前作に引き続き、影の内閣が京都御所にいるという設定の今作。
個人的にも思い入れの強い教育がテーマになっていて、大変興味深く読みました。出てくる政治家やジャーナリストたちが軒並み、現実世界の誰かのパロディなので、そこも面白かったです。誰かの言葉を歪曲して解釈し、それを鵜呑みにするリスナーや国民、とい
...続きを読むう図はブラックユーモアが効いていて、コメディ(喜劇)は人生を表すのに適したミディアムだなと思いました。
この本の中で行われる教育を受けたいと思うひとは多いと思いますし、これを実際に実行するとなったら、この本で登場人物たちが直面した以上の批判や非難、いわれなき中傷を覚悟しないといけないんだろうなと思うと、難しいテーマを選ばれたなと作者のことを思います。
教育の本願は、「ホモサピエンス」という動物である生き物を「人間」という存在にすることだ、というくだりに大いに賛同しました。知識を頭に入れることに価値があった社会はだんだんと終わりを告げ(ググれば済むことなので)、それ以上に、知識を「どう」使うのかに価値があるようになっていっているように思います。意見ならなんでもいいわけではなくて、何を根拠に、どう解釈した意見なのか。
ゆとり世代や団塊世代についての作者の意見も、面白かったです。すべてに賛同できるわけではないですが、分かりやすく説明してくれているので、その手腕は素晴らしいなと思いました。
難しいテーマだからこそ、エンディングの終止符感が薄れてしまいますが、でも、このまま続いていくというのが一番良い終わり方だったようにも感じます。
1作目も2作目も、ほとんど話していない閣僚たちがいるので、彼らにスポットライトがあたる3作目が出るといいなと思います。