あらすじ
近藤勇、土方歳三とともに壬生浪士に参加した井上源三郎、三十五歳。おせっかい焼きの源三郎は、土方が本気になった恋の相手を探るなど、大小問わず事件をかぎつけては、首を突っ込むが、解決するごとに、ややこしい真相をあらわにしてしまう。源三郎がそれぞれに下した決断とは……。激動の時代を生きた男たちの息遣いを熱く感じる傑作捕物帖!
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新撰組におけるみんなの兄貴、源さんこと井上源三郎が、そのお人好しな性格から首を突っ込むことになる四つの事件。
最後の第五章「源さんの忘れ形見」はさすがにしんみりした内容だけれど、その前の四章は源さんの人柄が反映された楽しい話。新撰組ものが読みたいけれど、軽めの物が読みたい時にお勧め。
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一応捕物帖なのでミステリーでもいいような気がしたけど、結局のところ、新撰組の源さんを書きたかったんだろうなってことで<歴史>カテゴリーに。
「歳三往きてまた」も滅茶苦茶よかったけど、これもすごくよかったです。
ステレオな新撰組像と、秋山氏の描く新しい視点とがきれいにまざりあって、新鮮だけどなんか懐かしいそんな群像劇になってます。
でもって、お人よしの源さんがめっちゃ格好いい。
まぁ、どんな媒体でも源さんの立ち位置はこんな感じなんだけど、それに過不足がないところがすごいと思う。
土方のツンデレっぷりも、沖田の無邪気っぷりも、ツボをがっつりおさえてますって感じで、もう「やられました」って平伏したいぐらいだ。
最終話の「源さんの形見」では号泣させていただきました。
不器用にしか、それでも夢を追う生き方しかできなかった、徒花としての彼らの鮮やかさが切ない…。
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源さんこと、新撰組の井上源三郎。こんなに暖かい人だったのでしょうか。
この源さんは、とにかく江戸の時代劇の岡っ引きの旦那のような、温かくて、世話好きで、みんなの兄のような、おじさんのような存在です。
幕末ユーモアミステリーといったところでしょうか。5話中3話は、人殺しが発端となる話ですが、恋バナのエッセンスや、おいしそうな食べ物の描写が絶妙に挟まれているので、新撰組のシビアな部分を描いた本ばかりを読んで、救いを求めてるときに、お勧めです。
今まで読んだ本の中のイメージからすると、源さんが格好良過ぎるかな。決して2枚目に描かれているわけじゃないけど、この源さんは、格好いいです。
直前に、木内昇「地虫鳴く」を読んだのですが、そちらでもメインの一人である、尾形俊太郎のキャラも、かなり違っています。どちらの尾形も好きですが、格好いいのは、この秋山版の方ですね。この作品中、一番好きなキャラかも。
かなりフィクション寄りだけど、魅力的なキャラクターがたくさん出てくる、楽しい作品です。
新撰組の悲しいところは、いくら楽しい時間があっても、すぐに終わりが来てしまうところ。最終話は、源さんが亡くなったあとの話ですが、しんみり、いい話で、全体をまとめてくれます。
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単行本では『源さんの事件簿』となってたように、新撰組を舞台にしたミステリという感じです。
お人好しからいろんな事件に首をつっこみ、それを解決していくお話。
源さん主役はあまりないのでどんなものかなと思って読み始めたけどこれが面白かった。
途中まではミステリ感覚で楽しんでたが、最後の『源さんの形見』にはうるっとした。
この作者の『歳三 往きてまた』も買ってあるので読むのが楽しみ。
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井上源三郎が主役の短編集。
人情家の源さんがよく描かれてます。
助手的役割は中村久馬と尾形俊太郎、さりげなく土方さんや総司がフォローしてるのが好ましいです。
最後の話は捕物帖になっておらず、歴史を駆け足でなぞってたのが残念でした。
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「トシ、いつも世話になっているのにすまねえな」「源さん、な~にいいってことよ。今回はあんたが主役だ」ということで、おせっかい焼きの源さんが主役です。『新撰組血風録』では源さん危機あらば完全武装の組総動員で駆けつけ、本著では近藤局長から鬼の副長の尾行という特命も受ける新撰組の中で不思議な立場にいる源さん。圧倒的な強さはないが情に厚く、名探偵よろしく様々な事件を解決していく。一変クールな尾形俊太郎も源さんの前では照れ屋さん。土方、沖田といった新撰組隊士もいいキャラクターで楽しい作品でした。