きむらゆういちのレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
森
最初は,なんて可愛らしいお話なんだろうと思って読み進めた。
ヤギのメイはもちろんのこと,オオカミのガブも素直で優しくて愛おしい。
それなのに,読了後はただただ切ない。
唖然としてしまった。
二人は幸せなまま死んだ。
命をかけなければ,成し遂げられない愛だった。
一緒になるには,命を燃やし尽くさないといけなかった。
せっかく緑の森にたどり着いたのに。
ずっとずっと待ち続けていたメイ。
共に満月へ行くことを選んだガブ。
どんな形であっても,一緒じゃないと,意味がないんだね。 -
Posted by ブクログ
息子が夏休みに読んでるので俺も読んでみた。絵本の「あらしのよるに」とその続編6つを収録。なんと難しい話なのだ…とてつもない深い友情を超えた愛の話だし、差別を題材にしてるようにも思えるし…息子がどう読むのかとても楽しみでもある。しかし、「あらしのよるに」だけにしといて続編がなければもっと明快だったのになあ。救いが無いような中、ならなにがベストなラストなの?って考えると、洞窟でメイがガブに身を差し出して終わりか、ガブが雪崩に襲われて終わる、の2パターンがありがちなのかな。でもそこを超えた終わり方は寧ろ凄いし、ラストの「ただふたつの生き物の姿だった」は良かった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレこれまで、なんとなくタイトルは聞いたことはあったけれど、内容の詳細は知らず、今回機会があったので手にしました。
もとが絵本だったということもあり、最初は内容に入り込めず、なかなか読み進めることができなかったのですが、ヤギとオオカミそれぞれの群れに、秘密がばれたあたりから、お話にひきつけられて、最後まで一気に読んでしまいました。
種族を超えた、ましてや肉食動物と草食動物の友情(愛情?)は、もどかしさと辛さ以上に喜びがあって、良かったです。
あとがきで、この物語の真のラストは絵本や映画にはなく、小説版だけ、とのことでしたが、最後はなるほど、らしい終わり方に思えました。 -
Posted by ブクログ
南座の公演で完全版の存在を知り即購入。
子どもの頃大好きだった絵本。
面白かった記憶しかなかったのに、読み返してみたらまさかの号泣。
まさかの絵本を読んでの大人の号泣in新幹線。
歌舞伎版では歌舞伎らしくストーリーも変わっていたけど、でもこの絵本が大好きだった人の想いを汲んだ人が作り上げた気持ちがよく伝わる、とてもいい舞台でした。
歌舞伎だ映画だアニメだと枠組みはいろいろで評価も批評も様々で、でも感じられるものはやっぱり作り手の思いによるのかな。
伝わるものは、何であっても伝わるんだ。
今、夜寝る前子どもに1話ずつ読んでるけど、
君にも大好きな絵本の一つになってくれたらいいな。