岡田暁生のレビュー一覧

  • 音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日

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    コロナ禍の今コンサート活動はもとより、そも人が集って何かを為すことが憚られる。何とも音楽にとって不幸な状況を通して、社会にとって音楽とは何かを考察する。
    音楽だけでなく美術や演劇も「閉じた空間で見知らぬ人と肩を寄せ合う営み」で、まさに三密そのもの。衛生観念の前には屈服するしかない。そんな中でもネットの力を利用して、新しい音楽の演奏スタイルや、配信といった発表の場が講じられている。けどこれによって、音楽自体も変わっていくのかもしれない(変わって欲しくないけど)。

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    2020年11月22日
  • よみがえる天才3 モーツァルト

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    面白かった。

    クラシックは一切詳しくなかったので、モーツァルトを始めベートーベン等の近代音楽家が、それぞれ生きた時代や作品個性の違いが何もわかってなかったんだけど、この本を通して知識が広がったのでとても良かった。
    クラシックの聴き方も多少心得た気がします。
    前よりも聴いてて面白く感じるようになったので。

    近代的思想の流行の過渡期に生きたモーツァルト、その世界の流れにおいて彼独自の音楽を展開したことが偉大であったようで。
    時代背景からどういう影響を受けながら芸術家が創作をしたか、ということを知るのはやっぱり面白いなあ。

    中公新書の『音楽の危機』をきっかけに知った著者で、当該著書を読む前に一

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    2020年11月20日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    西洋音楽史を学ぶと同時に、西洋の歴史も学べる。学生時代、単に中世期、ルネサンス期、バロック期、古典期、ロマン主義期などを時系列だけで学んできたが、背景にある歴史、文化、宗教、神への信仰心、革命や戦争と音楽は深く交わっていることが、楽しく理解できた。

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    2020年07月25日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    率直な感想として、音楽史を俯瞰できる立場にある現代人は本当に幸せだと思う。

    中世の時代にバッハを聴くことは出来ないし、バロック時代にモーツァルトを聴くことも出来ない。そんな中、我々は好きな時代の好きな曲が聴き放題という贅沢な時代に生きている。これを享受しない人生とは勿体ないと思う。

    以前にパウル・ベッカーの『西洋音楽史』を読んだが、全然理解できなかった反面、こちらは非常に分かりやすい解説。

    パウル・ベッカー並びに文学含め、ドイツ人は気難しいなぁと個人的に思っていたが、まさしく本書でもその気質について言及されている。

    今″クラシック″が指す音楽はドイツで生まれたもので、コンサートホールで

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    2020年06月06日
  • オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

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    ・ロココ時代の喜劇オペラ
    →ブッファとセリアの合体、「人間劇としての喜劇」(サリエリ『まず音楽、そして言葉』…『カプリッチョ 』のモデル)
    ・パリは「19世紀オペラ史の首都」
    …政権の交代とともに音楽様式が交代
    「救出オペラ」(『フィデリオ』もその影響を受ける)→ロッシーニの「他愛ない笑い」の純化による喜劇オペラ→グランドオペラ(イタリア座のオペラ通)
    ・「国民オペラ」…『魔弾の射手』(香辛料としての国民色?)→異国オペラと紙一重
    ・社交→作品鑑賞→解釈鑑賞

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    2020年03月15日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    クラシック名盤ガイドを探している時に名著として出てきて読んでみました。確かに名著だ。一気に読ませる熱量がある。文章は華麗でいて平明、歴史の中で鳴っていた音、現代人には聴き取れない音があったのだと遥かな想いになる。グレゴリオ聖歌から態度を正して改めて聴きたくなる。これが新書ですよ、一冊でわかった気にさせてくれる、もちろん幻想と知りつつ、巻末にはブックガイド。扉を開いてくれたら大成功、が新書の使命(2020-01-09)

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    2020年01月10日
  • 音楽と出会う――21世紀的つきあい方

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    全編に筆者の音楽への深い愛が溢れる。「癒しの音楽」だのと言われ、まるでサプリメントのように扱われる音楽、またAIによる作曲・演奏など、自らの身体を通さない音楽など「音楽」ではないとする作者の主張は一貫している。
    ともすれば、安易に「消費」されようとする「音楽」への警鐘を鳴らし、音楽本来の姿を追い求める。

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    2019年10月20日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    ”「事実」に「意味」を与えるのは、結局のところ「私」の主観以外ではありえない。”というコンセプトで書かれた西洋クラシック音楽の歴史は、ある程度クラシック音楽の歴史を知っている人にも、新たな発見をもたらしてくれる。
    音楽のことだけでなく、その音楽の生まれた社会的な背景や、建築・美術・文学との関わりにも言及されていて、筆者の幅広い教養の深さが伺われる。名著である。

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    2019年10月17日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    youtubeやapple musicで、文章に登場する曲を聞きながら読んでいくのが楽しかった。
    バロック~古典派は耳馴染みがあったのだけど、それ以前やそれ以後の時代の音楽に触れることができて刺激的だった。

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    2019年08月15日
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏

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    通史として非常にわかりやすい。各時代の曲の特徴を社会状況から説明してくれることも非常におもしろかった。特に古典派とロマン派の章がすばらしい(ソナタ形式が啓蒙的思想に裏打ちされているという話と、ロマン派が公衆という市場により登場したのだという話)。
    あと著者の知識や表現能力が高く、かつあとがきにおける通史を記述する必要性がエモい。信用できる著者だと感じた。

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    2018年06月16日
  • クラシック音楽とは何か

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    モーツァルトとベートーヴェンの違い、交響曲とオペラの音楽としての違いが納得できました。
    そして自分自身がなぜベートヴェンの曲を好きなのかも腑に落ちました。
    そしてドイツ音楽の本質の部分も。

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    2017年12月15日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    聴くことと語り合うこととが一体となってこそ音楽の喜びは生まれるのだ。

    芸術音楽は、「趣味や知恵を深めること」を当初より前提として創られている

    音楽の建築性

    今日では実は逆に、音楽をいつでもどこでも聞けると思わないこと、聴くための手間を厭わないことが大切。

    「料理も作れないお前に、料理の良し悪しの何がわかる!」→「では君はニワトリでもないのに卵の良し悪しの何がわかるのかね 」

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    2017年09月28日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    印象派の写実的な鑑賞からロマン主義の実存的捉え方を経て、、コミュニタリアニズム、ポストモダンまでの、これはまるで思想史をなぞるような、「文学部唯野教授」の音楽史版講義を受けるかのような示唆に富む。が、やはり作者としては、というか、作者の嗜好としては古典的な写実主義に肩入れしてる感はある。観客がリズムをとれないコンサートを嫌悪しながらも、「音楽を言葉で語ること」を至上のものとしているからだ。言葉や言語の奥に音楽があることを相対化しながら、この一点は頑固に譲らない。メタとしては言語での音楽解説はこの本の否定につながるからという理由ではさすがに無いとは思うが。とにかく音楽鑑賞についての言説は時代的に

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    2015年09月09日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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     音楽感、観を持ちたいと思い、手に取る。ほぼどのジャンルの音楽が好きなので、手当たり次第に色々聴いてきたつもりでいたが、本書を読んで少し整理がついた気分。歴史をしらべる、楽典を学ぶ、楽器を演奏してみる(習う)等は興味があれば当然やるだろうことだが、これら今までやってきたことに対しても、それなりの意味を見いだせた。若干小難しい点もあるが、趣味をより良きものにするための指針にもなり、ためになった。

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    2014年05月14日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    決して「体系的」な本では無いけれど、部分部分をさらうだけでも充分音楽の聴き方が変わり得る。

    何とはなしに漠然と耳を傾けていた演奏を「何らかの位置付けを行いながら聴いてみる」という方法を教えてくれた。

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    2013年04月30日
  • オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

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    2013年はジュゼッペ・ヴェルディとリヒャルト・ヴァーグナーの生誕200周年にあたることから、再読しました。ヴェルディのオペラはイタリア統一運動(リソルジメント)の精神的支柱のひとつとされ、「Viva! VERDI!(ヴェルディ万歳!)」に「イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエレ(II世)万歳!」の頭文字を重ねていた、という記述は、例えば中公文庫旧版の『世界の歴史』にも描かれていた有名なエピソードでしたが、同じ中公文庫に収められた新版『世界の歴史22近代ヨーロッパの情熱と苦悩』では、そうした記述は見当たりません。また、比較的新しいヴェルディの評伝小畑恒夫『作曲家◎人と作品 ヴェルディ』(音楽の友

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    2013年01月14日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    絶対的良書やー。人生が豊かになるためのリスナー姿勢を身につけさせる、しかし先入観を与え過ぎないように、ってのを絶妙なバランスでやりきって成功している。最後に「現時点での」ハウツーが載っているのも真摯でユーザフレンドリ。何回でも読みたい。

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    2012年07月09日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    音楽は言葉では言い表せないという言説を否定し、もっと冷静に音楽を聴く方法が書かれている…のだと思う。
    もう少し読み込まないとな 汗

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    2011年09月05日
  • オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」

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    現・京都大学人文科学研究所准教授の岡田暁生による、西洋オペラ通史。2001年度サントリー学芸賞(芸術・文化部門)授賞。

    【構成】
    はじめに 「オペラ」の定義を兼ねて
    第一章 バロック・オペラへの一瞥、または、オペラを見る前に
     1 オペラ芸術の土台としてのバロック・オペラ
     2 「モーツァルト以前のオペラ史」のあら筋
     3 オペラの三つの根本性格
    第二章 モーツァルトと音楽喜劇、または、オペラの近代ここに始まる
     1 オペラ・ブッファの勃興
     2 モーツァルトとオペラの「人間化」
     3 女、女、女-モーツァルトとエロス
    第三章 グランド・オペラ、または、ブルジョアたちのヴェルサイユ
     1 革

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    2011年04月24日
  • 音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉

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    現代の音楽に関するイデオロギーを読み解き、音楽の聴き方を示した著作。
    現代には音楽に限らず芸術において、感性史上主義的な考え方が流布されているが、それは19世紀に作られたイデオロギーの残骸であると著者は言う。
    著者の批評の射程は、音楽に限らず、芸術と言語に関する極めて現代的な問題を綺麗にえぐり出すもので、その点で非常に素晴らしい。文章も平易で読みやすいし展開も自然。芸術が「わからない」という悩みを持つ人の駆け込み寺として。オススメ。

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    2011年02月17日