きむらゆういちのレビュー一覧
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ぶうたんは、赤ちゃんの頃、
ママがぶたと間違えて拾って育ててため、
本当はライオンなのだが、ぶたとして生きている。
「どうぶつをたべない、ねらわない、おそわない、の
三びょうし そろった、やさしい そうしょくライオン」なのである。
森のみんなにライオンだと知られると大騒ぎになってしまうので、
ママが作ってくれた「ぶたの へんしんセット」をつけて暮らしている。
大胆すぎて笑ってしまう設定なのだが、
みんなに本当のことが言えない本人は、真剣に悩んでいるのだ。
作者は、「あらしのよるに」シリーズのきむら ゆういち。
こちらの方がより子ども向けで、ユーモラスであるが、
どことなく「あらしのよ -
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ある朝、ぶうたんが目を覚ますと、
兄のびいすけと姉のばあこが足音を忍ばせて、
こっそりと出かけようとしていることに気づく。
着替えてあとをつけていくと、コロロン広場には、
みいみとりすけも待っていて、うっし~が来るのを待っているところ。
4人は声を潜めて何か話している。
うしろからうっし~に声をかけられ、ぶうたんもみんなもびっくり!
みんなのあせり方が、なんか変。
ママのたんじょうびパーティーを企画していたと知り、
ぶうたんは大ショック!
どうしてぼくにだけ教えてくれなかったの!!
そうかぼくだけのけものなんだ。
どうせぼくは、ぶたじゃないし・・・。
ママは捨てられていたあか -
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ぶたのさんちの子どもたちは、
「三匹のこぶた」のはずが、一匹だけ、実は違う。
ぶうたんは、自分の体だけほかの二匹の兄弟と違う
ということにはもう気づいている。
今までは家の中で過ごしていた三匹が外に出たいといい、
兄弟の二匹は先に出たけれども、自分だけは待てといわれ、
そして、「出生の秘密」が明かされる。
雨の夜に木の根元で布にくるまれて泣いている赤ちゃんを抱いて帰って、
ライオンだと知らずに育てたという
内容設定的にはどこか牧歌的なありえないような
笑ってしまうようなエピソードなのだけど、
ママがうっかりぶただと思って育てちゃったから、
ぶうたんも野菜が好きな草食ライオンになっちゃっ -
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今まで、ここで終わってもいいけれど、
もうちょっと続いてほしいような、
余韻のある終わり方をしてきたあらしのよるにシリーズだが、
これは正真正銘の完結編である。
みどりのもりにたどりついたメイ。
ガブの姿は見えない。毎日ようにガブと再会する夢ばかり見る。
みどりのもりにいても、ガブがいないのでは、
メイのこころはひとつも晴れない。
もりのだれとも口をきかず、ガブのことばかり思い出しながら、
独り言でずっとガブと話している。
体は衰弱し、生きる気力もなくなっていった。
見えなかったものが見え、聞こえなかったものが聞こえる。
この世の外から聞いているような感じ。
これは、私が、かつ -
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「ひみつ」が森中にばれて、追い詰められた2匹は、
コミュニティーを離れて、ふたりで生きていくことを選んだ。
お互いを苛酷な環境に追い込んだことを後悔し、
こんなことなら出会わなければ良かったのではないかと苦悶する。
それでも、やっぱり出会ってよかったと信じる。
お互いの中でこの二つの気持ちがせめぎ合う。
追っ手が迫っている中、2匹は雪山を越えることを決意する。
その向こうの緑の森を目指して。
いつも一緒にいることが楽しいのだが、ずっと一緒にいると、
だんだん相手の、自分との違いが、「普通」が、
耐えられなくもなってくる。
いつも一緒にいるメイだが、
ガブにとってはおなかがすくとそ -
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ガブとメイが、ソヨソヨとうげで会う約束をした日、
折りしもその日にオオカミたちはその場所にヤギ狩りに行くことを決める。
ガブはなんとかメイを逃がしたのだが、
ガブとメイが一緒に歩いているところを一匹のヤギが目撃し、
それが森中のうわさになり、
ヤギたちにもオオカミたちにも知られてしまったのだ。
必死にお互いを守ろうとするガブとメイだったが・・・。
お互いの種族たちの壁はあまりにも大きかった。
お互いをもう一度あわせ、自分たちの種族に有利な情報を
お互いから引き出すように迫る仲間達。
ふたりのことは、自然が味方してくれているように思う。
それは、『あらしのよるに』を読んだときから、
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『くものきれまに』では、他のヤギに自分がどう見られているかを知って
落ち込んだガブだったが、
今度は、オオカミのテリトリーに近い場所にメイを呼んだことにより、
メイが、オオカミからどう見られているのかを
意識するような出来事が起こる。
きりのなか、向こうから来る相手が気になってしょうがないメイ。
ガブだったらいいけれど、他のオオカミだったら?
きりで見えないから声を出してはみたけれど、それもまた危険。
お互いは、もうすっかり信頼しあっている。
危ない場所に来たメイに、なにかあったら助けに行くと誓ったガブ。
しかも、お互いが、そのセリフを言うところを回想で思い出す。
ますます恋人達 -
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どんなに仲の良い者同士でも、
ふたりだけの世界で生きていくことはできない。
ましてや、ふたりがまったく違うコミュニティーで
生きているのだとしたら、
環境の違いが与える影響はとてつもなく大きい。
実は、ヤギとオオカミの名前は、
この『くものきれまに』ではじめて出てくる。
それはなぜか。
ふたりがお互いの名前を「あらしのよる」も再会したときも、
聞いていないからというのもある。
これは、ふたりでいるときは名は必要がなくて、
コミュニティーの中にいるからこそ名が必要だということの
象徴だからではないのか。
ヤギの最初に名前で呼ぶのは、友達の心配性のふとったヤギである。
「メイ、どこに -
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あれほど緊張感のあった「あらしのよるに」とはうってかわって、
和やかに談笑するヤギとオオカミ。
おいおい、こんなにあっさり再会して、
打ち溶け合っていいのかよと拍子抜けする。
のどかに仲良くお出かけするふたりだったが、
行く途中でお弁当を落としてしまうオオカミ。
一匹ずつしか通れない道をヤギを先に通すと、
ヤギのおしりが、おいしそうに見えてくる。
ふたりの友情には、葛藤が付いてまわる。
本当は、ヤギのにくが大好物だったオオカミなのに、
「ヤギのにくだけはだいっきりなんす。」とやさしいウソをつく。
大好物が、おともだち、なのである。
たべてもうまいけど、いっしょにいると、
なんだか -
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あらしのよるに、一匹のヤギが、やっとのおもいでたどりついた
壊れかけた小さな小屋で雨風をしのいでいた。
その小屋に同じく雨風をしのぐためにやってきた者がいた。
ひづめの音がしたので、相手もヤギだと思った、
ヤギは、やってきた者に話しかけた。
「すごい あらしですね。」
暗闇を表現する手法が懐かしい。
クレヨンで画用紙をカラフルに満遍なく塗ったあとに、
上から黒で塗りつぶす。
そして、先のとがったもので、線を描いていく。
すると、黒の中に、カラフルな線が浮かび上がる。
幼稚園の頃、そうやって絵を描いたことがあるのを思い出した。
暗闇の中に浮かび上がる線。
視界がまったく利かな -
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何年か前に、中村獅童の声で教育テレビのてれび絵本でやってました。
アニメの映画にもなりましたね。映画版は絵の感じが好きではないので見てませんが。
絵本はシリーズ化されて、最初6巻目の『ふぶきのあした』までで終わっていたのですが
「ガブ(オオカミ)は一体どうなったの?」という問い合わせや続編を切望する声が多く
特別編や、最後の完結編『まんげつのよるに』ができたそうです。
まず最初の『あらしのよるに』は…
ある嵐の夜、1匹のヤギ(メイ)が、山小屋に避難します。
同時に1匹のオオカミ(ガブ)も同じ山小屋に避難します。
真っ暗な闇の中、かぜ気味で鼻の利かない2匹は、お互い相手を自分と同種の動物と勘違