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見慣れた動植物とはまるで違う、生命の原生体に近いもの。
「蟲」と呼ばれる異形のものは、形や存在があいまいで、誰にでも見えるものではない。
そして、時に「蟲」は、ヒトと…ヒトの営みに作用する。
これは「蟲」とヒト、そしてその間に立つ者「蟲師」のお話です。
雪夜に耳を病む者が出る村(1巻)、生き神のいる島(3巻)、
天の糸を掴んで姿を消した妻(6巻)、死が伝染する里(8巻)など
数々の奇妙な現象、様々な特質を持った「蟲」と人々の様子が描かれます。
また、作品内の時代設定ははっきりとはしません。
登場人物のほとんどが和装に身を包むものの、主人公である「蟲師」のギンコは洋装です。
産業革命による機械文明とは無縁に、農業や漁業に従事する村里が広がっています。
定かではない時代設定において、摩訶不思議な「蟲」や人々の生き死にを描く『蟲師』という作品は、
どこでもない、あるいは彼岸でもあり此岸でもあるような、あいまいな世界の感覚をもたらします。
それと同時に、作品全体を取り巻く静けさ、妖しさに心惹かれてしまうのです。
幽霊や妖怪といった異形異類の存在を語る怪談や伝承に惹かれる方は、ぜひ読んでみてください。
民俗的で、幻想的な魅力漂う作品です。
独特の雰囲気、世界観にどっぷりはまれる作品。
「やまねむる」で人と自然と蟲との関係について考えさせられる。
「綿胞子」では蟲の生き延びる力にゾッとさせられる。
湿った空気
匿名 2020年01月24日
この巻は水が出てくる回が多く、全体が湿った潮気に覆われている。そういう質感を描くのが最も上手い作者だと思う。この漫画は、生きものの生活に根差している。他の漫画とは一線を画しており、こんな読み心地の漫画は他に探してもなかなか無い。頭の中も心も様々な情報でいつも渦巻いてしまう、そんな人に一度は読んでもら...続きを読む
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