小野不由美のレビュー一覧
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ネタバレ新刊発売記念・既刊を読み返そうキャンペーン!発売まであと2週間ですが、3冊目となるこちら「風の海 迷宮の岸」です!
私はアニメ版をコミックにしたものから全ての筋を知って小説を読んでいます。特にこの巻にあたる部分は、何年も目にしていないはずの絵が克明に蘇ること!印象的で、ハラハラしながら読んでいたのですかね。戴の主従には今でもひとかたならぬ思い入れがあります。
読み返してみると、さまざまな登場人物同士の掛け合いがカッコよくて印象的な部分が多々ありました。特にお気に入りは、王に選定された後の驍宗様と李斎との会話です。禁軍将軍の座が空くが、との問いかけに対する李斎の答えがあまりにも李斎を表しすぎていて……本当にそう思っているでしょうし、でも傍目に見ればきっとこの人がそうなるのだろうと感じさせる覇気。でも当の李斎は驍宗様にはとても敵わないと知っている。強さのインフレを紙面から感じるところでした。
何より本作は、幼いながら数奇な運命に巻き込まれた泰麒のいじらしさや心情に、こちらも入れ込んでしまうような話の進み方をしています。どうしてこんないい子をこんな目に!でもいくら女仙たちに愛されて大切にされても、やはり務めを果たしたり驍宗様を守ったりしているときに真価を発揮する泰麒は正真正銘の麒麟ですね。
あーっ!この子が!生国に下ったこの後、務めに苦労しながらもずっと幸せであればいいのになー!
どうでもいいことですが、驍宗様ってなぜか様をつけて読んでしまいませんか?私も畏怖を感じているのかもしれません……そう考えると、成長物語を特によく見せてくれる陽子は陽子だし、どっしりと五百年もの治世を成し遂げている延王は延王ですね(呼ぶなら尚隆と呼び捨てだな←)。
さて!さらに続きを読み進めようと思います!
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ネタバレ新刊発売記念・発売までに何冊読見返せるかなチャレンジをしています!本作の上巻から読み始めたため、こちらは2冊目にあたります。
上巻の心身にハードすぎるサバイバルを終えて、本作序盤からみんな大好きなネズミ登場!嬉しいです。それでも人を信じきれず煩悶とする陽子を、けしかけるような現実が翻弄します。そして後半で登場するみんな大好きその2・延王のイカした様子は胸がすきますね。上巻を乗り越えたご褒美のサンドイッチに感じます。
終盤はまさに余白の美というか、景麒奪還の決戦やその後の国下りの部分はほぼ描写されず。シリーズ終わりを示す、史書にて締めくくられる形です。景王の物語がこれから始まるワクワク感、そしてすでに傑作長編が世に放たれている中でまだ次がある幸福感を噛み締めて次に進もうと思います! -
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ネタバレ面白い。上巻では陽子に様々な苦難が降りかかり、まだ追い詰められるのかと、読んでて苦しかったけど、下巻では協力者に出会い、再び人を信じることができるようになっていった。この本を読んでいると、誰かを信じるって心が強くないとできないことなんだなあと感じた。下巻では、陽子が精神的にすごく成長しているのが分かって、親のような気持ちで胸が熱くなった。延王に会ったあたりからの展開に引き込まれるというか、え、え、そうだったのそうなのえーーーというもう本当にページを繰る手が止まらん止まらんで完全に沼だった。最後の『これが陽子にとっての…』の一文と、漢文の日本語訳的な文章を読んで、もう…参った…参りました…明日続編全て買って参ります…という気持ちになった。多分今が夜じゃなかったら、このまま書店に駆け込んでいたと思う。とんでもない作品に出会ってしまった。これから続編を一気に読めることが幸せすぎる。
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待望の新刊ということで、シリーズ読み返しをがんばろうとしています。発売日までに何冊読めるかな……
さてこちらは言わずと知れた長編ファンタジー「十二国記」の言うなれば第1巻です。私自身は0巻に当たる「魔性の子」から読んで存分に楽しみましたが、これはそもそもアニメのコミック版を全読破しており、世界観・用語・登場人物やあらかたの筋を知っていたことが良かったのかもしれません。読み順論争に加わるのであれば、私は個人的には刊行順でえぇんでないの派です。
話が逸れました。
以下まったくの初見の方にはネタバレになるかもしれません。
「月の影 影の海」の上巻は、辛い辛い旅の幕開けです。もちろん異世界鬼ハードサバイバルは言わずもがな辛いのですが、そこに精神的な苦痛が乗っかることで大変なハーモニー(不協和音?)を奏でています。麻辣湯のマーラーとは痺れる辛さの麻と熱い辛さの辣を意味すると言いますが、そういった別種の辛さを掛け合わせてまたとない味を生み出すシェフもとい小野先生の手腕をこれでもかとお見舞いされるシリーズの幕開けですね。
巻の終盤では「帰りたい」「諦めたくない」という言葉と、陽子の渇望を打ち砕くような幻もとい回想シーンめいた人々が描かれています。帰りたい、けれどどこに?というところが、流れ着いた常世で自らの運命に気づきしかし流されず歩む今後の陽子の歩みに繋がるのだなぁと思いました。
あと、コミック版では切れ目の最後の最後にみんな大好き楽俊がチラ見えしていた記憶でしたが、原作の上巻の終わりってこんな辛いままでしたっけ!?救いのかけらもないじゃないの……いや母娘がちょっとそうか?陽子、自分から断ってるけど……次の巻も楽しみです!(血涙)
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ネタバレこれはかなりお気に入りの回。霊能者たち大活躍だし。綾子の家に植物がたくさんある理由がわかったし。このくらい優しい力があったらいいなあ。
あたし非力だから、あたしにしかできないことがあるの、のセリフも好き。麻衣のセリフ。
キレるナルを見られるのもなんか嬉しいし。
優しいナルもいいけど、ね。面白いのは怒ってるとき。
トリックで東京の学者が田舎で偽霊能者をやっつけるのは、マレビトが村を回って悪霊退治する話が原型なのかな、なんて思いました。だから終わったら東京に帰る。これって海外ドラマでは意外とないパターンじゃない?映像で心霊もの見ないせいか詳しくないけど。
3巻が矢鱈すきなのですが、この巻も良き。
仏教とか神社の話とか、こういうの好き。
夜更かしして読む、この背徳感がたまらない。
バケツサイズのアイス抱えてテレビ見るみたいな楽しさ。夏休みだからね。今だけ今だけ。
いつもだったら勿体無くてしばらく置く、次の巻読むのは数年後、になりがちなのに欲望の赴くままに読みまくっているのは巻末の解説のおかげ。一巻の池澤春菜さんなんて全巻読み返したなんて書いてあり、あ、これ好きなだけ読んでいいんだ、と思った。一気読みして楽しみが無くなって何もかも嫌になる可能性があるけど、それでも平気な人がこんなにたくさんいるのだから。
けど次が最終巻とかさみしすぎるぜーーー!!! -
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ネタバレ『東の海神(わだつみ) 西の滄海』は、『月の影 影の海』の500年前、延王と延麒の登極直後の事件を描いています。王とは何か、国とは、正義とは。そんな疑問を考えさせられる物語でした。
ある日、六太は妖魔を連れた少年に出会います。彼もまた捨てられた子どもでした。六太は更夜(こうや)という名前を与えます。
しかしその後、更夜は元州令尹・斡由の部下に。反乱を企てた斡由によって、六太は更夜に連れ去られてしまいます。
斡由の掲げる「正義」は、一見、理がありそうだけど、実は自分の失敗を他人になすりつけることで「立派な君主」を演じてただけでした。
だから、自分を否定する者は更夜の妖魔をつかって「始末」する。
陽子には地蔵菩薩のような楽俊がいて救われたけど、更夜はダイバダッタのような斡由しかいなかったから、暗殺者になるほかなかった。
人との出会いによって、運命が大きく変わってしまうんですよねえ。
ちなみにダイバダッタとは権力欲のため、お釈迦様を裏切って殺そうとした人物です。 -
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ネタバレ読み返してみて、結局みんなが泰麒のことが大好きですね。世話をする女仙たちはもちろん、昇山者たち、あの仏頂面でツンデレ麒麟の景麒まで。
景麒の無愛想っぷりを心配した玄君に「景台輔は最初からお優しかったです。」って…!
ああそりゃみんな泰麒のこと好きになるに決まってる…!
景麒なんて『月の影影の海』で主人公の陽子を何の説明もせず異世界に拉致ったり、文句やため息ばかりのくせに…!
それなのに、泰麒に対しては自分の言葉の足りなさを詫びています。
泰麒は自分を至らないものだと感じますが、その素直さ、正直さこそが、後に彼のために十二国を巻き込んだ救出劇につながったのでしょう。
これで泰麒が性格の悪い子どもだったら、きっと流されたまま、あちらで亡くなっていたでしょうしね。 -
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初めて読んだときの衝撃。
間違いなく一番好きなファンタジー作品だ。
いや、ファンタジーなのか? なぜなら、そこに描かれているのは圧倒的な現実だから。
秋に新刊が出ると知り、シリーズ本編1作目を再読した(本当は全巻読み直したい!)。
1作目でこれか。改めて読むと、この作品のすごさに気づく。緻密で奥行きのある世界観。作中に書かれていなくても、ちゃんと作者のなかではひとつの世界が創りあげられているんだと感じさせる。
そして、奇跡は起きない。戦って、傷ついて、妬まれて、騙されて。本作の主人公・陽子は徹頭徹尾、試練にさらされる。まるで、その「資質」を試されているかのように。
ふと思う。わたしは、真の意味で何かを決断したことがあっただろうか。学区の小学校へ行き、両親の決めた中学を受験し、偏差値にあった大学へ進学した。就職先も、選ばれる側だった。そもそも就職をしよう、と強い意思でもって決断したわけではない。
たぶん、陽子もそうだったはずだ。そんな陽子が、最後に大きな決断をする。そのシーンに、いつも心が震える。何度も読み返している作品なのに、いつもここで思わず涙ぐむ。
こういう作品を名作というのだ。 -
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ネタバレ陽子の苦難は、やがて国王になる覚悟を決めるために必要な試練だったのだと思う。現世へ戻るのか、十二国で王位につくのか。その選択の裏付けとして、長い苦難を通して自分自身の未熟さや愚かさを自覚していく。上巻の過酷さがあったからこそ、陽子の精神的な成長にも重みが生まれたように感じる。
十二国の世界観も、謎を少しずつ明かしていく構成がちょうどよかった。最初から説明されすぎれば野暮になるし、謎が残りすぎても読みにくい。その匙加減が絶妙だったと思う。
一人の少女の成長だけでなく、国の問題、人々の心の動き、独自の文化や世界の仕組みまで描き込まれた、本格的なファンタジー小説だった。『魔性の子』を先に読んだことで、後から意味がわかった言葉もあり、読む順番については少し思うところもある。
一冊の物語として完結しながら、十二国記という長いシリーズへの入口としても見事に機能している。この一冊を通して、十二国記を読むための「翻訳機をインストールした」ような感覚がある。読み終えた今は、陽子の今後を応援したい気持ちと同時に、他の国や人物の物語も読んでみたくなった。 -
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実は過去に一巻しか読んでおらず、十二国記がどんな内容なのか、よくわかっていなかった。
で、陽子の話の続きが知りたくて、四巻目を読んだわけだが…。一巻はやはり序章に過ぎないのだなということがよくわかった。
3人の女性視点で描かれるのだが、陽子自身を含め、慶王を巡って3者の思惑が交錯する。当事者である陽子は、その地位に見合うだけの能力が不足していることに悩み、ある女性は海客である慶王をある意味頼り、心の拠り所とする。そしてある女性は自分の地位を剥奪され、慶王を憎むようになる。
それぞれの立場が交錯していくストーリー面白い。陽子は第一巻で成長したように見えるけれど、やはり女子高校生上がりで(それでも肝が座りすぎだが)、本当だったら導いてくれる誰かが必要なところ…。役割が人を育てるとはいうが、いくらなんでもの大任。
そしてそんな悩みなどは梅雨知らず、鈴と祥瓊は割と勝手なことを言う。鈴、祥瓊のどちらも人間的な弱さや身勝手さを抱えていて、たぶん若い頃読んでいたら我慢ならなかったと思うが、歳をとってからだと、自分の身に起こったことで誰よりも不幸だと思い、他者を身勝手に羨むことってあるよね…と共感をしながら読んでいった。異国のことではあるのだが、窮地に立たされた時に人がどう考えて動くのかに興味があるので、そう言った点からもやっぱり面白い作品だと思う。
また、こうした弱き人々だけではなく、至極真っ当な説教をしてくれる人々の言葉も印象に残った。
陽子が王としてどう成長し、2人がどんなストーリーを経て陽子と対面するのか、非常に気になる。