麻布競馬場のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
僕がこの本を前情報も無く読んだきっかけは
タイトルから予想して、今はまだ東京タワーの見えない部屋に住んでいるが、最終的には成り上がって立派なタワマンに住めるハッピーエンドかと思っていて、そんなスカッとしたエピソードを読みたかったからだった。
違った。
東京タワー、...むしろタワーとか関係なく東京そのものに執着し、挫折して皮肉って。
かといって、話に出てくるそれぞれの主人公は自身の出身地や実家にも劣等感を抱き育っている。
この人たちの本当の居場所はどこにあるのか。
読んでいる自分にも当てはまる感情もあるだろう。
夢を見れば見るほど現実で他人と見比べて自分を惨めに見えてしまって何もやる気も出なく -
Posted by ブクログ
先に読んでいた『令和元年の人生ゲーム』と同じく現代の若者たちが主人公で、彼ら彼女らがいわゆる「社会」というか「東京」という得体のしれない篩にかけられて脱落していく様をシニカルに描いた作品集。
前作同様、登場人物たちの意識が現代の若者たちのそれとどのくらい重なっているのか、自分にはなかなか判断が難しいけど、小説としてはどれもシンプルなストーリーでメッセージ性が強く出ており、『令和元年』より刺さる部分が多かった本作のほうが個人的には好み。
やや気になったのは、中盤あたりまで似たような展開が何度も出てくる点で、
学生時代はそこそこデキる子→社会人になって挫折→会社を退職
のパターンの連発はさすがに