梁石日のレビュー一覧
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【2026年77冊目】
人気中華料理店のオーナーである劉から、漢方薬の取引を持ちかけられたガクとテツは、巨額の利益が得られる可能性を感じる一方で怪しさを感じていた。ガクはクラブの開店と一人の女に執心し、テツは引き継いだ店の経営に躍起になる中、じわじわと闇が忍び寄っていて…。
タイトル通り、カオスな話でした。ガクとテツが主人公なのですが、ニューハーフのタマゴも物語に色濃く入ってきます。ガクとテツの話だけだと、そこまで変わった物語でもなくなりそうなところを、タマゴが色付けしていった感じでした。というか、タマゴが乗っ取った感じでしたね。サイドキャラクターが、ここまで目立つのは、果たして狙って書かれたのか、それとも勝手に歩き出しちゃったのかがちょっと気になるところです。
言葉遣いが下品なところがたまにありますので、下ネタが苦手な人はちょっと眉を潜めることになるかもしれません。視点もよく、神様視点になるので、違和感を抱く人もいるかもですが、これはこれでありかなと思いました。読みにくくはありません。
サイドキャラクターのタマゴが発する発言に、実はいいねと思うことも多かったお話でした。 -
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ネタバレ【2025年154冊目】
微笑みの国、タイ――そこでは人知れず闇に消えていく子どもたちがいる。児童買春、臓器移植のターゲットになるのは親に売られた子どもや、ストリートチルドレンだ。人権団体で働く音羽恵子は、現地人のナパポーンのもとで子どもたちを救おうと動くが⋯。
久々に、めちゃくちゃ気が滅入る本を読みました。映画は公開当時観に行って、そこでもめちゃくちゃ落ち込んだんですけど、本の破壊力たるや、とんでもなかったです。そこまで書く?!というような描写が徹底的に続く前半でリタイアされる方も多いのでは。人間て本当に醜悪な生き物なんだと嫌になっても仕方ないです、この話は。
そしてね、救いもないんですよ。戦いは永遠に続くような終わりなんです。映画を観た時から原作も読もうと思ってましたが、こんなに重いなんて。現状は少しでも改善しているのだろうかと祈る気持ちで検索してみましたが、あまりこれといった内容はヒットせず。まだ闇の中にあるんでしょうか。
なんというか、気軽に人には勧められない本なんですが、人として知っておいたほうが良い内容な気もします。これは小説という体の現実です。 -
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【2024年127冊目】
夢と現実の境目に囚われた男。戦争に人生を狂わされ、復員後も壮絶な一生を過ごした男。ある一定のルートから抜け出せなくなった男。幽霊を見たタクシー運転手の後悔。雨の日の客とタクシー運転手。魔が差した真面目なタクシー運転手。長距離運転の罠。全七篇の短編集。
初の梁石日さんの作品でした。全七篇ですが、そのうち四篇がタクシー運転手の話です。偏りすぎでは?もしかして、梁さんタクシー運転手の経験ある?って思って調べたらやはりでした!実体験も混じってるかもしれない。
どのお話も文体が綺麗でシンプルでするする読めます。時折、軽めのエログロも入ってきますが、可愛いもんです。初めての作品としてこちらから入りましたが、長編に行く前に読んで好みかどうかを確かめるにも良いかもしれません。
あらすじにある「醒めない悪夢の果てにある暗黒世界を描く」はちょっと大袈裟な気もしましたが、嫌いではない表現ですね。 -
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著者の友人である詩人の金時鐘をモデルにした作品。
日本の植民地であった朝鮮での出来事が綴られている。
朝鮮の人たちに日本語や日本文化を強制する日本も、戦争に負ける。
そこから、終戦を迎え、日本文化を刷り込まれてきた主人公の金宗烈は朝鮮人としての自覚を取り戻す。
しかし、その際に暮らしていた済州島での虐殺事件に巻き込まれることになる。
そこから、日本へ密航して死を免れるが、暮らしは楽ではなかった。
詩作も始め、在日朝鮮人の詩人たちと同人誌を創刊するが、組織からの圧力に反発し続けたことで廃刊となる。
生きるために親も故郷も捨ても、生きたいと願う強い思いと自らの意志を捨てない強さは読み応えあり。
2024.2.10 -
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何をやっても続かず借金ばかり。
それなのに毎晩のように飲み歩く趙奉三と悪友の李南玉。
タクシー運転手だった趙奉三は事故に遭ったことから、そのことを小説に書いたりしていたが、失業中だった。
南玉に誘われ、色々と仕事をしてみるが2人ともいい加減な性格だから、続かない。
南玉から健康マットを売る仕事に誘われた時、趙奉三はねずみ講ではないかと警戒し、なかなかやるとは言わなかった。
それなのに、ズルズルと引きずり込まれ、こんなことをやっていてもいつかまたダメになると思いながらものめり込んでいく。
たまに自己啓発の講習会でもあるけど、その場の雰囲気というか、そんなものに流されてしまうんだろうなぁ。
これがまた、梁石日の体験に基づいて書かれているというのだから驚き。
面白くないはずがない。
2020.2.27