麻布競馬場のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
良かった。
令和の感性に肉薄したストーリー。
学歴、就職、結婚について、人と比べて常に成功か失敗かを考え続けている話だった。
短編であるが、独白の文字起こしに近い。
話はそれぞれ結構似ている。
東京だけをステージだと思っている人にとって、SNSや見栄は1番大事なのかもしれない。
特に、SNSにより需要が可視化されている昨今では狭まった世界でより孤独を感じるのだと思う。
語り手は実際には才や財力に恵まれていて、満足と言える生活を送っていると思う。
しかし高すぎるプライドから人と比較し、「成功ルート」を作り出し渇望している。
失敗したときに恥ずかしいからと「理想ではない現状」に甘んじることばかりし、がむしゃらに努力する人を冷笑しつつもないものねだりがやめられない。
虚勢を張りながら臆病で、自己肯定感が低く受け身な語り手ばかり出てくる。
叶わないことを諦めているように振る舞い、実際にはコンプレックを抱きかなり執着している心の内を語り手、立場を替えて吐露する内容だった。
「変わった人間でいることにアイデンティティを見出すことはいい麻薬」
「3年4組のみんなへ」
これだけは他の短編とは異質だと思った。
どの短編も、語り手は死を待つだけの空虚な締め括りだが、これには希望があっていい。
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Posted by ブクログ
不幸は皆を殴る為の棒を持って潜んでますし その人だけの見えない地獄があるものです ガシマンをして怒られたら態度も棒もシュンとするところも 戻れない過去への執着を流山おおたかの森に置いて、私は清澄白河のこの家のベランダで一人、淹れたての熱くて苦いコーヒーを飲む。 人は移動の苦労を無くして楽をする為に自動車を開発したのに、道路を満たす其れ等を眺めながら走って汗を流すなんて倒錯的で面白い。 リビングで勉強する姉と見守る父。美しい宗教画のようで、私はそこに永遠に入れないと感じました。今でも「勝った」と思えないままです。 彼の人生に責任を持てない人だけが彼に優しくした やっぱり鮪は虎杖浜の定置網が一番だな! 早慶MARCHは全制覇した 同じ学歴になるんだからコスパが悪い人生だなと思った 彼女の綺麗な服や皮膚に、二度と取れない草と土の匂いがじわじわと染み付いてゆくのを、汚い水溜りの中に立って、眺めているんですよ。 お前は俺じゃ無くて俺の記号を愛していたよな 濾過される事無く浴びせられる本音 知らん人に飴ちゃんをくれるおばちゃんが 人生の空虚を私で埋めようとしたお母さんと 今朝の吐瀉物に含まれていたらしい酸やらアルカリやらが張り付いて 噴き出すマンホールの下水のような彼のLINEをブロックしたその日 予讃線の駅前の良いとこに古いビルが2棟有るのと 独立した君は急に土偶や仏像の愛好家を名乗ったりして 最近、バカにしていた「くるり」の「東京」ばかり聴いてしまいます。ひどい曲ですね。 情報商材というものを サイバーでインターンをやった 悪いけど高円寺に救いはないどころかその逆だよ(笑) 実のところ鞭打たれながら決められたコースを競わされる可哀想な馬だ 彼等を見下ろして溜飲を下げるのもまた私に他ならなかった
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ネタバレ一穂ミチ先生の「感情旅行」がよかった。いつもそうなんだけど、先生の描く小説に出てくる観光地は、行ってみたくなる。具体的な地名などが出てくるからなのかもしれないが、読んでて、行った気になってる。今回は出雲の玉造温泉。出雲大社では「二礼四拍手一礼」。一穂ミチ先生の小説には毎度豆知識がぎっしりで、そこも魅力の一つ。賢くなったような気がして気分が良い。
肝心の内容だが、今回の私の中でのキーワードは、「通用してる」かどうか。なるほどな、こういう分類もあるんだ。少しどきりとした。当然、いつまでも「通用してる人間」でありたいと思うが、歳をとっていくに連れて、少しずつ不安になる。この小説内での「通用してる」は社会的信用を指していると思うけど、歳をとるに連れて、たとえば、機械操作がうまくいかず、もたついて、後ろで並んでる人やスタッフさんに迷惑かけるだとか、増えていくのかなぁ、少し先だけど、定年をむかえ、会社という組織から離れることで、それって「通用してる」人間から、少しずつ遠ざかることだよなぁとか。違う?
徐々に「通用しない」人間になることを想像して、どきりと恐怖を覚えた。
それはさておき、私が勝手に恐怖を覚えたことはおいておいて、千歳と華の関係は奇妙なものだけど、今は亡き、蒔生を介して、ずっと繋がっていくんだろうな、と。千歳は頑張って医師免許とってね。 -
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国内トップの私立大学文系の学生と卒業生の人たちにとつての、令和の時代の生きづらさの物語
大学のサークルでも、職場でも、結婚相手でも、シェアハウスでも、人間関係はむずかいのですが、価値観の多様性とかで、更に複雑骨折して気持ち悪い。シロクマとか。外資の双子への感情とか。
ひとはひと、自分は自分とは、なかなか割りきれないものなのでしょう。意外と空気を読んで行動している登場人物が少ない気がしました。
第四話 吉原さんと沼田さん2 には、吉原さんが出て来ません。沼田さんにとって、第一話の世界で吉原さんから事業を手伝ってと言われたパラレルワールドなのでしょう。
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久しぶりに小説のアンソロジーが読みたくなって購入。
一穂ミチさん、田中兆子さん、カツセマサヒコさんの短編が良かったけれど、あとは文章に深みを感じられずさーっと流してしまった。
一穂ミチさんは短編が本当に上手で、限られた文字数の中で想像を膨らませさせるような文章が良かった。設定からしてもひねりがあって、やっぱり安定の一穂ミチさん。
田中兆子さんの小説は初めて読んだけど、不機嫌で人をコントロールするタイプの女性の視点で描かれていてとても面白かった。どのように不機嫌な自分と言うものが出来上がるのか、不機嫌を撒き散らした後に回収できない自分のプライドの高さ、だけどそれを俯瞰的に見ている自分もいると言う苦しさ。なんだかとても深かった。
カツセマサヒコさんは話題のエッセイを買ってまだ読んでいないのだけど、小説も読んでみたいと思っていたので、ちょうどよかった。友達がみんな結婚したり、恋人がいたりして、少しずつ友達関係が変わっていく中で、自分だけがシングルであると言う状況と向き合う男性のお話。シンプルな文章の中で、この先どうなるのかなあと好奇心をかき立てられる短編だった。 -
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令和の人生ゲームは『あがり』がない。
マスを華麗に飛ばし、車には配偶者ピンも子供ピンも刺さず、そもそも車自体持たず、それでもゲームから『降りる』こともせずに、盤上をうろうろと彷徨い続ける。そんな途方もない自由と虚しさの感じられる話だった。
ビジコンとか人『財』企業とかシェアハウスとか銭湯マーケティングとか、総じて『意識高い系』として括られるものの内情をふわっと感じることができて興味深かった。
その上で、各話主人公の感じる焦燥や鬱屈は決して理解できないものではなく、世代や価値観が変わっても結局『本質は変わらない』んだなあと、作中人物の彼が聞いたら怒りそうなことを思ってしまった。
名状しがたい心の澱や時代の空気感を言語化するのがとても上手く、文章も読みやすかったが、四話に至るまでの沼田さんに何があったのかはもう少し知りたかった。