緒方剛志のレビュー一覧
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これほどまでに曖昧な物語というのもない気がする。
ちなみにこれは褒め言葉である。
このシリーズはこれまでのブギーポップからの登場人物が今昔を問わずに結構出てくるので、キャラクター名だけ読んでも「この人どんな人だったっけ?」となることもしばしば。
けれども、本書においてはそういうキャラクター達は所詮脇役と今後の伏線に過ぎないのでわからなくても問題はない。
「神」とか「悪魔」とか「魔女」とか呼び方はなんでもいいけれど、絶対的な存在が仮にいたとして、じゃあそれってどんな存在なんだろう?
少しスケールの小さい話で例えば、打率10割のバッターがいたとして、確かにそれって異次元の人間かもしれないけれど、だからといってその人が絶対的な存在かというと案外そうじゃない。
だって、必ず打たれるとわかっているならば、敬遠しちゃえばいいじゃないという話になる。
そして、なによりもその絶対性っていつまでも続く保障があるわけじゃない。たった一回の失敗、ほんの僅かなほつれから絶対性は失われてしまう。
そう考えると、「完全」とか「絶対」というものは脆弱な概念なんじゃないだろうか。そして逆に「弱さ」ってものは一度成功したぐらいで失われるものではなく、頑丈な基盤の上に成り立っているように感じた。 -
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ネタバレ最強のMPLS、スキャッターブレイン、あらわる!
そこにとある巨大なシステムに属する最強も投入されて…
登場人物がファンにとって最高のものになっております。
以下ネタバレ------------------------------
作中で最強さんが言っていたようにスキャッターブレインは
強力な能力を最も効果的に使っていたりと強敵だ。
MPLSと合成人間の戦いって構図が大好きな僕得ですね。
基本的にシリーズ中に出てくる世界の敵となったMPLSは
どいつもこいつもものすごく用心深い。
スキャッターブレインも全くその通りで、
攻めるのではなく罠をはって完璧に封殺するような戦い方をする。
すごい。
今巻の見所のもうひとつとして先に派遣されていた合成人間、
セロニアス・モンキーがいること。
彼女の考え方や経過を語られるけど、ちょっと自分の人生に
諦めを持ってるようだったりと、妙に人間くさいという
このシリーズでの僕の好きな部分が存分に描写されてたのがいい。
人気をつけてたり、お友達になってしまって悩んだり。
しかも公式美少女設定とか!
そんな彼女だって既にやられていたり…、
兎に角スキャッターブレインの強大さが強調されております。
いつもどおりの文章トラップといいますか、
あいつか!と思ったら違ったりとドキドキワクワク読めて楽しかった。 -
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シリーズ通しての話だけど地上派でアニメ化なんでしないんだろう・・・、ってぐらいの作品。
中二病くさいところはあるが、ジョジョとか好きな人には結構すんなり受け入れられるだろうと思われw
意外と世の中の核心を突いていそうな言葉もあって、勉強になったりもする・・・・・・かも?w
(以下、あらすじ引用)
あんたには好きな娘っているかい。俺も恥ずかしながら片思いの相手ってやつがいる。その娘が何を考えているのか、それが知りたくてしょうがない。でもそんな俺にブギーポップはこんな風に言う・・・・・・「彼女のこと好きなら、君は世界の敵と戦わなきゃならないだろうね」それって一体どうすりゃいいんだ?―――三人組の男子に仲良し三人娘、どこにでもいそうな子供たちが何気なく惹かれた先に待っていたのは、触れた者すべてを死へ誘う奇妙で歪な蝙蝠の影だった。謎が謎を呼ぶ中であらゆる絆が壊れていき、何も信じられない暗闇に落とされたとき、彼らが求めるのは月光の下での優しい終末か、それともさらなる悪夢に突き落とす黒帽子の死神か・・・・・・? -
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ブギーポップ最新作。
上遠野さんの著作は個人的に波長が合う。こう言ってはなんだが、手に汗握るようなストーリーも読者の裏を掻くような奇想天外の構成があるわけでもなく、取り立てて突出した小説を書く作家ではないと思うのだけど、必ず読後に満足感を残してくれます。
独特の哲学によって築かれた世界観となにかしら異質なものを秘めているキャラクター達と、彼ら彼女らの紡ぐ会話に浸っているのがとても心地良い。それは快楽というよりも、羊水に浸かっているような安心感に似ていて、だからこそ「波長が合う」という表現に収まるのです。
それにしても、本書にはのっけから引き込まれてしまった。
≪「そうだね、それ自体で光っているわけではない。しかし地球に近いから、その明かりは遠くで光っている星のどれよりも大きく、存在感があるように見える。しかし実際は、どんなにかすかな点でしかない星よりも月はちっぽけな塊に過ぎないんだ」≫
こんな台詞が冒頭から飛び出してくるのは反則です。
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Posted by ブクログ
ブギーポップシリーズはちょっと不思議な世界感と、人間の葛藤、成長が散りばめられたストーリーが魅力であり、その中で能力バトルの要素も堪能できるという贅沢な作品。とはいっても、シリーズごとに前者と後者の要素の比重が少しずつ異なり、どちらかに偏りすぎると少し面白さが薄れるのですが、今作は今までのシリーズの中では両者のバランスが良く、ブギーポップ「らしい」作品だなと感じました。
冒頭でリセットとフォルテッシモが登場しますが、ストーリーに絡むのはフォルテッシモだけ。今作はエンブリオが結構喋るので、掛け合いが何だか面白かったです。しっかし、リセットとフォルテッシモは何かとストーリー中に借り出されますね~。統和機構にとっても作者にとっても便利な駒ってことですかね。最近、何かと新キャラの強さの実験台にされる「最強」フォルテッシモさんがだんだん可哀想になってきました…。 -
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出版社がマイナーで、相当長い間日の目を見なかった作品だったと聞いたけれど。それはあまりにもったいない話。角川スニーカーで復刊されたのは実に喜ぶべきこと。
水族館は、とても素敵。だけれども夜の水族館(もちろん営業時間外)となると、話は別。異形のものがうごめいているイメージがして、ひどく幻想的だけれどもそれ以上に恐ろしい。さらにカメラ・オブスキュラだのこっくりさんだの霊界ラジオだのとホラー要素がこれでもかと絡み、予想通りの惨劇が起こる。とはいえあまりに静かなその雰囲気に、恐怖におののくよりは陶酔するばかり。たしかに「伝説」になりうる作品かも。 -
Posted by ブクログ
「ブギーポップ」とも戦地調停士の世界とも、「ぼくらは虚空に」の世界とも違う…異世界の短い愛と戦いの記録…。トモル・アドのいうことは普通のことなのに、耳が痛いのは何故なんでしょう。そしてそういう奴に限って鈍いのはなんでなんでしょう。ある意味決定的ですよね、鈍いって。…でもラストは…あれは救いがなさすぎるんじゃないかな…。ちょっと切なくなりました。でも「天と地」のリスキイ兄妹といい「根こそぎ」の夢幻といい…スーパーアドバンストはイキイキしてますね。個人的にはとっても好きな世界の話です。救いのある続編か何かを、ちょっとだけ期待してしまっていたりして…。いけないですか?(笑)