秋山香乃のレビュー一覧
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面白かったです。読みやすい。
この小説は、維新後警察に入った、元新撰組斉藤一改め、藤田五郎の、密偵が主人公。だから「密偵」。
本当に、新撰組隊士たち、特に人気どころの幹部たちは、作家さんによって、全く違う描かれ方してますね。
この作家さんは、一貫して、斉藤一を、ぎらぎらした感じのしない、飄々とした人として描くので、そのファンの方が多いみたいですね。
私はぎらぎらした斉藤の方が好きだけど、飄々としてるのに、実は熱い、みたいなこの斉藤さんも好きです。
本筋に関係ないことですが、秋月作品で、斉藤一は、会津の密偵として新撰組に入ったことになっている。試衛館の同志じゃないの?うーん。
永倉新八もすごく好きなので、登場シーンはうれしかったです。
武器として、主人公は外国製のナイフを使うし、ピストルや毒手裏剣も登場し、日本刀を使うのは、藤田と永倉改め杉村だけ。そのせいだけではないんですが、藤田と杉村が、中年に関わらず、若い主人公たちを食うほどのかっこよさです。ほれぼれ。
といっても、若さゆえに悩み多き主人公も、聡明さ、土壇場の強さを持ち、とても魅力的です。
この作家さんは、ほんとに男性を、(特に女性から見て)魅力的に描くのが上手ですね。 -
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源さんこと、新撰組の井上源三郎。こんなに暖かい人だったのでしょうか。
この源さんは、とにかく江戸の時代劇の岡っ引きの旦那のような、温かくて、世話好きで、みんなの兄のような、おじさんのような存在です。
幕末ユーモアミステリーといったところでしょうか。5話中3話は、人殺しが発端となる話ですが、恋バナのエッセンスや、おいしそうな食べ物の描写が絶妙に挟まれているので、新撰組のシビアな部分を描いた本ばかりを読んで、救いを求めてるときに、お勧めです。
今まで読んだ本の中のイメージからすると、源さんが格好良過ぎるかな。決して2枚目に描かれているわけじゃないけど、この源さんは、格好いいです。
直前に、木内昇「地虫鳴く」を読んだのですが、そちらでもメインの一人である、尾形俊太郎のキャラも、かなり違っています。どちらの尾形も好きですが、格好いいのは、この秋山版の方ですね。この作品中、一番好きなキャラかも。
かなりフィクション寄りだけど、魅力的なキャラクターがたくさん出てくる、楽しい作品です。
新撰組の悲しいところは、いくら楽しい時間があっても、すぐに終わりが来てしまうところ。最終話は、源さんが亡くなったあとの話ですが、しんみり、いい話で、全体をまとめてくれます。 -
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ネタバレ面白かった! 新撰組三部作より、好き。
気持ちよくさくさく読め、読後感も良かったです。
残酷なシーンも多くはあるけれど。
新撰組三部作で感じたようなBL色はなかったけれど、藤田(斎藤)と、桐生(主人公)の関係が良かった。
信頼関係があるようなないような・・・桐生は藤田に遊ばれつつ、翻弄されつつ、でも、やっぱり最後は信頼があったのかな。
藤田はかっこよかった。飄々としてこなれた感じ?
こういう上司・部下像ってどこかで読んだような気もするけど、はて?どこだったかな?
藤田(斎藤)と、杉村(永倉)がやり合うところは圧巻でした。
このシーンのためだけに読んでも惜しくはない感じ。
なかなか、新撰組ファンなら必読の一冊でした。 -
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ネタバレいやいや、久しぶりに眉根を寄せて息をつめて入り込んで読んだ一冊。桐生と藤田に惚れますよ(*´Д`)・・・舞台は徳川の世から明治へと時代が変わり二十年たったころ。元桑名藩士の桐生は命を受け密偵として北の果ての監獄にもぐりこみ、孝明天皇崩御に隠された噂の真相を探りながらも、政府に揺さぶりをかけようとする計画の阻止を命がけで行う。しかして、その真相は。証拠の品は。裏切り者はだれ?ただ徳川幕府がたおれ、明治天皇が擁立されたんじゃなかった。その間の年表の事柄のひとつひとつに多くの血が流れた。鹿鳴館の舞踏会の裏で、民は更に搾取され飢えで死んでいく。そんな混沌の上で近代国家になったことを改めて知る。また、「かごめかごめ」の歌が事件のキーを握る。意味を初めて知った。籠の中の鳥とは。鶴と亀とは。後ろの正面とは。そしてこの歌に続きがあった。秋山香乃さん読んだの初めて。他も読んでみたい。ぜひ。
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ネタバレ明治が舞台。19年ごろ。
斉藤一の部下である男が明治政府転覆計画に関わる重大な証拠を反政府の人間に奪われないように暗躍する話…。と書くとやや見も蓋もないが、まあ、政府の密偵の話ですね。
時期としては『獅子の棲む国』のさらに10年ほどあとの話になるみたい。『獅子~』のときはまだ密偵にスカウトされたばっかりだった斉藤はここでは密偵を束ねる警部補になってます。北海道の空知刑務所や京都、日光東照宮などでひそかに、派手に暴れまわっています。
ミステリーとも言えるような話で、この話の主軸ともいえる「転覆の証拠」の場所をめぐって密偵と反政府が謎を解きあう。その証拠と、幕末の京都で行われた「伊東甲子太郎暗殺」の事件が絡まっているのが面白い。新撰組内だけのつぶしあいではない、とする解釈(というかここでの設定か)は意外に納得できるし、上手くできている。意外と早い段階で出てくるので書くが、その証拠は孝明天皇の崩御に関わるもので、それが何なのか、斉藤一がどう関わっていたのか伊東甲子太郎の事件とどうつながっているのか。
ただ連続でこの作家の作品を読んだせいか、すこし疲れた… -
Posted by ブクログ
著名作家のアンソロジー『足利の血脈』ですが、副題で、さくら一族の聖戦と付け加えたい。鎌倉公方〜古河公方・堀川公方の興亡と支える忍者の物語。読後としては足利の歴史よりさくら一族の伝奇。面白い企画かと思いますが、個人的には各作品の波が合わず、一人の作家の連作の方が読みやすかったのでは思います。しかし第七話は最終話にふさわしく感動しました。本作は二度目の方が良いかもしれません。
足利義輝弑逆から織田信長謀殺はもっと盛り上げて欲しいところです。しかし敵城に大胆に忍びこめる信長の忍びは、どうして光秀の京洛進入を安々と許したのか?疑問のままです。某歴史の専門家は本能寺の変に即応した秀吉は忍びを信長の周辺においていた(史料なし)と匂わせていますが、光秀も本能寺進入の前に忍びを使っていたのではと(実際に変に参加した本城惣右衛門の覚書によると、最初に門は抵抗なく開いています)この辺の暗闘があるかと期待していました。
※以下、本作とは関係の無いものですのでスルーして下さい。
義輝の弑逆についてはフロイスの日本史が詳細で面白い(三好の兵、約1万の中には数百人のキリンシタンがおり、情報元かと)
『この目的(義輝殺害)をもって、三好殿(義継)は飯盛(城)から一方弾正殿(松永久秀)の息子右衛門佐(久通)は奈良から出発し、両者は約1万2千名のきらびやかで装備をよく整えた兵士たちを伴って都に向かい、市民を悩まさないようにと彼らは郊外半里のところに居を定めた』
『三好殿(義継)と右衛門佐(松永久通)は、自らの意図をより巧みに隠そうとして、約70名の騎馬の者とともに出かけ、慰安のために市街から半里距たった清水(寺)という名の僧院に赴くよう見せかけた。彼らはしばらく道をたどったが、突然向きを転じ、急遽公方様の宮殿に騎行した』
『(義輝は)長刀を手にし、まずそれで戦い始めたが、数名を傷つけ、他の者たちを殺戮した…敵に接近しようとして長刀を投げ捨て刀を抜き…彼の胸に一槍、頭に一矢、顔面に東傷二つを加え、彼が傷を負って地面に倒れると、敵はその上に襲いかかり手当たり次第に斬りつけ殺害』
そして最近注目されている『乙夜之書物』では本能寺の変で光秀は鳥羽にいたとのこと。確かに信長や寺近くに宿所をとる家臣に見つからずに1万超の兵士が侵入するのは不自然。斎藤利三が精鋭数百でまず奇襲したか。光秀は先例として永禄の変で成功した義輝殺害を当然頭においていたはず。永禄の変も、本能寺の変も通説では1万を超える兵が京の街を奇襲したことになっているが、あの街路を大軍で気づかれず奇襲とは作戦として矛盾している。
■目次
第一話 早見 俊◎嘉吉(かきつ)の狐--古河(こが)公方家誕生
第二話 川越宗一◎清き流れの源へ--堀越(ほりごえ)公方滅亡
第三話 鈴木英治◎天の定め--国府台(こうのだい)合戦
第四話 荒山 徹◎宿縁--河越夜合
第五話 木下昌輝◎螺旋(らせん)の龍--足利義輝弑逆(しいぎゃく)
第六話 秋山香乃◎大禍時(おおまがとき)--織田信長謀殺
第七話 谷津矢車◎凪(なぎ)の世--喜連川(きつれがわ)藩誕生
コラム 喜連川足利氏を訪ねて--栃木県さくら市歴史散歩