秋山香乃のレビュー一覧

  • 密偵

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    ネタバレ

    時代が一気に討幕へと傾いた要因ー孝明天皇の突然の崩御に関わる謎を巡っての政府の密偵の活躍を描く。
    ぐいぐい引き込まれる。
    元新選組の斎藤一改め藤田五郎警部、永倉新八改め杉村義衛、島田魁達も登場。
    秋山作品の斎藤の持ち味はこの本でも健在。
    他の作家の斎藤像とは一線を画すが、この何とも言えない斎藤像にはまってしまっている。
    永倉と斎藤の対決も双方のキャラクターを際立たせいた。

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    2011年07月24日
  • 漢方医・有安 忘れ形見

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    読み終えると心がじんわりと暖かくなる話です。
    ちょっぴり訳あり、娘のお雪のこととなると大人気なくもなる有安先生。
    お転婆娘のお雪と有安先生の会話のテンポのよさに、また面白さに何度もにやりとさせられました。
    一つ、一つの話がどこか心の奥に救いを感じさせてくれる本当に暖かい話です。

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    2010年06月20日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    扇谷上杉、北条氏を描いた富樫倫太郎「早雲の軍配者」の後に読んだ作品として最高だった。非常に混沌としていながら、戦国期の甲信越・関東の土台となった"古河公方"に纏わる連作短編アンソロジー。

    1.嘉吉の狐:古河公方初代成氏-唯一の生き残りの前半生。足利義政への恨みと関東公方としての覚悟、それとかの有名な嘉吉の変のリンクが自然で良い。
    2.清き流れの源へ:大人しい茶々丸というのが新鮮だったが、途中の豹変の過程が不明瞭で違和感。
    3.天の定め:北条に抗い続けた晴氏。子への非情さと情の狭間で揺れ動く心情がよく描かれている。
    4.宿縁:他と一線を画す荒山氏らしい独特な作品。源義家から

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    2025年10月12日
  • 氏真、寂たり

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    大河ドラマ「どうする家康」と本書を読むまでの氏真像はただの凡人という印象しかありませんでした。
    でも、改めて氏真を知ると、本当の幸せとは何だろうと考えさせられました。
    もし、自分が氏真だったら、同じ人生を歩めただろうか。
    信長、秀吉、家康、信玄ら戦国強者と比較してどちらの人生が幸せなんだろうか。
    この令和の時代にこそ読まれるべき作品だと思います。

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    2024年04月27日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    古河公方 足利家と、忍び さくら一族を描いた歴史小説 アンソロジー、連作短編集

    史実の裏側では、こういった暗躍もあったかも知れない。時代に想いを馳せました。
    巻末の系図が有難いです。

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    2024年02月18日
  • 氏真、寂たり

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    今年の大河で今川氏に興味が湧いて義元以外の人物も知りたくなり今作を購入。
    義元亡き後、周りの強者に翻弄され零落していく。家臣も離れて行きドンドン追い込まれていくのだが、剣の技が優れ戦場を駆ける場面は気持ち良く描かれる。
    最終的には戦国を生き抜いて子孫も徳川の世で活躍していくのだから、巻き返した勝ち組だ。
    その人生に寄り添ってくれた志寿は最高のパートナー。最期の盥の月見は、人生を完遂した感が伝わり満ちた気持ちになった。

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    2023年09月29日
  • 氏真、寂たり

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    戦国武将に疎く、氏真って誰?という状態で読みました。
    愚将と呼ばれたという帯の言葉に、いろんなイメージを膨らませて読んだので、想像よりも優しく有能な男性として描かれていたのに驚きました。

    今川義元を扱った『義元、遼たり』がわりと淡々と物事が進んでいくのに対して、氏真の人生は波瀾万丈でした。
    今川の名前を継ぐことへのプレッシャー、のちの家康となる幼馴染、将軍の器としては物足りない自分自身の気質に悩まされる氏真。
    冒頭から葛藤を抱える氏真に親近感を抱いた。

    生涯にわたって伴侶となる妻との微笑ましいエピソードや、没落しても慕い続ける家臣とのやりとり、そして幼い頃に同じ夢を見て、別の形で追い続けて

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    2023年08月11日
  • 氏真、寂たり

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    今川氏真、和歌や蹴鞠といった娯楽に溺れて、国を滅ぼした愚将と称されている事が多く、あまり注目していなかったが、確かに、今川氏真の人生を振り返ってみると、戦国の世を確かなる覚悟を持って生き抜いた魅力的な武将であったと言える。

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    2022年06月05日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    戦国史を足利一族の視点から描くアンソロジー。
    古河公方発足から、喜連川藩誕生までの200年余りが物語の舞台となっています。

    室町から戦国にかけて関東一円の戦乱の原因は、鎌倉公方・管領の足利一族のいざこざのせいだと思っています。なんというか、関東だけに限らず、足利は血族の争いが多い気がする。尊氏と直義から始まってることですし。それでも、240年近く幕府として続いたことは珍しいことでしょうね。

    時代を下りながらのアンソロジー7話。一つの流れとして、関東公方家に仕えた忍びの「さくら一族」の存在があります。「足利の血脈」というタイトルですが、「さくら一族」伝でもあります。
    『嘉吉の狐』『螺旋の龍』

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    2022年01月30日
  • 龍が哭く

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    薩長の私怨と私利私欲の戦いに敗れ夢半ばで消えたがその魂は庶民に深く刻まれている。それは地元を愛し命をかけた戦争なき平和への執念であり、最後まで変わらず民衆の力にもなったことだ。「この戦いがこの国のために必要だったと胸を張って言えるのか」が印象的だ。長岡藩の一人の武士がその執念を持って藩政改革をしようとした行動(世を知るための旅・諸外国の知識情報収集・行動力ある人脈)は現代でも通じるベンチャースピリットになるかもしれない。

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    2021年09月29日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    室町時代、なかでも鎌倉公方〜喜連川藩の流れは歴史の中で自分が一番興味がある部分です。さくらの里という元ネタバレバレのはじまり方ですが、アンソロジーでそれが貫かれているのがまたいい。「足利の血脈」というからには、いっそのこと足利義兼あたりまで遡ってもよかった。

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    2021年09月08日
  • 龍が哭く 河井継之助

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    幕末の長岡藩家老河井継之助を妻すがの目線から描いた作品。破天荒で気性の荒い継之助は幕末の動乱の中で長岡藩の将来を憂えていたが、旧習にとらわれた家中の中で何もできない日々に苛立ちをつのらせていた。
    どうすれば自分の考えを藩内で形にできるのか、その答えを探るべく、農民出身ながら備前松山藩の要職に取り立てられ、藩政の立て直しを行った山田方谷に師事する。
    自分の考えに他者を賛同させるには、人から推されるにはどうすべきかに気づいた継之助は少しずつ藩政の中で実績を残し、藩主牧野 忠恭や家中に認められていく。家老に就任後は借金まみれの長岡藩を立て直し、戊辰戦争に向け軍事の西洋化を進める。迫る新政府軍を前に継

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    2021年04月17日
  • 幕末 暗殺!

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    7人の実力は歴史作家が幕末史の暗部に迫る!
    定説は覆されるのか?真犯人は?驚きの動機は?・・・。今、こんな競作アンソロジーが楽しい。

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    2021年02月01日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    足利氏の血脈を7人の歴史作家が紡ぐアンソロジー。
    ただ単に足利氏を描くだけでなく、忍びの血脈も同時に描かれており、重層感があった。

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    2021年01月23日
  • 龍が哭く 河井継之助

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    2020年の今年「峠 最後のサムライ」として映画化された・河井継之助の姿を描く作品。戊辰戦争の際、官軍と奥羽越列藩同盟の間で武装中立を目指した長岡藩家老・河井継之助は「英雄」だったのか?それとも、とんだ「大戯け」だったのか?動乱の時代を峻烈に生きた男の真の姿に迫る長編。

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    2020年12月29日
  • 龍が哭く 河井継之助

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    幕末の長岡藩の河井継之助が主人公。
    彼は、一生懸命に長岡藩をたてなおす。
    しかし、時代は幕末なので、幕末のドタバタにまきこまれてしまう。

    戦わないという選択の理由が、官軍につくと、色々お世話になった会津を打たなくてはならなくなる。
    それは出来ない。と、義を貫く姿がかっこいい。

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    2020年04月07日
  • 幕末 暗殺!

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    歴史小説に風穴を開けることを目的とした操觚の会7人によるアンソロジー。
    暗殺者側から描いた視線が目を引く。
    坂本龍馬や桜田門外の変など知られている事件もあるが、
    塙忠宝暗殺の様なあまりメジャーでない題材も拾い上げている。
    自分は孝明天皇死の謎に迫った作品が良かった。
    暗殺がテーマなので全体に明るさは無いがテンポよく読める。

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    2018年10月21日
  • 龍が哭く

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    面白かった。
    新聞連載小説だったということだが、河井継之助の人生をなぞりながら、妻すがの支店を織り交ぜていくのは新鮮。

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    2018年02月11日
  • 幕末 暗殺!

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    「操觚の会」による幕末暗殺アンソロジー。
    なぜ暗殺すること事が出来たのか。桜田門外では雪が降っていて、護衛たちが刀を抜くのが遅れた。油小路では、居待ち月で御陵衛士たちを囲むのに適していた。なかなか歴史の表には表れないが、成功した影には、そのような偶然や緻密に計算された必然がある。
    特に、龍馬暗殺を暗殺者の側から書いた誉田龍一。斎藤一の心理を描いた秋山香乃の作品は、素晴らしい。是非、ご一読あれ。

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    2018年01月28日
  • 密偵

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    面白かったです。読みやすい。

    この小説は、維新後警察に入った、元新撰組斉藤一改め、藤田五郎の、密偵が主人公。だから「密偵」。

    本当に、新撰組隊士たち、特に人気どころの幹部たちは、作家さんによって、全く違う描かれ方してますね。

    この作家さんは、一貫して、斉藤一を、ぎらぎらした感じのしない、飄々とした人として描くので、そのファンの方が多いみたいですね。

    私はぎらぎらした斉藤の方が好きだけど、飄々としてるのに、実は熱い、みたいなこの斉藤さんも好きです。

    本筋に関係ないことですが、秋月作品で、斉藤一は、会津の密偵として新撰組に入ったことになっている。試衛館の同志じゃないの?うーん。

    永倉新

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    2015年05月15日