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見慣れた動植物とはまるで違う、生命の原生体に近いもの。
「蟲」と呼ばれる異形のものは、形や存在があいまいで、誰にでも見えるものではない。
そして、時に「蟲」は、ヒトと…ヒトの営みに作用する。
これは「蟲」とヒト、そしてその間に立つ者「蟲師」のお話です。
雪夜に耳を病む者が出る村(1巻)、生き神のいる島(3巻)、
天の糸を掴んで姿を消した妻(6巻)、死が伝染する里(8巻)など
数々の奇妙な現象、様々な特質を持った「蟲」と人々の様子が描かれます。
また、作品内の時代設定ははっきりとはしません。
登場人物のほとんどが和装に身を包むものの、主人公である「蟲師」のギンコは洋装です。
産業革命による機械文明とは無縁に、農業や漁業に従事する村里が広がっています。
定かではない時代設定において、摩訶不思議な「蟲」や人々の生き死にを描く『蟲師』という作品は、
どこでもない、あるいは彼岸でもあり此岸でもあるような、あいまいな世界の感覚をもたらします。
それと同時に、作品全体を取り巻く静けさ、妖しさに心惹かれてしまうのです。
幽霊や妖怪といった異形異類の存在を語る怪談や伝承に惹かれる方は、ぜひ読んでみてください。
民俗的で、幻想的な魅力漂う作品です。
Posted by ブクログ 2023年08月20日
大好きです。当時は映画も観に行ったっけな。
監督は大友克洋で、ギンコはオダギリジョー。
それでも原作には程遠い完成度で残念でした。
仕方ないよ、この世界観や設定は再現不可能。
漂う仄暗さと、隣り合わせの闇、大きな何か、
流れるままただ淡々とそこにあり続ける現象、
なす術もなく彷徨う心、突き動かされる...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年01月15日
未レビュー消化。蟲を排除するもの、利用しているもの、ただ共生しているもの、この10巻という期間の間に様々な蟲という命と等しい存在との接し方を描いていて良かった。
気に入ってる話は5巻の山抱く衣。土の上で生き、土で育ったものを喰らう人々の人生をうまく描いていた。土にも故郷はあり、そこに帰ろうと思うな...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年04月09日
1巻にするか10巻にするかで10巻にしました。
コミックの中で名作だと挙げる1つ。
1年に1冊しかコミック出さないので10年かかって最終回です。
その間、アニメになりオダギリジョー主演で映画にもなりました。
正直、映画はチョットでしたが・・・
日本に生まれて良かった。と思える日本昔話風ファンタジ...続きを読む
Posted by ブクログ 2010年01月25日
ギンコと「蟲」の物語、ここに終結。
ずっと昔から続いていて、子どもの頃から見てきたような、懐かしい作品。
この巻で終わりだけど、終わった気がしない。
「サザエさん」並みに続けばいいのに、と残念がってしまうほど、日本らしい漫画だなと。
この世界観は、日本でしか生まれ得なかった。そう考えると、昔から...続きを読む
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