岡田暁生のレビュー一覧
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面白かった。
クラシックは一切詳しくなかったので、モーツァルトを始めベートーベン等の近代音楽家が、それぞれ生きた時代や作品個性の違いが何もわかってなかったんだけど、この本を通して知識が広がったのでとても良かった。
クラシックの聴き方も多少心得た気がします。
前よりも聴いてて面白く感じるようになったので。
近代的思想の流行の過渡期に生きたモーツァルト、その世界の流れにおいて彼独自の音楽を展開したことが偉大であったようで。
時代背景からどういう影響を受けながら芸術家が創作をしたか、ということを知るのはやっぱり面白いなあ。
中公新書の『音楽の危機』をきっかけに知った著者で、当該著書を読む前に一 -
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率直な感想として、音楽史を俯瞰できる立場にある現代人は本当に幸せだと思う。
中世の時代にバッハを聴くことは出来ないし、バロック時代にモーツァルトを聴くことも出来ない。そんな中、我々は好きな時代の好きな曲が聴き放題という贅沢な時代に生きている。これを享受しない人生とは勿体ないと思う。
以前にパウル・ベッカーの『西洋音楽史』を読んだが、全然理解できなかった反面、こちらは非常に分かりやすい解説。
パウル・ベッカー並びに文学含め、ドイツ人は気難しいなぁと個人的に思っていたが、まさしく本書でもその気質について言及されている。
今″クラシック″が指す音楽はドイツで生まれたもので、コンサートホールで -
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印象派の写実的な鑑賞からロマン主義の実存的捉え方を経て、、コミュニタリアニズム、ポストモダンまでの、これはまるで思想史をなぞるような、「文学部唯野教授」の音楽史版講義を受けるかのような示唆に富む。が、やはり作者としては、というか、作者の嗜好としては古典的な写実主義に肩入れしてる感はある。観客がリズムをとれないコンサートを嫌悪しながらも、「音楽を言葉で語ること」を至上のものとしているからだ。言葉や言語の奥に音楽があることを相対化しながら、この一点は頑固に譲らない。メタとしては言語での音楽解説はこの本の否定につながるからという理由ではさすがに無いとは思うが。とにかく音楽鑑賞についての言説は時代的に
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2013年はジュゼッペ・ヴェルディとリヒャルト・ヴァーグナーの生誕200周年にあたることから、再読しました。ヴェルディのオペラはイタリア統一運動(リソルジメント)の精神的支柱のひとつとされ、「Viva! VERDI!(ヴェルディ万歳!)」に「イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエレ(II世)万歳!」の頭文字を重ねていた、という記述は、例えば中公文庫旧版の『世界の歴史』にも描かれていた有名なエピソードでしたが、同じ中公文庫に収められた新版『世界の歴史22近代ヨーロッパの情熱と苦悩』では、そうした記述は見当たりません。また、比較的新しいヴェルディの評伝小畑恒夫『作曲家◎人と作品 ヴェルディ』(音楽の友
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現・京都大学人文科学研究所准教授の岡田暁生による、西洋オペラ通史。2001年度サントリー学芸賞(芸術・文化部門)授賞。
【構成】
はじめに 「オペラ」の定義を兼ねて
第一章 バロック・オペラへの一瞥、または、オペラを見る前に
1 オペラ芸術の土台としてのバロック・オペラ
2 「モーツァルト以前のオペラ史」のあら筋
3 オペラの三つの根本性格
第二章 モーツァルトと音楽喜劇、または、オペラの近代ここに始まる
1 オペラ・ブッファの勃興
2 モーツァルトとオペラの「人間化」
3 女、女、女-モーツァルトとエロス
第三章 グランド・オペラ、または、ブルジョアたちのヴェルサイユ
1 革