あらすじ
断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。
これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命である――。
22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。
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Posted by ブクログ
データ科学を応用して、今のいまいちな民主主義に対して次のスタイルを提案している。
素晴らしいのは、具体的な案を提案していることだ。
投票して代表を選ぶシステムではなく、未来の機械が人間の無意識を読んで自動で理想の政策を運用していく世界。
票の重さを変えるなど。
理想論を展開し、どれも合理的で良い方法だと思わせてくれる。
ただ、あくまで民主主義ではある。
民主主義自体の弱点として、衆愚政治のリスクがある。
特に民衆の考えをコンピューターが自動的に読んで、人々の想いを実現していく、つまり究極の民意の反映は、民衆は根本的に馬鹿なので上手く機能しなくなるんじゃなかろうかとは思う。
何よりも代表を必要しなくなるのは、利権をとっている人々に反対される。
人間の社会システムとして不平等は大前提で成り立っているので、やはり成立は難しいだろうと思う。
このあたりは、成田氏の22世紀の資本主義にも通じる。
ただ、そういった部分をなしにして、仮に民主主義で民意をダイレクトに反映させてくれるような政治体制を実現するなら、という前提で考えると、とても素晴らしい本だと思う。
Posted by ブクログ
先に「22世紀の資本主義」を読んでから本書を読んだ。例によってBOOKOFFオンラインにて購入。副題の「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」の意味が読み終わってよくわかった。
そもそも著者の成田悠輔という人をあまり知らなくて、そういえばフレームが右は丸くて左は四角い(あるいはその逆)変な眼鏡をかけている人がテレビに出ていたな…という程度の認識だった。
本の著者略歴を見て、学者であり実業家であり社会課題に取り組む人だとわかった。新進気鋭の、というところか。
そもそも選挙という旧態然とした制度が必要か?ということについて、テクノロジーが進んでいる現代においては「民意」というものをデータ化しアルゴリズムによって政策決定した方が的確では、ということが書いてある。
実際、他の分野ではデータとアルゴリズムによる分析が進んでいるという例に軍事分野や政策金利設定などが挙げられている。そういうテクノロジーの進化は着々と進んでいるようだ。
不完全な人間になんか任せないで、アルゴリズムによる民意を汲んだ方がよほどいいのかもしれないけれど、全てがデータ化された社会というのはなんとなく息苦しい気もするし、SFチックだ。
面白かったけれど、そんな未来には私はどこかデータ化の手が届かない国へ移住したい。
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選挙の日に成田悠輔さんと民主主義について考えてみた
成田さんは「選挙に行って政治を変えよう!」というスローガンを真っ向否定
選挙に行っても何も変わらん!と断言します
いや極論すぎひん?と思ったんだが、読んでるうちにちょっと納得させられちゃいましたw
でも確かに「民主主義」というシステムが老朽化して腐り始めてるって意見は全くその通り
だからって「専制主義」は勘弁願いたいので「民主主義」に革命的変革が必要!
そして成田さんの構想とは…詳しくは読んでもらいたいのだが、感想としては「バカなこと言ってるなぁ〜」だ
だが、そのバカなことが非常に面白く、まるっきり夢の話でもなさそうで、しかもなんだかそんな「民主主義」もありなんちゃう?と思わせる
すげーな成田さん
そしてそしてこの本を読みつつ選挙の日に思ったのは、改めて自分の思っていること望んでいることとまるっと一致する候補者や政党を見つけだすのは、やっぱり無理なので、どこで妥協するかってのが、今の選挙なんよな〜ってこと
なのでなんかもっとこうグラデーションをつけた、政策ごとに投票できるようなシステムは無理なんかな〜?って
成田さんの言うアルゴリズムを使えば出来そうなんだけど
「黙ってる」みたいな意思表示とかできんもんかね?
例えばLGBTに関する制度とかさ
わいはそういった本を読んだあとのレビューでもよく書くんだが、LGBTの人の気持ちは理解できんのよ、全く
でもそういう人がいてもぜんぜんいいと思うし、そういう人もちゃんと幸せに暮らしてほしいな〜とぼんやり思うわけ
で、そのためには今の制度では足りないところがいっぱいあるってことはそうなんだろうと思う
じゃあどういう制度がいいの?ってなったときに、わいはそういう人たちが何を望んでるか分からんので、分かる人にお任せして「黙ってます」いいようにして下さいちょっとくらいのマイナスだったら引き受けますという考えなんだが、そういう細かいところまで反映させることできないかなぁ
成田さんの言ってることが実現したらできそうなんだよなぁ〜
アルゴリズムにちょっと期待してみてもいいかもな〜
Posted by ブクログ
魅力的な論ではあるが、制度的にも完全実装の技術的にも人々の意識レベル的にもまだまだ机上の空論。しかし、単純に「AIに支配されたディストピア」みたいな先入観は除かれた。同氏による「22世紀の資本主義」も楽しく拝読させてもらったが、このようなアルゴリズムをつくることができるのなら、情報工学を学ぶ私の天命だろう。
Posted by ブクログ
表紙にかかれている一文からひきつけがうまい。読めばなるほどそんな考え方もアリだな、と思わず唸ってしまった。賛成反対のような思想の話ではなく、単純に読み物として面白かった。
Posted by ブクログ
【総評】
- インターネットの普及に伴う社会変容と、民主主義における意思決定の遅れとのギャップはますます深刻化している
- この課題にどう向き合い、どのような未来を描くべきかを考えるための重要な視点を提供する一冊
- 著者が提唱する「無意識民主主義」は、現行の民主主義の限界を鋭く指摘し、興味深い構想を提示している
- 100年後には、類似のシステムが実現する可能性があると感じさせる
- 思考を更新したい人や、民主主義の未来に関心がある人におすすめ
〜以下、内容メモ〜
【0】民主主義の衰退
- インターネットの普及が民主主義を危機的状況に追い込んでいる
- SNSがイデオロギーの分断を加速
- 社会の急速な変化に対して、従来の民主主義による意思決定が遅すぎる
【1】闘争
- 選挙のUI設計や液体民主主義導入など、民主主義を改善する動きが存在
- しかし、現行の制度内で当選した政治家が改革を進める可能性は低い
【2】逃走
- 民主主義に対する失望から、一部のエリートが政治から距離を置く傾向
- ただし、この個別的な動きでは社会全体の変革には繋がらず、根本的な解決には至らない
【3】構想 〜無意識民主主義〜
- 人間のデータをセンシングし、政策ごとの重要度を明確化
- アルゴリズムに基づき政策を決定し、社会の意識や行動データを反映
- これにより、従来の民主主義の遅れを克服し、社会の変化に即応できる可能性
- 結果として、民主主義の質と速度を向上させる可能性を秘めている
Posted by ブクログ
最近成田悠輔さんが気になって仕方なくなって著書読んでみました
民主主義の劣化を指摘した後で考えられる提案を3つ提示
⑴現存の民主主義と戦う
⑵民主主義から逃走する
⑶アルゴリズムで選挙と政策決定を管理するという新しい民主主義を構築する
提案の内最初の2つが機能しない理由、最後に残ったSF的提案の根拠
科学的根拠のあるSF小説を読んでいる気分でした
次世紀には実現してそう
時代遅れな参院選のお祭り騒ぎの中2022年6月に脱稿した、と書いてあったけど2024年の都知事選で5位だった安野さんはこの本を実現しようとされたのかな
ご自身は政治学の専門家ではない、と言っておられるけど論文や書物の引用量が莫大
引用文献の紹介の仕方も面白かったです
魅力的な成田さんの文章のおかげなのか、最初に結論を書いて後で証明していく展開に引き込まれたせいなのか分からないけど一気読み
凄かった!
Posted by ブクログ
成田さんがメディアで発信している内容を更に詳しくまとめたもののように感じた。
中学生にも分かる言葉で噛み砕いて説明してくれているので、どの年代でも読みやすいと思う。
特に行政DXによる民主主義の再生のところは、かなり面白かった。
また、執筆に関して全て自身で完結されていることを知り、本の重みが強くなった気がした。
Posted by ブクログ
失われた20年がもうすぐ30年になり、このままでは1世紀ごと失わんとする見事な停滞ぶり(笑)である。槍玉に挙げられるのは、少子高齢化問題であり、経済政策であり、労働環境である。著者の目の付け所は異なる。私たちの教科書的常識についにメスを入れ出した。そもそも、並列されがちな資本主義と民主主義は実は相対するものだという認識を突きつけられた。民主主義は凡人の傷の舐め合いであると。やたら教科書で礼賛された民主主義も、300年ほど変わってないものであるが、これからの技術進歩と共鳴して、マシになってほしい。
Posted by ブクログ
独特の言い回しで語られる、現状の選挙や政治の話題。随所の成田節が皮肉っぽく且つ言い得て妙。
本書で語られている題材は現状の選挙や政治についてだが、それらは様々な事柄にも置き換えて読めそう。
それこそ、古きを新しきへ。エッセンスを失わず、新時代を体現する仕組みへ。
Posted by ブクログ
「AIが政治を動かす? そんなのSFでしょ」――そう思ってページをめくった瞬間、常識が静かに崩れていく。
成田悠輔『22世紀の民主主義』は、政治の未来を再設計する試みだ。
本書の核心はタイトル通り――選挙はアルゴリズムに、政治家はネコになる。
冗談のようでいて、冷徹に現実的だ。人間が担ってきた政治の意思決定を、アルゴリズムが補助し、偶然性を制度的に取り込む。政治家はいい感じのキャラ(ネコ)の役割を担う。そこには「民主主義を終わらせる」意図ではなく、「民主主義を再起動させる」構想がある。
反対意見は多い。
──アルゴリズムはバイアスを固定化する。
──誰がその仕組みを監視するのか。
──価値の多様性を一つの数式にできるのか。
それらを理解したうえで、成田さんは“人間中心の政治”そのものを問い直す。
設計の民主化、透明性、確率的ゆらぎ――語られているのは、AI支配ではなく「開かれた再配分の新しい形」だ。
印象的なのは、語り口の軽さ。
ニヒリズムのようで、どこか温かい。上から教えるのではなく、「世界のルールを一緒に書き換えよう」と誘うような筆致だ。
読後には、政治や社会を“信じる”よりも、“設計し直す”視点が芽生える。
この本は未来を語るというより、すでに始まっている変化を見える化した一冊でした。
Posted by ブクログ
とても斬新なアイデア満載でしたが、この本に書かれてあるものは机上の空論ばかりではなく、既に実施されているものもあるということに驚きました。
ヘイトスピーチやポピュリズム的政治言動だといった民主主義の「劣化」に対し、人間の無意識に基づく「無意識民主主義」によって政策立案していくグランドデザインが描かれていました。
私達の無数の民意データからアルゴリズムによって意思決定するというものですが、そこまで日常生活を常時見張られているとなると、ちょっと怖い気もします。ただ、アップルウォッチなどはその一端を既に担っていると考えると、そう遠い未来の話ではないのかもと思いました。
民主主義も時代に合わせて変化していくのでしょうし、その変化を先読みした本なのかなと感じました。
良い頭の運動になりました。
Posted by ブクログ
成田さんがどんなことを考えているのかが気になって読んでみた。
毒のある表現こそ成田さんらしいところなのかもで、そこはあまり好きじゃないけど、本の全体構成はとてもロジカルで、とにかくスケールがデカい。
超絶アタマいいんやろなーと思う、なるほどな本でした。
Posted by ブクログ
YouTube「出版区」に出演していた成田悠輔さんの天才っぷりに刺激を受けて、読んだ。アルゴリズムかあ。未来の民主主義がアルゴリズムで変わると、今よりも良くなるのかなあと思った。未来のアルゴリズムに期待したい。
Posted by ブクログ
22世紀の資本主義の後に読んだ。なぜか資本主義の方がしっくり来た。経済は(論理的疑問はたくさんあったが)アルゴリズムに任せることにそこまで抵抗感はないのだが、政治的判断を無意識にすることの抵抗はやはりまだ拒否感がある。今の政治よりはマシになるかもしれないけど…
まさに火の鳥で手塚治虫さんが想像したディストピアに近づいていっている。
なんにせよ、何をよしとするかなどは哲学や倫理のような気もして、一周回ってこれからはそこが人間のフロンティアになる気もする。
Posted by ブクログ
本作『22世紀の民主主義』は、「既存の民主主義は故障しており、選挙に行くだけでは社会は変わらない」と断じます。その上で、民主主義再生のために「闘争(改革)」「逃走(民主ヘイブン)」、そして「構想(無意識データ民主主義=アルゴリズムによる意思決定)」という三本柱を提示。特に無意識データ民主主義では、膨大なデータとアルゴリズムで政策決定を自動化し、効率と公平性を高めようとします
・・・
成田氏といえば、近頃テレビでもお見掛けをすることが多くなった若手の学者さん。
本作では鋭く(既存の)民主主義の終焉を宣言。
初めの1、2章を読んでいて氏の民主主義への絶望、人間への絶望を深く感じました。
・・・
民主主義と資本主義という対立するような主義の二本立てにあって、資本主義の先頭にいるいわゆる新自由主義的な人たちは独自の国家をつくろうという動きもちらほら。タレントが税率の低い国などに国外移住するはその一番分かりやすい形かと思います。
他方、民主の人たちは「下方に引っ張られる」方向。SNSの浸透により、政治家のレベルもまた下がる傾向。挙句は、なるべく優しい簡単な言葉でしゃべらざるをえない。いきおい、口当たりの良さ・ウケでしか政治家は選ばれなくなる。そうした中で、利害の異なる幾つかの世代の多数決にあっては、少数派の若者は負け試合をせざるを得ない。
こういう背景にあって、新たな民主主義の構築を模索するという話です。
・・・
私の理解するところでいうと、氏の提案するアップデート版民主主義とは、AIとビッグデータによる問題洗い出しと政策決定です。
例えばネット上のつぶやきだったり、動画だったり、そうした膨大なデータから世の中の人の不安や問題点・関心を洗い出し、それに対して適切なイシューの整理と優先順位、そして適切な政策を打つ、と。
具体的に想像してみます。
あるいはもう少し卑近なデータも収集されるかもしれません。例えばスマートウォッチから収集される睡眠データや体重・エクササイズのデータ等はあまねく国のストレージに送信され、ここから国民の健康状態とそれに対する政府の施策を決定。
あるいは、コンビニやスーパーのPOSのデータや各種の金融動向データから、今後の金利政策や通商政策をAIが決定。
このようにしてデータ至上的ではあるものの、意識した問題しか捉えられない人間とちがい、無意識の問題をもデータとしてAIがあぶり出してくれよう、というものだと思います。
まあ確かに、今の少数の支持を得ただけで当選するポンコツ政治家が一部の利害関係者の問題しか議論できないとすれば、このようなデータを背景にAIでハンドルした方が良いかもしれません。
少なくともマイノリティにとっての切実な問題も俎上に上がるでしょうし、握りつぶされることはないでしょう。問題は優先順位付けのアルゴリズムだけかもしれません。
・・・
もちろん、私も読んでいて恐怖は感じました。
すわ、ビッグブラザー世界の爆誕だ、と。
選挙や民主主義とは話が違いますが、それこそ浮気なんかもうできない時代がそこまで来ている気がします。
ケータイやスマートウォッチやらのデータが常に吸い上げられて、それがスパコンで計算されるようになると、仮に異性の部下が悪い酔いしてしまい、終電間際に送っていくなんていうシチュエーション。政府から『終電30分未満。あなたは既婚者です。会社の異性と一緒に居る可能性があります。至急行動を変えてください』なんてLINEで来たりして。
パターナリズムと愚行権はAIとどう折り合いをつけるのでしょうかね。
あるいは、こうして政治もAIに取り上げられ、人間は人間にしかできないことをしてください、なんていうと一体人間にしかできないことってなんだろう?とか考えてしまいます。
人間同士で喧嘩でもしているか?あるいはセックスでもしまくるのか?というか若ければそれもあるのかもだけど、老人は?
ただ、こうしたことは本作の本筋からは外れますね。
飽くまで不平等で欠陥の多い民主主義をアップデートしようとするために、データとAIによる開かれた政治を展開するという話でした。
・・・
ということで成田氏の斬新な提言でした。
変わりゆく未来に一抹の不安はありますが、政治に限って言えば私は成田氏の意見は非常に面白いと思います。今のところ賛成。
自分の子どもたちの未来・将来世代の世の中を憂うる現代人ならば、一度読んでみてよいと思います。
Posted by ブクログ
^〇-□^ メガネの成田悠輔氏。
このメガネは、「主張したいことがある」という意志を示しているらしい。
ウケ狙いではなく、名前が売れる前から好きでかけていたそうだ。
好き嫌いはありそうだが、特定の組織や人物に肩入れすることなく、冷静に本質を捉えているように感じる。
論理的に整理されていて学術的と言うのかな?
現実的でないと思われる発言が記憶に残ることが多い人。
まあ、こんな印象を持っていたので、もう少し頭の中を覗いてみようと読んでみた。
実は本書のサブタイトル「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」に違和感があり、読む気にならなかった。
机上の空論が展開されている本なのだろう、と思っていたから。
今の世の中、自分と違う思想を持った人は徹底的に叩き排除する。
自分と同じ思想を持った人の意見は繰り返し聞いて悦に入る。
こんな人が多いでしょ。
成田氏は、自分と考え方が同じとも違うとも思えない。
〇か×かじゃなくて、中間の△でもない。
ちょっと別の感じ。
でも、反発なく読めたので、考える方向性は似ているのかも知れない。
「今の選挙や政治の仕組み、民主主義は異常」に見えるのが本書を書いた理由だと言っている。
政治や選挙や民主主義をちょっと違った視点から眺め、無理やり考え直すことを楽しんでできた本らしい。
現在の複雑すぎる社会では、政治家が経済や医療や軍事など、あらゆる課題を理解して適切な判断を下すという建前には無理がある。
みんな薄々気づいているが、テレビの政治討論や政治家の言動を倦怠感と共に眺めている。
マクロ経済の適切な運用のために、税金がどのくらい必要か、金利の上げ下げをどの程度にすべきか、などは情報・データの分析から導き出せる。
つまり、政治家は別段必要ではない。
どんな処置を行うべきかが分かればよい。
これが「選挙はアルゴリズムになり」ということ。
政治家本人も、無数の課題に対する合理的判断をすることより「いい感じのキャラ」を演じることに務めている。
実際にマリオになったりして、笑いを取ったり、人間としてのゆとりを感じさせようとしている。
こんなキャラ作りの政治家を見て、「政治家はネコになる」と皮肉っている。
今の株取引なども電子化されてアルゴリズムの勝負になっている。
生成AIが仮想の政治家を作り、政治を任せてもあまり実害はないような気もする。
マルクスの「資本論」も実践が伴っていない思想だったが、結果として現在の社会に絶大なる影響力を与えている。
本書も実践するのはまず不可能な思想だが、民主主義を見直し修復するのに有用なアイデアが詰まっている。
今の社会の仕組みの選挙で当選した政治家が、社会の仕組みを変えようとは思わない。
そういう意味で、本書の提案を実践するのは不可能なので、「無力で口先だけの妄言を語る奴」と嘲笑してくださいと成田氏は言っている。
Posted by ブクログ
1. 本の要約
本書は「民主主義と選挙制度を、現代日本にふさわしい形へ再設計しよう」という問題提起から始まり、具体的な改革案を示しています。著者は、明治以来続く選挙制度が高齢化や情報環境の激変に十分対応できず、「民意を正確に吸い上げる仕組み」として限界に達していると指摘します。そのうえで、複数投票制や報酬設計の見直しなど、実験的でありながら現実的なオルタナティブを提案しています。
2. 心に残ったポイント・考え方
所詮、選挙とは “多数派のお祭り” にすぎない。
この一文は非常に印象的でした。(ニコニコ以外でみることにも驚きましたが)
高齢者比率の高い日本で多数決を採れば、結果として高齢者向け政策が優先されやすい現実があります。古代アテネが衆愚政治に陥りソクラテスが死刑に追い込まれた例や、ナチスがデマゴーグ的手法で大衆を掌握した例が紹介され、「悪名は無名に勝る」という現代の炎上商法にも通じる構図が描かれていました。
著者は、現代の民主主義が「近視眼的で閉鎖的」になりやすい理由として、選挙サイクルに追われる政治家が “遠い成果” より “目先の世論” を優先せざるを得ない構造を挙げています。特に日本ではシルバー民主主義が顕著で、長期的な国家戦略を阻んでいると指摘します。なお、スイスではネット投票を導入しても投票率に大きな変化がなかったという事例が示され、テクノロジーだけでは民主主義の硬直性を打破できないことも示唆されていました。
3. 日常に活かせるポイント
最もシンプルで効果的な行動は「投票に行く」ことだと感じました。投票率が高いという “異常事態” をつくり出し、政治への無関心が通用しない空気を可視化することこそ、市民に開かれた民主主義を守る第一歩だと思います。
本書で取り上げられたシンガポールの成果連動型報酬制度や複数投票制などの斬新なアイデアは、すぐには導入されないかもしれません。それでも「制度は変えられる」という想像力を持ち続けることが、将来的な改革のエネルギーになると感じました。
最後に、著者が触れていた “AI が生活データをもとに民意を解析し、政策立案を支援する未来” にも大きな可能性を感じます。いつの日か、私たちの選択と技術の力が結び付き、より透明で持続可能な民主主義へと進化することを願っています。
Posted by ブクログ
民主主義が劣化していることを根拠をもとに解説しつつ、そこに対するアプローチを闘争・逃走・構想の3点の切り口で語られた本。特に構想の部分は、成田先生が思い描いた一種のアイディアで民主主義のやり方を抜本的に作り直す斬新なものだった。小難しい言葉も多いが、賢い人から見た民主主義が学べて総じて面白かった。
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同じデータサイエンスを学んでいる身として、成田さんの思想はとても面白かった。
最初のまとめの部分で話したいことは全て纏められていて、かつ主に前半と最終箇所に重要な見解が詰まっていたので、その他は肉付けの為の要素として飛ばしても問題はないかと。にゃーん。
Posted by ブクログ
「それでも地球は回っている」これを別の意味合いとして使いたい。
無意識に押し込まれているものは、そうであるがゆえにメリットがある場合もある。それを取り出しすべて表にしていく無意識データ民主主義は、合理的であるがゆえに危険でもある気がする。
やってみないとわからない。ただ黙過は人類の知恵でもある。この点への敬意と遠慮は必要ではないか。
時に浮き彫りになるくらいがちょうどいい…そういうものも人の内面にはあるのではないか。急がないほうが良いこともある。
なぜなら、「それでも地球は回っている」のだから。
Posted by ブクログ
若者が選挙に行くと、世の中が変わると言われ続けてから昨今、政治参加したぐらいじゃ何も変わらないと言う人が出てきました(笑)
資本主義と民主主義、相反することを平気で並べ立てる世の中に、シンプルに疑問を投げかけ、一石を投じる…
新しい民主主義は、奇想天外ですが、めちゃめちゃ面白いwww
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印象に残ったのは、政治家は必ずしも「人間」だけとは限らない。猫やゴキブリにだってなれる。妄想の話ではなくノンフィクションであり、実際に世界で動物が当選した事例も多々あり。
ただ、現実問題言葉も話せない動物が政治家になるのは不可能であろうと私は思うが、その考えを一変させる少し現実離れした内容ではあった。
政治家のデータやあらゆるデータをアルゴリズムというデータ管理に基づき管理して透明性を保持する。無意識的民主主義というものが近い将来訪れるかもしれないと頭の片隅に芽生えたお話でした。
莫大なデータから蓄積し、最適な答えを出せるようになれば、政治家は猫でもゴキブリでもなれる世界が訪れ、叩けば叩くほど味が出る、サンドバッグ政治家として機能し、実行者はアルゴリズム。サンドバッグは人間に限らず、仮想人となる世界が訪れる。そんな世界もワクワク感じながら今日も資本主義の最前線で生きる。
Posted by ブクログ
読みやすかったけど、資本主義の本のあとに読んだら、またそのパターンかと感じてしまった。
要は人間が担うと色々物理的に制約ができて平等性とか公平性にかけるので、アルゴリズムで解像度が高いままのデータで自動化できるようにしましょうという話に聞こえた。
なんとなく言いたいことは分かったが、本書の中でも語られている、アルゴリズム化することの現実的な問題点について、もっと深く考察してほしかった。予想ではなく予測と言っていたが、夢物語のような内容にしか聞こえなかった。
とはいえ、読み物としては非常に面白くボリュームも程よいので気持ちよく中だるみせず最後まで楽しく読めた。
次回作に期待したい。
Posted by ブクログ
現在の選挙制度のなかでいくら投票に行こうと呼びかけて頑張るより、選挙や政治、民主主義というゲームのルールをどう作り変えるかを考えるべきだ、という主張は強く共感できた。
一般庶民には少々難解な表現も多いが、鋭い着眼点や様々な参考文献を用いた説得力のある文章と、シュールなユーモアは流石だなと思った。
⚫︎ インターネットやSNSの浸透により、民主主義の劣化は民主的な国であるほど加速している。
⚫︎ シンガポールの大臣の給与は成果報酬型で、給与の30〜40パーセントはGDPなどの指標の達成度に応じたボーナスになっている。
⚫︎ 教育の過剰によって、有権者は高学歴になる程独善的になり、議論と反省によって意見を修正していく能力を失っていく傾向がある。
⚫︎ 私たちが選挙を受け入れているのは、数百年前の段階でギリギリ全国を対象に実行できたデータ処理装置が選挙だったからだ。今、ゼロから民主主義を制度化するなら、データ処理の方法はいくらでも改良の余地がある。その一例が、アルゴリズムを利用した無意識民主主義である。
⚫︎ 調整者•実行者としての政治家は、ソフトウェアやアルゴリズムに置き換えられ自動化されていく。そして、政治•立法の顔になって熱狂や非難を引き受ける世論のガス抜きをする政治家は、ネコやVtuberに置き換えられていく。
Posted by ブクログ
作者の主張: 民主主義が劣化している。その原因は、現在の選挙制度は、数年に一回、すべての論点の判断を委ねる政治家を選ぶという極めて大雑把なものなので、各種の政治的判断についての人々の民意を汲み取り、実際の政治運営に生かす制度としての性能が低いからだ。
作者の提案は、選挙制度に代えて、SNSなどの人々の欲望、意向が反映されている社会内の情報をインターネットを使って汲み取り、AIを使って分析し、各種の論点・テーマごとに、民意を反映する制度を導入すること。
そして、人間の政治家に何が残されるかというと、政治家には運営がうまくいったときに誉めるためのアイドルや運営がまずく行ったときに責任を押し付けるスケープゴートとしての機能だけが残る。しかし、そういう機能なら、人間よりもアイドルには猫、スケープゴートにはゴキブリを採用した方が良いのではないかと言っている。
まともな議論ではないので、実現性はゼロだが、思考実験としては面白いと思う。
Posted by ブクログ
明日世界が滅びるとしたら
もう少し違う本を読むかも。
でも今日はわたしはこの本を読んだわけなんだけど。
でも明日世界が滅びるとわかっているなら、宮沢賢治の詩集とか,もう少し違うものを読んでいるかも。
…人の無意識というのは人が思っているよりもずっと深いんでないかなという気がする
フロイトさんを思い出すわけではないけど、文脈的に当然そういう含みもあって、無意識民主主義と言われても全然楽しい未来に乾杯できる気分になれはしない
SF?のわりにはあまり良い気分にならず
なんとなく直感的にはすでに現実になりつつあると思うところはあるけど(選挙に行かないのも無意識のなすところじゃない?)