鈴木亘のレビュー一覧
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年金・医療・介護の仕組みと問題点、今後の解決策についてよくまとまっている。この手の本というと、表面的すぎたり専門的すぎたり、なかなかよいものがなかったが、過不足なく、内容的にも理解しやすい。・これから10年は団塊の世代の退職により、高齢者比率が高まってゆく少子化対策などしても、それで増えた新生児たちが保険料を支払うようになるまで二十年以上かかるので、社会保障制度への貢献は極めて限定的・'60年以降の生まれは払い込みの方が受益よりも多く、損。厚生省はこれを否定するようなデータを出しているが、その計算の根拠として、保険料の事業主負担分を「賃金ではない」として計算から除外したり、割引現在価値を算出するのに利子率の変わりに賃金上昇率を使うなど、作為的なデータとなっている。・自己負担率の増加、給付カットで対応するにしても限界が近く、根本的な解決のためには賦課方式をやめて積み立て方式に移行するしかない。移行期には、プール金の拠出などが必要になってくるが、将来のためのコストと割り切るべき・パートタイマーや外国人などの加入を促すという方策も間違い。これは一時的な増収をもたらすかもしれないが、将来の給付を増やすだけになり、トータルでは損。・医療と比較した場合、介護の分野には情報の非対称性が少ないため、民間の参入を促すような施策が有効
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コロナ禍で、医療崩壊の危機に陥った日本。何が「世界有数の医療大国」を追い込んだのか?我が国の医療体制を分析し、“真犯人”―原因を突き止める書籍。
2020年4月の第1波の際、全国のコロナ新規感染者数が257人という状況で、首都圏では早くも病床が逼迫した。緊急事態宣言解除後の第2波では大きな感染拡大はなかったが、秋の第3波では感染爆発が起き、医療は再び逼迫状況に陥った。
2021年春の第4波、夏の第5波では、感染力が強い変異株によって感染者数が激増した。深刻な医療逼迫が起き、療養先が見つからない「医療難民」、自宅療養者が大量に生じた。
しかし、そんな状況でも確保病床数はあまり増えなかった。
日本は、諸外国に比べ感染者数が少なく、医療提供体制も充実している。にもかかわらず医療崩壊の危機に瀕したのは、コロナ病床として利用できる病床が少なかったためである。
医療崩壊の危機を招いた原因は、例えば次のようなものだ。
・多過ぎる民間病院:
日本の医療提供体制は民間病院中心で、その多くは政府の要請に従わない。また、民間病院に行政命令を出す権限が、政府や都道府県にない。
・小規模の病院が多い:
医療機器やコロナ専用フロアーの整備などを行えるのは大病院に限られるが、日本の病院の圧倒的多数は中小病院が占めている。
・病院間の不連携・非協力体制:
患者がどこの医療機関に行ってもよい「フリーアクセス」制度のため、医療機関は互いが商売敵であり、連携・協力関係が進みにくい。
・政府のガバナンス不足:
パンデミックを想定した「政府行動計画」を策定済みだったにもかかわらず、「事前準備」が全くできていなかった。 -
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本書を読む人は、年金制度の不公平さが、自分の身に一番応えることとして印象に残るかもしれないが、問題はそれにとどまらない。
このままいけば社会保障制度が崩壊する。
社会保障制度の崩壊というのは、社会基盤の崩壊である。
そのときどうなるかというと、高齢者だけ限ってみても、病気になっても病院にかかれない、施設に入ろうとしても施設がない、いわゆる漂流老人が大発生する。
経済は行き詰まり、破綻することは目に見えているが、残念なことに、誰も手をつけられずに、最後まで突っ走っていかざるをえないだろう。
人口構造が将来どうなるかということは、もう数十年前から分かっていたことだ。人口シミュレーションは、そう難しいものではないし、そんなことをやらなくても、高齢者が多くなり支える層が少なくなれば、社会制度を維持できなくなることは誰でも分かることだ。わかっていたのに、誰もどうにもできないでいる。
であれば、これからも、どうしようもないだろう。
それは原発問題と似ている。
原発がヤバイというのは、二十年前三十年前からいろいろなところで語られ、書かれ、訴えられてきた。
危機は叫ばれていたけれども、当面の利害関係のために、物事は動かない。
結局事故は起こってしまった。
起こってしまったあとでも、事態の最終的な責任は誰にあるのか問われないまま、また再開されようとしている。
社会保障の問題も、このまま進むだろう。
このまま進んで、どこかの段階で、社会保障問題の「フクシマ」が訪れるだろう。
それはおそらく、15年後の2030年あたりではないか。
いま65歳の団塊の世代が80歳になり、介護が必要な人や、死者が急激に増え始めるが、病院や施設がなく、かといって住める家もなく、孤立死や野垂れ死が多発するだろう。
あるいはその前に、日本経済が社会保障費の負担に耐えかねて破綻しているだろう。
いずれにしても、破綻は早いほうが痛手は少なくてすむ。回復も早い。
残念ながら、そこまでいかないと、抜本的な見直しはできない。
そんな事態が本当にくるのかと思う人がいるかもしれないが、間違いなくそうなる。
著者の危機感に、私は完全に同意する。
ただ、破綻を回避するための努力について、著者は厚生労働省のサボタージュを疑っているが、私の意見は異なる。
厚生労働省がシャカリキになって進めている介護医療の一体改革法案や地域包括ケアシステムは、そのためのものであることは明らかだ。
ただ、その程度でいいのか、それのみが正しい方向なのか。著者から見れば、たぶん不十分かつ遅すぎるとしか映らないだろうが、それは、厚生労働省の怠慢というよりも、破綻回避の手を打とうという勢力と、現状維持勢力のせめぎあいの結果と見るべきだと思う。役人の中で改革を志す者がいたとしても、現実の政策としては、妥協の産物としてしか出てきようがないからだ。
著者によると、社会保障問題を経済学者が扱うことに対して、抵抗感が強い介護や福祉の関係者がいるらしい。
だが、この分野の問題はもはやそういった狭い世界の問題ではなく、国家財政を直接左右する話である。
それがギリギリの状況にあるということなのだ。 -
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【あくまで亡国論】
日本の社会保障関連費用は一般会計の3割近くを占め、生産性の低い社会保障という仕事はGDP内の比率が高まり、そのことによってさらなる経済成長にブレーキが掛かってますます…という暗いシナリオ。それでも社会保障という聖域は、金を集める側(財務省)と使う側(厚労省)の絶妙な組み合わせと、年寄優先という政治構造によって成り立っている。現政権の社会保障への無関心、というのも確かに相当なものだ。消費税は、そのために上げたはずであるのに。この辺までは、うなずける。
世代間格差ということに随分と触れている。ただ、世代間格差というのは、僕はあって当然に思う。だって、違う世代なのだから。1年違っただけで随分変わってしまう、という不公平さであれば問題だが、何十年も前の年寄と今の年寄と、まして将来の年寄など比べても仕方ないのではないか。
いろいろなことに公費を投入するとネジ曲がって高コストになるので自由化していけ、という提言はわからないでもない。ただ、それは新自由主義的金勘定ではなくて、やはり弱者がどう困るか、という視点から見ていかなければならないのではないだろうか。もちろんそれじゃあ甘いよね、甘い。わかってるけどね。そういう甘さと、本書にもあるような細々したことを精査できる能力を持った政治家に投票したい。 -
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ネタバレ日本の社会保障の欠点(過剰給付、賦課方式、参入規制)については言い尽くされた感もあり、対策も明らかではあり、内容的には新味なし。よくまとまっているが、本書でなければ読めない、という内容もない。
・一般歳出の54%が社会保障関係費になっており、国の財政はこれで精一杯。保険料なども含め、社会保障給付費は110兆円にものぼる。医療・介護にかかる自己負担分を足すとGDPの4分の1程度にもなる。しかもこの額(国民として負担している総額)は年間3−4兆円のペースで増えている。1991-2013の間、経済は全く成長していないのに社会保障給付費は二倍になっている。
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2/14からの確変フィーバーが終わった後
自分の資産についての今後の扱いを
どうしようかを考えています。
<前書き>
9月17日に日本銀行が発表した統計によると、6月末の段階での国と地方の債務残高が1035兆円と、初めて民間企業の債務残高を上回りました。これは政府予算が膨張する一方、民間の経済活動が停滞し、債務が減ったためです。政府債務はGDP(国内総生産)の2倍を超えるという先進国では最悪の水準に達しましたが、2011年度予算の概算要求も96.7兆円と昨年より膨張し、財政再建のめどは立ちません。
私が就職する以前から「日本は破綻する」 「ハイパーインフレがやってくる」と
ずっと言われてきました。
しかし、世の中にはリフレ派という経済学者達がいます。
彼らは日本の債務残高がさらに大きくなったとしても、財政危機にはならないと主張しています。
実際にこの20年間は日本には財政危機は来なかった。
<引用>
欧州ではギリシャを初めとして各国で財政危機が表面化し、日本でも同様の事態が起こるのではないかと憂慮する声が強まっています。しかし債券市場では長期金利が1%を切る水準まで低下し、外為市場では円が買われて15年ぶりの高値をつけるなど、市場は財政リスクをあまり意識していないようにみえます。
このように潜在的なリスクの高い債券が高い価格(低金利)で取引される現象は、2000年代前半の欧米にもみられた現象で、一種のバブルになっている可能性があります。しかしバブルのむずかしいところは、その最中には誰もが正しい価格だと信じて取引していることです。特に日本国債のドル建て価格は、ここ20年近く上がり続けており、これがバブルだとすると、史上最長のバブルだということになります。このため「財政危機論は狼少年だ」と嘲笑する向きもあります。
政府・与党の中にも、楽観論があります。亀井静香・前財政金融担当相は「財政危機はフィクションだ」と公言し、「政府の借金は税金を取ればいくらでも返せるんだから、財政危機はありえない。不況のときは財政赤字を恐れずに公共事業を増やせ」と主張しました。税制調査会の専門家委員長である神野直彦氏は「政府債務を元利すべて返す必要はない。政府債務は借り換えられるのだから、ずっと借り続ければよい」と主張し、社会保障支出の増額を主張しています。
でもね~ いよいよ来ると思うんですよ。
私は自分を「遅めのアーリーアダプター」 「早めのアーリーマジョリティ」だと思っています。
<引用>
なお書名に「余命3年」と入れたのは、61ページで竹中氏が「全治3年」という楽観論に対する皮肉としておっしゃったものです。これは、あと3年で日本経済が絶命するという意味ではなく、今のような奇妙に安定した状態はあと三年ぐらいしか続かず、それまでに何もしないと、それ以降はどういう不測の事態が起こるかわからないという意味です。
私のアンテナが最近ピリピリと反応しているのです。
資産だけでもひとまず日本から逃げるのだと。
・・・ やはりスイス銀行だな -
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ネタバレ財政問題と社会保障問題の2本立ての本。
筆者は、「財政も大変だし、その原因に社会保障があるよ」って言っている。だから、社会保障はしっかりと考えなきゃって述べている。
全体的には、財政問題に関しては、その問題の本質を究明するような姿勢はこの本からは期待できず、あくまでも社会保障を論じるための餌として述べている程度なので、いささか中途半端である。というよりは、少し詐欺まがいな気がする。しかし、社会保障の記述に関しては、初学者に向けて書いているという言っているだけあって読みやすく理解もしやすいと思う。
つまりこの本は、社会保障の概略を知るための本であって、財政問題をこの本から学ぼうとしてはならないし、逆に情報不足である。 -
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『201202 経済強化月刊』
著者の私見が色濃く出ているので注意が必要。社会保障について常識的なことも理解していなかった私なので、制度的な部分に関しては勉強になったが、主張については完全に鵜呑みにする訳にはいかないだろうと感じた。
著者が経済畑の人なせいか、市場の競争原理を評価し過ぎというか、信頼し過ぎなきらいがある。
例えば、医療機関への競争原理の導入を奨めているが、病院の経営重視が強まれば、回転率を上げるために入院患者を早期退院させたり、必要以上の通院・投薬推奨という状況が想像される。
また、医療費自己負担の増加は、低所得者層は必要な治療を我慢してしまい、医療格差が広がるのでは?もちろん、安いからといって大して必要もないのに医療を受ける人が多いというのも問題なので、落とし所が難しいのは確か。
アメリカの医療問題を考えると(自分も聞きかじった程度だけど)、著者の考えはちょっと安易だなあと感じる所がある。
また、自己負担額等は中高所得者の負担を増やす累進制にするべきという主張について。
それは賛成なんだけど、いかんせん、中高所得者は「高い税金・保険料を支払っているのに、それに見合う社会保障がないのはおかしい」という考え方なので、噛み合わないこと甚だしい。
著者は、その分高品質の介護・医療サービスを選べる利点があると述べているけれど、実際の所大部分の人にとっては選ぶ余地なんてほとんどないというのが現実だろう。 -
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日本の公的な強制保険(年金・健康・介護)のインチキを暴き出す本。確かによく調べてあるし、本書の主張は正しいのかも知れないけど、このことが分かったからと言ってサラリーマンには対処のしようが無いんだよね…。本書を読むと、こういうことに興味を持つこと自体が無駄だと思えてきて、ものすごい無力感に苛まれること必定である。どうせ公的年金だって、厚生官僚がレトリックを駆使して「100年安心」(掛金を上げて給付を減らせば、そりゃあ制度は「存続」できるでしょう)を実現してしまうんだろうし。まっとうな制度に戻すには、もはやデフォルトかクーデターくらいしか道は残っていないんじゃない?(その場合、公的保険がまっとうになったとしても、我々の生活はメチャクチャになるけどね)
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竹中平蔵, 池田信夫, 土居丈朗(財政), 鈴木亘(社会保障)という経済問題で気が合う面々の座談会を書籍化したもの。こういう固めのテーマは書き下ろしの方がよい。意見の相違がないのだから、ますますそう思う。
議論のテーマは、日本の財政問題、社会保障、労働市場、など。語られていることは大枠で正しいように思う。震災前に出版された本だが、この上さらに震災によるマイナスを乗り越えて世界の中心に日本が躍り出ることは不可能ではないかと思えてくる。
とにかく小泉・竹中の改革を何の検証もなく悪政のように語らせてはいけない。政治的にその方が受けると認識している政治家も多くいるようではあるが。
それにしても最近のドタバタを見ても議会制民主主義はもう機能しないのかもしれないと思う。特に日本では。著者らは真の政治主導をと言うが、果たして可能性が少しでもあるものなのだろうか。「民主政治は最悪の政治形態だ。これまでの他のあらゆる政治形態を除けば」というチャーチルの言葉が分かるような気がする。事態に対して投げやりなわけではないのだが。 -
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ネタバレ社会保障と財政。その両方の分野にやってくる危機の実態とその対処法を明らかにした本。
900兆円を超える額の日本の国債の95%は内国債であり、1400兆円あまりの個人資産によって買い支えられている。そのため日本が直ちにデフォルトに陥ることはまずないと思われる。
だが、少子高齢化を迎え、社会保障費が膨れ上ってくることを考えると、このままのペースでの債務比率拡大は危険である。景気が上向いた時点で財政再建をすることが欠かせない。
全体として医療、保育、介護など社会保障に関わる分野の規制緩和と構造改革を進めるべきという論調が強い。その前提の下で、著者は日本の社会保障制度の特徴として、
①国民皆保険
②職業別の制度分立(厚生年金と共済年金など)
③賦課方式(財源を現役世代が拠出)
④過度の公費依存
⑤高コスト体質
⑥強い価格規制・参入規制
⑦政治的圧力を行使する業界団体
⑧天下りの多さ
といったものを挙げる。多くは高度経済成長期に構築されたシステムである。
例えば菅首相は今年の参院選に臨んで消費税増税で「強い社会保障」という指針を掲げた。税収で医療・介護産業に財政支出することで産業とGDPの両方の成長をするものある。
だが、著者はこの分野は競争や参入の規制が強く、財政支出を行っても社会保障費が浪費される可能性が高いことを指摘する。同時に規制緩和と構造改革で潜在成長率を上げる方が良いと主張する。
所々頷けるところはありましたし、社会保障分野にはメスを入れるべき部分は多い。だが、規制緩和と構造改革ありきの論調には少し首をかしげてしまった。