勅使川原真衣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近、「生きづらさ」「傷」でキーワード検索しているかのように、この手の本ばかり読む日々。
勅使川原さんの著書3冊目にしてようやく理解できたような気が…
私自身、今の職場はあまり「傷つく」ことのない恵まれた環境で働いている。でも、職場以外のあらゆる場面で「傷つく」ことは常にあるし、職場で誰かを傷つけている可能性もある。
競争社会で「傷つく」人が生まれやすいという構造は理解できたけれど、なぜ「傷つく」人が増えているのだろう。
一昔前前の方がパワハラ全開だったはずなのに。
傷つくことに耐性がなくなっている人が増えているのかな…と思うけれど、一昔前前の企業の方が仕事ができない人でも養えるくらいゆ -
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私もたまに思います。「あいつ使えないな。なんでそんな事も出来ないんだろう。」
そう言う事はストレートに口に出さずに、やんわりとこうして欲しいともう一度伝えるようにしています。そうすると相手が何が分からなくて、何に困って、何を勘違いして、それが出来なかったのか分かることがあります。問題になった部分を次の仕事では最初から確認しておきます。
「なんでそんな事も分からないんだろう。」
多分自分もそう思われています。
だから分からない事はちゃんと聞くようにしています。
コミュニケーションは本来は難しいことはなく「丁寧に話して・聞く」たったそれだけのような気がします。
本書ではそれをSpeak up・ -
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それぞれの章のキーワードとそれに対する筆者の違和感のすべてに同意できるわけではありませんでしたし、どうしてそんなに面倒に考えるのだろう?と思う章もちらほらありましたが、それでも筆者の問題提起=言葉の多義性を無視し、物事を単純化された一元的な正しさに閉じ込め、分けて、分かった気になる世の中に対する問題提起、はとても大事な視座だと思います。
二項対立的に良し悪しを捉える事を疑う思考や、例えば限られた人しか救えないなど、問題の設定そのものを疑ってみる思考は、仕事で追われる日々の生活の中ではとても注意力と労力のいる事だと思いますし、もしかしたら生きづらくなるかな?とも思いますが、ここが岐路ではないか -
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ネタバレいま社会人18年目。
「人材」を「人財」と表記するようになったのはいつからだったか。これを目にしてから、ずっと背中がムズムズするし
北関東に展開する中小企業である弊社で「目標管理設定」が始まった10数年前から、ずっと「個々人でこれ設定して評価するって(部署によっては)実情に合ってなくね?」とモヤモヤ。
その評価をする管理職の皆様は自己の能力発揮して会社に貢献しとる?とてもそうは思えない。十何年も管理職の面子も配置も変わってないけど?
転職を考えだしたこのタイミングで、一度改めて「現代社会で働くということ」について考えるいいきっかけとなりそうと思って今2週目。
終盤にまた出会った「ネガティブ -
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人事組織や評価制度の成り立ちがよくわかった。学歴のある方にとっては、モヤモヤを消すことができるいいきっかけになるかもしれない。
勉強してきた側からは想像もつかないと思うが、してこなかった側からすれば、受験勉強で成功した人は、それだけで目標設定力とサボらなかったコミットメント力は秀でているし、同じ条件で比較された時のために、学歴は無いよりはあったほうがいいと思う。お金はあったほうがいいというのと同じ論理。
また、いい学歴の人は学部とは関係のない難関資格を取得したりと、優れていると実感できたことも多い。
とはいえ、転職からは実績を問われるので、あくまで新卒時の就活がきついだけと思うが、ここで -
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私は労働というものが死ぬほど嫌いだ。できることなら本を読み、映画を観て、Podcastを聴き、散歩をして、おいしいものを食べて暮らしていたい。読みたい本、観たい映画、聴きたい番組、歩きたい道、食べたいものが多すぎて、労働なんてしている暇はない。労働をしている理由はただ一つ、自分の尊厳を削られない範囲で金を得るため。それだけである。
それなのに最近「リスキリング」なんて気持ち悪い言葉をよく耳にする。自己研鑽をして市場価値の高い人間になれ、という話らしいが冗談じゃない。私は労働に自己実現を求めていないし、人生を労働に捧げるなんてまっぴらごめんだ。リスキリングなんてクソくらえ、と思っている。
そ -
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人により好き嫌いはありそうな本。
確かになぁと思う面もあったのでひとまずこの評価。
『能力』主義なる目には見えないとので人を振り分けて当然と言う現代のコンプレックスへの批判。
人を選ぶ・選ばれるのではなく組織の中で組み合わせの妙として助け合う、いかに活用するかということ。
そして選ぶことは他者ではなく、自己に向けられるべきであり、自分自身のモードを選ぶこと、それこそが働くと言うこと。
確かに能力、コンピテンシーなんて過去の成功に基づくのみであり本来的にすべきこととは異なる。
曖昧模糊としたものではなく、いかに実績・仕事を行うかということが本当は大事なのだと思う。
個人ではなく組織への -
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能力主義という、日本型メリトクラシーについて現状認識をまとめた内容。我々は教育課程における偏差値、就職での選抜といったプロセスにおいて能力を評価されることで高レベルかつ良い待遇の教育や仕事を得られる暗黙の了解がある。それは従来の縁故主義や階級社会を超克する平等で民主的な選抜方法として認識されている。
しかし実際のところ、企業が掲げるコミュニケーション能力や課題解決力といった指標は曖昧かつ相対的なことが大半であり、企業や裁量者にとって都合の良い判断に委ねられている。また良い大学に進学して良い企業に入る、という現代社会で認められる成功とは、親の職業や収入といった環境面に左右されることが研究によっ -
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ネタバレ結果が出ていない人に対して「頑張ってこなかったんだから、仕方ない」というが、「じゃあ、頑張ろうと思った時にこの社会は頑張らせてくれるのか?」
揺れ動く組織の生態にとって有用な情報は、固定的な個人の「能力」ではなく、「その人の良し悪しや序列なき『情報』かつそれによって組織の力学がどう変化しうるのかを予見できるもの」であり、これは「機能」で、ブレーキよりアクセルの方が有能ということがないように良し悪しや望ましさはない。
「万能」で「優秀」個人が必ずしも「有能」な組織を産むのではない。しかし、「誰が高い能力を持っているのか」「人のどこを見ればその能力の高さがわかるのか」を重視し、これらを効率的に -
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勅使河原さん二冊目。『これくらいできないと困るのは君だよ』の対談集を先に読んでいたので、内容はかなりわかる。
たぶんこの本から読んだ人は、少し微妙な評価になりそう。
そして勅使河原さんの主張に賛同できない人も多いと思う。それは能力主義や競争で勝っており自分が安心できるポジションにいる人。きっとポジショントークだと思う。競争に勝てない人、苦手な人、能力はその時点のできる・できないということ、機能の組み合わせということ、気持ちを受け止めること、どっちか一辺倒の考えになることがかなりの問題点であると言っていることが共感できたら働きやすいな。
この新書は、新書大賞にランキングしていたなんて!ランキン -
Posted by ブクログ
ネタバレ選ぶ、選ばれる、の真っただ中にいる中、
考えさせられるなー。
個人の能力と思っている者は、実は偶然生まれた環境であったり、出自であったり、とも言われる。人間一人で生きているのではない、一人では生きられない、とも言われる。
でも実際私たちの生きている社会では、成功するには個人を単位としてとらえる動機を与えるしくみや制度で溢れている… そしてそもそも、教育基本法でも、個人単位での人格の完成を目指しているということを知った。
そういったことへの違和感を共有されている著者。そして、個人能力ではなく、持ち味の組み合わせだ、と、働く場でも、教育の場でも、他者とともにある姿を具体的に伝えています。 -
Posted by ブクログ
初めの40ページくらいを読んだところで、自分の考え方やしてきたことが全部ひっくり返されるのではないかという恐怖をビシビシ感じながら読み進めていきました。
自分の考え方を見直さねばと思った部分もありましたが、自分のしてきたことが間違いではなかったと思う部分もあり、少し救われました。
まず、「働くということ」はわかりました。
これを教育という観点からどう見るか。
「能力主義」をどうやって超えていくか。
「次世代に引き継ぐべきではない」社会や学校の在り方をどう変えていったら良いか。
管理教育から新自由主義的な教育が主流になりつつあり、つまりは自己責任の時代に傾いている。
管理でも自己責任でもな