スタンダールのレビュー一覧
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ジュリアンとレナール夫人、ジュリアンとマチルダの恋愛が描かれるが、3人3様の心理が面白さの焦点。レナール夫人は子供が複数いるのに恋愛には初心で3人の中では一番純粋に相手を愛することができる人。マチルダは地位と金、若さと美しさ全てを持っているが退屈で持ってないのは幸せだけ、という人で、恋愛を人生ドラマの道具立てにして自分の中で盛り上がる人。ジュリアンは貧乏な平民の生まれのコンプレックスから自尊心を満たすために高いポジションの女性を征服することが動機となっているが、その時々で相手を愛する気持ちが生じて揺れ動く。200年近く前に書かれた小説としては、ジュリアンとマチルダの心理戦がきめ細かく描かれてい
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Posted by ブクログ
(上下巻通しての感想です)
読みやすいか読みにくいかと問われれば、個人的には読みにくいほうの部類に入る作品です。
中盤以降のジュリヤンとマチルドのやり取りは読んでいて正直かったるかったですし、肝心な場面の描写がさらりと書き流されていたり、逆に似たような心理描写の延々記述が繰り返されていたりして、もしかすると現代の小説に読み慣れてしまっているせいかもしれませんが、読み手に対する配慮やサービス精神に欠ける印象を持ちました。
比較するのもアレですが、同時代のフランス人作家デュマの作品は相当読みやすかったなあと今更ながら感心しました。
ま、世界的名作らしいので、きっと私が読解できていない美点がわん -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻までの流れで我が身を滅ぼしそうな雰囲気を存分に出していた主人公のジュリアン。やはりというかなんというか、予想通りに転落人生を送ることになります。こういう悲劇的な展開はフランス文学としてはある種のお家芸という印象です。
序盤から終盤まで、とにかく一貫して各登場人物が自分の気持ちを語り尽くすというフランス文学王道の展開で、一度に読み進めるのは結構キツいです。それぞれが命を懸けてぶつけてくる想いを受け止めるには、読み手側にもそれなりの心構えが必要です。
主人公はジュリアンなのですが、この作品はジュリアンを取り巻く二人の女性、ラモール嬢とレーナル夫人の心の揺らぎとジュリアンを巡る確執なくしては -
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レーナル夫人との不貞関係は限界を迎え
ジュリヤン・ソレルもいよいよ身体ひとつで社会の荒波に飛び込んでいく
神学校をドロップアウトして侯爵家の秘書になり
社交界デビューを果たした彼は
貴族社会の、とりすまして陰険な暗黙のしきたりにも順応していった
ジュリヤンは頑張っていた
父親のように導きをくれる人々との出会いがあり
自由主義者たちとのつながりが生まれ
さんざん虐待された実の父親にも孝行をくれてやった
最後はナポレオン同様の軍人になり、ますます躍進する人生だった
しかし
昔の女の嫉妬?が、彼の足を引っ張った
すべてはジュリヤンの、世界に対する憎しみから始まった
生きることに不満を抱えていた女た -
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フランス王政復古時代
ナポレオンの倒れた直後で
革命以来、ふたたび貴族が息を吹き返していた頃の話
製材小屋の息子ジュリアン・ソレルは
片田舎の少年にしてはかなりの美貌の持ち主であったが
末の息子であるゆえに、絶えず父親からの虐待を受けていた
しかし非常に読書家だった
ひとり学問を養いつつ、ひそかにナポレオンを崇拝していた
才能だけでのしあがる夢を見ていたのである
そんな彼にチャンスのめぐってきたのは18だか19のころ
町長レーナルの家に、住み込みの家庭教師として雇われるのだが
そこの夫人と恋におちたことで
街を訪れた国王の
臨時警備隊員に推薦してもらえる運びになったのだった -
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大分時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。自尊心が異常に膨れ上がった天才肌の美青年ジュリアンが、色恋とその自尊の狭間で命をすり減らし、最終的には自尊心が恋に優り、それゆえに犯した罪の元斬首される話。こんな書き方は全くあらすじではないですが、巻末にある当代の評論家がかいたその批評が、著者スタンダールの執筆意図をしっかりと言い当てています。
フランス革命の前後において、全く変わってしまったフランスの時代的情緒を描いた作品だということです。私個人としてはフランス革命を手放しで称賛することはできない立場ですから、大革命を前後したフランスの時代を描写した本作は、とても大きな印象を私に残しました -
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ネタバレ「ー」
名誉を重んじたジュリアン。名誉なんてくだらないと考える人もいるかもしれない。しかし、彼にとっては名誉を得、守ることこそが大事なのであった。
ジュリアンを好きになることで自分が他よりも高貴であると考えたマチルド。ジュリアンのために奔走する姿をあえて他人に見せつけることで、自分が英雄的であると表現した。
ジュリアンの犯した罪は、レーナル夫人に対して銃を撃ったことだ。しかし、裁判にかけられている本当の罪は、卑しい階級から抜け出し社交界に出られるまでに出世したことだ。故に、死刑。
彼は穏やかにギロチンへ向かった。
名誉ある生き方をせねば、と深く感動した。自分の名誉を傷つけられて場合に -
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スタンダールは、大学時代に読んだ「パルムの僧院」以来で、初読というのが恥かしくなるほどのド古典だが、初読。
訳者の野崎歓が言う通り、1830年代当時よりも、自らを偽って生きることの多い(そして恋愛のゲーム化がますます進む)現代において、なお共感されるところの大きな小説と言えるだろう。現代的なエンターテイメント小説と比較すると、構成に荒削りなところは多いが、それでも「近代小説の嚆矢」と言われるスタンダールの面目躍如といった作品で、ほとんど一気読みだった。
野崎訳に対する批判は、すでにあちこちで論じられている通り、違和感のある文章がなかったと言えば嘘になる。しかし、そもそもこの問題は、翻訳自体 -
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19世紀フランス、主に復古王政期から七月王政期に活躍した作家スタンダール(1783-1842)の代表的長編小説、七月革命を挟んだ1830年に執筆・刊行。副題は当初は「一九世紀年代記」だったが、執筆中に七月革命が熾きたことから、作品とフランス社会史との同時代性をより強調するために「一八三〇年代記」と付け加えられたとされる。作家自身は、政治的である以上にロマン的であるが故に、共和主義者であったようだ。
フランス革命によって近代ブルジョア社会というものが本格的に立ち現れてしまった。如何な反動的な復古王政を以てしても、もはや旧体制へと時計の針を巻き戻すことはできない。人生は、個人のものとなった。そ