵であり、連携・協力関係が進みにくい。
・政府のガバナンス不足:
パンデミックを想定した「政府行動計画」を策定済みだったにもかかわらず、「事前準備」が全くできていなかった。

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

医療界の「中小企業問題」を真犯人の一つとして指摘。コロナの医療崩壊だけでなく、平時の医療費抑制の観点からも中小企業問題は解決されるべき。鈴木先生には、引き続き医療、社会保障の分野で、厚生労働省、日本医師会の欺瞞にメスを入れてほしい。

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2022年01月07日

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