山田太一のレビュー一覧

  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    思っていたのとはちょっと違ったけど、さすが山田太一、第一回山本周五郎賞の名に恥じぬ名作。とにかく筋書きが面白く、導入部での主人公の離婚の顛末から一気に引き込まれる。作者と同じく脚本家である設定も効いていて「なるほど、脚本家というものはこういう風に日常をドラマとして捉えてしまったりもするものなのか」と変に感心させられたりもする。
    古典的な幽霊譚の構造を踏襲しながらも、現代人の心に直に訴える魅力を絶妙に加えて素晴らしい出来栄えでした。

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    2025年11月22日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    非常に読みやすく、面白かった。
    ページ数が少なく物語もコンパクトなため、自分のような読書初心者におすすめだと思う。
    主人公と亡くなったはずの両親が浅草で会う場面が出てくる度にノスタルジックな気分になり、良かった。
    次は夏に読みたい。




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    2025年10月16日
  • 終りに見た街

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    ネタバレ

    戦後の昭和に生活していた一家が、戦時中に家ごとタイムスリップしてしまった話。
    かなり前の本なのでネタバレといってもみなさま読まれてるとは思いますが、やはり最後のオチが秀逸。さらに戦時中の日本の閉鎖的なところや貧困、生活がリアル。。(作者が戦争を体験しているので。。)

    家族がタイムスリップしたのは果たして過去だったのか、はたまた未来だったのか。戦争が起こればこんな日々になってしまいますよ、というメッセージを感じました。なんだろう、、異世界転生とか時間が巻き戻る系が流行ってますが、実際はこの本みたいに起こりうる未来を知っていてもなんとかならないし、何なら馬鹿にされるんだなと思いました。いや、あれ

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    2025年07月28日
  • 新版 親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと

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     子供が、自ら選んだハードルの高い高校に入学し、毎日かなりの無理をしながら頑張っている姿を見ていて、親にも何かしてあげられることはないかと気を揉み、この本を思い出し手に取りました。

     そう、本当は内容を読まずとも、ある程度は頭ではわかっているのです。親ができるのは、ほんの少しばかりの事しかないということは。ですので、できることを知りたいというよりは、余計なことをしてしまっている気がしたので、しない方が良いことを知りたいような気持ちで手に取りました。
     
     内容はとてもためになりました。「人間は、ある程度のいい加減さが必要である」という考えが核になっているようでした。30年ほど前に書かれたもの

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    2025年05月15日
  • 終りに見た街 シナリオ集

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    続いて読んだシナリオ集、何と宮藤官九郎のシナリオと山田太一自身が書いたシナリオが載せられている。
    とても珍しいものだと思いながら読み進める。
    原作を読んだ直後なのでシナリオ化にあたってどんな工夫がされたのかがよくわかる。それぞれに素晴らしい作品だった。

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    2025年04月05日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    山田太一脚本のドラマはずっと好きだったこともあり、確か死去のニュースの後にこの本を買ってようやく読んでみたが、こんなに面白いとは思わなかった。もう無理だけど、ふぞろいも男たちの旅路も映像でも見たかった。

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    2025年02月24日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    今年始まったばかりだが…今月読んだ中では一番か二番に面白い。
    ドラマを描く脚本家だけあり、読んでいて脳内で映像化できそうなくらい読みやすい。昭和の古きよき親子関係がある
    有名な本で、映画化もされたらしいし、本の名前は知ってはいたが、やっと読めてこの歳になってジーンとくる話だった。

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    2025年01月17日
  • 終りに見た街

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    ネタバレ

    ラストがとても、、怖かったが
    どんな教科書よりもこの小説を読む方が
    戦争のことを知れると思う。

    現代設定は1981年だが、果たして2025年だったらどうか
    突然1944年にタイムスリップしたらば
    きっと登場人物のように気が狂うと思う。

    この小説を読んでいる今も戦争をしている国がある。
    どうにかならんのか、と思うと同時に
    様々な国や性格や人種、貧富差、環境差がある人間たちが
    争いをするということは 人間という生物の性質なのだなとも思う。

    たとえ歴史として学んだとしても体験していない限りは
    戦争反対と口に出したとしても全く現実感のないことである。
    日本でも戦時中を生きていた人が減っている今

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    2025年01月13日
  • 時は立ちどまらない~東日本大震災三部作

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    東日本大震災から1年、3年、5年のそれぞれの物語。
    作者が取材を重ねて作り上げたという。
    実際に取材をしなければ見えない場面や人間模様、震災に対する個人個人の思いの違いなどをリアルに表現できるように作られていると感じた。
    残念ながら、放映されたドラマを見る機会がなかったが、この作品に出合い、まるでテレビ画面を通じて語られているような感覚を持つことができた。

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    2024年09月04日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    アンドリュー・ヘイ監督の映画『異人たち』(2023年)を観てとても好きだったので原作を調べたら日本の作家さんの小説だったのですぐに入手して読んだ。設定は異なるけれど主人公の孤独さやアパートや街の妙な静かさ、両親と再会する戸惑いと温かさ、切なさは共通していた。描かれている妙とも思える世界がとても好きで時間を忘れて読み耽った。終盤は2023年の映画版に比べると和製ホラーだったけれど、そこも好きだった。はー、好きなところが多くて満たされた。

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    2024年08月13日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    パート1は確か中学1年生だったかと

    マセた中坊だったのか、毎回楽しみに観ていて、ちょうどその時通っていた英会話教室の先生とこのドラマの話になり、「東京の大学生は楽しそうでいいな〜って思っちゃうよね」と寂しそうに話していたのを思い出した

    山田太一が亡くなったと知り、思い出したように買ったけど、なかなか読む時間がなくて眠ってた一冊

    幻となったパート5は回想シーンあふれる見事なシリーズ完結編

    役の俳優が分かるだけに、読みながらシーンがイメージ出来ちゃうのがホント楽しくて、最後はドラマを観終わったのと同じ感動を味わえました

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    2024年07月08日
  • 夕暮れの時間に

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    氏はやはりどこまでも「テレビ人」としての自覚を持っていたようで、だからこそ、大上段に構えることを嫌い、常に視線を低く市井の人々の声に耳を澄ませていたのだろうと、人柄が伺われるエッセイ集。後半の書評群も興味深かった。

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    2024年06月23日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    読み始めると、吸い込まれたように、時間を忘れ読み終えてしまった。読みやすい、怖そうで怖くない、共感できる終わり方がいい。

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    2024年05月18日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    冒頭のひと段落で心が掴まれた。「妻子と別れたので、仕事場に使っていたマンションの一室が私の住居になった。テレビドラマの脚本を書くのが職業である。多くの時間、一人で部屋にいる。少し前には、やって来る女がいたが、妻と別れ話をしているうちに離れて行き、それはそれでよかった。離婚で多量の感情を費やし、人間との接触は、快楽を含めて、しばらくは沢山だった。」

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    2024年03月20日
  • ふぞろいの林檎たちⅤ/男たちの旅路〈オートバイ〉

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    ドキドキハラハラするだけが面白いテレビドラマかと思いきや、Ⅴを読み終えると第一話のコンパの場面から結末まで実は複数の糸が全部繋がっていたことがわかる。なんたるドラマツルギー、純文学の大家の長編小説の最終編を読み終えた気分。

    今となっては設定年齢を大幅に過ぎていて、出演者が揃っても映像化できないが、ぜひテレビドラマとして観たかった!

    山田太一の節回しが久々に脳内で、しかも中井貴一や時任三郎、柳沢慎吾の声で再生され、自分も前向きだった20年前に遡った気分になれた。出版に感謝。

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    2023年11月18日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    離婚したばかりのシナリオライター。浅草をぶらついていると12歳の時に亡くなった両親と会う。しかし、彼らと会うたびに痩せていき…同じマンションの新しい恋人は引き留めようとするが。

    真夏の怪談、とも言える傑作。すごく日本風で、懐かしくもあり、心地よくもある。ラストのどんでんも無理がなく、さもありなんという感じ。

    ホラーでもあり、ラブストーリーでもあり、親子愛の話でもある本作。映像化もされているので、そちらも楽しみ。

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    2023年05月25日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    映画化されたのをテレビで観て、原作を読んでみたかった。
    映像が浮かぶような描写がとても良かった。
    あのすき焼きの場面はやはり切なくていいですね。

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    2023年05月17日
  • 異人たちとの夏(新潮文庫)

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    大人になって、今日明日ばかりを見ながら一日一日を送り、家庭を持ち、子供たちも大きくなると、色褪せたはずの過去が懐かしく思い起こされる。 一言で言うなら、子供時分に亡くなった父母たちが現れる怪談話でホラー染みたシーンもあるけど、ランニングシャツ姿で両親に囲まれて卓を囲むほの温かい思いが全体を包んでいる。 子供時代の何とも言えない温かさに触れたくなった時に再読したい。(o^^o)v

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    2023年04月29日
  • 終りに見た街

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    もしも、今タイムスリップしたら?
    今の記憶を持って過去に戻ったら、自分ならどうするだろうか?
    誰しもが一度ならずとも思ったこと、想像したことあるだろう、もしもの話

    この先の未来を知っていて、それでも自分は自分でいられるのか?
    そして、これは本当に過去なのか?
    それともーーー

    SFと恐怖が見事に重なっている
    ラストまで見逃せない

    本閉じた後、自分ならどうするだろう?どうなるだろう?
    と、考えたくなる余韻をくれる一冊です

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    2023年01月24日
  • 空也上人がいた

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    主な登場人物は3人だけ。吉崎さんがずっと抱えている罪の意識を告白する場面が良かった。派手じゃないけど優しい物語。いい小説だった。

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    2022年12月08日