麻布競馬場のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1章の時点では沼田がどんどん愛おしくなるとは思えなかったし、4章で冷や水を浴びせられるような気分になるとも思わなかった。途中まで、沼田って逆・成瀬じゃん(成瀬は天下をとりにいくの活力に溢れた主人公)とか思ってたら、詳細は語られないまま壊れていた。麻布競馬場の書く話に救いを期待した私がまちがっていた、、、、
前作を読んだときからうっすら感じていたけど、この本を読んで改めて、同姓同士の執着や依存について頻繁に語られていると思った。沼田と吉原はもちろんのこと、2章は女性の語り手とその同期、3章は男性とその旧友。同性ゆえに発生する競争(あるいはマウント)と執着を悲劇的に書くのが上手い。なんでぞっこんだ -
Posted by ブクログ
他人の成功や自分にないものは時に憧れの対象、時に嫉妬の対象になる。そんな場面に、立場に身を置く時、心の中に言葉にならない虚しさを感じる
「何くそ!」と思う時と、「まぁいいや...」となる時。ダメとわかってても後者な場合が多い。だって、憧れのブランド品や一等地に大きな家を建てられてたらじゃあそれで自分の何が変わるんだろうか。
「身の丈」は自分が一番よく分かる。自分の好きなこと、自分のやりたいことは必ずしも世の中からの称賛とリンクするものではない
世の為、人の為、自分の為に就職する
世の為、人の為、自分の為に独立する
世の為、人の為、自分の為に親になる
その決断の時、実は何かを犠牲にしてる。 -
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Posted by ブクログ
良かった。
令和の感性に肉薄したストーリー。
学歴、就職、結婚について、人と比べて常に成功か失敗かを考え続けている話だった。
短編であるが、独白の文字起こしに近い。
話はそれぞれ結構似ている。
東京だけをステージだと思っている人にとって、SNSや見栄は1番大事なのかもしれない。
特に、SNSにより需要が可視化されている昨今では狭まった世界でより孤独を感じるのだと思う。
語り手は実際には才や財力に恵まれていて、満足と言える生活を送っていると思う。
しかし高すぎるプライドから人と比較し、「成功ルート」を作り出し渇望している。
失敗したときに恥ずかしいからと「理想ではない現状」に甘んじることば