秋山香乃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幕末期を駆け抜けた人達の中には、迎えた明治時代を視ずに去ってしまったという人達が多く在る訳だが、そういう人達の1人ということになる河井継之助を主人公とする小説である。
作中、手近な親しい人達は彼を「継さ」と呼ぶ。(「継之助さん」が縮まって転訛しているのであろう…)この「継さ」の遍歴、挑戦、戦い、最期が展開する本作。少し夢中になった。
「河井継之助」という人物に関しては、人気が高い小説を介して或る程度知られていると思う。本作はその先行有名作品とは全く別で、或いは先行有名作品よりも「継さ」に「寄り添って物語が展開」というような感じがした。それ故に少し夢中になって、ドンドン読み進んでしまったように思 -
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Posted by ブクログ
戦国武将に疎く、氏真って誰?という状態で読みました。
愚将と呼ばれたという帯の言葉に、いろんなイメージを膨らませて読んだので、想像よりも優しく有能な男性として描かれていたのに驚きました。
今川義元を扱った『義元、遼たり』がわりと淡々と物事が進んでいくのに対して、氏真の人生は波瀾万丈でした。
今川の名前を継ぐことへのプレッシャー、のちの家康となる幼馴染、将軍の器としては物足りない自分自身の気質に悩まされる氏真。
冒頭から葛藤を抱える氏真に親近感を抱いた。
生涯にわたって伴侶となる妻との微笑ましいエピソードや、没落しても慕い続ける家臣とのやりとり、そして幼い頃に同じ夢を見て、別の形で追い続けて -
Posted by ブクログ
戦国史を足利一族の視点から描くアンソロジー。
古河公方発足から、喜連川藩誕生までの200年余りが物語の舞台となっています。
室町から戦国にかけて関東一円の戦乱の原因は、鎌倉公方・管領の足利一族のいざこざのせいだと思っています。なんというか、関東だけに限らず、足利は血族の争いが多い気がする。尊氏と直義から始まってることですし。それでも、240年近く幕府として続いたことは珍しいことでしょうね。
時代を下りながらのアンソロジー7話。一つの流れとして、関東公方家に仕えた忍びの「さくら一族」の存在があります。「足利の血脈」というタイトルですが、「さくら一族」伝でもあります。
『嘉吉の狐』『螺旋の龍』