漆原友紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
形の無い気配。「いる」よりも「ある」と言った方が正しいような、何か。日本人なら誰しもが一度は経験したことがある、妖怪とも言えないけれど感じられるモノ。
人間は何か分からないものには本能的に忌避感情を持つらしい。だがそれに名を付け、ラベルを貼ることで分類し、安心する。
私にとってはその作業をしてもらったのがこのお話だ。
おばあちゃんが孫に語る昔話の世界。時代も場所もあやふやだけれど、つながり続けるその気配のせいで、その物語の住人を近くに感じることが出来る。
日本のお話特有の、根底に走っている仄暗さが本当に魅力的だ。ややもすれば単調になりがちだけれど、人知を超えて生命そのものに近い者たち