麻布競馬場のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
文芸誌ってほとんど読んだこと無かった。
好きな作家さんの名前が書いてあっても手に取ることは無かった。
だっておカタそう、、、。
でもこれはもう見た目がPOPで、好きな作家さんもたくさん。
価格もとても努力してる。
読んでから知ったけど紙もとてもこだわっている。
何かで読んだ本書を作ってる人達の想いも熱い。業界に風穴開けてほしい。
辻村さんの対談良かった。
子育て中の人が子どもを本好きにしたくてサイン会に子を連れてくる話とか、
新人賞に応募してくる人達の「怒り」に対しての自分も書く側としての気持ちとか。
俵万智さんと岸田さんの短歌選と対談も面白かった。
選び方にテーマとかストーリーがあるとこんなに印象変わるかという。 -
Posted by ブクログ
4、50代の人に刺さるんじゃないかな。
短編は内容は違うけど、共通するのはこんな人物像。
(男子も女子も出てくる)
【地方で高卒の専業主婦の母親にめっちゃ勉強させられて塾行って、慶應卒。企業に入るけど心病んで退職して田舎に戻る。または働いているけど、もう頑張れてないとか。
裏ではキラキラしたSNSに東京男子!的な姿をアップしてるんだけど、そんなにもフォロワーもいなくて、そうこうするうちに若者に煙たがられるオジサンになり、静かに老いていく。今更変われない。】
私も地方→東京だから、心の中にしまってある部分を取り出されているようで、なんかすごくムズムズしてます。人間って認められたくてたまらないけど、評価される成功者はごく一部。他者と比較して苦しんでいる大半の中年は、なんとか正気を保たなければ生きていけなくて、でもどうしていいか分からなくなってぼやーっとしてしまう。
若い、高収入、モテる= 人生の成功
と考えていると誰でも詰む。
それ以外に自分がハッピーになる方法を日頃から地味に進めておいたらよいのにね。
SNSを見ないのが1番いい!
⚫︎ポッドキャスト
味な副音声
「東カレって何? 麻布競馬場」
も面白かったです! -
Posted by ブクログ
リズムが小気味よかった。純文学っぽく、どこか志賀直哉っぽい感じもした。Tinder、商社マン、シャウエッセン、アニエスベー、NIKE、ユニクロ。普段なら何も考えずに通り過ぎる言葉が、妙に生き生きして見える。芝浦(潮臭い)、大門、新丸子といった具体的な地名もそうで、現代の東京が異様な解像度で立ち上がってくる。Twitter出身の作家だからこそできた書き方なのかもしれない。
今までの小説のリアリティなんて甘いんだよ」と挑発されている感覚。固有名詞をぼかさない。街、服、職業、恋愛、年収、見栄といったものにまとわりつく価値観まで一緒に入ってくる。30代の自分が知っている現実を、何度も何度もぶつけられているようだった。
「東京クソ街図鑑」のような容赦のない偏見がそうだ。みんなが羨む街にも平気で偏見をぶちこむ。そんなん言ったらあかんやろと思いながら、心のどこかでは共感してる。嫌な共犯関係にひきずりこまれた。
狙われているのは単純に見栄を張る港区女子そのものではないように感じた。むしろ、そこに憧れている人間、少しでも上に行きたい人間、街やブランドや職業によって自分の価値を確かめようとする人間のほうが残酷に描かれている。
最初の「3年4組のみんなへ」からすでに嫌だった。お前らの協調性のなさも、嫌な部分も全部丸裸にしてやると言われているような始まりだった。そこから街、仕事、恋愛、階級意識へと対象が広がっていく。
逃げ場がない。巻き込まれた。 -
Posted by ブクログ
なんと、今までのGOATはまだ読み終えていないのに、最新刊を読み終えてしまいました。たぶん、「食」というテーマが私にぴったりだったから。小学生のとき、図書室で見つけた「わかったさんシリーズ」を一気に読破する(しかも大人になってから全巻揃えて持っている)ほどには食べ物の本が好きな私にはぴったりのテーマでした。終始美味し楽しかった!特に印象的だったものをまとめようと思います。
〇麻布競馬場「お魚焼けたよ」
かなり刺さりました。なんかもう出てくる人達の人間関係が全部ぜんぶ薄っぺらく感じてしまったのは私だけでしょうか。最後まで読んだとき、その終わり方についため息をついてしまいました。
〇前川知大「ゆんちゃん、お弁当!」
主人公とおばあちゃんの間にある、2人だけの関係性。近くて深いからこそわかる、おばあちゃんに対する理解。死がたまたまそこに介在することで、他人が暖かくそれを解釈しようとすることのうざったさ、すごく分かるなと思いました。とりあえずおばあちゃんに会いたい。会いに行こうと思った。
〇青柳碧人「猫が大腸に棲みついた日」
これを読んでから先輩とアヒージョ食べた時、「猫が大腸に棲みついちゃって、アヒージョ食べるとそれが増えちゃうって話があったんですよ」と言ったら、すごく変な顔された思い出(そりゃそう)。アヒージョ食べる度に、ニャコチャチンを思い出してしまいそう。
〇中西智佐乃「食い扶持」
自分は奪われる側だと思っていたとしても、奪う側である可能性もある。それに対して自覚を持てない、受け入れられないことの愚かさが怖い。短いお話のなかで、人間の嫌なところをたくさん見ました。
〇三木三奈「熊手」
言葉も行動も、全てが生々しくリアルだったのが印象的だった作品。日々のくすぶりがお酒によって表面化しちゃう感じも、そのことを全然覚えていない感じも、でもその人のことだけを責めるのもなんだか違うなという感じも、読んでいて胸が苦しくなりました。あと文章がとにかく好きでした。
2026/7/25 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毎号楽しみにしている、GOAT第4巻!
まだ全部読み終わっていないけど、特に好きな作品をピックアップして感想を残していきます。
1、宮島未奈『ようこ蘇!平安部』
一番最初に載っている小説が、宮島未奈さんの「ようこ蘇!平安部」(それいけ!平安部のスピンオフ作品)でテンションが上がりました。
それいけ!平安部は、主人公が1年生でしたが、今回は学年が1つ上がり、新入生が入ってきます。平安の食べ物、蘇(牛乳を煮詰めたチーズみたいなもの)を作ったり、この平安部の話はいくらでも続編が読みたい。
2、対談 山極壽一×平野紗季子『争わない食べ方をゴリラに学ぶ』
ホッブズの「万人の万人に対する闘争」(人間は結局、自然状態を受け入れると闘争が始まってしまう。だから統治する人間が必要)は、統治者が統治するための嘘っていうのが結構衝撃だった。
-
Posted by ブクログ
「食」というテーマと、510円と言う安さに惹かれて購入したが、物凄い満足度だった。
様々な作家による「食」をテーマにした小説は、読み応えも十分でありながら、一作の長さがちょうど良く、サクサク読み進められる。
(今回特に印象に残ったのは、
前川知大「ゆんちゃん、お弁当」、
尾崎世界観「流血酒場ABOAB」、
小田雅久仁「GULA」、
青柳碧人「猫が大腸に棲みついた日」)
それ以外にも山口祐加×ダ・ヴィンチ・恐山による自炊レッスン、偏食にまつわるエッセイ、チベット文学研究者による腐れチーズの旅など…
文芸誌に収まらない、ライト層の好奇心も満たしてくれる、今この時代に新たなる文芸誌が誕生した事に感謝したくなる一冊だった。
デザイン性も高く、他の号も是非読んでみたくなった。
-
Posted by ブクログ
登場人物は皆、自分なりの「正しさ」を持っている。そして、その正しさで自分を支え、時には他人を裁いてしまう。学歴、仕事、社会貢献、結婚、価値観……競争を降りたつもりでも、今度は「正しさの競争」が始まる。この表現には思わず唸った。
一方で、誰も悪人ではない。それぞれが一生懸命に生き、自分が納得できる物語を作ろうとしているだけなのだ。それなのに、人は自分の正しさを他人にも求め、押しつけてしまう。その姿が、とても痛々しく、そしてどこか自分にも重なって見えた。
「変わることも変わらないことも正解はない中で決断しなければならない」という現実が描かれる。外野はいくらでも正論を言える。しかし、実際に決断し、その結果を引き受ける人は孤独だ。その姿が印象に残った。
読後に思ったのは、みんなそれぞれ一生懸命生きているのだから、自分の正しさを振りかざすのではなく、「そういう考え方もある」と認め合えたら、もう少し生きやすい世の中になるのではないかということだった。