麻布競馬場のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ちゃちゃっとライトに読める本と思っていたので、読後の刺さり方についてはそんなに期待していなかったのだが(ド失礼)、読んでみると思ったより深く、面白かった。SNSやハッシュタグにまつわる4つの短編が収録されているのだが、どの話にとってもSNSは良い意味で脇役、あくまでモチーフでしかなくて、主体はきちんと主人公に据えられているのが良かった。カツセマサヒコさんは相変わらず「理屈じゃないけどそういう気持ちになること確かにあるよね」という心情を見つけて、見つめて、言語化するのがめちゃくちゃ上手い。木爾チレンさんについてはこれを読んで初めて知った作家さんだったのだが、エモくて素敵な話を書くなあと思った。フィクション性がありつつ、それでいてどこかリアルなエモさの塩梅が素敵だった!思いがけずな良本で、感謝。
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Posted by ブクログ
「タワマン文学」と見て、冷やかし半分で手に取ったが、ブランド名や地名、大学名などが出てくるたびに、悔しいほど共感してしまった。
特筆すべきは、緻密なディティールの写実性。慶應だけどSFC。地方を走る軽自動車の車種、SNSに流れる寿司とビジネス書の無機質な構図。登場人物たちの「他人の不幸」を啜る伝聞調の語り口や、登記情報を洗ってまで他人の成功を疑う執着心には、言葉を失うほどのリアリティが宿る。これは、中途半端に「上の世界」を知ってしまった者が陥る、終わりのない精神的飢餓の記録。
内定一つで変容する価値観や、インスタの裏側で繰り広げられる冷徹な身辺調査。読者は、彼らの醜悪な自意識を嘲笑しながらも、そこに自分自身の断片を見出し、背筋が凍る感覚に陥るはず。底辺でも頂点でもない、この「中途半端に恵まれた層」が抱える閉塞感を、ここまで淡々と冷酷に書けるのも140文字のTwitter構文ならではか。 -
Posted by ブクログ
Twitterで、大反響を呼び文庫化された本作。
ショートストーリーにこんなに気持ちを持っていかれるとは…この作家さん、只者ではない。
「今年で30歳になります」
東京の夜の街でそう呟くのは、コミュ障で友だちもなく、地方から出てきて一人で暮らす彼や彼女・・
重苦しい10篇のあとに続くのは「大阪へ」「大阪から」。往復書簡のような2篇に、やっと息をつくことができた。
高校の文化祭で漫才を披露した二人は、それぞれが進んだ道で苦労を味わう。
どん底にいて思い出すのは舞台で輝いた時の自分たち。相手の苦しみ、優しさ、大切な存在だったことに初めて気づく。
「もう少し、頑張ってみようと思うんです」と語る二人のこれからに幸あれ!
後半を読み切り「3年4組のみんなへ」に再び戻ると、卒業生に送る先生の言葉一つひとつが胸に刺さってくる。
「それでも生きてゆくしかないのです」
「人の不幸を想像できる人になってください」
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Posted by ブクログ
他人の成功や自分にないものは時に憧れの対象、時に嫉妬の対象になる。そんな場面に、立場に身を置く時、心の中に言葉にならない虚しさを感じる
「何くそ!」と思う時と、「まぁいいや...」となる時。ダメとわかってても後者な場合が多い。だって、憧れのブランド品や一等地に大きな家を建てられてたらじゃあそれで自分の何が変わるんだろうか。
「身の丈」は自分が一番よく分かる。自分の好きなこと、自分のやりたいことは必ずしも世の中からの称賛とリンクするものではない
世の為、人の為、自分の為に就職する
世の為、人の為、自分の為に独立する
世の為、人の為、自分の為に親になる
その決断の時、実は何かを犠牲にしてる。そんなストーリーが沢山交えられた短編集でした。
それぞれ読み終わるとニヤニヤしちゃいます。染みるなぁって