麻布競馬場のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「タワマン文学」と見て、冷やかし半分で手に取ったが、ブランド名や地名、大学名などが出てくるたびに、悔しいほど共感してしまった。
特筆すべきは、緻密なディティールの写実性。慶應だけどSFC。地方を走る軽自動車の車種、SNSに流れる寿司とビジネス書の無機質な構図。登場人物たちの「他人の不幸」を啜る伝聞調の語り口や、登記情報を洗ってまで他人の成功を疑う執着心には、言葉を失うほどのリアリティが宿る。これは、中途半端に「上の世界」を知ってしまった者が陥る、終わりのない精神的飢餓の記録。
内定一つで変容する価値観や、インスタの裏側で繰り広げられる冷徹な身辺調査。読者は、彼らの醜悪な自意識を嘲笑しながら -
Posted by ブクログ
Twitterで、大反響を呼び文庫化された本作。
ショートストーリーにこんなに気持ちを持っていかれるとは…この作家さん、只者ではない。
「今年で30歳になります」
東京の夜の街でそう呟くのは、コミュ障で友だちもなく、地方から出てきて一人で暮らす彼や彼女・・
重苦しい10篇のあとに続くのは「大阪へ」「大阪から」。往復書簡のような2篇に、やっと息をつくことができた。
高校の文化祭で漫才を披露した二人は、それぞれが進んだ道で苦労を味わう。
どん底にいて思い出すのは舞台で輝いた時の自分たち。相手の苦しみ、優しさ、大切な存在だったことに初めて気づく。
「もう少し、頑張ってみようと思うんです」と語る二 -
Posted by ブクログ
他人の成功や自分にないものは時に憧れの対象、時に嫉妬の対象になる。そんな場面に、立場に身を置く時、心の中に言葉にならない虚しさを感じる
「何くそ!」と思う時と、「まぁいいや...」となる時。ダメとわかってても後者な場合が多い。だって、憧れのブランド品や一等地に大きな家を建てられてたらじゃあそれで自分の何が変わるんだろうか。
「身の丈」は自分が一番よく分かる。自分の好きなこと、自分のやりたいことは必ずしも世の中からの称賛とリンクするものではない
世の為、人の為、自分の為に就職する
世の為、人の為、自分の為に独立する
世の為、人の為、自分の為に親になる
その決断の時、実は何かを犠牲にしてる。 -
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Posted by ブクログ
良かった。
令和の感性に肉薄したストーリー。
学歴、就職、結婚について、人と比べて常に成功か失敗かを考え続けている話だった。
短編であるが、独白の文字起こしに近い。
話はそれぞれ結構似ている。
東京だけをステージだと思っている人にとって、SNSや見栄は1番大事なのかもしれない。
特に、SNSにより需要が可視化されている昨今では狭まった世界でより孤独を感じるのだと思う。
語り手は実際には才や財力に恵まれていて、満足と言える生活を送っていると思う。
しかし高すぎるプライドから人と比較し、「成功ルート」を作り出し渇望している。
失敗したときに恥ずかしいからと「理想ではない現状」に甘んじることば -
Posted by ブクログ
僕がこの本を前情報も無く読んだきっかけは
タイトルから予想して、今はまだ東京タワーの見えない部屋に住んでいるが、最終的には成り上がって立派なタワマンに住めるハッピーエンドかと思っていて、そんなスカッとしたエピソードを読みたかったからだった。
違った。
東京タワー、...むしろタワーとか関係なく東京そのものに執着し、挫折して皮肉って。
かといって、話に出てくるそれぞれの主人公は自身の出身地や実家にも劣等感を抱き育っている。
この人たちの本当の居場所はどこにあるのか。
読んでいる自分にも当てはまる感情もあるだろう。
夢を見れば見るほど現実で他人と見比べて自分を惨めに見えてしまって何もやる気も出なく