スタンダールのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ずっと手を出したいと思っていた名著にやっと手を出せた。
当時のフランスの状況のことはよくわからないが、それでも内容的に楽しめるだけの作品だと思う。
当時の時代背景のメモ
この作品が書かれた時代はナポレオンの時勢が終焉後の王政復古期である。
当時の勢力抗争として考えられるのは、「王党派」(貴族、上層階級)と「自由主義勢力」(それ以外の庶民)である。「王党派」は復古した王政の権力維持を唱える保守勢力。「自由主義勢力」は革命的な勢力である。
主人公は「自由主義勢力」の立場である一方、彼が仕えたレノール町長、恋仲になったレノール夫人は「王党派」である。
上巻では、主人公の貴族的な「王党派」に対する -
Posted by ブクログ
ジュリアンがついにパリへ。
ジュリアンはもはや、線の細い男の子ではなく、パリに出してもおかしくない、深い考えとか世渡り術とか恋愛経験を吸収した美青年になっている。
私は古典とか歴史とか、趣味とするほど好きなわけじゃないので、心理とか恋愛テクニック方面の視点から読んでました。フランスの革命期の政治の所とかはすっとばし気味笑
ラ・モール嬢の感じた、「私は本当はあの人に恋などしていなかったのかしら?」という当惑が本当によくわかってしまった、21の秋!
その過去形の文体も。
ラ・モール嬢はその美貌と高貴な身分のせいか、自尊心が高まりすぎて、感情やら、イベントやらをまるで義務のようにこなす -
Posted by ブクログ
たぶん初めて、乗り物の中で読むことができた本です。
今まで、乗り物で本読むと気持ち悪くなってたから。
それだけ集中して読めた面白い作品だったってこと
主人公のジュリアン、はじめはそこまで「美少年」じゃないんだと思ってた
作者もそうだったのかな。書いてたら付け足したくなっていったみたいな。
金がほしい、という強すぎる思いから、僧職につくため、乗り気じゃなかったのにかかわった貴族たち。
いつぞや自分は貴族的な生まれながら泣く泣く神学校に入る、みたいな感じになっていくジュリアン。
目的と手段と自分の心とを分けていたはずなのに
もういっかあ、って
古典新訳は、内容には親しみたい -
Posted by ブクログ
ネタバレ『赤と黒』はナポレオン失脚後のフランスで片田舎の職人の息子ジュリアンが、立身出世を目論み上流階級の間隙を渡り歩くサクセス(?)ストーリーです。
この時代で出世をするに当たってなによりも必要なものはお金、高い身分、そして縁故でした。その中でジュリアンに備わっていたものは縁故のみ。それも司祭様の教え子であった程度。彼はその一本の蜘蛛の糸から己の才能と美貌で、新たな糸に繋いで登っていくのです。
上巻においてジュリアンを導いてくれた新たな糸はレナール夫人。
司祭様つてでジュリアンの優秀さを知った町長に子供たちの家庭教師にと雇われて、出向いた家の奥様です。金や身分のことしか頭にない夫と対称的に、