岡田暁生のレビュー一覧
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普段僕たちは、テレビや、ラジオや、喫茶店や、いろいろなところで音楽に触れている。しかしそうした音楽の目的は、その音楽について考えたり、語ったりすることではない。ただ音楽によって得られる感情を提供することが目的になっている。そこでの音楽は、ある種のサプリメントとしての役割しかない。
しかし筆者は、そのような受動的な聞き方だけでは不十分であり、音楽を言葉にする、という能動的な聞き方が必要であるという。
たしかに音楽を言葉で説明し尽くすのは不可能かもしれない。しかし、音楽を言葉にしようという努力を放棄してしまっては、単なる動物と同じになってしまう。
人として音楽をより深く理解し、より深い喜びを得るた -
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歌つきの演劇なら、ミュージカルもあるいは能なんかもそうなのに、オペラをオペラだと言い切る要素ってなんだろう? と以前から思ってました。能とはさすがに違うだろうとは思えるけれど、オペレッタなんてものもあるし、オペラの定義がわからない。
そんな無知な私に親切な手引書でした。
オペラの個々の作品を解説したものではなく、オペラがいつごろどうした状況で生まれて発展し、現在はどんなふうに落ち着いているかという、一種の歴史書。
その歴史についても、作品の作り方や特徴だけではなく、オペラが生まれ上演された時代の空気を中心に書いてくれているので、私のようなオペラの素養がない人ばかりじゃなくて、オペラ愛 -
Posted by ブクログ
中世から現代に至るまで、音楽がその時代の人々にとってどのようなものだったか、どのように変化していったかをわかりやすく書いていて、面白かった。
音楽が人々にとってどのようなものか、距離をとって考えてみたことなんてなかったし、前の時代から受け継いだり変化していった価値観を俯瞰して眺めることが、高校生の頃世界史を勉強してとても楽しかった気持ちを思い出させてくれた。
バッハやベートーヴェンなど有名な音楽家のイメージも、ほぼゼロ知識からなんとなくつかめた。
特にベートーヴェンが一番音楽と向き合い働いた、というのが印象に残った。天賦の才ではなく、労働によって圧倒的な音楽を作り上げた、という見方は以外だっ -
Posted by ブクログ
帯や紹介文には「最強の入門書」と銘打っているが、全く入門書ではない。切り口は、岡田史観と片山思想。この2人が書いた本を、何冊か読んでいない人にとっては敷居が高そうな内容だった。
私は岡田氏の本は数冊、片山氏の本は多く読んでいる。それらと比べると、落としどころやまとめ方が弱い。それは対談だからだ。対談では意見が異なる場合でも、自説を強く主張せず、双方の意見の中間点でまとめる傾向がある。
互いに主張をぶつけ合えば討論会のような面白さは生まれるが、その分、議論は収拾がつかなくなる。テレビ番組であればそれでもよいが、本では結論をまとめる必要がある。結果として強く言い切れず、妥協的な結論に落ち着き、全 -
Posted by ブクログ
現在のコロナ渦にあって、3密のより被っているクラシック音楽のダメージを分籍すると共に、3密を逆手に利用して新たな音楽ないしは芸術を創造できない物かという提案が書かれている。提案にはなかなか興味深い点はあるのだが、現代音楽の紹介的な側面も持っていることは否定できない。
我々は、今まで聴いてきた音楽では無く、新たな音楽を望むばかりではない。これからも、ベートーヴェンやバッハやシューベルトやワーグナーが聴きたいのだ。そのための3密防止下での演奏可能・鑑賞可能な方法論の提案を本書に期待していたのだが、どうも演奏空間の問題として論じられていて現実性に乏しい感があったことは否定できない、ちょっと残念な一冊