あらすじ
戦時下にタイムスリップしてしまった家族。
東京近郊に住む平凡な家族は、ある朝、戦時中(昭和19年)の日本にタイムスリップしていた――信じられないようなSF的設定で始まる問題作。家族が投げ込まれた世界は、戦時下の「食糧不足」「言論統制」「強制疎開」「大空襲」の時代だった。憎むべき〈戦争〉の時代に、〈飽食した〉現代人はどう立ち向かうのか。太平洋戦争末期、敗戦へと向かう日本を鮮烈に描きながら、驚くべき結末が待ちうける戦慄の寓話。
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Posted by ブクログ
戦後の昭和に生活していた一家が、戦時中に家ごとタイムスリップしてしまった話。
かなり前の本なのでネタバレといってもみなさま読まれてるとは思いますが、やはり最後のオチが秀逸。さらに戦時中の日本の閉鎖的なところや貧困、生活がリアル。。(作者が戦争を体験しているので。。)
家族がタイムスリップしたのは果たして過去だったのか、はたまた未来だったのか。戦争が起こればこんな日々になってしまいますよ、というメッセージを感じました。なんだろう、、異世界転生とか時間が巻き戻る系が流行ってますが、実際はこの本みたいに起こりうる未来を知っていてもなんとかならないし、何なら馬鹿にされるんだなと思いました。いや、あれはあれでエンタメとして楽しいのでそれはそれ、これはこれ。ですが、こういう真面目な話もすごく良いです。
Posted by ブクログ
ラストがとても、、怖かったが
どんな教科書よりもこの小説を読む方が
戦争のことを知れると思う。
現代設定は1981年だが、果たして2025年だったらどうか
突然1944年にタイムスリップしたらば
きっと登場人物のように気が狂うと思う。
この小説を読んでいる今も戦争をしている国がある。
どうにかならんのか、と思うと同時に
様々な国や性格や人種、貧富差、環境差がある人間たちが
争いをするということは 人間という生物の性質なのだなとも思う。
たとえ歴史として学んだとしても体験していない限りは
戦争反対と口に出したとしても全く現実感のないことである。
日本でも戦時中を生きていた人が減っている今
いつ戦争が起こっても 巻き込まれても おかしくはない。
果たして、私たちに何ができるか。
Posted by ブクログ
もしも、今タイムスリップしたら?
今の記憶を持って過去に戻ったら、自分ならどうするだろうか?
誰しもが一度ならずとも思ったこと、想像したことあるだろう、もしもの話
この先の未来を知っていて、それでも自分は自分でいられるのか?
そして、これは本当に過去なのか?
それともーーー
SFと恐怖が見事に重なっている
ラストまで見逃せない
本閉じた後、自分ならどうするだろう?どうなるだろう?
と、考えたくなる余韻をくれる一冊です
Posted by ブクログ
平和に暮らしていたテレビライターの家族が、昭和19年に突然タイムスリップし、戦時下を生きなければならなくなる。
敗戦や東京大空襲のことを知りながら、自分達のできることは何かを模索していく。
毎日の平凡に見える生活がどんなに幸せであるかに気づかされます。
ラスト。。。そうか!!
Posted by ブクログ
ある家族が昭和19年の太平洋戦争終結の一年前にタイムスリップし、その中で自分たちができることはないか葛藤し、東京大空襲の犠牲者を1人でも救おうと決意し行動するが…歴史は少し変わっていた…そんな物語だ。
ちょっと最後はなんとも言えない無常感、そして未来への警鐘のような…名作ドラマだった。
Posted by ブクログ
実際に戦時を生きた作者だからこその描写がリアルで生々しかった。(個人的には銭湯のくだりが1番生々しく感じた。)
ラストの解釈に少し戸惑ったけど、伝えたいことは読み取れた気がしたので満足…!
あとがきにて山田さんが「アメリカが原爆を使用するまでに道徳的葛藤があった。使用したことには全く擁護は出来ないけれど、日本ももし原爆持ってたら絶対使ってたと思います。」と記載されていたのは色々考えさせられる…
反対というわけではなく、自分も同じ意見ではありつつ、アメリカの原爆使用について非難されるべきは「絶対に勝てる状況で使用した」という点で、これについてはどう考えてもおかしい。
同じ状況であれば日本は使ってなかったのでは…と思いたい…
Posted by ブクログ
戦時中にタイムスリップした家族。
ラストは現代に戻るのかと思いきや、、
実はタイムスリップでもないような、
知った顔や、知り合いがいっぱい出てきたらもっと違う物語だったかな。
親も戦後生まれという時代に生まれ、
戦争は昔の話
な、自分たちにも比較的読みやすい。
本自体は作り話だけど、
戦争は本当にあったこと。怖い本。
Posted by ブクログ
なんとなく再読。 ラストは良いし、文章は読みやすくそれなりに楽しめる。 ただ、全体としてはモヤモヤして仕方がない。 最初にしても最後にしても、せめてキッカケのようなものがあればなぁなどと思ったり。
Posted by ブクログ
戦時中の日本にタイムスリップって言うから「ブラックアウト」の日本版?昭和56年にこんな作品があったの?と思いながら読んでみたら視点が全く違いました。
何と言うか終戦記念日前後に放送される特番ドラマの様。
主人公は昭和9年生まれで現在(昭和56年)には47歳、戦時中の記憶は幼いながらも残っている、それが戦後生まれの妻も含めて家族4人でタイムスリップ。生活環境が激変、主人公は覚えている限りの知識で家族をこの時代に馴染ませようとするが家族は徐々に崩壊していく。
東京大空襲の日付を知っている主人公は一人でも助けようと孤軍奮闘するが(ビラを撒き駅前で叫ぶ!)通行人にボコボコにされてしまう。
それを妻も子供達も冷めた目で見る。
家族の一体感は失われたまま大空襲の日を迎え、過去の歴史とは違う時間、場所で空襲が有り、なんと家族は全滅してしまう。
瀕死の主人公が顔を上げると遙か彼方に東京都心が見え、高層ビルの残骸と折れた東京タワーが見える?と言う寓話的なラストシーン。
読み応えは有りましたが重い、重~い話。平和な日本を実感します。
Posted by ブクログ
この本が書かれた昭和50年代に暮らしていた家族が、昭和19年にタイムスリップする物語。戦時中の空気の中で、暮らしていく苦労が描かれているが、当時の風習や価値観がわかり興味深い。将来起こる事が分かっている家族が、昭和20年3月10日の東京大空襲を前にアクションを起すが、クライマックスに向かうシーンは手に汗握る。
Posted by ブクログ
奥田英朗が好きな作家にあげていたので初めて山田太一の本を読んでみた
80年代初期の昔の作品だし読みにくいかなーって思ってたけど読みやすかった
家族4人とその昔の友達と息子が昭和56年から太平洋戦争末期の昭和19年にタイムスリップするっていうSFなストーリーだけど、内容はリアル
戦争の辛さが伝わってきた
最後解説を奥田英朗がかいてた
Posted by ブクログ
この評価ですが。
正直に、面白いというより興味といったらわからないですが
戦時中の市民の生活はどうなのだろうと...
TVやドラマでは何となくみていたが。
戦後の家族が、戦時中にタイムスリップ?して
生活を始めるのだが...
淡々と読んでいき、淡々と親と子供の心理の変化は、考えずに入られなかった。特に子供達の心の変化は...心苦しい。
最後の解説には、巧くこの本の意義を表していて脱帽。
そして、世界的に平和な日本に感謝。
Posted by ブクログ
容赦ないですね。
いや、『戦争中にタイムスリップした』物語とは言え、
どこかで何となくな平和的オチを期待してしまっていたんだと思います。
それこそ悲惨さを舐めている平和ボケだったのかもしれませんけど。どーせ小説だし・・・ってね。
まぁとは言え爆撃された未来が終幕になると予想できた人は少なかったんじゃなかろうかと思いますが。
うーん・・・面白かったんですけどね。
メッセージ性がそもそも重い題材に加え、ラストがまさかの結末である事から
どう受け止めていいのか自分の中でも理解できていない感じかな。今は。
ちょっと疑問点は残りますけどね。クリーニング屋の兄ちゃんっぽい将官とかさ。
あの人も歴史を跨いでしまって、新也君のように良くも悪くも順応したって事・・・
だとしても将官まで出世しているのには違和感があるし。
あ、現世は現世で生きつつ、もっと昔から過去でも生きていたと捉えると何とかなるかもしれませんね。
こういうSF的な要素と、平和ボケに対する題材的な警告がどう噛み合うのか、そこら辺に理解が及ばないですね。
主人公夫妻と敏夫の行動については、自分はちょっと同意できない。あくまでも性格の部分にもよるかもしれないけどね。
戦争を知っているからこそ少しでも被害を減らそうとするか、
知っているからこそ自分達だけでも必死に生き延びようとするか。
自分だったら間違いなく後者だと思うんですよね。
守るべき子供達も居るなら、尚更。
とにもかくにも目立つ事を避け続けるんじゃないかな、と。
逃げた先に何があるかは分からないですけど、
一度飛んだって事は戻る可能性だって頭にない訳ではないでしょうから。