【感想・ネタバレ】異人たちとの夏(新潮文庫)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

読み始めると、吸い込まれたように、時間を忘れ読み終えてしまった。読みやすい、怖そうで怖くない、共感できる終わり方がいい。

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2024年05月18日

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冒頭のひと段落で心が掴まれた。「妻子と別れたので、仕事場に使っていたマンションの一室が私の住居になった。テレビドラマの脚本を書くのが職業である。多くの時間、一人で部屋にいる。少し前には、やって来る女がいたが、妻と別れ話をしているうちに離れて行き、それはそれでよかった。離婚で多量の感情を費やし、人間との接触は、快楽を含めて、しばらくは沢山だった。」

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2024年03月20日

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離婚したばかりのシナリオライター。浅草をぶらついていると12歳の時に亡くなった両親と会う。しかし、彼らと会うたびに痩せていき…同じマンションの新しい恋人は引き留めようとするが。

真夏の怪談、とも言える傑作。すごく日本風で、懐かしくもあり、心地よくもある。ラストのどんでんも無理がなく、さもありなんという感じ。

ホラーでもあり、ラブストーリーでもあり、親子愛の話でもある本作。映像化もされているので、そちらも楽しみ。

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2023年05月25日

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映画化されたのをテレビで観て、原作を読んでみたかった。
映像が浮かぶような描写がとても良かった。
あのすき焼きの場面はやはり切なくていいですね。

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2023年05月17日

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大人になって、今日明日ばかりを見ながら一日一日を送り、家庭を持ち、子供たちも大きくなると、色褪せたはずの過去が懐かしく思い起こされる。 一言で言うなら、子供時分に亡くなった父母たちが現れる怪談話でホラー染みたシーンもあるけど、ランニングシャツ姿で両親に囲まれて卓を囲むほの温かい思いが全体を包んでいる。 子供時代の何とも言えない温かさに触れたくなった時に再読したい。(o^^o)v

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2023年04月29日

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再読。
昭和63年に刊行された小説だが、好きな作品なんで、これまでに何度も読み返している。
作品全体に漂う夕暮れ時の描写というか、セピア色のけだるい色彩もいい。
両親との最後の食事シーンは、やっぱり泣けてしまった。
僕にとっては一押しの、毎年、夏になると決まって読みたくなる作品である。

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2021年02月05日

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人は、1人では生きていけない・・・
自分一人で何かしているようであっても、後ろには多くの人がいて、その人たちの支えがあって生きている。

山田太一氏の作品はいくつか読ませてもらっているが、この作品は非常に好きな作品の1つです。


主人公の男性は、離婚を機にマンションの1室で1人生活を始める。
家族を失っただけでもこたえるのに、仕事を一緒にしてきた男性が、自分の奥さんに惚れていたこともあり
彼とも疎遠となってします。

小説の題名の異人たちとは、なくなった人たちと言い換えられると思います。

そんな中、彼の前に、なくなったはずの両親が現れます。
彼らと過ごすうちに、家族の大切さや、親のありがたみなどが、随所に垣間見られます。


現実の世界での葛藤、異人たちとの出会いで訪れる心の変化。

失ったことから1歩1歩前に進む、静かだけど人の心が通う作品だと思います。

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2018年11月19日

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タイムトラベルもので、浅田次郎の地下鉄に乗ってと相似しているが、心にぐっとくる名作であることに変わりない。さすが名脚本家。

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2017年04月23日

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型にはまったシンプルなストーリーだ。でも、親として、子として、人としての意味をストレートに考えるきっかけを与えてくれる作品。

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2018年10月14日

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現代のロンドンを舞台に同作が映画化されたとのニュースを見て、読み始めました。
離婚して妻にも息子にも遠ざけられる中年の主人公が12歳で事故で亡くした当時の若かった両親に再会?、同時に同じマンションに住む胸に傷痕のある若い綺麗な女性と恋に落ちるも、周りの人からは会うたびにやつれていくと主人公は言われるが、本人は鏡を見ても気づかない。
怪談めいた話なのに妙に引き込まれ、自分が主人公になった気分で、一気読みの様に読んでしまいました。
幼少期の自分を包み込むように温かい親の愛、自分の存在意義の半分を形成する親の深い存在、そんなことを思い起こすストーリーでした。
脚本家の名手山田太一は人物の描き方、話の運び方がやはり上手いのかなあと感じました。

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2024年04月28日

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ネタバレ

映画化されるということで読んでみた。
何となくハートウォーミングなストーリーかなと思いながら読み進めていたところ、最後にやられた。若い恋人とのくだりのために、この作品の流れが大きく変わった。ある意味、衝撃的。

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2024年04月24日

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ネタバレ


「異人」との繋がり

箸は持ち帰れたが、履物は残っていなかった


両親とケイが妻と息子(現実)との喪失を埋めてくれたが、
引き戻してくれたのは間宮だった
今の彼を本当に気にかけていたのは間宮だったことに安堵する

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2024年04月12日

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映画「異人たち」が公開されるので、原作本を手に取ってみた。
「ひとりで暗闇の中空にぽつんといるような気がする。静かすぎる… 」
妻と大学二年の息子と離別した47歳のシナリオライター。男のとった行動を読みながら、故山田太一さん脚本の数々のドラマを思い出した。

環八近くの騒音が途切れないマンションは殆どが事務所として使われ、夜になると人の気配が消えて行く。無機質なビルの7階に住む男(私)と3階に住む女ケイとの出会い、その先のストーリーに興味が湧いた。

別れた妻と仕事仲間だった間宮に怒り嫉妬する私。離婚で四十男の人生が広がるはずもなく「人に贈る」と言い誕生日に自分のネクタイを選んでいる。やりきれない惨めさが漂ってきた。

「浅草」という文字に懐かしさを覚え、私は生まれ育ったアパートに向かう。
そこには12歳の時、交通事故で亡くなったはずの父母がいた。これは幻覚だろうか? 思いを残し旅立った両親に再び出逢い甘い時間を共に過ごす場面がとても良かった。

「曖昧なもの不透明なもの闇に関わるようなものから遠ざかり、明るく清潔で焦点のはっきりした世界にいたい」と思うが、心地良い感覚にいつまでも浸っていたい!父母が優しく慰撫してくれる時間と、ケイとの濃密な時間を揺れ動く男の心理が見事に描写されていた。

異界とのはざまを抜け現実に引き戻される終盤は私の想像と違ったが、映画ではどのような結末なのか気になってしまう。

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2024年04月11日

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某所読書会課題図書: テレビドラマのライターの原田英雄が体験する奇妙な出来事をドラマ風に記述した物語だが、現実の世界と非現実的な風景が頭の中で入り乱れる感じがした.48歳の英雄の両親は36年前に交通事故で死んだが、浅草のアパートで生活している部屋を訪ねて交流する英雄.一人住まいのマンションに現れる藤野桂との交流も奇妙だ.両親に会って痩せ衰えた英雄を労わる桂.プロデューサーの間宮が英雄の状態を心配し、彼を幻想から救い出すことになるが、顛末はすっきりしない.

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2022年10月04日

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純粋に面白いと感じた。
主人公はかなり不幸な人生を歩んでいた上に、仕事仲間に妻を取られていたという残酷な現実。
仕事はフリーで、身寄りもほとんどおらず、離婚して、人との強いつながりをどんどんなくしていき、社会からふわりの浮いてしまったよう。それで異人たちが現れたのだろうか。
「〜の会社に所属の〇〇さん」「〜さんの旦那さん」という社会での肩書きは自分がこの世との強固な繋がりなのかもしれない。社会に"所属"することで、人は現世にいられるのかもしれない。

ラストにかけては個人的には少し陳腐な印象を抱いてしまった。
異界のものと出会ってる時とその直後は力が出るが、離れると衰弱していっているというのは、別のホラー作品でも見たことがある光景だった。
それが父母と出会っている時だけに起きている現象ではないことに気づき、"異人たち"が父母だけではないことに途中で分かったので、それもあり、ラストのホラー展開に物足りなさを感じたのだと思う。

父母の、言葉にせずともわかる、自分を包んでくれる温かさ。嘘でもいいから亡くなった両親に会いたいというのは人間の素直な感情だと思う。
すき焼き屋でのシーンは何とも言えないやるせなさがあった。主人公はこれで両親と二度目の別れになる。それがまたつらい。

ケイとは一時的な愛だったかもしれないが、ラストの一行が全てだと思う。

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2022年05月20日

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随分前テレビで放映されたのを観て、両親と息子がすき焼きを食べるやるせない場面が頭に残ってた。
数年前、東京へ出かけ(そちらに住む)叔母と浅草ですき焼きを食べた(こんなことは後にも先にも一度きりだ)。この懐かしい感じは…、と辿ってみたらその映画で舞台となった店だと知った。すき焼きの後はどうだったか覚えてなかったので、いつか読みたいと。
喧騒に包まれる都会とは裏腹、孤独が身に沁みる主人公。そんな主人公原田のもとに訪れたものは。
するするっと非現実に入り込む、怖いというより、ラストはすっきり心が晴れ温かさを感じた。
わかってはいても両親との別れのすき焼きの場面は泣けてしまう。父母の言葉に。子供をよく理解しているのは親だな、と思う。ノスタルジー漂う下町の背景は、ざ昭和で、自分の子供の頃(より少し前かな)、親の時代だったなと思う。親孝行しなくては。
とても郷愁に駆られ、親の愛を感じるお話だなと思う。田辺聖子さんの解説、良かった。

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2022年02月07日

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映画「異人たちとの夏」を何度か観て原作を読んでみたいと思い手に取った。原作と映画ではえてして内容が異なることがあるが、本作は映画通りというより映画が原作通りだったことで、とても安心して読み終わることができた。切ない気持ちが残った。

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2021年08月16日

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むかし読んだ時は単にホラーだったのに、今読むと胸が苦しくなります。年代によってこんなに感じることが違うかなと少し驚きました。
主人公が子供の時に事故で亡くなった両親とある日巡り会う。自分の方が歳上になっているのに両親は昔の両親のまま深い愛情を主人公に注いでくれます。
幾つになっても両親の愛はかけがえなくそして自分を子供の自分に戻してしまう。
そういう事が若い時にはわからなかったわけです、自分は。
切なく涙をおさえられなかったです。

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2020年07月15日

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大学生の頃読んだが、この年で読み直すと、若く元気な頃の両親と再会というシチュエーションに涙する。話を全部忘れていたので、ラストの急展開に背筋が凍った。タイトルの「たち」にそんな意味が隠されていたとは。夏の終わりに良い体験をした。

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2019年12月04日

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妻子と別れたばかりの脚本家の男が、48歳の誕生日に行くあてもなく銀座線浅草駅を下車する。男が中学時代まで両親と過ごした街だ。男は12歳のときに父(享年39歳)、母(享年35歳)と交通事故で死別していた。当時国際劇場のあった場所がホテルに建て替えられた現代の浅草の街で、男は若き日の両親そっくりの男女と出会う。両親を亡くしたために甘えることに不器用であることを自覚する男を、その男女は優しく迎え入れてくれる。

「受け身になりたかった。父と母が、ああしろ、こうしろといってくれて、そのいいなりになる快感」

本書は1987年の作品。同じくすでにこの世にいない両親との出会いを描いた小説「地下鉄(メトロ)に乗って」(浅田次郎著=過去ログ)は1994年の作品。どちらの小説も亡父母への思慕と喪失感が、切実かつノスタルジックかつミステリアスに描かれている。

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2018年12月22日

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ネタバレ

死んだ親と過ごすくだりはよかった。
ケイが豹変するところ、死者が消えていくところ、死者のルールみたいなもの、その辺りが興ざめした。

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2019年01月24日

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こんな傑作幽霊譚をなぜ読んでなかったのかというと、装画に惹かれなかったのかな。ほっこりでもあり残酷でもあり悲しくもあり。

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2023年09月17日

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薄気味悪い話ではあったけど、幼い頃に生き別れた両親に再会できたのはよかったし、お別れするときは、涙が出そうになった。不思議な読後感、夏の終わりに読めて涼しくなった。

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2023年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少し前に読んだ「敗者たちの想像力ー脚本家山田太一」で言及されていたので。
映画化されていて、一場面だけ見たのを覚えていた。読んでいる間はどうしても両親が鶴太郎と秋吉久美子になってしまう。
どうして両親は亡くなって30年以上もして出てきたのか。それだけ親の愛は深いということか。
主人公がやつれたのは、両親のせいより、ケイのせいだよね。

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2022年04月09日

Posted by ブクログ

著者は脚本家なんですね。
後書きで知りました。
ふぞろいの林檎たち、懐かしい。笑

確かに、読んでたら映像化の方が
映える気がしました。

と思ったら映画化されてましたね!

内容は、途中戸惑いがありましたが
最後の一文で、読んで良かったと
思いました。

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2020年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オチはなんとなく読めていたけど、けっこう怖い感じになるんだなと。
ほのぼのホラーから戦慄ホラーへ。
主人公を蝕んでいたのは両親ではなくて、ケイってこと?
文字通り精力を吸われて…
なら、両親は消えなくてもよかったのだろうか?

あと、やたらビールが美味しそうで飲みたくなる。

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2019年08月11日

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再読ですが、映画の印象が強い作品ですなぁ。
それはさておきうーん、ちょっと粗いかな。特にケイの扱いがイマイチ、彼女登場させる必要あったのかな?結構早い段階でオチが見えてくるし、何より両親との交流の中でこのキャラはどういう意味を与えているのかもちょっと?でした。

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2017年11月19日

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離婚で多量の感情を費やし 堂に入(い)っていて 早合点 大袈裟で空疎な言葉 おうのう懊悩のあるような顔 はんさ煩瑣な感情のやりとり 朝からの酷暑で汚れてしまったような街 東京本願寺裏のブリキ屋の二階 こころよ快かった 軽佻浮薄なテレビライターめ ほうらつ放埓な印象 慰撫を求めて 田原町たわらまち さ提げていた 歪みをどう制御し馴致して生きていくか 当今の常識に副うそう 営々と過ごして 職人風のいなせな振りが端々にある父の歩き方 忌避きひ 姦通 八つ目鰻 哀惜は薄かった 目に嘲弄ちょうろうするような色が浮かんだ 経堂の中古マンション 空地 雑草の繁茂はんも 田辺聖子 読んだあと心に残る結晶が、真実の美しさや、愛であればいい。 浮揚力を得て 慕わしさ 亡父母 恋うこう むし無私の愛 「さようなら、父よ母よケイよ。どうもありがとう」

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2017年09月21日

Posted by ブクログ

これはいいね。もう一度映画が観たくなった。
ただ、ケイとのラストシーンがちょっと陳腐かなあ。
両親との別れが妙にリアルで納得できただけに。

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2017年09月01日

Posted by ブクログ

この小説を説明すると、どんなジャンルになるんだろう? ミステリーでもあり、ホラーでもある。家族や恋人との人間ドラマでもあり、SFとも言えなくも無い。読者が読み終わったときに感じたものが、きっとそのジャンルになるんだろう。

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2021年05月06日

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