鈴木亘のレビュー一覧
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年金・医療・介護の仕組みと問題点、今後の解決策についてよくまとまっている。この手の本というと、表面的すぎたり専門的すぎたり、なかなかよいものがなかったが、過不足なく、内容的にも理解しやすい。・これから10年は団塊の世代の退職により、高齢者比率が高まってゆく少子化対策などしても、それで増えた新生児たちが保険料を支払うようになるまで二十年以上かかるので、社会保障制度への貢献は極めて限定的・'60年以降の生まれは払い込みの方が受益よりも多く、損。厚生省はこれを否定するようなデータを出しているが、その計算の根拠として、保険料の事業主負担分を「賃金ではない」として計算から除外したり、割引現在価
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2012年に橋下徹大阪市長の下でスタートした「西成特区構想」は、西成区の(特にあいりん・釜ヶ崎地域)が抱える環境・治安・社会福祉などの複合課題を解決するために「西成をえこひいきする」=特別政策を集中的に投入する構想だった。
今の西成がどうなっているかは自分の目で見ていないので何とも言えないが、改善に力を入れるためにえこひいきを必要とする程、かつては治安が悪く日雇労働や生活保護など貧困が問題化していた。今は少し改善傾向にあるらしい。
日雇労働者たちは手配師たちにより、賃金や契約期間、飯場の宿泊代・食事代などの条件提示され、車に乗り込んでいく。地域全体で、現金や契約を合わせて、1日5000件ほ -
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コロナ禍で、医療崩壊の危機に陥った日本。何が「世界有数の医療大国」を追い込んだのか?我が国の医療体制を分析し、“真犯人”―原因を突き止める書籍。
2020年4月の第1波の際、全国のコロナ新規感染者数が257人という状況で、首都圏では早くも病床が逼迫した。緊急事態宣言解除後の第2波では大きな感染拡大はなかったが、秋の第3波では感染爆発が起き、医療は再び逼迫状況に陥った。
2021年春の第4波、夏の第5波では、感染力が強い変異株によって感染者数が激増した。深刻な医療逼迫が起き、療養先が見つからない「医療難民」、自宅療養者が大量に生じた。
しかし、そんな状況でも確保病床数はあまり増えなかった。
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本書を読む人は、年金制度の不公平さが、自分の身に一番応えることとして印象に残るかもしれないが、問題はそれにとどまらない。
このままいけば社会保障制度が崩壊する。
社会保障制度の崩壊というのは、社会基盤の崩壊である。
そのときどうなるかというと、高齢者だけ限ってみても、病気になっても病院にかかれない、施設に入ろうとしても施設がない、いわゆる漂流老人が大発生する。
経済は行き詰まり、破綻することは目に見えているが、残念なことに、誰も手をつけられずに、最後まで突っ走っていかざるをえないだろう。
人口構造が将来どうなるかということは、もう数十年前から分かっていたことだ。人口シミュレーションは、そ -
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【あくまで亡国論】
日本の社会保障関連費用は一般会計の3割近くを占め、生産性の低い社会保障という仕事はGDP内の比率が高まり、そのことによってさらなる経済成長にブレーキが掛かってますます…という暗いシナリオ。それでも社会保障という聖域は、金を集める側(財務省)と使う側(厚労省)の絶妙な組み合わせと、年寄優先という政治構造によって成り立っている。現政権の社会保障への無関心、というのも確かに相当なものだ。消費税は、そのために上げたはずであるのに。この辺までは、うなずける。
世代間格差ということに随分と触れている。ただ、世代間格差というのは、僕はあって当然に思う。だって、違う世代なのだから。1年 -
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ネタバレ日本の社会保障の欠点(過剰給付、賦課方式、参入規制)については言い尽くされた感もあり、対策も明らかではあり、内容的には新味なし。よくまとまっているが、本書でなければ読めない、という内容もない。
・一般歳出の54%が社会保障関係費になっており、国の財政はこれで精一杯。保険料なども含め、社会保障給付費は110兆円にものぼる。医療・介護にかかる自己負担分を足すとGDPの4分の1程度にもなる。しかもこの額(国民として負担している総額)は年間3−4兆円のペースで増えている。1991-2013の間、経済は全く成長していないのに社会保障給付費は二倍になっている。
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2/14からの確変フィーバーが終わった後
自分の資産についての今後の扱いを
どうしようかを考えています。
<前書き>
9月17日に日本銀行が発表した統計によると、6月末の段階での国と地方の債務残高が1035兆円と、初めて民間企業の債務残高を上回りました。これは政府予算が膨張する一方、民間の経済活動が停滞し、債務が減ったためです。政府債務はGDP(国内総生産)の2倍を超えるという先進国では最悪の水準に達しましたが、2011年度予算の概算要求も96.7兆円と昨年より膨張し、財政再建のめどは立ちません。
私が就職する以前から「日本は破綻する」 「ハイパーインフレがやってくる」と -
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ネタバレ財政問題と社会保障問題の2本立ての本。
筆者は、「財政も大変だし、その原因に社会保障があるよ」って言っている。だから、社会保障はしっかりと考えなきゃって述べている。
全体的には、財政問題に関しては、その問題の本質を究明するような姿勢はこの本からは期待できず、あくまでも社会保障を論じるための餌として述べている程度なので、いささか中途半端である。というよりは、少し詐欺まがいな気がする。しかし、社会保障の記述に関しては、初学者に向けて書いているという言っているだけあって読みやすく理解もしやすいと思う。
つまりこの本は、社会保障の概略を知るための本であって、財政問題をこの本から学ぼうとしてはならな -
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『201202 経済強化月刊』
著者の私見が色濃く出ているので注意が必要。社会保障について常識的なことも理解していなかった私なので、制度的な部分に関しては勉強になったが、主張については完全に鵜呑みにする訳にはいかないだろうと感じた。
著者が経済畑の人なせいか、市場の競争原理を評価し過ぎというか、信頼し過ぎなきらいがある。
例えば、医療機関への競争原理の導入を奨めているが、病院の経営重視が強まれば、回転率を上げるために入院患者を早期退院させたり、必要以上の通院・投薬推奨という状況が想像される。
また、医療費自己負担の増加は、低所得者層は必要な治療を我慢してしまい、医療格差が広がるのでは?もち -
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日本の公的な強制保険(年金・健康・介護)のインチキを暴き出す本。確かによく調べてあるし、本書の主張は正しいのかも知れないけど、このことが分かったからと言ってサラリーマンには対処のしようが無いんだよね…。本書を読むと、こういうことに興味を持つこと自体が無駄だと思えてきて、ものすごい無力感に苛まれること必定である。どうせ公的年金だって、厚生官僚がレトリックを駆使して「100年安心」(掛金を上げて給付を減らせば、そりゃあ制度は「存続」できるでしょう)を実現してしまうんだろうし。まっとうな制度に戻すには、もはやデフォルトかクーデターくらいしか道は残っていないんじゃない?(その場合、公的保険がまっとうに
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竹中平蔵, 池田信夫, 土居丈朗(財政), 鈴木亘(社会保障)という経済問題で気が合う面々の座談会を書籍化したもの。こういう固めのテーマは書き下ろしの方がよい。意見の相違がないのだから、ますますそう思う。
議論のテーマは、日本の財政問題、社会保障、労働市場、など。語られていることは大枠で正しいように思う。震災前に出版された本だが、この上さらに震災によるマイナスを乗り越えて世界の中心に日本が躍り出ることは不可能ではないかと思えてくる。
とにかく小泉・竹中の改革を何の検証もなく悪政のように語らせてはいけない。政治的にその方が受けると認識している政治家も多くいるようではあるが。
それにして -
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ネタバレ社会保障と財政。その両方の分野にやってくる危機の実態とその対処法を明らかにした本。
900兆円を超える額の日本の国債の95%は内国債であり、1400兆円あまりの個人資産によって買い支えられている。そのため日本が直ちにデフォルトに陥ることはまずないと思われる。
だが、少子高齢化を迎え、社会保障費が膨れ上ってくることを考えると、このままのペースでの債務比率拡大は危険である。景気が上向いた時点で財政再建をすることが欠かせない。
全体として医療、保育、介護など社会保障に関わる分野の規制緩和と構造改革を進めるべきという論調が強い。その前提の下で、著者は日本の社会保障制度の特徴として、