あらすじ
お金の夢から醒めろ
株価も仮想通貨も過去最高額を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。お金や市場経済はどこへ向かうのか?
この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。
人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか?
現実とも虚構ともつかない未来像を立ち上げる経済学者・成田悠輔の本領発揮! 貯金と投資なんかで夢見てる場合じゃない。凝り固まった思考を叩き割る社会構想の誕生を目撃せよ。
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Posted by ブクログ
成田氏の22世紀の民主主義とセットで読む。お金の終わりを予言する。未来過ぎる理想論だとは思う。もちろん、そういうのは大事だ。
22世紀の民主主義でもそうだが、技術的には可能な理想論だけれど、人間の心、特に欲の部分をどうするか、そこの肝心要のところには突っ込めていない。
とはいえ、そこは畑違いということで意図的に触れないのだろう。
不平等を前提にした世界では実現が難しい理想論だと思う。
とはいえ、理想論だから、部分的にでも実現していく可能性はあるのだろう。
理想論ではあるが、理論展開などはさすがで、読んでいて面白い。
Posted by ブクログ
「どうせ最後は“AIで社会を良くしよう”って話でしょ?」――そう思って読み始めた自分を、成田悠輔『22世紀の資本主義』はあっさり裏切った。
本書は、政治・経済・倫理の“前提そのもの”をリセットしにくる刺激的な思想書だ。
成田さんは、社会を動かす三つの仕組み――共同体・国家・市場――を「再配分の装置」と定義する。
そしてそれぞれが限界を迎えた今、第四の仕組みとして「アートークン」を提示する。
これは富や承認を集めるための道具ではなく、「贈与と解消の循環」をつくるための仕組み。
信頼を“蓄積”するのではなく、“流通”させることで社会の硬直をほぐしていくという発想だ(資本主義の苦しみからの自由)。
読みながら感じたのは、これは単なる経済書ではなく、人間の“信頼の使い方”を再定義する哲学書だということ。
税金でも投票でもない、新しい再配分――それは「信頼を軽くする技術」なのかもしれない。
読後には、政治も市場も「いらないかもしれない」とすら思えてくる。
イデオロギーを破壊的に更新したい人へ。
この本は、22世紀の未来をのぞき見る思想の方舟だ。
Posted by ブクログ
この本を経済書として読もうとすると頭が混乱する、これは哲学書だ
総じて成田節が効いていてウィットに富んだ表現も多く面白かったが、おそらく読書をする層は資本主義に傾倒している方が多めなので半分も理解しきれないのではないかと思われる
昔から実際にした事と受け取れる対価が資本ベースになっていることに違和感を感じていて、かなり上手く言語化していると感じた
実際に22世紀にどうなっているか知らないが、もしかしたら見れる可能性はあるので、75年後に検証してみよう
Posted by ブクログ
「『お金で幸せは買えない』と言う人はどこで買えるか知らないだけだ」
ー作家・詩人ガートルード・スタイン
はい、成田悠輔さんと22世紀を夢想する
今回は資本主義についてのお話
今回も色々ぶったまげた妄想を展開してくれますが、やっぱり妙な説得力
ちょっとありそう
いやあったら面白いかも
「お金」についての成田さん流定義は、(めちゃざっくり言うと)ぼんやりとした記録であるとのこと
そしてデータ化とその記録の精度や保存が爆発的に増えた現在すでに一物多価が始まっていて、将来的にはさらに増えて行くと夢想
これが面白いんよ
あ、一物多価ってのはひとつの品物に様々な値段が付くってことね
例えば、すご~く親切な人やいつもニコニコしてる人(データ化して記録が残ってる)は、同じものでも人より安く買えたり
いつもビールばっかり飲んでる人は週に一回ビールの値段が3倍に跳ね上がるとかね
(1日何本飲むかもデータとして残ってるので前日に買い溜めしようとしても値段あがります)
ちょっと怖いけど、なんか良さげじゃない?
そして、さらに夢想は進み、一物無価へ
え?どういうこと?
答えは本書で!
Posted by ブクログ
成田さんが政治のYouTubeでよく出てくるようになり、まともなこと言ってるなーと思って本を手に取ってみました。
うーん、お金と資本主義嫌いすぎない?笑
本人は好きとか嫌いじゃなく、今の資本主義は破綻してるよねと思ってると私は勝手に思ってるけど、文章読んだら嫌いそうだなーと感じました笑
とはいえその通りだと思うし、お金を稼ぐゲームが好きじゃない人にとって生きにくい世界だなと前から思ってたので、きっとそうなっていくんだろうなーと思いましたよ。SFっぽく感じるけど。
めちゃくちゃ読むのが難しいけど、紐解いてみると100%正しく書くとそうなるんだろうけど、80%くらいなら簡単に言えるのにな〜と思いました。
人の評価がお金だけでなくいろんな変数によって決まる世界になり、相対的にお金の価値って下がるよねと。
稼ぐのが好きな人は稼げばいいし、人の役に立つことをしたければすればいい、それが評価される時代になると。
読んでて面白い本だなと思いました。
Posted by ブクログ
成田先生の本を初めて読ませてもらいましたが、現実の日本を考えながら将来の日本はどうなるのかを書いているようで、良い本を読んだと思います。ただちょっと自分には難しかったかな…でも「双子地球」の所は読んでて面白かったです。
Posted by ブクログ
高齢者の入口にいるものとして「高齢者は集団自決」発言された方の本を一度は読んでおこうと思い購入。非常に個人的な感想ですが文学的作品と感じました。ゆえに読みにくかったです。(野菜食べようと思ったら味は果物でしたみたいな違和感。分かりにくくてすみません)。今の社会にうんざり、というか、この世の中を何とかしたい、との思いを感じました。市場と国家と共同体を痛烈に批判しつつも、それらのよいところをベースとした新たな〇□主義の構築を真剣に考えておられるのでしょう。正直スキリしない読後感ですが、勉強になりました。
Posted by ブクログ
特に議題に上がっている分野に詳しくないぢあ学生の私でもスラスラと読み進められたことに驚くとともに、あらゆるものが一度データ化される未来がすぐそこまできていて、その想像も近年のテクノロジーの進化からすると容易く、近未来の世界を語るのはもうSFの世界だけではないことを改めて感じました。このレビューを投稿したら、次に読むべきおすすめの本がアルゴリズム的に表示され、それをクリックする私の姿も想像できます。パーソナライズされた選書が当たり前になる世の中では、ベストセラーが出にくくなるのか気になるところですが、それもほんの数年後にわかるのでしょう。
Posted by ブクログ
全てが商品化される、利益最大化のために一物多価になる、まではそうだろうなという気がするが、全てがデータ化される、それがブロックチェーン的に保存されアイデンティティ化する、それが信用情報として利用されて経済行為が貨幣レスで行われる、というのは本当かなぁという気がする。様々な行為のログの一元化は誰がするんだろう。ビッグテックか?めちゃくちゃ反対されそう。
最後の姿は希望だなと思う。贈与経済2.0と似たシステム。誰かのためになる行為が交換される経済が社会の基盤であって欲しい。そして踊るとか舞うように生きるのも大事。
Posted by ブクログ
「資本主義が大好きで大嫌い」いいスローガンですね。そう言うところから成田悠輔さんの価値も上がりそう。
トロントのスポーツ飲料自動販売機ではお金を入れるところがなく、代わりに手をかざすところがあり、十分に汗をかいたかで無料で飲み物が出てきたり、食物繊維をたっぷり摂った快便の人にはお金をいただける排泄物の価値基準とか、本当にあるんですね。
本のタイトル下にあるキャッチコピーに「やがてお金は絶滅する」とあります。ザックリ言うと個人、もの、行動など全てがデータになるから、お金という紙幣を使う必要がなくなるという意味で解釈しました。
既存の一物一価ではなく、一物多価に。
アートークンという仮想空間上の唯一無二のアルゴリズム個人価値を、ブロックチェーン化するミームコインの存在を知りました。
個人価値データにより、同じラーメン屋でも貧困層は安く、富裕層は高い金額で請求でき、その価格はブラックボックス化されるので、格差もなくなる。
稼げない人間、働けない人間、価値の低い人間でも何の引け目も感じずに生きられるような経済観と人生観への転換。
社会の幸福度も上がる。
最後に成田さんは、柄谷行人の「力と交換様式」からのアイデアで、この本を編集したことを明かしてました。
オルタナティブ資本主義のような、そんな素敵な22世紀になってほしいと思います。
Posted by ブクログ
お金に対する解像度や、既成概念にとらわれない発想、未来を見通す力…成田さんは一体どうやってこの能力を手に入れたのか。
お金は記憶というワードが強すぎる。
全てを理解するのにあと20年くらいかかりそう。
Posted by ブクログ
資本主義の限界が言われて久しいが、確かにもういい加減厳しいですね。こうなってくると人口は減って良いし、経済成長しなくても幸せな社会を見つけないといけません。そんな中で最近の若手研究者はどう考えてるのかなと思い、成田悠輔の本を手に取った次第。
ネットでは既に一物多価が始まっている。同じ物が人によって値段が違うのだ。高くても買う人に高く売ることで再分配が可能になる。皆がお金から解放されるようにベーシックインカムが始まる。
お金。お金は経済活動の記録やデータの記録代行として生まれた。しかしデジタル社会ではデータは幾らでも取れるようになった。そうなるとお金は不要。必要なのは自分であることを証明するデジタル上のID。
人々はベーシックインカムで最低限の生活はできる。さらにプラスアルファの生活がしたいなら他の人たちのプラスになる労働やサービスを行いトークンを得る。無理に働く必要はない。
他の人たちのプラスになることはアルゴリズムでシステムが教えてくれる。
そういう社会って良いんじゃないかと著者は妄想する。
1995年のWindows95登場からインターネット、スマホの登場…と、デジタルが次の産業革命を生む!と思ってたのに、結局『失われた30年』に呑み込まれてしまった。確実に進歩してきたのに経済成長には全くつながらなかったですが、デジタルは大きく社会を変えたし、これからも変化していく源になるのでしょうね。
しかし世界はどうなっていくんでしょうね。子供の頃に家族や近所や学校などのコミュニティがあって、大人になってからネットやSNSと一緒に成長してきた我々と違い、核家族で近所付き合いもなく生まれた時からSNSがありAIが最初の親友である今の子どもたち。お人形と話すのではなくAIと会話しちゃってるわけですから完全に思考回路が違いますよね。そっちのが予測できなくて怖いくらい。
成田悠輔は悲観的な人なのか「日本はもうだめだ」みたいなことをよく言いますが、あまり深い根拠はないようです。不安なんでしょうね。この本は楽しそうな22世紀をイメージしてます。まあ、予測なんてほぼほぼ当たりませんからね。頭の体操みたいなもので楽しく読めました。
Posted by ブクログ
お金の価値の低下は、なんだか実感としてあるし、データ至上になる未来も身の近くに感じる。AIに搭載される悪意と善意に振り回されそうな気がしました。
Posted by ブクログ
天才の頭の中を覗き見たかんじ。
前半は非常に興味深い。お金がなくなる世界。全てのデータがデジタル化され、記録され、カスタマイズされて一物多価となる世界‥
当たり前になっている一物一価の貨幣経済、資本主義でなくなる時代、いずれお金が必要なくなる時代‥
後半はSFっぽくて現実味がないかな。
いずれにしろ、賢い人はこんな未来を想像してるということに触れて知的なワクワクをもらった!
Posted by ブクログ
いきなり叶恭子さんの言葉で始まった。面くらった。笑った。
無知な自分でも楽しく読めたのは、文章が面白いからだと思う。シニカルな笑いがよかった。
招き猫アルゴリズムが作るデータ。それにより発行するアートークン。そのまま肯定とは言わないけど、面白い。
Posted by ブクログ
2025.5.25~2025.7.12
(感想)
初の成田悠輔。
最初はその語り口に閉口しましたが、だんだん気にならなくなりました。
思考ゲームとしてはとても面白く、何点か気になる考え方もあり、感心しました。
Posted by ブクログ
『22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する』は、お金の本質と未来、データ資本主義の姿を問う野心作です。既存の価値観や経済観に一石を投じる一方、好みや受け取り方で評価が分かれやすい一冊となっています。「22世紀はこうなるかも?」という想像で読むのがオススメです。
Posted by ブクログ
まず、最初の方でこの本で述べたいことを述べてから、少しずつ例を解説していくスタイルなので腹落ちしやすい。ただ、あくまで未来予想図のため、抽象的な部分も多い
Posted by ブクログ
お金は人類の恥部である──。
冒頭から成田節炸裂の本作。
叶恭子氏の著書の引用を『はじめに』に持ってくるあたりが成田クオリティ。
本編も、成田悠輔を知っている人からすればクセ強な成田式資本論。知らない人からすれば、かなり斜めな終末系思想書。
…捉え方が下手すりゃ180度変わりそう。
成田語録目白押しな本作。AIとアルゴリズムを活用し、お金はやがて消えてなくなる。
富や価値の定義は一新され、過去の行いや個性が価値となる…。
個々の富の差を測る経済から、個々の違いを尊重し測れない経済へ。
発想が斜め上というか異次元というか。
──さて、未来はどうなる?
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お金の夢から醒めろ
株価も仮想通貨も過去最高値を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。お金や市場経済はどこへ向かうのか?
この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。
人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか?
現実とも虚構ともつかない未来像を立ち上げる経済学者・成田悠輔の本領発揮! 貯金と投資なんかで夢見てる場合じゃない。凝り固まった思考を叩き割る社会構想の誕生を目撃せよ。
Posted by ブクログ
つまみ読み。(忙しい人向けの要約、これいいね!
)
お金は善にも悪にもなるんだなって感じた。
詐偽には気を付けよう、当たり前だけど。まぁ稼ぐ話しは怪しいと思うけど、あるYouTuberも99%稼ぐ話しは詐偽といっていたぐらいだし。
あと、今の現代は未来に向けて投資する傾向があるというのはその通りだと感じた。NISAとか、、、
Posted by ブクログ
現代にみられる兆候や萌芽から、資本主義の未来像について描かれています。結論が刺激的なので、読んでいて荒唐無稽と感じたり、アレルギーを発するような表現にもなるような挑戦的な内容になっているかと思います。しかし、その結論に向けて、その理由についての語りを読むにつれ、私たちが現在感じている将来への不安感の原因について気付きを得ることができるのではと感じました。まず現代における兆候について、いくつかの具体例を挙げて書かれています。資本主義が行き詰っていることを改めて確認できるかと思います。次に、資本主義の中心であるお金について、その意味や歴史、必要性などについて述べられています。そしてお金がない状態がそれほど異例ではないことを理解したうえで、お金に変わるものの未来について描かれています。将来といっても22世紀くらいまではかかると思われますが、その世界の可能性の一つとして、荒唐無稽と思われた主張が、現実味を帯びて感じられる内容だと思います。著者独自の勝手な推論ではなく、幾人かの著名な人々が語られていることであること、いまの世の中では、注意しないと一部の人の意見しか入ってこないこと、他の意見があることと、それを知りその真偽について考えることの重要性を考えさせられました。
Posted by ブクログ
歴史の浅い概念であるお金や資本があらゆる社会活動の中心になっている現在からその先の世界を想像していた。確かにお金って価値が上下したり不安定だしこんなもののために格差や不均衡が生まれてるのって変だよな~と冷静になれる。早く再分配を自動化して資本的成長の必要が無い世界にならないかな…。
Posted by ブクログ
SF作品の設定を解説している本のように思えてしまった
動画で先に本の概要を知ってしまっていたため、驚きも少なくふーんという感じになった
前作の民主主義が面白かったので期待値が高くなってしまったのも要因かも知れない
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
オーディブルで聴き流してしまったのが良くなかったかもしれないが、天才の頭の中を細かいテーマごとに淡々と流し込まれる感じで着いていけなかった。
Posted by ブクログ
再配分に着眼した、一定の理屈のうえに築き上げられた、どちらかというと空想本。
テクノロジーの進化に伴い、世の中の変化は速くなった。この本の内容が終着点ではなく、ひとときの通過点になる世の中もあるのかもしれない。
Posted by ブクログ
著名な著者の話題の本だからとりま読んでみよーと読む。
この人の本の読後感はSF小説を読む時に近い。
専門家からしたら賛否両論なのだろうけど、私は一凡人であり、小難しい判断はできないのでまあ楽しんで読むだけだ。
私たちが持っている当たり前の「お金」という価値観が通用しなくなる見立てには、ヒヤリとした感覚のなかに、そんな世界になったらどうなるんだろうという少しのワクワク感がある。他の人の感想を読んでいて「シニカル」という言葉があった。なるほど。しっくりくる表現だ。
ぶっ飛んだことを書いてるように思うが、その道の研究者ということで、リアリティのある説得力を感じてしまう未来予想だ。
人間の全てがデータをとられそれがさまざまな市場経済に反映されるようになると語られているが、現状、素人が思いつくボトルネックとなるのはセキュリティの問題かなぁと思う。
今あるApple Watchなどで計測されているデータひとつとっても、アプリ間で共有するためには、いちいち個人の許可が必要になる。私はそんなとき、なくなんとなく拒否することが多い。専門知識があるわけじゃないが、こんな私のしょぼいデータでも、プライバシーなものを所構わず共有するのが怖い、という感覚があるからだ。
サービスから別のサービスへ、データが利用されるにはその度にプライバシーやセキュリティの問題がついてまわるのではないか。
これが著者が思い描くようなデータが縦横無尽に利用される社会の障壁になるように思うのは素人考えだろうか。
Posted by ブクログ
今後のお金というもののあり方について考えさせられる。お金の概念が変わるというところまでは同意だが将来の行方の考え方が突飛なのかそれとも自分の知識不足なのか複雑過ぎて理解できなかった
Posted by ブクログ
サンデルの「実力も運のうち」から成田悠輔に。共通するのは多くの持たざる人達をいかに救済するか。ただ、著者の場合は、救済するとかいう能動的な話ではなく、そうなるという話。資本主義に疲れお金という一次元の価値尺度でなく、個人の履歴に基づく測定できない価値の交換の社会になると。徳を積めと?22世紀の話なので誰も真偽は確かめらない著者の妄想 (保険を掛けた) とも言えるが、皮肉たっぷり、斜め上からの視点、見識の広さは健在でファンとしては面白い。
1章は結構事例を交えて論拠を語られていて「へー、そんなのあるんだ」と勉強になる。General Magicとか、懐かしい会社も。ただ、2章のバーチャル世界的な話はちょっと「でもそうか?」という感じもあり。デジタル空間は無限ではない。たとえ、人がネットだけの思念的なバーチャルな存在になったとしても。そうでなくともあらゆるものがデータ表現されるような環境を実現するにもサーバも電力も通信網もプラットフォームも必要でありリアルな物理世界とは切り離せない。物理的なタンパク質の塊は、物理的な資源を消費せずに霞だけでは生きていけない。この本を読んでいる途中、たまたま (?) YouTubeの令和の虎に著者出演の動画が流れてきて拝見したが、細井氏の「お金がなくなっても所詮人は土地の奪い合いでは?」の突っ込みに対し「痛いところを着きますね」とかわす場面も。著作でも「脚注にこの問題に答えるにはこの小さな本では足りない」と。フェルマーか。3章のお金でない価値の交換様式はちょっと難しい。でも何か聞き覚えのある話だなあと思ったら(先日読んだ難解な解説本の元ネタ)柄谷行人『力と交換様式』が引用されてて交換様式「D」の話に繋がり...。
(誤解してそうだが)個人の言動/行動/所作がデータ化され、それに基づく価値交換/分配って監視社会、ディストピア感ありで結局そういう社会になるのかと暗い印象も。
Posted by ブクログ
格差も加速度的に広がり、いまの資本主義社会のシステムに終わりが見えてきたのは事実。また、お金以外の何かが生まれることを、自分が子どもの頃には考えもしなかったことを考えると、お金が絶滅することもあながちあり得るのかも・・。とはいえ、まだまだ未来の話であり、具体的な例もあまり多くなく、読んでいてなかなか頭に入って来なかったのが正直なところ。
小説も含め、わりとふりきった設定?内容?の作品が好きなので、最後まで読むことができたが、そうでなければ、ちょっとキツいかもしれない。あくまでも22世紀(2101年〜)の資本主義はこうなるのかも、と思って手にするのが吉。 ★3.4