岡田暁生のレビュー一覧
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いわゆるバロック音楽の後から現代音楽までのことを言うクラシック音楽は、西側キリスト教圏の音楽であり、西洋の時代と切っても切り離せないものであった。いわば時代を表したもの、ということを詳細に歯に衣を着せぬ物言いで語りつくしたのが、この対談だ。バッハあたりからシュトックハウゼンぐらいまで、個々に取り上げている。結構下世話な話も。確かにねえ、時代から離れた人間の活動はあり得ないからねえ。どんな音楽も、その背後にはそれぞれの「絶対倫理」がしっかりと張り付いている、なんて言われると、もっともでございます、でもなんか怖い、いやうーんそんなもんかなあ、と思ってしまう。いちいち音楽を聴くのに、その背後の絶対倫
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ネタバレ概要を大きく知るに当たって、とても参考になりました。時々と見返したい、講義のようなスタイルでした。
第一章 グレゴリオ聖歌
【800-】
・中世の音楽史はグレゴリオ聖歌を軸に発展していった。
・『グレゴリオ聖歌』→単旋律によって歌われる、ローマ・カトリック教会の、ラテン語による聖歌。
・音楽史へのアウフタクトとしての認識。
「西洋芸術音楽」の定義→「知的エリート階級(聖職者ならびに貴族)によって支えられ」、「主としてイタリア・フランス・ドイツを中心に発達した」、「紙に書かれ設計される」音楽文化のことである。
・『オルガヌム』→グレゴリオ聖歌に別の声部を加えたもの。中世前半の音楽を占めた。
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クラシック音楽にまつわる入門書や解説書というのは世の中にごまんと溢れていて、当然のごとくそれらの大半は知的興奮を全く与えてくれないレベルのものばかりである。
そんな情況に対して”Nein”を突き詰めるが如く、京都大学人文研におけるクラシック音楽の専門家として高いレベルの分泌活動を続ける岡田暁生と、政治学者としての顔も持ちながらクラシック音楽に対する広範な知識量でも読者を圧倒する片山杜秀という2人がタッグを組んだ本書は、まさに自分が本当に読みたかった入門書・解説書であった。
本書の特徴は、通常の入門書・解説書ではさらっと触れるような点についても、その背景・理由をごまかすことなくクリアに語ろうと -
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音楽家の学生以外は殆ど学ぶことのない世界が広がった。もっとも、かなり以前より、うっすらと疑問が沈積してきたことではあるが・・クラシックにおける【黄昏】という標題自体 日の当たる感覚ではない印象。
読み始め直ぐに納得~18~20世紀にかけての宗教と娯楽の分裂のプロセスと解説に有るこの詳細な語りが続く、実に面白く、これぞ教養としての学びという気がした。
中世より以降 「グレゴリオ聖歌から世俗的な音楽解体」へと連なる流れ それはある意味各党と言っても忌憚のない表現。その大半はドイツロマン派の努力になるモノで それを忌避するか好むかは人それぞれだが//ドイツ3大Bの一人 バッハの偉大なる力はその核に -
Posted by ブクログ
久しぶりに著者が表現した通りか興味を持ってしまうという感情が湧き上がった。
序盤は最後まで読めるだろうかと心配になったけれど、バロック辺りから歴史の教科書と楽典と音楽史そして楽譜が並行して並び、だからか!まるで学生のような学びが腑に落ちた。
バッハと言えば宗教的楽曲、それはキリスト教になじみがない日本人なら難解に感じるのも否めない。
宗教というより、民衆が音楽を聴けるのは、催事や宗教への参加などでしかなかったということ。これに尽きる。
そうした事は教科書にはなく、この本ではそんな事が並行して書いてあるので成る程と思う事が多い。
特別に楽器を習ったとか音大とかでなくても、この著者の言う意味が