スタンダールのレビュー一覧

  • 赤と黒(下)

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    家族には恵まれなかったけど、神学校の先生や侯爵、友人関係ではかなり幸運な人だったと思える。現代フランスでも40代の女性が1番魅力的と言われるだけあって年上のレナール夫人(ただし当時30歳前後)の方が侯爵令嬢より大分魅力的に描かれている。

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    2023年04月22日
  • 赤と黒(上)

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    ナポ1敗北。ルイ18復古王政。シャルル10、王党派貴族を優遇。昔の絶対王政・貴族の息苦しい時代に逆戻り▼貧しい若い男ジュリアン。身分は低いが、いつか出世したい。頭はいい。町長の家に家庭教師として雇ってもらい、そこの夫人と不倫。「高貴で美しい女を手に入れた」▼家庭教師を辞めさせられたジュリアンは神学校に入学。そこの神父の紹介でパリの侯爵の秘書になる。侯爵の娘と結婚の流れに。玉の輿成功かと思われたが、町長の夫人(前の愛人)が侯爵に「こいつはひどい男」だと告げ口。「彼は、うわべはいかにも無欲な顔をしながら、か弱い不幸な女を誘惑し、一家の財産を手に入れようとする偽善者です」。結婚の話はなくなる。ジュリ

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    2023年03月26日
  • パルムの僧院(下)

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    下巻に至って、いよいよファブリスとクレリアの純愛か、叔母のサンセヴェリーナ公爵夫人の盲愛・偏愛によるファブリスの不幸か、となります。

    貴族ファブリスは恋のつまらないさや当てで、旅芸人の男を殺してしまい、当時(17~18世紀)​のイタリア公国は「お手打ち」はおとがめなしなのだが、専制君子の大公の虫の居所によって、ファルネーゼ塔という監獄にいれられてしまったのでした。

    美魔女とでもいうのでしょうか、宮廷の男性という男性を惹きつけてやまない貴族の娘のジーナ叔母(サンセヴェリーナ公爵夫人)は政治的手腕も長けていて、おまけにモスカ伯爵というもっと辣腕の大臣を巻き込み、監獄からファブリスを助け出すとい

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    2023年01月10日
  • パルムの僧院(上)

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    主人公のファブリス・ヴァルセラ・デル・ドンゴは北イタリア・パルム公国、デル・ドンゴ侯爵の二男にして、出生の秘密あり。

    時はナポレオンの遠征時代、フランス軍はミラノに入城、疲労困憊している軍中尉ロベールはデル・ドンゴ侯爵夫人の館に宿泊したというところから始まる。

    ミラノの郊外コモ湖のほとりグリアンタのデル・ドンゴ侯爵城で、ファブリスは16歳になった。吝嗇な侯爵の父親に冷たくされるのは事情があるからで、ずばりフランスはスタンダールだね。

    ともかく夢見がちな少年はナポレオンが再び遠征したと聞くと、イタリアの生家をとび出してワーテルローへはせ参じるのである。戦いの場で世間知らずのおぼっちゃん、ど

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    2022年12月28日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    とにかくめんどくさいやつらばっかり。本来だったら数十ページかけてやるだろうめんどくさい恋愛のあれこれが2ページくらいにぎゅぎゅっと濃縮されてどのページを見てもめんどくさい。名誉や義務のために人を好きになろうとする主人公のクズっぷり。義務のはずだったのに本気で好きになってたり、相手が自分を愛してないんじゃないかと不安になったかと思うと相手のことを軽蔑したりと登場人物全員が非常にめんどくさい。世の中の人はみんなこんな山の天気みたいな恋愛してんのか?でも悔しいことに愛の文句はまたこれ以上 なく熱烈。

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    2022年12月20日
  • 赤と黒(下)

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    巻末の解説が充実しているので、フランス社会史的な部分もある小説を読み解く参考になった。
    実際にあった事件をもとに小説を書くところは日本でいうと三島由紀夫さんのようなものか…。

    自分のなかでは、赤は恋愛と血。
    黒は社会的出世と死を意味しているように感じました。
    前半がジュリアンが求めたもの。
    後半がその結末。

    ジュリアンのお相手として、前半は田舎の貴族である町長の奥さんであるレナール夫人、後半はパリの最高級貴族のマチルド嬢が登場するけれど、人間的に魅力的なのは断然キレっぷりが半端ないマチルド嬢だと思われます。

    しかし、どちらも最終的にはジュリアンを通じて自分自身を愛しているように見え、若き

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    2022年11月19日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    恋愛と社会階級のふたつの側面からそれぞれに注目しながら読むと楽しめるかもしれません。なんなら2回読むのもありでしょう。

    筆者は「恋愛論」なんて本も書いている方であるため、解説等にもあるように恋愛を分析した描写はかなりひきつけられます。
    社会階級に関しては、主人公がよく喋るためにそこまで理解し難いものでもなく、対立構造は難なく読みとけます。当時の雰囲気が伝わってくるため、世界観に入り込みやすいと思います。

    私は上下巻で1ヶ月ほど時間をかけて読みました。
    個人的にですが、もっと一気に読み進めればまた違った感想になったのかなと思います。
    またいつか読みたいものです…。

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    2022年10月07日
  • 赤と黒(上)

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    冒頭の舞台説明を耐えればあとは文章の勢いで最後まで連れていかれる。誤訳論争を抱えている翻訳ではあるが、このキレのある飲み口は正確性を犠牲にしてでも魅力的だ。フランス史やキリスト教に詳しくない場合は巻末の解説から読んだ方が物語の対立構造がよく理解できる。わたしも詳しくないため大いに助けられた。

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    2022年07月30日
  • 赤と黒(下)

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    フランス文学は恋愛、心理、自己嫌悪、嫉妬等生々しい感情がストレートに表れると感じた。共和主義と自由主義との階級対立という背景が掴めないと分かりにくい。レーナル婦人、ジュリヤンソレル、アマンダ、マチルダ嬢、クロワズノフ伯爵、舞踏会、自殺等人間の心理的描写がよく分かった。

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    2021年12月31日
  • 赤と黒(下)

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    読書会のプレゼント企画でいただいた一冊。学生時代以来、約20年ぶりの再読になる。物語の大半はフランスの貴族階級における恋の駆け引きの描写に費やされる。ただそれも興味深いシーンが多くて、引き込まれるものがあった。ラストはあっけない印象が残るも、それが返ってよかったように思う。末尾にある訳者解説から、モデルとなる実際の事件があることがわかるけれども、それを知らなくとも十分楽しめる。

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    2019年08月02日
  • 赤と黒(上)

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    読書会のプレゼント企画でいただいた一冊。学生時代以来、約20年ぶりの再読になる。ナポレオンに憧れて立身出世の野心に燃える青年が主人公なのだが、ページのほとんどを地方の名士の奥様である人妻相手に恋愛の駆け引きを楽しむ描写で費やしている。心理描写らしいモノが皆無に近い現代日本の小説に慣れていると、心内文の長い本作に面食らうかもしれないが、今でも一読の価値があると思う。

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    2019年07月19日
  • 赤と黒(上)

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    ジュリアンとレナール夫人、ジュリアンとマチルダの恋愛が描かれるが、3人3様の心理が面白さの焦点。レナール夫人は子供が複数いるのに恋愛には初心で3人の中では一番純粋に相手を愛することができる人。マチルダは地位と金、若さと美しさ全てを持っているが退屈で持ってないのは幸せだけ、という人で、恋愛を人生ドラマの道具立てにして自分の中で盛り上がる人。ジュリアンは貧乏な平民の生まれのコンプレックスから自尊心を満たすために高いポジションの女性を征服することが動機となっているが、その時々で相手を愛する気持ちが生じて揺れ動く。200年近く前に書かれた小説としては、ジュリアンとマチルダの心理戦がきめ細かく描かれてい

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    2019年05月25日
  • 赤と黒(下)

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    前編のレーナル夫人との関係のあとに、
    後編ではマルチド・ド・ラ・モールとつきあいだすが、
    マルチドとの関係がようやくうまくいきそうな調子になってきたところに、
    別のルートから、レーナル夫人の手紙が二人を危機におとし、
    激昂した主人公ジュリアンはレーナル夫人をピストルで撃ってしまう。

    ジュリアンは捕まったが、レーナル夫人は死なず、
    逆にジュリアンと仲を深めていくー・・

    最後に、綺麗に終わりたかったのか、死ぬ描写がないのはちょっと驚いた。

    ラ・モール嬢を誘惑するために、わざとつれなくするという恋愛論が、当時は新鮮だったとか。

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    2018年12月01日
  • 赤と黒(上)

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    ナポレオンをひそかに敬愛する出世欲と潔癖さと情熱の溢れる若者の話。
    スタンダールは名言集などでよく見かけたので読んでみた。
    やはり最初のほうは取っ付きにくいが、後になって登場人物がへってきてからはスラスラ読めだす。
    あっさりした描写だったけどたった一年で教え子に忘れられたジュリアンがなんかリアルでいやw

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    2018年12月01日
  • 赤と黒(下)

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    つわり中に読んだ。後半のお嬢ちゃんとの押し問答が若干メンドクセーって感じだったけど、最後さー主人公ないわ〜おじょうちゃんかわいそすぎるでしょ…お嬢ちゃんってあれね、お世話になった貴族の家のお嬢ちゃんね…名前忘れちゃった。さて今イギリスにおりますけど階級による差別の描写や会話内容の一部はかなり今に通じるものがある。この話フランスのではあるけど。

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    2018年11月24日
  • 赤と黒(上)

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    (上下巻通しての感想です)

    読みやすいか読みにくいかと問われれば、個人的には読みにくいほうの部類に入る作品です。
    中盤以降のジュリヤンとマチルドのやり取りは読んでいて正直かったるかったですし、肝心な場面の描写がさらりと書き流されていたり、逆に似たような心理描写の延々記述が繰り返されていたりして、もしかすると現代の小説に読み慣れてしまっているせいかもしれませんが、読み手に対する配慮やサービス精神に欠ける印象を持ちました。
    比較するのもアレですが、同時代のフランス人作家デュマの作品は相当読みやすかったなあと今更ながら感心しました。

    ま、世界的名作らしいので、きっと私が読解できていない美点がわん

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    2018年09月30日
  • 赤と黒(下)

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    才と野心、自尊心に溢れた百姓出の若者の最後。

    最後の章、ジュリアン青年を、レーナル夫人やマチルドが思うようにいとおしく思ったよ。

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    2017年11月27日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    上巻までの流れで我が身を滅ぼしそうな雰囲気を存分に出していた主人公のジュリアン。やはりというかなんというか、予想通りに転落人生を送ることになります。こういう悲劇的な展開はフランス文学としてはある種のお家芸という印象です。

    序盤から終盤まで、とにかく一貫して各登場人物が自分の気持ちを語り尽くすというフランス文学王道の展開で、一度に読み進めるのは結構キツいです。それぞれが命を懸けてぶつけてくる想いを受け止めるには、読み手側にもそれなりの心構えが必要です。

    主人公はジュリアンなのですが、この作品はジュリアンを取り巻く二人の女性、ラモール嬢とレーナル夫人の心の揺らぎとジュリアンを巡る確執なくしては

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    2017年11月12日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    まさかの最後だった。
    レナール夫人はあの手紙に書いたことを、真実として書いたのか、それとも・・・
    主人公が穏やかな気分になれたことが、救いだと思った。
    ナポレオン戦争に関する書物を読んで再読したい一冊。

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    2017年10月12日
  • 赤と黒(下)

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    レーナル夫人との不貞関係は限界を迎え
    ジュリヤン・ソレルもいよいよ身体ひとつで社会の荒波に飛び込んでいく
    神学校をドロップアウトして侯爵家の秘書になり
    社交界デビューを果たした彼は
    貴族社会の、とりすまして陰険な暗黙のしきたりにも順応していった
    ジュリヤンは頑張っていた
    父親のように導きをくれる人々との出会いがあり
    自由主義者たちとのつながりが生まれ
    さんざん虐待された実の父親にも孝行をくれてやった
    最後はナポレオン同様の軍人になり、ますます躍進する人生だった
    しかし
    昔の女の嫉妬?が、彼の足を引っ張った

    すべてはジュリヤンの、世界に対する憎しみから始まった
    生きることに不満を抱えていた女た

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    2017年09月24日