山田太一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ石田の若々しいチンケなプライドも、羽柴の中年臭い無駄な見栄も、
どっちも痛々しいんですけど、分かってしまう部分がありますよね。
自分にもこういう節はあったよなぁ、あるんだろうなぁって。
結局は防衛本能ですからね。自分の価値を守りたいと思う心を、客観的に見せつけられたような感じでした。
各々の記憶について、結局答えは分かりません。
それぞれ勝手に都合よく改ざんして、それを事実と信じ込んでいるんでしょうけど
やっぱりそれを責める気持ちにもなれないと言うか。
皆生きるのに必死な訳で、自分が最も安らげる落としどころを無意識に求めてしまうのは性のようなもんなんでしょうね。
まぁ俯瞰的に見れば、ですけど。
自分は自分が正しいと思うもんですし、いざこういう状況に対面した時に
自分はどこまで割り切れるのか。それもまた怖いな。
瑠美の幼さもまたリアルで。
33年後に石田を『初恋の人だった』と称しているのに嘘はないように感じるんです。
お互いを美化した結果、「そうだったんだろうな」って。
でもそうなると、石田を想っていた期間が物凄く短いんですよね。
ちょっと距離ができた隙?に正太といい感じになっちゃってるんですもんね。
17歳のリアルさですね。まぁこれも本編(石田の記憶)がどこまで真実なのか分からないってのもありますが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ容赦ないですね。
いや、『戦争中にタイムスリップした』物語とは言え、
どこかで何となくな平和的オチを期待してしまっていたんだと思います。
それこそ悲惨さを舐めている平和ボケだったのかもしれませんけど。どーせ小説だし・・・ってね。
まぁとは言え爆撃された未来が終幕になると予想できた人は少なかったんじゃなかろうかと思いますが。
うーん・・・面白かったんですけどね。
メッセージ性がそもそも重い題材に加え、ラストがまさかの結末である事から
どう受け止めていいのか自分の中でも理解できていない感じかな。今は。
ちょっと疑問点は残りますけどね。クリーニング屋の兄ちゃんっぽい将官とかさ。
あの人も歴史を跨いでしまって、新也君のように良くも悪くも順応したって事・・・
だとしても将官まで出世しているのには違和感があるし。
あ、現世は現世で生きつつ、もっと昔から過去でも生きていたと捉えると何とかなるかもしれませんね。
こういうSF的な要素と、平和ボケに対する題材的な警告がどう噛み合うのか、そこら辺に理解が及ばないですね。
主人公夫妻と敏夫の行動については、自分はちょっと同意できない。あくまでも性格の部分にもよるかもしれないけどね。
戦争を知っているからこそ少しでも被害を減らそうとするか、
知っているからこそ自分達だけでも必死に生き延びようとするか。
自分だったら間違いなく後者だと思うんですよね。
守るべき子供達も居るなら、尚更。
とにもかくにも目立つ事を避け続けるんじゃないかな、と。
逃げた先に何があるかは分からないですけど、
一度飛んだって事は戻る可能性だって頭にない訳ではないでしょうから。 -
Posted by ブクログ
「事故」を起こして勤務先を辞めた介護士の青年草介は、ケアマネージャーの重光さんの紹介で独居老人で80代の吉崎さんの世話を始める。
吉崎さんの指示で京都の六波羅蜜寺へ行った草介は空也上人像を見上げて、「事故」ではなく、自分がキレて車いすから放り出した認知症の老女の目を思い出し衝撃を受ける。吉岡さんはかつて自分のせいで交通事故死した一家のこと、空也上人像を見て赦されたのではないが一緒に歩いてくれると感じた経験を語る。
吉岡さんは40代で独身の重光さんに恋し、重光さんが草介を密かに意識していることを感じ取って、草介を自分の代理のようにして、重光さんと結婚させようとしたり、自分の目の前でセックスさせようとするが、重光さんに拒絶され、覚悟の上で介護なしで風呂に入って溺死する。
身寄りのない吉崎さんの葬儀を終えた夜、ふたりは吉崎さんの棺の前で結ばれる。
自分の親が介護が必要になり、介護施設の人と接点ができたので、介護に携わる人たちの「思い」を読むことができた。