勅使川原真衣のレビュー一覧
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「頭が良い」とはどういうことかではなく、「頭が良い」ことが価値があるように思える背景には何があるのか、そもそも「頭が良い」ことが求められているのはなぜなのか、と言った切り口が新鮮でした。
世の中には「頭のいい人がやっている◯◯」「頭を良くする◯◯」などが確かにあふれかえってますね。いつの間にか「頭が良くないといけない」とすり込まれているような気がします。そしてその背景に、企業や国が能力至上主義で人材を求めている、という視点が新鮮でした。企業だけでなく、学校もすでにその中に組み込まれ評価がされている事、気が付けない闇は深いです。そんな中で福祉の現場などの一筋の光明もあることが救いでした。
気が付かないで価値観を作られていくことが、すごく怖いですね。 -
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「主体性」が今会社でキーワードになっています。主体的に仕事に取り組むことは何より自分が楽しいし、主体的に仕事に取り組む人を見るといい評価を与えたくなります。でも会社方針に含められているのは少し違和感があって…
主体性はもともと「能動的」に近い意味で行動を促す言葉として用いられていたが、2020年頃には自分の頭で考えるという意味での思考力に寄ったニュアンスを持つようになり、さらに最近では主体的に考えて行動し、発信するところまでがセットで主体性と呼ばれているとのこと。
こんなおぼろげな概念を行動指針にすると、経営の期待どおりに動いてくれない社員を非難するのに便利になるだけなんじゃないかなぁという違和感でした。主体性は評価されるべきコンピテンシーではあるけど、経営が行動指針として定めることではないと思いました。 -
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私自身、テストの点数や運動神経、コミュニケーション能力などによって人に優劣をつける考え方があまり得意ではない。しかし一方で、努力している人がまったく評価されないことにも不条理を感じていた。この本は、そうした自分の中の矛盾や悩みに対する答え、あるいは糸口となる考え方を与えてくれた。
特に印象的だったのは、「頭がいい」という言葉の曖昧さについての議論である。普段何気なく使われている言葉だが、実際には何を指しているのかは非常に不明確であり、人を評価する便利なラベルとして機能している側面があることに気づかされた。また、「スーパーマン信仰」や「やり方が分からないことは、やらない理由にはならない」という考え方への批判も、私が以前から抱いていた違和感を言語化してくれるものだった。
私は高校生であり、受験を目前に控えている。そのため、小学生や中学生が将来のために必死に勉強している姿や、「よい大学に進学しなければならない」という社会的な圧力について考える機会が多い。勉強そのものを否定するつもりはないし、学ぶことを楽しめる人もいるだろう。しかし、近年では生成AIの発達や雇用環境の変化によって、従来の「よい学校に進み、よい会社に入ることが成功である」という価値観も揺らぎつつあるように感じる。そのような状況にもかかわらず、多くの人が同じ方向を向き、同じ正解を目指していることに私は強い違和感を抱いていた。
この本を読んだことで、その違和感の正体について考えるきっかけを得ることができた。私は一般的に「優秀」とされるような、理解が早く、コミュニケーション能力が高く、粘り強く努力し続けられる人間ではない。しかし、それでも自分にできることはあり、自分にしかできない役割もあるのではないかと以前より強く思えるようになった。
本書は、「頭のよさ」とは何かを問い直すだけでなく、人それぞれの価値や能力について考える機会を与えてくれる一冊だった。私自身、多くの気づきと新たな疑問を得ることができた。そして将来、今よりも多様な生き方が認められ、「生きづらさ」を感じる人が少しでも減る社会になってほしいと願っているし、そうできるよう微力ながら努力したいと思う。 -
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学歴社会にどっぷり浸かっている身でありながら、「学歴」をもとにした「能力」の測り方について、果たしてこれでいいのか?と疑問を感じる場面は多々あります。
一方で、あまり良い言い方ではありませんが、人を測るモノサシとして「学歴」以上に汎用性があるものもなかなかない、という現状を踏まえつつ本書を読んでみました。
企業において「学歴」は、採用の際などに職務遂行の「能力」を測る基準になっているという現実があります。
著者は組織開発の専門家であり、本書では、仕事は個人の能力で回っているのか、という問いについて、明確にNOと否定しています。
なぜなら、人間は多様であり、職場について人と人、人とタスク、人と市場環境などなどシステマティックな関係論的状態で捉える必要がある中で、単に学歴に頼って仕事のパフォーマンスを予見するのは悪手と言わざるを得ない、というのが著者の主張であり、確かにそこはうなずける部分です。
その他にも本書で興味を惹かれた主張を何点か挙げます。
○仕事の内容がよくわからないから「職務遂行能力」に頼る。
→職務に必要な技能が明確であれば、「学歴」はある種不問に付されるが、そもそも企業での労働において「学歴」が重要な情報になるくらい、企業の仕事の中身はよくわからないという前提なのか(※いわゆるメンバーシップ型雇用への問題提起)。
○組織が仕事をうまく回しているかどうかが、個人の「優秀さ」の問題にすり替わっている。
→問題の個人化によって、能力の向上を理由に無限の努力を強いられるのは個人。その要請に応えられなければ、能力不足を理由とした「排除」が正当化されやすい。
○世に「優秀」とされているものは単に、脊髄反射的に「答え」や「正解」風のものを導くのがうまいだけなのでは?
機会の平等に基づく能力主義を前提とする世の中では、能力の象徴である学歴は本人が努力した証だということになり、その点で学歴をモノサシにすることは、非常に便利だし合理的だということになります。
一方で、組織においては、上記のように学歴だけで能力を測ることが組織のパフォーマンスに直結するわけではない、という現実もあります。
その役割や功罪も含め、「学歴」と「学歴社会」について考える材料を与えてくれる一冊ですが、考えれば考えるほどモヤモヤするのも事実なので、自分なりにもう少し勉強する必要あり。 -
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本屋でよく売れるシリーズに「頭がいい人だけが知っている○○」「頭がよくなる○○」などの名前を冠した本が多くある昨今。
ファスト教養(レジー著)でも指摘されていた教養シリーズももしかするとこれらに該当する部類なのかもしれませんが、そういった「頭がいい」って一体なんだっけ?ということを能力主義の観点から批判的に眺めています。
学力があるから優秀?資格をいっぱい持っているから優秀?といったことや、運があるのも努力の副産物なのか?という点については自ら考えさせられることになりました。
1on1を通じて評価に悩む中間管理職が増えているという声が寄せられている話もあり、今後自分がマネジメントの立場になるときに読み返したい、再考したいと思えました。 -
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ネタバレ人生失敗したなとよく思ってしまう自分には、ところどころ刺さる部分がありました。
・成功は個人の問題ではなく、努力によって成し遂げられるものでもないこと。
・成功者になれるのは、特権を持つ運の良い人達に常に限定されており、そもそも増える仕組みではないこと。
・他者と競争する必要はない。
誰もが何かしらの強みを持っており、それを各自活かしてお互い補い合いながら生きていけば、そこには成功や失敗といった概念などないこと。
常に競争を強いられる私を含む現代人は、自分のしていることが成功なのか失敗なのか考えるのが当たり前になっていますが、ある意味洗脳状態なのかもしれません。
お互い補い合いながら生きられたら、世界はとても穏やかになるのではと思います。
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Posted by ブクログ
「頭がいい」とは何か?
日々生成AIをそれとなく使って「業務効率化」「タイパ」「コスパ」を重視してるフリをしながら仕事をしてる風の自分からすると、実に気になる問いとタイトルで、書店で直ぐに手に取って買ったその日に読み終えてしまった。
本書では「頭がいい」本ブームの変遷から入り、「頭がいい」の定義の曖昧さや、問題点を提起している。
読み終えて、まずこの本のタイトルを見て本書を買った時点で、自分自身は多少なりとも頭がいいと自認している反面、自分が馬鹿だと判断している人を排除している自分がいることに気付かされた。恐ろしく傲慢な話だ。
「頭がいい」という現代人の呪縛から解き放たれるための入門書としてとても良いの本なのでは?と思う。