成田悠輔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
知的好奇心を満たす程、深くロジカルに考察を述べたり、新説が披露されるような本ではない。寧ろ、本著の素晴らしさは、それとは真反対の所にあり、天才たちを手の届きやすい場所まで引き下ろしデフォルメ化する事で、人への興味から学問への入り口に足を踏み入れやすくしている狙いにある。マッタリと読めて、穏やかな気持ちになる。
意識してそうしている、というのが日経テレ東大学のプロデューサーでもある高橋弘樹氏。コンセプトを補強するのが巻末の天才たちのプライベートエピソードだ。打ち合わせ中にいきなりセロリを食べ始める成田悠輔。会食に牛肉を選ばない斎藤幸平。社会制度上嘘をつかなくてはいけないと言うストレスをアルゴリ -
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Posted by ブクログ
「AIが政治を動かす? そんなのSFでしょ」――そう思ってページをめくった瞬間、常識が静かに崩れていく。
成田悠輔『22世紀の民主主義』は、政治の未来を再設計する試みだ。
本書の核心はタイトル通り――選挙はアルゴリズムに、政治家はネコになる。
冗談のようでいて、冷徹に現実的だ。人間が担ってきた政治の意思決定を、アルゴリズムが補助し、偶然性を制度的に取り込む。政治家はいい感じのキャラ(ネコ)の役割を担う。そこには「民主主義を終わらせる」意図ではなく、「民主主義を再起動させる」構想がある。
反対意見は多い。
──アルゴリズムはバイアスを固定化する。
──誰がその仕組みを監視するのか。
──価値 -
Posted by ブクログ
特に議題に上がっている分野に詳しくないぢあ学生の私でもスラスラと読み進められたことに驚くとともに、あらゆるものが一度データ化される未来がすぐそこまできていて、その想像も近年のテクノロジーの進化からすると容易く、近未来の世界を語るのはもうSFの世界だけではないことを改めて感じました。このレビューを投稿したら、次に読むべきおすすめの本がアルゴリズム的に表示され、それをクリックする私の姿も想像できます。パーソナライズされた選書が当たり前になる世の中では、ベストセラーが出にくくなるのか気になるところですが、それもほんの数年後にわかるのでしょう。
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Posted by ブクログ
「資本主義が大好きで大嫌い」いいスローガンですね。そう言うところから成田悠輔さんの価値も上がりそう。
トロントのスポーツ飲料自動販売機ではお金を入れるところがなく、代わりに手をかざすところがあり、十分に汗をかいたかで無料で飲み物が出てきたり、食物繊維をたっぷり摂った快便の人にはお金をいただける排泄物の価値基準とか、本当にあるんですね。
本のタイトル下にあるキャッチコピーに「やがてお金は絶滅する」とあります。ザックリ言うと個人、もの、行動など全てがデータになるから、お金という紙幣を使う必要がなくなるという意味で解釈しました。
既存の一物一価ではなく、一物多価に。
アートークンという仮 -
Posted by ブクログ
資本主義の限界が言われて久しいが、確かにもういい加減厳しいですね。こうなってくると人口は減って良いし、経済成長しなくても幸せな社会を見つけないといけません。そんな中で最近の若手研究者はどう考えてるのかなと思い、成田悠輔の本を手に取った次第。
ネットでは既に一物多価が始まっている。同じ物が人によって値段が違うのだ。高くても買う人に高く売ることで再分配が可能になる。皆がお金から解放されるようにベーシックインカムが始まる。
お金。お金は経済活動の記録やデータの記録代行として生まれた。しかしデジタル社会ではデータは幾らでも取れるようになった。そうなるとお金は不要。必要なのは自分であることを証明する -
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Posted by ブクログ
とても斬新なアイデア満載でしたが、この本に書かれてあるものは机上の空論ばかりではなく、既に実施されているものもあるということに驚きました。
ヘイトスピーチやポピュリズム的政治言動だといった民主主義の「劣化」に対し、人間の無意識に基づく「無意識民主主義」によって政策立案していくグランドデザインが描かれていました。
私達の無数の民意データからアルゴリズムによって意思決定するというものですが、そこまで日常生活を常時見張られているとなると、ちょっと怖い気もします。ただ、アップルウォッチなどはその一端を既に担っていると考えると、そう遠い未来の話ではないのかもと思いました。
民主主義も時代に合わせて -