麻布競馬場のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全話通しておもしろかったです!
2話3話のひょうひょうとした沼田さんから、4話の笑顔はりつき沼田さんへの変貌。3.5話が読みたくてたまらない〜!
そして沼田さんの吉原への愛が切ない…
吉原の代替の寛人さん。沼田さんを裏切らないでほしいな。
以下、3話で印象的だったところ。
世の中には、誰かを置いて去っていった側と、置いていかれた側があって、多くの場合、僕たちは人生の時々によってその両方を、加害者と被害者を兼ねることになる。
人生とは、次々と出くわす交差点をすり抜けて誰かを置き去りにしながら走ってゆく行為の連続なのかもしれない。
恋愛友情職場学校男女問わず、ほんとその通り!と思いました -
Posted by ブクログ
ネタバレ麻布競馬場の本は、まだ2作だけどとにかく性格が悪い。そしてこの『令和元年の人生ゲーム』も、好んでいる人の性格がもれなく悪いことが証明されてしまうという厄介な本。「合わなかったな……」という人は、心が汚れていないということなのでどうかそのままでいて欲しい。
「うわっ、このセリフ……」「うわっ、こういう奴……」いるわー!いたわー!嫌いだわー!と、とにかく悪口で盛り上がってしまう。
特に第1話のインパクトが強くて、やっぱり吉原が……うん、ごめん、嫌い。別に悪いことしてるわけじゃないんだけど、なんかこう……エルメスの15万のブレスレットをたかがサークルに着けてくるとかさ……親の金で武蔵小杉のタワマ -
Posted by ブクログ
割と裕福な家庭で育ち、高学歴で、上昇志向の強い、今の若者達の、リアルがここにある!
日本という国が、これからの成長を見込めないという事実を知りながら、これからの時代を生きていかねばならない若者達。
何を目標にして生きていけば良いのか、明確な答えは、熟年の大人たちは教えてくれない。
その答えを必死に探している若者達。熱心な教育を受け、日々、お稽古や勉強で忙しい毎日を送ってきた若者ほど、社会人になってこれからどのように過ごして行けばよいか悩むのだろう。
そんな中、達観し、のんびり気楽に過ごしていこうじゃないかと、半ば人生を下りてしまった沼田。
その対比が面白い。
ずっと続いてきた受験戦争は -
Posted by ブクログ
人はいつ、「自分はもう何者にもなれない」と気づくのだろう。この本の主人公たちは、まるでかつての自分のようで、読んでいて少し恥ずかしかった。
「朝活」「成功者の思考」「年収1億」──そんな自己啓発本を読み漁り、マーカーを引いて満足していた自分。
YouTubeの履歴は「成功者の習慣」「日本はオワコン、海外へ」。でも、本当の成功者は、きっとそんな動画すら見ていない。
35歳になった今、私は気づく。
私もまた、何者にもなれなかった。
私の部屋からも東京タワーは、永遠に見えない。
でも、見えなくてもいい。そんな人生も、悪くない。
この部屋から見える景色を、大切にしていこう。 -
Posted by ブクログ
何者にかなると確信している何者にもなれないだろう人たちの物語。
文体などはとても平易で読みやすいですが、人の生き方を刺す内容なので内容的に受容できない人、理解もできない人(のほうがいい人生ですけど)が結構いると思いますが、氷河期世代で仕事を得るだけでもしんどいのにただ働いてるだけなんて役立たずなのだとまでプレッシャーを受けてきた私は、世代的にはZ世代を描いたものであろうと思いつつも刺さるところが多々ありました。
自己顕示欲をこじらせ「圧倒的成長」に躍起になる意識高い系を引いた立場から嘲笑う沼田が、章が変わるごとに遂げていく変遷がまた皮肉に満ちていて、この社会で目指すべきものとは何なのだろう、と -
Posted by ブクログ
昔から気になっていた本の文庫本があったので買ってみた。解説にもあるように、固有名詞を形容詞的に使うことでリアリティのある文章が描けることに驚いた。「慶應」「商社」と聞けばどことなく華やかな、エリートな、といった属性を持つし、「JRの終着駅」「コンビナートが立ち並ぶ沿岸部」と聞けば田舎なのかなといった印象を受ける。
こういった固有名詞が持つ固有の属性を最大限に引き出した書き方で臨場感もあり面白かった。
東京で生まれ育ちながらも、SNSの浸透によって本来面前で見ることの無いエリートの姿が見えるようになり、その比較で押しつぶされそうになる自分の脆い感情がズキズキと蝕まれる小説でもあった。
小説として -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた麻布競馬場さんの本をようやく読めました。
Z世代の社会人にフォーカスした小説ではありますが、同じ時代を生きる自分にとっても色々と考えさせられる一冊でした。
何が正しいかも分からない・誰も答えをくれない・他の人に構えるほど余裕がない世の中に生きることの難しさを煮詰めたものが、軽快なタッチで描かれることで、より胸にくる内容になっていました。
これを読んで「よし、明日からこうしよう」と前を向くのも気が引ける意地の悪い内容ですが、その意地の悪さを避けてきたが故の今なのでは?と思えもする内容なので、しばらく悶々としようと思います。 -
Posted by ブクログ
Z世代かそのひとつ上くらいの若者が、ずーっと自己紹介をしている。Twitterは基本的に自分のことを書くミニブログサービスだから、その形式が合うのだろう。
良いもの、高級なもの、分不相応なものに対する欲望や執着がある。イギリスの高級靴とか、バルミューダの加湿器とか、高いナイキのシューズとか。そしてそれを冷笑するような文体。不満を慰め合うような物語。想定された読者は東京に少しでも住んだことのある人で、それは結構なマス層だろう。自分はそうではないけど、確かに20代のときは東京に憧れがあった。
人の本心、欲を描くというのは微妙に露悪的だと感じる。女性主人公だと特にそう思う。別の書籍で、『鍵のない