山田太一のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
色々重なる
心を打たれました。山田太一さんほどの方になると、介護の仕事をわかってくれている。そのわかってくれかたも、そっと重なり合ってくれる感じ。普通の介護士、ハイミスのケアマネージャー、謎の多い老人と登場人物はさまざまです。山田太一さんはは平凡な人々の非凡なる日常を書くのがうまい。是非お読みください。以前見た空也上人像をまた見に行きたくなりました。
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ネタバレ昭和9年生まれ、山田太一さんのエッセイは、読みやすくて、かつ膝を叩き、心に響く話が多いです。これまでエッセイを8冊書かれていますが、全部読みたいなと思っています。「月日の残像」、2016.6発行(文庫)、著者、7冊目のエッセイです。
この本は、季刊「考える人」に9年間にわたって連載されたエッセイ35編が収録されています。山田太一「月日の残像」、2016.6発行、再読。浅草と湯河原で過ごした少年時代の思い出、東京での大学生時代、松竹大船撮影所時代(助監督時代)での思い出など。
山田太一さん、昭和9年、東京・浅草生まれ。小説では「君を見上げて」「丘の上の向日葵」、エッセイでは「月日の残像」が好きです。「月日の残像」、2016.6文庫、誠実で人間味溢れる自伝的エッセイです。再読。みんな一人一人に月日の残像がありますね! 私も古稀を過ぎて、若い頃の残像がちらちらしますw。 -
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ネタバレ中津草介27才。
重松雅美46才。
吉崎征次郎81才。
三毛猫、年齢性別不詳 。
空也上人。
それだけ・・・
「もう願いごとも
いくらも果たせない齢になり
あと一つだけ
小説を書いておきたかった。」
2011年 山田太一さんの作品。
中津草介27才。
特別養護老人ホーム(特養)で勤務していたが、ある事件がきっかけで退職。現在は吉崎征次郎の介護中。
重松雅美46才。
ケア・マネージャー。独身。
吉崎征次郎81才。
独り住まいだが、ある程度の生活力はあるが今は草介に介護をしてもらっている。
三毛猫、年齢性別不詳 。
ところどころで出没。
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この青年、女性、老人。
これまでの生き方、価値観
3人とも異なっている。
3人とも秘密がある。
3人とも心に傷をもつ。
それでも
この3人は日々真剣に生きてきた。
そして生きている。
それぞれを思いやりながら。
例えば青年(草介)・・・
特養でヘルパーをしていた時に
認知症の女性を乗せた
車椅子から
老女を転げ出してしまう。
“はずみ”で。
誰も責める人はいなかった。
「よくあることだから」と。
しかし
草介は特養を退職し
ケアマネの重光さんの紹介で
現在の吉崎さんの介護につく。
ある日吉崎さんから
京都に行くよう依頼を受け
六道の辻を通り
西光寺(六波羅密寺)で
木造の空也上人と出逢った。
空也上人――――――――――――
死屍累々の鳥辺山を
歩き続けた。
善人悪人なく
誰もが持つ生きている悲しさ
死んでしまう事の平等さを
汚れた草履で
疲れても
小さな声でも
少し顎をあげながら
それでも
歩き続けた。――――――――――――
楽しみや悲しみや悔しさを
お互いに共有しながら
生きていく。
約2ヶ月
3人での時間が終わる時
空也上人と出逢う意味を知った。
吉崎さんの持ち続けた自責の念
重光さんの虚勢の強さ
草介の自分との葛藤
そんな3人であっても
ともに歩いてくれるのが
空也上人。
......................................................
さすが山田太一さん。
私のような普通な人間でも
「よくあること」でも
人によって
それぞれ
どうしようもない
大きな悲しみや傷
弱さや欲を抱えている。
それでも
誰にでも
空也上人と出逢う事が出来るんだ!
生きる希望と勇気を与えてくれる。
この本も大切にしよう。
あと
三毛猫は六道の辻かしら… -
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「原作のある漫画」というのは、まず手に取りません。その原作を知っていてもいなくても「おもしろくない」ことが多かったから。この作品も同様にスルーしていたのですが、勧められて読んでみて、結果、私も誰かに勧めてみたくなりました。「おもしろい!」と声高に語るタイプの作品ではないけれど、読んでどう思ったか、話してみたい。主な登場人物は三人のみで、その交流の記録です。特別養護老人ホームを辞めた青年、ベテラン・ケアマネ―ジャーで独身の中年女性、介護を必要とする孤独な老人。「重そう、地味そう…」と思われた方、その予感は当たっているかも。でも読み終えて残るものは、きっと前向きな強さです。気になって原作小説も読んでみると、驚くほど忠実に丁寧に漫画化されていることに気付き、作者の新井英樹さんが原作にどれだけ思い入れがあり、誠意をもって取り組まれたかがわかります。大きく違うのはラストと劇団の設定くらいかな。うがった見方になるかもしれないけれど、この漫画のもうひとつの見どころは、まさにその「思い」。冒頭にイントロダクション、巻末には原作者・山田太一さんとの対談も収められていますが、この「思い」含めての作品であると断言したい。『ザ・ワールド・イズ・マイン』など過激で暴力的な作品を描くイメージの作者が、それを覆すように、前向きであること、人と向き合うこと…ひねくれ者にとっては真顔で言うのが恥ずかしいことに「でも」と挑む。変わろうとする。その姿勢からも、勝手に勇気をもらうのでありました。(山口文子)
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ネタバレ超常現象もの・・・と読むのがスムーズなのかな。
もしくは主人公の空想世界での出来事か。
の割に何かすごくリアリティがあったんですよね。
起こっている結果は説明つかないんだけど、結果に辿り着くまでの過程、結果から生まれる道程、
それぞれが緻密に繊細に描かれていて、何ら不思議じゃないような気がしてしまう。
女を嫌悪しつつも睦子を求めてしまう田浦の心境も、
仕事も家族もどうでもいい、どうでも良くないんだけどどうでもいい、みたいな厭世観も。
自分のすぐ隣にあるもののような気がしましたね。
睦子が時たま表す理不尽さも、理解する必要すらないような。
こんな状況で安定している方がよっぽど気持ち悪いですからね。
『こういうもの』としてそのまま受け止めるべきもののような。素材をそのまま食べているような感覚。
田浦にとって睦子は、世間に対する不安を関係ないものと割り切らせてくれる一方、
男冥利に尽きる新しい心配を寄越してくれる存在、
そんな感じだったんでしょうな。
ラストも綺麗でした。度々詩が引用されるように、1編の詩を読み終わった気分。 -
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ネタバレ一気に読んでしまった~私は27歳の介護士で特養で老婆を車椅子から放り出してしまい,それっきりで辞めてしまったが,ケアマネージャーの46歳の重光さんは一人暮らしの81歳の吉崎さんの在宅介護を紹介してくれる。車椅子だが病気も呆けもなく,月25万だが,それ以上に出てくるご馳走に驚かされる。病院の付き添いの帰りにはデパートで自分の体型に合った有名ブランドの服まで買ってくれ,京都への使いを言いつかる。東山の松原通りの六原の辻に行けと携帯で指示され,六波羅蜜寺の宝物殿で空也上人の像を下から覗くと,空也上人の眼が光り,どうしようもなく動揺し,特養の入所者を死なせてしまっても仏教に帰依すれば大丈夫だと言われているようで,雇い主の吉崎さんの押しつけが不快で,辞めることを重光に告げると,雇い主は素直に詫び,重光と私が結婚したら財産を相続させようと新たな申し出がなされる。吉崎さんが重光さんを気に入っているのは解るが,ちょっと気になる相手であることは年齢の差が障害であることは確かだ。結婚はありえないと答えると,新しい提案は,目の前でセックスすることだと呆れたことを言う。六波羅蜜寺に行かせた理由を吉崎さんは話し出し,証券会社のお得意さんに儲けさせて褒美を貰って帰る道で,2・3歩道を踏み出し,偶々通りかかった自動車が急ハンドルを切って死亡した事件で取り返しの付かない事をしでかした自分に,空也上人が寄り添ってくれる感覚を得たからだった。一切の申し出はなかったことにされ,たまには実家に顔を出すように言われて5万円のボーナスまで渡されて,豊橋へ出掛けた夜,警察に呼び出された重光さんから吉崎さんが死んで,書き置きが遺されたことが告げられた。睡眠薬を飲んでの入浴。通夜の夜,吉崎さんが熱望し,二人が密かに夢想した関係となる。呼びかけても返事が返ってこない妻の車椅子を押して,新宿の町を歩く~山田太一って,もしかしたら初めて読んだかも。夜10時過ぎから2時間で読んでしまった。81歳の男性って山田さんの数年後の姿だろうか。二人が年取った最後の場面は,やっぱり必要なんだろう。ドラマになるとしたら,シナリオライターは最後の部分をカットするかも知れない。一晩限りか,一生を共にするか,という含みを持たせるためにね。木下恵介のシナリオライターとしての拘りが見える気がする。いずれにしても2時間ドラマ
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著者のエッセイは過去にも読んだことが
あるけれど、本作は、年齢を重ね、
老境に立ったからこその、
人生を、人を眺めるような
視線を感じた。
旅先のある微笑みが忘れられない。
幸せとは。
友への想い。
家族の思い出
など、
それぞれが、氏の作品の底辺に
流れる、煌めきや温かいもののような気がした。
書評もとても興味深く読んだ。
とりわけ心に残ったのは
「ぼくの大切な友だち」。
映画の話から、大切なともだちを
見つめる著者の視点へ。
思いがけない展開と、ストンと心に
落とす影の深さに、
あぁ、やはりすごいな、と。
感動の手前の心を揺れ、
深く心に残るシーンの描き方。
こうした物事の捉え方、
描き方は、やはり、山田太一しかできない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ことによると、本当の終末は(原発体験もあるので)この小説のように一気に一切を失うというものではなく、何十年も何百年もかかってじわじわ、だらだらと、しかしとどめようもなく崩壊に向かうというようなものかもしれません。」(2013年に復刊した小学館文庫のための作者あとがき)
私たちは終わりへの過渡期を生きているのか?
とりあえず、身の回り、日々のニュース、世界情勢を思い浮かべてみる限り、それを否定できる根拠はなーんにもない。
むしろそんなことを言われると、そんな気しかしなくなる。
とりあえず米が買えなくなるなんて、日本人にとってはちょっとした終末よ。
さて。シナリオ本というものを避けてきた人間ですが、意外と読めるじゃない〜とクドカンパートを読み終わり、そっから山田太一パートが始まったことに面くらう。
え、そんなこと書いてた?と思って帯やら装丁やらを見て…
「シナリオ『集』」
ああ。
「読み比べができる」
ああ。
ええーー!それなら山田太一バージョンから読んだよー。
絶対読みづらいやん!
………いや、意外と読めますな。
そしておもしろい。
もちろんクドカン的コミカル味はないけど、しっかり没入してしまった。
いや、本家だしそりゃそうか。
いやしかし、この奇抜な物語の原作が自分が生まれる前に書かれていたことに驚き。
ハインラインの「夏への扉」レベルのオドロキ。
でも、最後まで読んで、あとがきや解題まで読んで、作者の想いにも触れた上で、1番悲しかったのが「レオの死」だなんていう私は、やっぱり「終わり」への行進に足並み揃えた現代っ子なのでしょうか。 -
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かなり前にCSで放送されていた映画を観た。映画は1988年制作。片岡鶴太郎の演技が印象的でよかった。小説は未読だったゆえ、読んでみた。
この話はテレビの脚本家の主人公(風間杜夫)が妻に逃げられ一人で住んでいるマンションで、ある女性・Kei(名取裕子)と知り合い恋に落ちる。また浅草で幼い頃に交通事故で死んでしまった父親(片岡鶴太郎)に声をかけられ、家に誘われるとそこには母親(秋吉久美子)もいた。
何度も通うが、やがて主人公は痩せこけていく…
山田太一ゆえ映画よりも細かい描写、特にセリフの量が多く誰の発言だかわからない箇所があった。
ラストシーンでKeiは実は幽霊だったというオチになるのだが、映画はまだ特殊メイクやCGも雑で拍子抜けだったが、活字のほうが想像力がかき立てられよかった。また両親がすき焼き屋で『お前は自慢の息子だ』と言って、やがて消えていくシーンはセリフひとつ一つの重みを感じ、やはり涙腺を熱くした。
僕の父は定年まで勤め、ようやくリタイアし、さあゆっくりしようと思った60歳で亡くなってしまった。寡黙で酒もあまり飲まず、優しくて内弁慶。真面目な父だった。
今の僕は父の年齢をいつのまにか超えてしまった…
この物語のように死んでしまった父が目の前に現れたら、酒でも酌み交わしながら話をしてみたい…年下の父に、違う印象も感じるのかね…
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Posted by ブクログ
山田太一さん(2023年逝去)は、脚本家・作家として多くの名作を手がけました。本書は、東日本大震災を題材としたドラマのシナリオ集で、昨年3月に追悼作品集として刊行されました。
シナリオなので、ストーリー展開の詳細を書き表す必要上、「柱」(場所と時間帯指定)、「ト書」(状況や人物の動作やしぐさ)、「セリフ」(登場人物が話す言葉)が連なっています。当然ながら、普段読み馴れている小説とは全く異質な印象です。
◯「キルトの家」 NHK(2012年放送)
震災から1年。東京の古い団地で一人暮らしをする老人たち。そこへ、仙台での震災から逃げて来た訳あり若夫婦。老人たちの切ない胸の内と、若夫婦との交流が描かれます。
◯「時は立ちどまらない」 TV朝日(2014年放送)
3年後。結婚目前だった男女。両家は震災で花婿・母・祖母と家を失った側と、花嫁含め家族も家も全く被害のなかった側に分断されます。この落差の大きさと葛藤が描かれます。心の溝を埋め、両家の真の交流は可能なのかが問われます。
◯「五年目のひとり」 TV朝日(2016年放送)
5年後。津波で家族を喪った中年男と女子中学生の交流が描かれます。喪失感を拭いきれない被災者が亡き娘の面影を見ているのでした。この交流は、再生への道となるのでしょうか? 真の絆の意味が問われます。
シナリオを読んで、東日本大震災に思いを馳せるのは初めての経験でした。ト書やセリフに馴れるほど、逆に想像の幅が広がる印象でした。
放送時に観ておらず、ぜひ実際のドラマを視聴したいと動画配信等を検索しましたが、3作とも見つからず残念でなりません。
「喪失」と「時間」の題材は、なぜか直前に読んだ吉田篤弘さんの『それでも世界は回っている』に通じていました。巡り合わせって不思議です…
立ちどまらない"時"として、震災1年、3年後、5年後を描き、被災者の心情の揺らぎと移ろいがセリフから立ち上がってくる、切なくも感動的な3部作でした。