スタンダールのレビュー一覧

  • 赤と黒(上)

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    ずっと手を出したいと思っていた名著にやっと手を出せた。
    当時のフランスの状況のことはよくわからないが、それでも内容的に楽しめるだけの作品だと思う。

    当時の時代背景のメモ
    この作品が書かれた時代はナポレオンの時勢が終焉後の王政復古期である。
    当時の勢力抗争として考えられるのは、「王党派」(貴族、上層階級)と「自由主義勢力」(それ以外の庶民)である。「王党派」は復古した王政の権力維持を唱える保守勢力。「自由主義勢力」は革命的な勢力である。
    主人公は「自由主義勢力」の立場である一方、彼が仕えたレノール町長、恋仲になったレノール夫人は「王党派」である。

    上巻では、主人公の貴族的な「王党派」に対する

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    2012年10月17日
  • 赤と黒(上)

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    沸き起こる感情の前には信仰も無意味。そんなメッセージを感じた。
    僧侶達の多くが金銭欲に駈られた卑俗な存在として語られていて、宗教(カトリック)への不信感が作品ににじんでいるのが印象的。

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    2012年08月20日
  • 赤と黒(下)

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    ジュリアンがついにパリへ。
    ジュリアンはもはや、線の細い男の子ではなく、パリに出してもおかしくない、深い考えとか世渡り術とか恋愛経験を吸収した美青年になっている。

    私は古典とか歴史とか、趣味とするほど好きなわけじゃないので、心理とか恋愛テクニック方面の視点から読んでました。フランスの革命期の政治の所とかはすっとばし気味笑

    ラ・モール嬢の感じた、「私は本当はあの人に恋などしていなかったのかしら?」という当惑が本当によくわかってしまった、21の秋!
    その過去形の文体も。
    ラ・モール嬢はその美貌と高貴な身分のせいか、自尊心が高まりすぎて、感情やら、イベントやらをまるで義務のようにこなす

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    2012年04月21日
  • 赤と黒(上)

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    たぶん初めて、乗り物の中で読むことができた本です。
    今まで、乗り物で本読むと気持ち悪くなってたから。

    それだけ集中して読めた面白い作品だったってこと

    主人公のジュリアン、はじめはそこまで「美少年」じゃないんだと思ってた
    作者もそうだったのかな。書いてたら付け足したくなっていったみたいな。
    金がほしい、という強すぎる思いから、僧職につくため、乗り気じゃなかったのにかかわった貴族たち。
    いつぞや自分は貴族的な生まれながら泣く泣く神学校に入る、みたいな感じになっていくジュリアン。
    目的と手段と自分の心とを分けていたはずなのに
    もういっかあ、って

    古典新訳は、内容には親しみたい

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    2012年04月21日
  • 赤と黒(下)

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    誤訳と騒がれた本書だが、ジュリヤン・ソレルの未熟な面が「僕」というおとなしめの語り口とものすごく調和している。新潮文庫の「おれ」だとすごく違和感がある。野崎訳を読んだ後に他の翻訳を読むのは、今のところ抵抗がある。

    上巻の疾走感に比べ、下巻のなかばは、なかなか話が進まず中だるみしているように思えた。
    けど、ラストに向けての展開は秀逸。
    マチルドの異常さも際立っていて物語に引き込まれた。
    七月革命前のフランスの雰囲気は、きっとこんなんだったろうと味わい深く楽しめた。
    この時期のフランス小説は面白い。

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    2012年03月20日
  • パルムの僧院(上)

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    正直、前半は退屈だった。以前に読んだ赤と黒がよかったので我慢して読んでいると、後半から急に面白くなってきた。
    会いたくても会えない苦しさが伝わってくる。
    しかし、無神論の自分としては盲信による無駄な苦しみとしか感じられず、いかにキリスト教というものが、人を不幸にしてきたかをもあらためて感じてしまった。
    しかし、終わり方が急展開過ぎ…

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    2012年02月12日
  • 赤と黒(上)

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    上巻は読むのに苦労した。19世紀初頭のフランスの慣習や文化について知識がないからか。天気のように様々な面を見せるジュリアンの不安や憤りに共感することは多かった。冷静さと激しさなど、多くの正反対の性質を合わせ持つ彼だからこそ、多くの人の心に入り込めるのだろう。

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    2012年01月31日
  • 赤と黒(下)

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    ジュリアンとラ・モール嬢との恋の駆け引きは、まるで小学生同士の小競り合いのように滑稽でおもしろかった。身分の違いは人の心に思いがけない光を宿らせる。

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    2012年03月11日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

     『赤と黒』はナポレオン失脚後のフランスで片田舎の職人の息子ジュリアンが、立身出世を目論み上流階級の間隙を渡り歩くサクセス(?)ストーリーです。
     この時代で出世をするに当たってなによりも必要なものはお金、高い身分、そして縁故でした。その中でジュリアンに備わっていたものは縁故のみ。それも司祭様の教え子であった程度。彼はその一本の蜘蛛の糸から己の才能と美貌で、新たな糸に繋いで登っていくのです。
     上巻においてジュリアンを導いてくれた新たな糸はレナール夫人。
     司祭様つてでジュリアンの優秀さを知った町長に子供たちの家庭教師にと雇われて、出向いた家の奥様です。金や身分のことしか頭にない夫と対称的に、

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    2012年03月11日
  • 赤と黒(上)

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    なんかもうダメだこいつら…
    他にすることなかったんかねフランスの貴族というものは?
    1830年頃のフランスの時勢をよく反映しているのはとっても面白かったです。各都市がいったいどのような印象を持たれていたのかや、教会内部の対立などについてが生き生きと描かれていると思います。

    誤訳がひどいということで大変叩かれていますが、すごく読みやすいのは確か。古典であるにもかかわらず(というとアレですが)、取っつきづらさはないと思います。
    別に私は仏文学者ではないので、あらすじが大体わかればいーやと思ってしまうのです。

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    2011年12月14日
  • 赤と黒(上)

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    周りから見れば、ジュリヤンは翻弄する人。読者から見れば、翻弄しているようで、実はそれ以上に翻弄されている人。斜めに鋭く見るジュリヤンは、本音と建て前をうまく使い分ける。そこに大きなギャップがある。もしも()書きで心理描写が記されていなかったならば、ジュリヤンは恐ろしいほどミステリアスに見えただろうし、読者からしても「どうしてそうなったのか」と突っ込まずにはいられなかっただろう。

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    2011年11月07日
  • 赤と黒(上)

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    上下巻で1000ページというページ数だけで泣きそうですが、軽快なペースでサクサク読めます。ラストにびっくり。

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    2011年12月08日
  • パルムの僧院(上)

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    ファブリスーー!!この幸せ者そして馬鹿やろう(´;ω;`)恋愛を馬鹿にしているようで至極真面目に身体を張る彼が好きだぁ。そんな彼にちょっぴり共感出来るのがまたなんともいえず悔しかったり嬉しかったり‥。続き楽しみ。

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    2010年12月30日
  • 赤と黒(上)

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    浦野所有。

    これは理屈抜きに楽しめる小説ですね。恋愛小説というより、痛快な冒険小説の色が濃くないともいえない内容です。時代背景がわからなくても、ストーリーだけで十分、読み進められると思います。

    『赤と黒』は『モンテ・クリスト伯』とならび、「これぞ小説のなかの小説」といわれることも多い作品。この世界を触れるためだけにパラッと読むのも悪くないです。

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    2010年06月02日
  • 恋愛論

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    100年以上前に書かれたものであるにも関わらず、今読んでも響く。それだけ普遍的なものでもある、恋愛は。

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    2010年05月05日
  • 赤と黒(上)

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    あらすじを読むと青年ジュリアンの恋愛と出世の話のように思われるが、読んでみると副題の十九世紀年代記にふさわしく当時のフランスの社会情勢をよく反映していることに気づかされた。要所要所に派閥の対立やもっと漠然とした体制的な臨場感がかかれており、ジュリアンを通してその時代を感じるようであった。
    恋愛小説としては私たちの感覚とはすこし違うものを感じるのが正直なところだが、ジュリアンが恋愛によって支配しようとして逆にに翻弄される様はおもしろく、また悲劇的であった。

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    2010年04月07日
  • 赤と黒(上)

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    歴史を全く勉強していなくても「とりあえず王党派と自由主義者が対立していてなかなか本音が言えない時代なのね」と納得して読めば大まかな図式はつかめるはず
    どうしても心配なら先に解説を読んでしまうのをオススメします

    政治の話やら時代を中心にした描写の部分では?となるけれど、おもしろい
    普段私小説とか日常を元にした本ばかり読んでいるから、歴史を基にした話は新鮮

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    2010年12月04日
  • パルムの僧院(下)

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    愛する叔母サンセヴェリーナ公爵夫人、その愛人である宰相モスカ伯爵。彼らの必死の努力全てを水泡と化し、クレリアと会うためだけに牢獄へと戻ったファブリス。暗闇で育まれる愛の行為。妄想とも呼べるほど激しい恋の数々に、どこか滑稽ささえ感じさせられる作品です。

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    2009年10月04日
  • パルムの僧院(上)

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    『赤と黒』と並ぶスタンダールの代表作。イタリアの一公国を舞台に、美貌と知性でパルムという国そのものを動かしていくことになるサンセヴェリーナ公爵夫人。美しく愚かな甥のため、その地位を利用して一生を捧げたしたたかな女性の物語。

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    2009年10月04日
  • 赤と黒(下)

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    心理描写があまりに素晴らしく、魅了され、ぐいぐいと引き込まれる様に読んでしまった。「性にまつわる描写が1行もないのに、なんというエロチズムの香りか・・・」と亀山郁夫さんが書いていたけれど、正にその通りだった。自分の頭で描いたジュリアンとレナール夫人を、現実の画像―映画の二人と比べてみたくて、写真を探した。1枚だけ、私の描く繊細なジュリアンに近いのを見付けた。赤は軍人、黒は聖職者を指しているのではないか、と言われているが、その時代背景と共に生きることの難しさ、それはいつの時代でも共通するものだと思った。淡く、甘く、優しく、悲しかった。

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    2009年10月04日