あらすじ
近藤勇、土方歳三と壬生浪士に参加した井上源三郎。人の好い井上は、長州を脱藩した佐伯又三郎と親しくなり、長州、水戸、会津の政争にまきこまれていく。ある日、井上は、土方から、芹沢鴨らが大和行幸を企てる浪士集団と通じていることを聞く。激怒した土方は、芹沢を陥れる、恐るべき計画を立てていた――。新選組結成の真実を描く時代長編。
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「新撰組捕物帖」と同じ、源さんこと井上源三郎が主人公。上記作よりシリアスな、長編で、源さんの身近な事件と、源さんたち近藤派と芹沢派の対決を絡めて、緩急つけたストーリー運び。だいたい新撰組の派閥抗争として描かれる話を、スケール大きく、長州との対決も含めて描いていて、新しかった。この作者の描く源さんは、ここでも、やはりみんなのために大活躍で、殺伐とした事件を、人情話に変えてくれる。
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今までスポットライトの当たらない人物をメインに据える。なかなか面白い。そして、新撰組そのものが波乱万丈のドラマがあり、それを可能にしているのだろう。
佐伯又三郎の悲哀には涙してしまいます。
堺槙之進、精神が崩壊したととらえるか、それが人間の性ととらえるか。
山崎烝、男女関係は普通の人と同じなんですね。
様々な新選組が生きている。
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井上源三郎主役、三章からなる連作短編のような長編。
京都に到着して壬生浪士組と呼ばれていた時代から新選組の名を貰い、芹沢鴨暗殺まで。
先に読んだ「新撰組捕物帳」より面白い。
作者の創作話に実際の事件を上手く絡ませてあり、上手いなあと思う。
源さんは誰もが共感できる良い人だが、実在の人物の生死に基づいてのいるので、物語が甘ったるくならないのも良い。
斎藤一がなかなか美味しい役どころ。
Posted by ブクログ
新選組+ミステリー。
主人公は、新選組主要メンバーの中でもさほど目立たない、井上源三郎。
源さんが気になるなら読むっきゃない!
時期は、壬生浪士組時代から、八・一八の政変(蛤御門の変)、芹沢鴨の暗殺まで。
史実をベースに、作者のオリジナル解釈を織り交ぜています。
源さんがべらんめぇ調なのが、わたしにとって新鮮でした。
脇を固める佐伯又三郎や尾形俊太郎がこれまた良い味出しています。
斎藤一もちょっと妖艶な雰囲気で独特です。会津の間諜だってのには驚いたというか、笑いましたが。
全体的には、良くも悪くも軽く読める話です。
エンタメとして読む分には良いのですが、史実の流れを説明する文章が、いかにも話中の文章とそぐわなくてちょっとげんなりしますし、物語としての出来を優先しているので、本格的な新選組ファンにはちょっと受け付けにくそうです。
歴史の裏ではもしかして源さんが……と思わせるにはちょっと弱すぎました。