岡田暁生のレビュー一覧

  • クラシック音楽の大疑問  角川選書ビギナーズ

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    思っていた感じとは全く違っていたけれども,これは良書。
    裏表紙に書かれている解説や,「はじめに」の前書きに書いてある著者のコメント内容から,てっきりクラシック音楽について,初心者が抱きがちな質問に答えることで,音楽理論や脳科学的な見地から,クラシック音楽を分析・解説する本なのかと思っていたが,実際は,クラシック音楽がいかに西洋の歴史,つまり世界史(主にヨーロッパ史)と密接に関わっているのかについて,初心者向きな内容なので,ざっくりとではあるが,優しく説明して教えてくれる本だった。

    ただ,そのような感じなので,何を期待してこの本を読み始めたかによって,だいぶ評価や好き嫌いが分かれそうな内容では

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    2025年11月28日
  • クラシック音楽の大疑問  角川選書ビギナーズ

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    実に面白かった。クラシックファンの私にとってクラシック音楽は全てでありますが、改めて原点に帰って考え直せました。

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    2025年11月13日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    ホームズと並行して読んでいた一冊。
    実はこのところにわか趣味でクラシックにハマっておりまして、名曲をたくさん聴く中で、これらを体系的に知っておきたい……と手に取ったのが本書です。
    クラシック音楽の知識といえば音楽の授業レベルしかない私ですが、そんな自分でも数百年の西洋音楽史を見通せたような、実にわかりやすい良書でした!

    『グレゴリオ聖歌』から始まる中世音楽はどちらかというと歴史の授業を聞いている感じでしたが、やはりバッハが現れてからは抜群の面白さに。
    「バロック音楽=バッハ」と考えがちですが、彼は当時にしては異質な存在だったこと。さらに、そのバッハがメンデルスゾーンによって「再発見」され、「

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    2025年10月17日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    バッハからストラビンスキーに至る(諸説あり)クラシック音楽を中心に、音楽と社会の関わり、時代時代で主流となった音楽と社会体制との関連と、その変遷について碩学2人が語り尽くした本。

    改めて提示されてみると、思想同様にいろいろな束縛から自由なはずの音楽が、時々の社会体制と密接に関わっていることに驚かされる。

    バッハが活動したライプツィヒはカソリックと対立したルター派の総本山であり、バッハは神の秩序を自ら音楽に表現しようとしたプロテスタンティズムの象徴。
    貴族に庇護されサロン中心に演奏したヘンデル、ハイドンと異なり、ナポレオンの出現により国民国家が生まれ育つ中で交響曲や協奏曲などの形式を確立し「

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    2025年07月11日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    クラシック音楽から人、国、歴史を知れること、個人的には好きな近代音楽はベートーヴェンが描いた理想世界とは異なる歪んだ現実社会への反逆を通して各々が出身国や人としての個性を出しているのかもなと思え、興味深かった。

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    2025年04月16日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    ネタバレ

    面白かった!!!きちんと音楽史として眺めることで、自分の中にある諸々の言語化を突き付けられ、そうですよね、ハイ…となっていました笑

    序章 バッハ以前の一千年はどこに行ったのか
    ポスト・ヒューマン時代には…
    (片山)そうなると、ベートーヴェン的な音楽は「虚偽」に聴こえてくると思うんです。だって、かつては≪第九≫一曲に「世界」のすべてが入っていて、それを聴いたり演奏したりすればユートピアに至るーというつもりで聴いてこそだった。…しかし幻滅する。ベートーヴェンを聴くこと自体が、バカバカしくなってくる…。(p.36)
    (岡田)環境音楽ーたとえば、ひたすらサラサラと流れるせせらぎの音を聴いても、それで

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    2024年04月09日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    ネタバレ

    クラシック音楽が辿ってきた道を、時代背景も含めて俯瞰して見られる名著。文中に登場する数々の曲をYouTube再生しながら読み進めると、格段に理解も深まり最高に面白いのでオススメ。
    大好きなバッハについての言及が少なかったことだけが寂しかったですが、、素晴らしい本に出会えました。

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    2024年04月03日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    音楽評論家と音楽学者が繰り広げるクラシック音楽の深い話。
    まるで酒を飲み爆笑しながら「あいつはあーだこーだ」と言っているようでとても痛快。

    小説に繋がったり、政治に繋がったり、楽器を演奏したりクラシック音楽が好きで聴いているだけでは知り得ないことが満載。
    ちょっとダークな部分もあるが、時代背景から仕方ないことも理解できたり。
    特にベートーヴェン株式会社が何をどうして作り出したものは何か…是非読んで知ってほしい。
    アッセンブリーするだけでなく一つ一つ部品を作る、そんな想像をしながら新しい気持ちで聴きたくなるベートーヴェン。

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    2023年09月23日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    さまざまな音楽批評の事例から,音楽の聴き方および語り方について解剖する本。主張自体は無難なものが多いものの,巻末の読者案内を始め単純に勉強になる内容が多い。

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    2023年09月21日
  • クラシック音楽とは何か

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    クラシック、特にオケ曲関係の記事が、詳しく、読みやすく、そして、とても面白く書かれている。冒頭から、いかに、一般の方との距離感を自覚できていないかに気付かされる。なんで一つの曲なのに四つも曲(楽章のこと)があるのかとか、作曲者、曲目、演奏者(演奏団体、指揮者、録音年)など、さまざまなパラメータがあって一つ違えば別物だし、それぞれの名称がどのパラメータになるのか知っておく必要がある。自分が初心者だったころにもそんなこと思ったなとか、また、以前、出演したコンサートを聴きに来てくれた知人に「演奏後、指揮者が何度も出たり入ったりするの、なんで?」とあとから聞かれたことを思い出した。

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    2023年07月04日
  • ごまかさないクラシック音楽(新潮選書)

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    以前、のだめを許容しない時代遅れの権威主義者に呆れた覚えがあるが、そんな奴がこの本を読んだら、発狂するかな?
    まぁ、片山先生の名前でもって、猫またぎになるんだろうけどね。
    諸井誠は第九の対抗馬を同じ9番の新世界にしてたけど、第九のアンチはタコ5だ、というのは、判りやすい話ではある。
    シルヴェストリの狂気の突撃演奏で、人類愛の幻想なんかぶっ壊せ!

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    2023年05月28日
  • オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

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    絢爛豪華な劇場に人々が集うオペラ文化。その誕生から終焉までを描いた新書。200ページほどで、とっても読みやすい。作品自体の分析よりは、絶対王政、市民革命、鉄道の発達といった社会経済の変化が作品や興業のあり方に与えた影響に、力点が置かれている。音楽の社会史ということだろう。

    オペラ文化にとってかわったのは、第1次大戦を機に勢いを増す米国の大衆文化であり、とくに映画であった。はたして映画の運命やいかに。

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    2022年01月31日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    分かりやすいだけでなく、文章が巧い。内容もよくまとまっており、地に足の着いた議論が展開されている。ありきたりの解説にもシニカルに歪んだ奇説にもなることなく、中道的ながらフレッシュな論理展開がなされていて好感。軽く要約もして、大いに勉強させて頂いた。再読の価値あり。

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    2021年09月04日
  • 音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日

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    コロナ禍の最中における、またコロナ禍の終息後におけるクラシック音楽のあり方について、今までのクラシック音楽の歴史を踏まえつつ、今後の展望が語られている。それは、ある意味でひどく勇気のあることであると言えよう。後出しジャンケンでは何とでも言えるからだ。その点だけを取ってみても、この小冊が持つ意味はたいへんに大きい。

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    2021年07月16日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    作曲された当時と今とでは、聴き手の対象や聴く環境が異なることを、時代背景とともに知ることができました。

    また、現在の音楽史を把握できない理由として、音楽史の主役が作曲家でなく、いわゆる名演と言われる巨匠たちに移っている点に納得させられました。

    取り上げられた音楽を実際に聴きながら、再度読み返したいと思いました。
    2021,3/18-3/19

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    2021年03月20日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    音楽は言葉では表現できないと言われることがありますが、そうではないことを本書は示してくれます。

    ”音楽の少なからぬ部分は語ることができる。語らずして音楽はできない” ということを、指揮者の指示、表現の伝え方を通して説明している様は、とても説得力がありました。
    2021,3/11-3/13

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    2021年03月13日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    ネタバレ

    西洋音楽史をベースとしたクラシック音楽の楽しみ方が主題にはなっていますが、特にクラシック音楽にこだわる必要は無く、芸術全般の楽しみ方を学べる良書。

    西洋音楽史に余り興味が無いのでやや退屈な章もありましたが、特に「はじめに」と「第5章」は秀逸!!素晴らしいコンサートや美術館に行った後(もしくは最高に面白かった本や映画、マンガでも良いと思います)、共通の価値観を持つ友人とそれらについて語り合う時間が最高に楽しい。ただ、その時に「面白かったね」の一言しか語る言葉が無かったらその楽しい時間は一瞬で終わり。でも、「あの部分はこう思ったんだけどあなたはどう思う?」「この部分はちょっと分からなかったんだけ

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    2021年03月11日
  • よみがえる天才3 モーツァルト

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    モーツァルトという人と音楽を広く知ることのできる一冊です。楽曲について、モーツァルトの生きた時代や、彼の手紙をもとに分析されています。また、著者の考えにも納得させられるものがありました。
    2021,2/27-3/1

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    2021年03月02日
  • 音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日

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    緊急事態宣言下の2020年4~5月という極めて短期間に執筆された新書。コロナ禍での音楽というテーマを通じて、現代文化自体の問い直しが試みられている。コロナ禍での思想を後世に伝えるドキュメントとしても、貴重な作品になるだろう。

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    2021年02月03日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    ネタバレ

    ヨーロッパ音楽史の概要書を求めていたので読んだ。大まかな歴史は理解できた。
    気になった点:ストラヴィンスキーやシェーンベルクが音楽には新しい方法や技術がもう無いという認識、つまり「音楽の終焉」を予感した上で活動していたという指摘。また、哲学者のテオドール・アドルノはポピュラー音楽を「常に新しく見えるが常に同じもの」という意味で常緑樹、エヴァーグリーンと呼んだという。我々現代人が日常的に聞いている音楽は19世紀ロマン主義音楽を継承している。そこには新しいものなど無い。音楽学、音楽理論上はそうなのだろう。ただそういった指摘があるからso what?としか聴衆は思わないだろうし、自分もなにか問題でも

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    2020年12月20日