スタンダールのレビュー一覧

  • 赤と黒(上)

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    フランス王政復古時代
    ナポレオンの倒れた直後で
    革命以来、ふたたび貴族が息を吹き返していた頃の話
    製材小屋の息子ジュリアン・ソレルは
    片田舎の少年にしてはかなりの美貌の持ち主であったが
    末の息子であるゆえに、絶えず父親からの虐待を受けていた
    しかし非常に読書家だった
    ひとり学問を養いつつ、ひそかにナポレオンを崇拝していた
    才能だけでのしあがる夢を見ていたのである
    そんな彼にチャンスのめぐってきたのは18だか19のころ
    町長レーナルの家に、住み込みの家庭教師として雇われるのだが
    そこの夫人と恋におちたことで
    街を訪れた国王の
    臨時警備隊員に推薦してもらえる運びになったのだった

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    2017年09月07日
  • 赤と黒(上)

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    大分時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。自尊心が異常に膨れ上がった天才肌の美青年ジュリアンが、色恋とその自尊の狭間で命をすり減らし、最終的には自尊心が恋に優り、それゆえに犯した罪の元斬首される話。こんな書き方は全くあらすじではないですが、巻末にある当代の評論家がかいたその批評が、著者スタンダールの執筆意図をしっかりと言い当てています。
     フランス革命の前後において、全く変わってしまったフランスの時代的情緒を描いた作品だということです。私個人としてはフランス革命を手放しで称賛することはできない立場ですから、大革命を前後したフランスの時代を描写した本作は、とても大きな印象を私に残しました

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    2017年03月04日
  • パルムの僧院(下)

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    下巻から面白くなった。不幸を知らずバカだった主人公は、望みが叶わずに苦しむことで成長…は多分していない。相変わらず自分のことだけ。
    おばさんの公爵夫人と恋人の伯爵が良い脇役だけど、主人公カップルは幼稚な印象。

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    2015年09月04日
  • 赤と黒(上)

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    名前は知ってるけど読んだことのない本がたくさんある。これもその中の一冊。父や兄から虐待され、暗い日々を過ごしていたジュリヤン。野心を内に秘め、町長レーナル家の家庭教師として潜り込み、僧侶となって出世しようと目論む。レーナル夫人を誘惑し、恋に落ち、愛と野心の間で揺れる主人公。途中から続きが気になりどんどんページが進む。読まれ続ける名作にはやっぱりそれだけの意味があるんだな。2012/369

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    2015年04月16日
  • 赤と黒(下)

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    ピカレスク青春恋愛成り上がり社会派小説。
    盛りだくさんで、古典とされているが読みやすく、抑圧された時代背景も鑑みて読めば深みも感じられる。
    さすが世界の十大小説。

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    2015年02月24日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    「ー」

    名誉を重んじたジュリアン。名誉なんてくだらないと考える人もいるかもしれない。しかし、彼にとっては名誉を得、守ることこそが大事なのであった。

    ジュリアンを好きになることで自分が他よりも高貴であると考えたマチルド。ジュリアンのために奔走する姿をあえて他人に見せつけることで、自分が英雄的であると表現した。

    ジュリアンの犯した罪は、レーナル夫人に対して銃を撃ったことだ。しかし、裁判にかけられている本当の罪は、卑しい階級から抜け出し社交界に出られるまでに出世したことだ。故に、死刑。

    彼は穏やかにギロチンへ向かった。

    名誉ある生き方をせねば、と深く感動した。自分の名誉を傷つけられて場合に

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    2014年12月21日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

    「だが、真の情熱は利己的である。」


    製材小屋の子である主人公は、そのひ弱な肉体ゆえに父、兄からいじめられていた。しかし、その心には傲慢な野心が隠されており、いずれはナポレオンのもとで出世をしたいと願っていた。

    ひょんなことから家庭教師として村長の家に住むようになり、その夫人を誘惑する。結果、踏み台のはずの夫人にはまり、神学校で学ぶことを余儀なくされた。出世のため、と言いつつ、最後まで冷静、冷徹でいられない主人公のもろさが、土壇場でその成功への近道を断つ。

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    2014年11月27日
  • 赤と黒(上)

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    スタンダールは、大学時代に読んだ「パルムの僧院」以来で、初読というのが恥かしくなるほどのド古典だが、初読。

    訳者の野崎歓が言う通り、1830年代当時よりも、自らを偽って生きることの多い(そして恋愛のゲーム化がますます進む)現代において、なお共感されるところの大きな小説と言えるだろう。現代的なエンターテイメント小説と比較すると、構成に荒削りなところは多いが、それでも「近代小説の嚆矢」と言われるスタンダールの面目躍如といった作品で、ほとんど一気読みだった。

    野崎訳に対する批判は、すでにあちこちで論じられている通り、違和感のある文章がなかったと言えば嘘になる。しかし、そもそもこの問題は、翻訳自体

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    2014年06月27日
  • 赤と黒(下)

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    19世紀フランス、主に復古王政期から七月王政期に活躍した作家スタンダール(1783-1842)の代表的長編小説、七月革命を挟んだ1830年に執筆・刊行。副題は当初は「一九世紀年代記」だったが、執筆中に七月革命が熾きたことから、作品とフランス社会史との同時代性をより強調するために「一八三〇年代記」と付け加えられたとされる。作家自身は、政治的である以上にロマン的であるが故に、共和主義者であったようだ。

    フランス革命によって近代ブルジョア社会というものが本格的に立ち現れてしまった。如何な反動的な復古王政を以てしても、もはや旧体制へと時計の針を巻き戻すことはできない。人生は、個人のものとなった。そ

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    2013年12月24日
  • 赤と黒(下)

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    なにしろ、中身のしっかりした小説であったと言えるだろう。
    時代や立場を反映した人々の内面描写が素晴らしくて、その瞬間の風俗、思想をつまびらかにするものであると同時に、それゆえに、掛け値無しの心の入った恋愛小説にもなっている。
    小説的な作られたドラマの妙というよりはむしろ小説よりも奇たりえる現実の面白さ、時代の空気によって当然引き起こされるような天然のドラマの興奮、と言ったものが味わえる。良かった。

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    2013年11月16日
  • 赤と黒(下)

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    ちょい昔の欧米文学の翻訳にありがちな読みにくさあり。めげずに読めばなかなか。特に下巻の中盤あたりから面白くなる。名作として残り続ける理由をわたしは感じた。

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    2013年10月26日
  • パルムの僧院(下)

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    ネタバレ

    下巻に入ってやっと運命の女性クレリアと巡り会う主人公ファブリス。その恋は成就することなく囚われの身となるが。フランス人であるスタンダールがルネサンス期のイタリアを舞台にして、なぜこの作品を書いたのか。よく分からないまま物語は終焉を迎える。なんだろう。その時代、宮廷政治という奇怪な状況、その中での純愛というものが理解しにくいのは確かである。この作品が名作と呼ばれる理由はなんだろう?

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    2013年08月28日
  • 赤と黒(上)

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    貧しく家族にも虐げられてきた青年が、その抜群の記憶力と美貌で、貴族社会に入り込み、社交界を足場に出世していく。その飛躍の鍵は、それぞれタイプの異なる2人の女性。下巻で登場するマチルドと主人公の青年ジュリアンの、プライドと激情が数行置きに交錯するあたりは、その内容にも長さにも正直うんざりするが、物語の結末のためには、そのうんざりした気分が必要なのかもしれない。主人公も2人の女も、自分や相手の激情に感動しつつ、それをいかに打算的にコントロールするかに、常に心を砕いている。それがうまくいけば、社会的には成功するがうんざりした日々が続き、失敗すれば一瞬の生の充実はあるが滅びるしかない。マチルドは、いい

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    2013年07月17日
  • 赤と黒(下)

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    登場人物が極端な人が多すぎるけど、人間の社会と感情をえぐり出した小説としてとても面白く読んだ。ジュリアンの中身のない暗さ、マチルドの狂気、レナール夫人の優しさ、それぞれがしかるべき道を通って破滅に導かれる。ジュリアンの恋愛の駆け引きは陰険だけどそれなりに今でも通用するだろう。
    To the happy few

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    2013年04月28日
  • 赤と黒(下)

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    上巻であれだけ読むのに苦労したので、下巻はその分厚さに、読む前から尻込みしていた。

    ところがである。面白い。下巻に入った途端、私のこの本への評価が一変してしまった。
    舞台は、地方都市から大都会・パリの社交界へ。すると、それまでまどろっこしかったスタンダールの筆が、人が変わったように生き生きと感じられた。躍動感に溢れ、個性的で、したたか。フランスの歴史や当時の時代背景は全くわからないけれど、人間模様の面白さで惹きつけられる。

    そして、侯爵令嬢マチルドとの、あまりに熾烈で、同時に凍りつくような恋。
    主人公・ジュリヤンのあまりにも「感じやすい」激情と、マチルドの「高慢すぎる」退屈が、とんとん拍子

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    2013年04月09日
  • 赤と黒(下)

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    後半が急展開でグイグイ読ませられたけど、終わり方があっけなかったかな。
    裁判のシーンはカラマーゾフの兄弟を思い出した。
    ジュリアンの野心描写は良かったけど、恋愛描写も強かったせいで、あまりしたたかな人間には見えなかった。

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    2013年03月08日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

    なんとも複雑な心理描写。
    なかなか、主人公に感情移入できない。
    以前から気になっていた本ではあるけど、今の自分が読んで良かったのかも。
    誘惑される夫人の気持ちはわかるから。
    身分制度のない時代に生きているので、それがもたらす人格の歪みがイマイチ理解できないけど。
    以前、修道院の話を読んだので、神学校のくだりはすんなり入ってきた。
    貴族に対する僻みみたいな曲がった根性から、悩まされるハメになったレーナル夫人が気の毒だな。

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    2013年01月06日
  • 赤と黒(上)

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    その時代背景をよく知っていればもっと楽しめたのだろうが、そうでなくても物語として十分楽しめる。金持ちへの反発、野心に燃えた主人公ジュリアンのときおりみせる矛盾した行動、二面性、不安定さが若者の精神状態をリアルに捉えているように思う。

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    2012年12月07日
  • 赤と黒(上)

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    ある青年の屈折した情熱が発露する物語。という印象でした。序盤のジュリヤンは野心を抱いているものの明確な目的がなく「育ちのいい人」たちへの嫉妬心から来る憤りに流されているようにも思えました。他人を蔑みながらも事あるごとに心変わりを見せるぶれ具合は、読者としては振り回されるのですが若者らしいとも言えます。復古王政期のフランスにおける様々な愚かしさを描く事もテーマのひとつとしてあると思うので、その知識があればもっと別の見所も得られたのではと感じますが、青年が成長するお話として読んでも続きの気になる第一部でした。

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    2012年11月26日
  • 赤と黒(上)

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    当時のフランスの状況を理解したうえで読んだらもっと楽しめたと思う。でも十分面白かった。ジュリヤンは幸せだったのかな?所々ジュリヤンが私と被っててなんかぞっとした。下巻も期待。

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    2012年11月18日